相続した土地はどんな手続きが必要?家族が亡くなった際の手続き

土地を相続しました。お金を相続しました。そんな時は、ただ相続するだけでなく手続きが必要です。相続した財産以外にも、家族が亡くなった場合には色々な手続きが必要になります。相続財産の在り処の探し方から必要な手続きまでまとめてご紹介します。



相続は突然に

ある日とつぜん訪れる人の死。新聞を読んでいると、事件事故に並んで毎日必ず見かけるのがお悔みです。お悔み欄に並んだ方の名前を見て、地方新聞であれば、こんなに小さな地域で、しかもお悔み欄に掲載することを承諾した故人だけでもこんなにいるんだと驚くばかりです。しかし、これは完全に第三者目線、人事です。家族が急に亡くなった方はお悔み欄に目を通すような時間も心の余裕もないのではと思います。

人が亡くなったら、「何をすればいいの?」「最優先は何なの?」とパニックになるくらい忙しいもの。そんな忙しさと同時にやってくるのが相続に伴う各種手続きです。相続というからには、故人に近しい方が多いのでしょう。近しい方だからこそ、相続にはなかなか手が回らないのではないでしょうか。

人が亡くなったら忙しい。でも、手続きをしなければならないのは分かる。とりあえず何をすればいいの?そんな方のために、家族が亡くなった際に必要な手続きを簡単に説明します。



最優先の手続きは?

死亡届を出し、火葬をして葬式。葬式の後も地方や宗派によりさまざまな法要を行うことが多いと思います。準備は喪主を務めた方、亡くなった方の最も近しい家族が準備をすることになるでしょう。次から次へとやることがあるのですから、故人の家族の忙しさはかなりのものです。最近は火葬からお葬式まで一日でできることも多く、昔よりはかなり楽になったとは言われていますが、それでも準備が大変であることには変わりありません。

そして、問題は忙しさ、大変さだけで済みません。喪主や葬式などの準備をする家族は、相続人になっていることも多いと思います。合わせて、故人関係の手続きや相続手続きも進めなければいけません。

ですが、まずは葬式や、四十九日、そのあたりを終わらせてから、と思うでしょう。確かに、急を要しない手続きもありますので、ほとんどは葬式や個人の遺品をしっかり片付けてからでもいいと思います。しかし、中には急を要する手続きがあります。

■相続放棄
■限定承認

相続放棄は、自分は一切相続しませんという手続きです。故人が多くの財産を残した場合、その借金から逃れることができるため有効な手段です。限定承認は相続財産のプラスの範囲内でだけマイナスを受け継ぐ手続きです。

この二つの手続きは、期間が定められています。期間は「相続人が自分のために相続があったと知ってから三カ月以内」です。しかも、裁判所で手続きをしなければいけませんし、その際に相続財産に関する資料や目録も必要になります。

日々に忙殺されていて、その間に期限が過ぎようとしている。急いで裁判所に行ってみたけれど手続きが難しそうだし、資料も各所から集めなければならない!どうしよう!そんなことにならないように、相続放棄をする場合と限定承認をする場合は、忙しい日々の中でもなるべく早めに弁護士や司法書士などの法律の専門家に依頼し、手続きを進めてもらうようにしましょう。

裁判所|相続の放棄の申述
参照元:裁判所(2015年11月、著者調べ)

裁判所|相続の限定承認の申述
参照元:裁判所(2015年11月、著者調べ)

遺品の片づけ中に遺言を発見

最優先の「相続放棄」や「限定承認」はする必要がなかったけれど、故人の持ち物の中にどうやら遺言があるようだ。また、遺品の整理をしていたら遺言を発見してしまった。そんな時は、相続放棄や限定承認ほど急ぎませんが、裁判所で遺言に特有の手続きが必要です(遺言形式によっては不要な場合もあります)。

■検認

亡くなった方の遺品に遺言が混じっている場合は、この検認という手続きが必要です(繰り返しますが、遺言の形式によっては不要です)。遺言があれば、相続の次の段階である相続の手続きに大きく関わります。むしろ、遺言がある場合は、この遺言に関して手続きを終わらせないと、お金を相続しようが土地を相続しようが次の段階には進めません。

遺言は見つけたからといって即座に開封せず、法律家に依頼して適切な手続きをとってもらった方がスムーズに進みます。また、相続が荒れそうであったり、この後の手続きも面倒だと感じるなら、法律の専門家の方で代行可能な手続きがありますのでセットでお願いするという手もあります。

裁判所|遺言書の検認
参照元:裁判所(2015年11月、著者調べ)

相続と手続き

さて、葬式が終わり、遺品も片付けました。相続も、とりあえず各自の取り分が判明し、後は各自必要な手続きをするだけです。一部、どこに相続対象の財産があるか分からないという場合の探し方も含めてご説明します。

土地の手続きどうしよう?

