贈与税は夫婦間でもかかる!?夫のお金は妻のもの!の注意点

「夫のお金は妻のもの。妻のお金は夫のもの?妻のもの?」夫婦間ではお金を<一緒に管理>している方も多いですよね。でも法律上、夫のお金でも妻のお金でもそれぞれのお金はそれぞれのもの。人に渡すときには<贈与税>がかかります。しかし一定の金額には贈与税がかからないものもあるんですよ。



贈与税がかかるもの

個人が個人に財産を移動させた場合、受け取り側が支払うことになる<贈与税>。

贈与税は他人同士とのお金やモノのやりとりだけでなく、家族間・夫婦間でもかかるものがあるので注意が必要です。しかし贈与税のかからない方法を抑えておけば、もちろん「認められている方法で」上手に贈与税をかけずにやりとりすることもできるんです!

ちなみに、会社などからもらった場合には贈与税ではなく<所得税>がかかります。

No.4402 贈与税がかかる場合|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年11月現在、著者調べ)

生命保険金は相続税?贈与税?

「人が亡くなったときに発生するお金だから<相続税>でしょ?」という簡単な問題ではないのが生命保険金の税金問題。亡くなった本人ではなく【誰が支払っていたか】が問題なんです!

Aさんと妻のBさん、子のCくんの3人家族を考えてみましょう。契約者が保険料負担者、亡くなっていた人(保険をかけられていた人)を被保険者、そしてその保険金受取人の3役によって税金は変わってきます。

Aさんが亡くなった場合の保険金の流れを見ていきましょう。

Aさんが契約者・被保険者、Bさん又はCさんが保険金受取人の場合。Aさんの支払っていたお金が、Aさんが亡くなったことで家族に移動したと考えられるので【相続税】となります。

Bさんが契約者、Aさんが被保険者、Bさんが保険金受取人の場合。Bさんの支払っていたお金が、Bさんに戻ってくると言えますね。この場合には【所得税】がかかるんです。 Bさんが契約者、Aさんが被保険者、Cくんが保険金受取人の場合。Bさんの支払っていたお金が、Cくんに贈られたと言えるため【贈与税】になるそう!

「保険金を支払っていた人」から「保険金受取人」へのお金の流れを考えてみるとわかりやすいかもしれませんね。この生命保険金の例でも分かる通り、夫と妻のお金はそれぞれのものと考えなければなりません。

No.4417 贈与税の対象になる生命保険金|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年11月現在、著者調べ)



贈与税のかからないもの

基本的には、人から人へ財産が移動したすべての場合にかかるという【贈与税】。しかし例外として贈与税がかからない財産の移動もあるんです。

例えば、夫婦間・親子間などの「扶養している人から扶養されている人に渡した財産」の中で必要と認められる生活費や教育費には贈与税はかからないそう。 また、個人から贈られる香典やお歳暮などの贈答品、結婚などのお祝いの品、お見舞いなどの金品のうち、社会通念上相当と認められるものに関しても贈与税はかからないとされています。

そして相続や遺贈などで財産を手に入れた人が、その相続した年と同じ年に被相続人から【贈与】として取得した財産に関しても贈与税はかからないのだそう。これはあくまで相続人だけの話。相続しなかった人は、同じ年に【贈与】があっても贈与税がかかるので注意が必要です。

No.4405 贈与税がかからない場合|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年11月現在、著者調べ)

控除を利用しよう

贈与税の計算は、1月1日~12月31日の1年間に【贈与】された財産をお金に換算して、その合計を出すことから始めます。家や土地などもすべてお金に価値を計算するんです。

そして、その合計額から<基礎控除額110万円>を差し引き、残った額に贈与税率をかけることで、納めなければならない贈与税が出てきます。 例えば、夫から妻へ100万円を贈与したとき、その年に妻が受けた贈与がその100万円だけの場合には基礎控除額を差し引くと0になるため、贈与税はかかりません。しかし、夫から100万円、母親からも100万円もらった場合には、「妻が1年に贈与されたお金200万円-基礎控除額110万円=90万円」には贈与税率がかけられるということ。

つまり、どの人も<110万円の基礎控除額>は何人に贈与されても変わりません。1人あたり【110万円以上の贈与を受ける】年には贈与税を支払うんだということは覚えておきましょう。

