住宅ローンは「年収よりライフプランで計画」なら失敗なし!の理由

住宅ローンを年収だけで考えるのは大変危険であると思われます。ローン返済額だけでなく、税金や維持費用も考慮しなければなりません。それぞれの家族構成や暮らし方、将来のプランを踏まえたうえで、無理のない返済計画を立てる必要があります。そのためには、物件を決める前にまず自分たちの世帯に適正な予算を把握することが大切です。



ローンを年収で考えるのは危険?

ローン+固定資産税+修繕費で考える

住宅ローンは年収の5倍まで、返済額は年収の25%以下とよく言われますが、この考え方は危険です。大切なのは家計とのバランスはないでしょうか。住宅を購入すると、いま家賃として支払っている住居費が住宅ローン返済ということになるわけですが、家賃の場合は固定資産税や修繕費はかかりませんが、住宅を購入するとこれらの費用がかかってきます。

固定資産税と修繕費(マンションの場合は管理費・駐車料なども含まれる)を月額で計算し、その金額と住宅ローン月々返済額を合わせて「住居費」と考えるのが賢明だと思われます。そして家賃の場合はボーナス払いというものが存在しませんが、住宅ローンの場合はそれが可能です。

しかし今の生活レベルを保ち住宅購入後戸惑わないためにも、ボーナスはあくまで臨時収入と考え、ボーナス払いなしの月額のみで返済を計画するほうがオススメです。

固定資産税・都市計画税の目安

住宅を購入すると、毎年固定資産税の支払いが発生します(市街化区域の場合は都市計画税も発生)。

・固定資産税(年額):評価額×1.4%
・都市計画税(年額):評価額×0.3%

これは物件によって広さも価格も違うので一概に言えませんが、固定資産税+都市計画税額の目安は購入価格4,000万円の場合、戸建で18万円、マンションは23万円ほどと考えられるということです。新築住宅の場合は3年間(認定住宅は5年間)建物部分にかかる固定資産税が1/2になりますが、一般的な住宅の場合、年間15~20万円ほどの固定資産税予算を想定しておいた方がいいでしょう。

ですので、月々12,500~17,000円程が別途必要と思っておくのが賢明です。戸建の場合は建物にかかる固定資産税は25年でほぼ2割まで下がるそうですが、マンションの場合は減価償却期間が47年と戸建より25年も長くなるため、かかってくる税額も長期に渡り大きいと思われます。

固定資産税・都市計画税の計算 – 土地活用の東建コーポレーション
参照元:東建コーポレーション

修繕費用の目安

マンションの場合は毎月決められた修繕積立金と管理費、また駐車料がかかってきますが、戸建の場合は自分で積み立てておく必要があります。ちなみにマンションの平均的な維持費用月額を挙げてみると、

・管理費:10,990円
・修繕積立金:10,898円
・駐車料:10,000円

とすると、毎月3万円強はローン返済とは別に費用が発生することとなります。

では戸建住宅は維持費が必要ないかというとそんなことはありません。毎月強制的に取られないだけで、自分できちんとリフォーム費用を積み立てておく必要があります。こちらも家によって違いがありますが、10年ごとに150万円程度の修繕費用を想定しておくとすると、やはり月額12,000円ほどはローン返済額とは別に見ておくのが賢明だと思われます。

TBS「がっちりアカデミー」
参照元:TBS(2015年11月:著者調べ)



住宅ローンの理想的な借入額

安全な借入額

以上のことから考えると、次の額を考慮したうえで月々のローン返済額を決めるのが無難であると思われます。

・戸建の場合:固定資産税15,000円+修繕積立12,000円=27,000円/月
・マンションの場合:固定資産税19,000円+修繕費・管理費・駐車料30,000円=49,000円/月