土地や家といった不動産を相続した場合は、まず法務局で登記事項証明書を取得します。登記事項証明書は日本全国どこの不動産のものでも、全国どこの法務局でも取得可能です。インターネットで閲覧することもできますが、インターネットは情報のない不動産もありますので、法務局で相続した不動産の登記事項証明書を取得する方がお勧めです。

登記事項証明書を取得したら、内容から不動産の状況を確認します。後、名義の変更、つまり相続登記の申請をします。相続登記は相続人であれば自分でもできますが、不動産に抵当権や地上権といった権利が付着している可能性もあるため、司法書士に依頼した方が間違いがありません。司法書士に依頼する場合も、自分で登記をする場合も登記事項証明書は資料として必要になりますので必ず取得してください。

他に、戸籍謄本や固定資産税評価証明書を取得していけば、相続登記の際の必須書類ですので、自分でする場合も依頼する場合も、手続きが早く終わります。相続登記(場合によっては必要な他登記)を済ませれば、不動産自体の手続きは終了です。

法務省:未来につなぐ相続登記
参照元:法務省(2015年11月、著者調べ)

相続不動産の探し方

相続対象に不動産があるのは分かるのだけど、不動産自体がどこにどれだけあるのか分からないという場合は、各市町村役場から「名寄帳」を取得してください。

名寄帳は、ある人が所持していた不動産の一覧です。固定資産税の課税に使っています。名寄帳を見れば、相続対象の不動産が分かりますので、それぞれの不動産の登記事項証明書を取得し、後は同じように手続きをすることになります。

名寄帳の取得に関しては各自治体によって異なります。参考として新潟市をリンクでご紹介します。

申請・届出の総合窓口
参照元:新潟市(2015年11月、著者調べ)



お金の手続きどうしよう?

お金の場合は、多額を手元に置いているということはあまりないと思いますので、銀行や証券会社で手続きをすることになります。その場合、「具体的にこのくらいのお金があるというのは聞いているけど、どこに財産があるか分からない」という場合は、まずは財産探しから始めなければいけません。ですが、どこの金融機関にお金があるのか、どうやって調べたら良いのでしょう?はっきりとこの金融機関にあると分かれば、相続人が手続きをして口座を解約することも、お金を引き出すこともできます。

相続するお金の探し方

お金の在り処自体が分からない場合はどうしたらいいでしょう。

お金の在り処がわからない場合は、ここが妖しいという銀行に「預金残高証明書」を発行してもらえば、口座があるのか、そして残高があるのかが分かります。証券会社の場合は「評価証明書」を発行してもらいます。そうすれば、相続すべきお金や有価証券がどのくらいで、そこの金融機関にあるかどうかがはっきりと確定するわけですね。後は、各金融機関ごとに指定された必要書類を持って窓口で手続きをし、相続人の取り分に応じて分ければお金や有価証券の手続きはOKです。

借金の手続きどうしよう?

相続対象になり、手続きが必要なのは預金や有価証券などのプラスだけではありません。相続放棄や限定承認といった手続きをしない場合は、借金も相続の対象になります。もちろん、相続人が手続きをし、返済しなければいけません。

借金の探し方

借金はどんなふうに探せばいいのでしょう?手続きはどうすればいいのでしょう?

借金を探す場合、故人の通帳を確認すれば、そこにカード会社や消費者金融とやり取りした記録がないか探します。また、故人の所持していた書類の中にこれらの契約書がないかも確認してください。これでもなかなか見つからない、けれど借金があることは何となく聞いているという場合は個人の信用情報を扱う会社に情報の開示を求めてみましょう。信用情報から借金を見つけることもできます。

故人が農家や酪農などを営んでいた場合は、それぞれの組合に根抵当権という形で一定の取り引きに対し借金をしている場合があります。こちらの手続きは個人でするのは難しい(登記手続きが必要になる)ため、組合に問い合わせて取引上のやり取りがあった場合は司法書士に依頼した方が話が早いですよ。

情報開示とは|指定信用情報機関のCIC
参照元:CIC(2015年11月、著者調べ)

信用情報の開示手続き|日本信用情報機構(JICC)指定信用情報機関
参照元:JICC(2015年11月、著者調べ)

本人開示の手続きについて – 全国銀行協会
参照元:全国銀行協会(2015年11月、著者調べ)

相続税が発生するケースも

お金や不動産を相続した結果、一定額以上の場合は相続税が発生します。全ての相続において相続税の支払いが必要になるわけではありません。

不動産や権利の場合はそのものの値段ではなくそれぞれの評価額を計算して相続税を算出します。評価額は物の状態や権利の付着状態でも変わってきます。自分で計算もできますが、後で税務署からお咎めを受けるよりであれば、きちんと税理士に計算をお願いするか、税務署に足を運んで相談する方が確実です。

相続税の仕組みの分かりやすい解説「相続税のあらまし」・「相続税の申告要否の簡易判定シート」|国税庁
参照元:国税庁(2015年11月、著者調べ)

他にすべき手続き

相続税以外の税金は大丈夫?