No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年11月現在、著者調べ)

相続時精算課税

ちなみに、上記の計算は【暦年課税】と呼ばれるものですが、もう一つ相続税の計算方法として【相続時精算課税】を選択できる場合もあります。こちらは原則として、60歳以上の父母・祖父母から、20歳以上の推定相続人である子・孫への贈与で利用ができるものとされています。

こちらの場合「1年間の贈与の合計額-2,500万円」の金額には贈与税がかかり、父母・祖父母が亡くなったときに【相続財産】として相続税の計算ができるというものです。夫婦間の贈与では選択できませんので注意してくださいね。

No.4103 相続時精算課税の選択|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年11月現在、著者調べ) また、他にも夫婦間では利用できない、贈与税のいくつかの特例があります。家族間で上手に特例を利用することで、家族の支払う贈与税額もかなり節税できるでしょう!

No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年11月現在、著者調べ)



贈与税<夫婦間>の場合には?

夫婦間の贈与に関しても、いくつかの税金の優遇があります。これを覚えておくのと知らないのとでは、納税額にかなりの差がでると思いますので、チェックしておくことをおすすめします!

まずは、夫Aさんと専業主婦Bさんの夫婦を見ていきましょう。この夫婦は20年以上前に結婚していて、今年一軒家を買うことになったとしましょう。この家の名義は、将来のことも考えて「妻Bさん名義」にすることに決めました。

しかし妻Bさんは働いていないので、「夫Aさんが稼いできたお金でその家を買う」ということになりますね。しかし、Aさんのお金で購入した家なのに名義は妻Bさんとなる。つまり夫Aさんから妻Bさんへ「家を買うためのお金を贈与した。そのお金でBさんが家を購入した。」と見なされるでしょう。 この家が3,000万円だったとすると、考え方としては「Aさんの3,000万円をBさんに贈与した。そのお金でBさんが3,000万円の家を手に入れた」ということになるので、3,000万円から基礎控除額110万円を引いた額に贈与税がかかりそうですね。

しかし夫婦間の場合、最高2,000万円までの【配偶者控除】を利用することができるんです。つまり「3,000万円-基礎控除額110万円-配偶者控除額2,000万円=890万円」に贈与税がかかるということになるでしょう。

配偶者控除の条件って?

配偶者控除を受けるためには、その贈与がいくつかの条件に当てはまっていることが必要です。まずはAさん夫婦のように、婚姻期間が20年以上経過した後に贈与が行われたということ。

そして、配偶者(Aさん)から贈与された財産は、自分(Bさん)が日本で住むための「居住用不動産」である・又は「居住用不動産」を買うためのお金であるということ。

さらに、贈与された年の次の年の3月15日まで、その「居住用不動産」に自分(Bさん)が実際に住んでいる。そして、これからもずっと住み続ける見込みがあるということ。

これらの条件にすべて当てはまる場合に限り、同じ配偶者からは一生に一回だけ【配偶者控除】を利用して贈与税を軽くすることができるそう。 「居住用不動産」とは、Bさんが住むための家屋か敷地。ですが、家屋と敷地は一緒に贈与されなくても良いということになっているそう。

どちらか片方のみ贈与されたというときでも配偶者控除は利用可能。一軒家とは言っても、建物と土地それぞれの名義は異なっていても良いことになっているので、相続税対策として、家族と様々に変えてみてもいいかもしれませんね!

「配偶者控除が受けられるかどうかのチェックシート」が国税庁から出ています。ぜひ活用してみてくださいね!

贈与税の配偶者控除の特例のチェックシート
参照元:国税庁(2015年11月現在、著者調べ)

No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年11月現在、著者調べ)

一緒にお金を出し合うときは?