月額ローンの返済額は年収の25%までにするべきだと言われますので、仮に年収500万円と仮定すると104,200円ほどとなりますが、上記の額を引くと…

・戸建の場合(年収500万円と仮定):77,200円
・マンションの場合(同上):55,200円

となります。理想としては、このようなローン返済額になるように調整するのが最も安全であると考えられます。しかし、現実的にはかなり頭金がないと無理のある額になってしまうかもしれません。現在支払っている家賃程度のローン返済で、と住宅メーカーは勧めてくるかもしれませんが、このような維持費用が発生することは教えてもらえないと思っておいた方が賢明です。

実際にはもっと大きな額の借入ができると思われますが、年収で借りられるだけ借りてしまうと後が大変なことになるのではないかと思われます。年収500万円で10万円以上の家賃を支払っている人のほうが少ないのではないかと思われますので、実際は手取り年収の25%までで考えるべきではないかと言われています。

自家用車があれば手取り年収の2割までに

しかし、自家用車を保有している場合はさらに住宅ローンを軽くすべきだと言われています。住居費と車両費、保険料、教育費は4大固定費と言われ、そのすべてを合わせた額を収入の半分までに抑えるべきだと言われているということなのです。

自家用車はファミリーであればミニバンなどの車種になることが多いと思われますが、大きな車は燃費も良くないことが多く、自動車税も2,000CCまででも年間4万円弱がかかります。10年に一度は買替なども検討される家庭が多いと思われます。そういった場合に住宅ローンの返済額が収入の1/4を占めているのも苦しいのではないでしょうか。

個人的な考えとしては、自家用車を保有している世帯は住宅ローンを手取り年収の2割までに抑えるほうが安心であると思います。

・年収400万円…年間664,000円/月55,400円程度
・年収500万円…年間830,000円/月69,200円程度
・年収600万円…年間996,000円/月83,000円程度
・年収700万円…年間1,162,000円/月96,900円程度
・年収800万円…年間1,280,000円/月106,700円程度

手取り収入の2割に抑えても、だいたいこのくらいの月額になってしまいます。ちなみにわが家が住宅購入前に負担していた家賃は手取り年収の2割以下でした。車も保有していて、上が小学生、下が未就園児でもそこまで余裕のある家計ではなく、平均的かそれ以下の貯蓄しかできていなかったかもしれません。手取り年収の2割は決して抑え過ぎではないことは分かっていただけるかと思われます。

現在の家賃から考えてみる

最も安全な方法は、年収で考えるより現在の家賃から考えてみることではないでしょうか。現在の家賃でちょうど良い家計バランスなら、上記の考え方で固定資産税額と維持費用を月割した金額をプラスして、余裕を見た返済額に設定するのが無難であると思われます。少し余裕があるなら+1万円、2万円などの返済額でシミュレーションしてみましょう。

マンションの場合は、事前に管理費と修繕積立金、駐車料が分かっていることが多いと思われますのでシミュレーションしやすいのではないでしょうか。戸建の場合も、メンテナンスコストのかからない住宅を建てれば維持費用は軽減できますので、初期費用を多めにかけてメンテナンス費用を少なくするのもいい考えだと思われます。

木造住宅の場合は22年で減価償却され、建物自体の価値はなくなると言われています。余裕を見ておけば後々かなり楽になると思われますので、最初の設定を厳しくしておけばなお安心ではないでしょうか。

月々の返済額から借入額をシミュレーション

借入期間は35年、全期間固定金利2%、元利均等返済と仮定した場合、次のような借入額となります。

・月額50,000円の返済:借入可能額…1,509万円
・月額60,000円の返済:借入可能額…1,811万円
・月額70,000円の返済:借入可能額…2,113万円
・月額80,000円の返済:借入可能額…2,415万円
・月額90,000円の返済:借入可能額…2,716万円
・月額100,000円の返済:借入可能額…3,018万円
・月額110,000円の返済:借入可能額…3,320万円
・月額120,000円の返済:借入可能額…3,622万円
・月額130,000円の返済:借入可能額…3,924万円

この額に頭金+諸費用(注文住宅であれば2割)を足した額が総予算となると考えて、無理のない返済計画を立てましょう。後述しますが、先に予算をしっかり立ててから物件を決めるという順番でないと後でとんでもないことになる危険があると懸念されます。

毎月の返済額から借入可能金額を計算:【フラット35】
参照元:住宅金融支援機構【フラット35】(2015年11月:著者調べ)

ローン借入額年収別平均は?