お勤めだった方が亡くなった場合、その方の所得に関して課税がなされます。相続税とは別に相続人が所得の申告(準確定申告)をする必要がありますのでご注意ください。もちろん、申告先は税務署になります。

No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2015年11月、著者調べ)

サービスの解約はしましたか?

故人が契約していたサービスの解約が必要になります。携帯電話の解約の他、インターネット上のサービスや特定のお店とのおつき合いなどもそれぞれ手続きが必要です。

故人がどんな契約を結んでいたのかを詳細まで把握していることは少ないと思います。銀行の通帳を確認すれば、それぞれのサービスの引き落とし履歴が記載されていると思いますので、まずは料金が発生する契約から優先的に手続きを行ってください。他のサービスは、ダイレクトメールが届いたりすれば「ああ、こんなサービスも利用していたのか」と分かりますので、届いた順、知った順に手続きしていきましょう。

また、故人が一人暮らしだった場合は、電話や水道、ガス、NHKの手続きも必要になります。もう必要ないという場合は、各事業者に連絡して亡くなったことを告げ、個別に手続きを行います。

制度は利用しましたか?

自治体それぞれで葬祭費用の援助をする制度があります。喪主を務めた方が手続きをすると(喪主の家族でも大丈夫です)、一定額が喪主に援助として支払われる制度です。自治体によって額は異なりますが、5万円くらいで設定している自治体が多いように思います。

援助と言っても困っている場合だけ受け取れるというわけではなく、葬祭を行った、人が亡くなったという場合は無条件で受け取ることができますので、自治体に確認してください。自治体によっては死亡届や火葬場関係の予約の際に「葬祭費用の援助がありますので後日手続きしてくださいね」と案内をしているところもあります。会社の方から弔慰金が出ることもありますので、チェックしてください。

また、亡くなった方が年金をもらっている場合、未払い分の年金が発生します。こちらも手続きをすることにより家族が受け取れますので手続きをしてください。

保険は大丈夫ですか?

故人が保険に入っていた場合、保険金の請求と保険の解約が必要になります。保険の種類によっては保険金を請求すると解約手続きは不要ですというタイプもあります。保険金の手続きをする際に、「この保険はお金の請求の他に別途解約手続きが必要ですか?」と保険会社に問い合わせた方がいいかと思います。解約手続きが発生する場合は、保険金の請求用紙と一緒に解約の書類も送ってもらうと手続きがスムーズです。

また、保険料を口座引き落としにしている場合は、そちらを止めることも必要です。保険会社に連絡し、亡くなった日付けを伝えてください。引き落とし日が近い場合は、手続きが間に合わず引き落としがされてしまう場合があります。引き落としがされてしまった場合は、後で返金してもらえます。

手続き終了こそが本当の終わり

相続は家族の遺産を受け取ることです。土地もそんな遺産であることは間違いありません。しかし、ただ受け取るだけではなく、受け取ったら相応の手続きが必要になります。

相続とは前の持ち主が亡くなり、その人の権利や財産を受け継ぐということですが、相続を含め亡くなった人の名義を移すことや、亡くなった家族の手続きを解約するということは、亡くなった人のこの世での生きた証を一つずつ辿り、消してゆくことなのかもしれません。「消す」という言葉が悲しいならば、未来へ繋ぐことでしょうか。

ある日家族が亡くなって相続が発生して親族中がばたばたする。葬式を終え、その後、受け継いだ家や土地の名義を変えれば、その土地は正しく相続が完了し新たな持ち主のものになります。亡くなった方は前の持ち主として登記簿に名前を残すのみとなりました。

サービスの解約もそうです。亡くなった方が生きている時に色々考えて契約したサービスを今度はその人の人生を本当の意味で終わらせるように、一つ一つ、遺族が解約してゆくことになります。契約を解約し、名義を移すものは移し、そうしてやっと亡くなった人は本当の意味での終わり、つまり死を迎えるのではないでしょうか。

生きている人にとっても亡くなった人のサービスを解約し、名義を移すことは重要です。名義を移せば、今度はその人が新たな持ち主です。新たな持ち主のもとで、物は未来に向かって存続します。新たな持ち主が亡くなれば、また名義を移し、さらなる相続人に受け継がれます。

しかし、サービスが解約されていなければ、名義が正しく移されていなければ、それらはどんどん降り積もり、雪だるまのようになって新たな相続人がやらなければならないことになります。

未来に向かって名義を移し、自分の物として活用したいのに、過去が正しく完了されていない、亡くなった人が手続きの意味できちんとした死を迎えていなければ、相続人の相続人……例えばあなたの子供が、何人もの相続人がせずに放置してしまった手続きをしなければいけません。

人が亡くなり、葬式をする。それで終わりではなく、不要な契約は解約し、名義を移す。そこまでやって、やっと人は本当の意味で「お疲れさま」になるのではないでしょうか。 ※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。