次に、共働きの夫Cさん・妻Dさん夫婦を見てみましょう。夫婦で一軒家を購入することになり、お互い働いているので購入資金を2人で出し合うことに決めました。

3,000万円の家を買い、Cさんが1,500万円・Dさんが1,500万円出すというときには、その家や土地が誰のものかということを証明する「所有権の登記」もCさんとDさんで1/2ずつにすると、購入資金と所有権の割合が同じなので贈与税はかからないでしょう。

しかしCさんが2,000万円・Dさんが1,000万円出すとした場合、「所有権の登記」を1/2にすると【500万円をCさんからDさんに贈与した】とみなされる場合があるそう。

資金と登記の割合が同じにならないと、贈与税が発生してしまう場合があるので注意が必要ですね。不動産の贈与に関してはややこしい問題ですので、できるだけ専門家に頼むことをおすすめします。

No.4411 共働きの夫婦が住宅を買ったとき|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年11月現在、著者調べ) ではマンションをローンで購入し、共働きの夫婦で一緒に返済をした夫Eさん・妻Fさん夫婦を見てみましょう。

例えば、3,000万円の夫名義のローンで「所有権の登記」は1/2ずつの場合、資金と登記の割合が異なりますね。つまり夫から妻へ1,500万円の贈与があったとされるでしょう。

夫が1,500万円・妻も1,500万円のローンを組み、「所有権の登記」も1/2ずつの場合には、資金と登記の割合が同じ。だから贈与税はかからないでしょう。 では夫と妻で1,500万円ずつのローンを組み、「所有権の登記」は夫Eさんとした場合にはどうなるでしょうか。

この場合には「1年ごとに一定の金額を妻から夫へ贈与した」と考えられるのだそう。つまり【妻の所得が夫婦の所得の合計に占める割合を乗じて計算した金額】が妻Fさんから夫Eさんへ贈与し、その金額で夫はマンションを手に入れたと考えられるそう。

つまり、【購入資金の負担の割合と所有権登記の割合】が同じであれば贈与税はかからない、違うのであれば贈与したとみなされて贈与税がかかる場合があると覚えておくと良いでしょう。

No.4411 夫名義のマンションのローンを共働き夫婦で返済した場合|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年11月現在、著者調べ)

名義預金に気を付けて

例えば、夫Aさんと専業主婦Bさん夫婦で、Aさんのお給料もすべてBさんが管理しているとします。ある銀行にBさん名義の預金口座があり、毎月お給料から一部を貯金しています。Bさんは働いていないので収入がありませんね。つまりその口座に入っているお金は夫Aさんのもの。だから、実質的には口座名義=Bさんのものでない口座ということで<名義預金>と呼ばれています。

この場合、Bさん名義の預金ではあっても夫Aさんの預金と判断されることが多いのだそう。「へそくり」として貯めている場合でも、相続などの計算においてはこのへそくりも夫Aさんの財産とみなされるので注意しましょうね!

夫婦間の贈与税から逃れるために

夫婦間には【扶養義務】があります。そのため、通常必要と認められる範囲であれば、基礎控除110万円を少し超えたぐらいであれば、贈与税はかからないことが多いのだそう。

しかし相続がからんだり、不動産の名義を変更するときなどに関しては、夫婦間であっても贈与税がかかることが多いので注意が必要ですね。 また、夫婦間に関しては相続で財産の移動が行われた方が納税額を減らせる場合が多いとされています。それは、配偶者の相続の控除が高額で、小規模宅地であれば特例が認められる場合も多く、さらに不動産の登録免許税や不動産取得税が通常よりもかからない・又は非課税となる場合も多いのだそう。

もしかしたら贈与をするよりも、どちらがが亡くなるまで財産を移動させないほうが税金がかからないというパターンもあります。自分たちで調べるだけでなく無料の相談なども活用して、上手に節税ができると良いですね!

おわりに

いかがでしたか?この仕組みを見ていると、「専業主婦には貯金がない」ともなりがちですね。実際夫の相続を計算するときに妻の名義預金を調べられ、「妻名義の預金だけど夫のお金を貯金しているため夫の財産です」と言われることも多いのだそう。

それを避けるため、夫から妻へ1年間に110万円以下となるように【振込の実績】を作ることがいいかもしれません。また、111万円の贈与をして1万円に贈与税をかけて実績を作るという人もいるのだそう。

贈与税の計算は難しいものもありますので、出来るだけ専門家へ相談することをオススメします。大切なお金の事だからこそ、嫌な気分にならないように夫婦間のお金でも曖昧にせず、しっかりと線引きをしていた方が気持ちよく対応ができるのではないでしょうか。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。
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