住宅ローン年収別借入額平均

SUUMOによる2013年家とお金の調査結果によると、子育て世帯の住宅ローン年収別借入額平均は以下の表のようになるようです。だいたい賃貸の家賃程度の額に収まっていますが、これに維持費用が加算されることを考えると理想としてはもう少し抑えたほうがいいと考えられます。

頭金がかなり多めですが、2割程度の世帯では住宅購入目的の非課税贈与を受けているようで、特に年収400万円未満の世帯の3割以上は贈与を受け負担を軽くしています。ボーナス払いをしている世帯の割合も3割以下となっているということです。

できるだけ月々の負担だけで済ませ余裕があれば繰り上げ返済するほうが賢明だと考える人も多いのではないでしょうか。戸建の場合は初期費用で太陽光発電システムを導入し、売電額などで維持費を支払うという考えも多いのかもしれません。
SUUMO家とお金調査2013データより

年収別8213人 家とお金調査 2013|SUUMO(スーモ)
参照元:SUUMO(2015年11月:著者調べ)

破綻の危険が少ない年収とは

実は、住宅ローン破綻の危険が最も少ないと言われているのは、年収400万円台の世帯だということなのです。この世帯は無駄に見栄を張らずに堅実に生活するため、破綻の危険も少ないということだそうです。年収400万円台の住宅ローン返済開始年齢は最も若く、33.2歳と言われています。

ローン開始が早ければ早いほど、返済完了も早くなるので老後にも安心感が生まれます。夫婦共働きで繰り上げ返済をしていけば、定年までに返済完了することも十分可能だと思われます。そのためにも、収入に占める住居費の割合は2割程度に収めるべきだと言われています。

逆に年収800~1,000万円台の世帯は税面などで手取年収がそれほど増えないにもかかわらず、生活レベルを上げがちなためローン破綻の危険が大きい層だと言われているとのこと。手取り収入をベースに堅実な生活ができるかどうかが、住宅ローン返済計画には必須だと思われます。



住宅ローン破産に陥らないためには

ライフプラン表を作る

面倒でも、絶対にこの考え方が一番安心安全です。人生で一番大きな買い物をするのですから、年収だけでなく家計の年間収支や将来必要となる費用などをきちんと考慮の上計画をすることはとても重要なことだと思われます。

住宅メーカーから家賃並みの返済で大丈夫だと言われてもそれは楽観的過ぎると思われます。わが家も住宅購入前は駐車料込みの家賃79,000円の物件に住んでいましたが、かなり借入額を抑えたにもかかわらず、ローン返済額だけで87,000円になりました。もちろん別途、固定資産税や維持費用が必要になりますので、それを考えると月114,000円ほどの住居費となります。

住宅購入前にファイナンシャルプランナーにライフプラン表を作成してもらい、月額119,000円までは住居費に充てて大丈夫と言われたので少し安心しましたが、変動金利で借り入れているので将来金利が上がった時に対応できるか不安ではあります。

太陽光発電の全量買取を契約しているのでその売電額を維持費用や繰り上げ返済に充てようとは思うのですが、正直年収で借りられる上限額を借りてしまっていたら生活はカツカツになってしまっていたと思います。本当に住宅ローンは低金利だからと簡単に考えていると怖いのではないでしょうか。

住宅ローンシミュレーションで絶対出せない適正借入額を出す方法
参照元:株式会社ひかリノベ(2015年11月:著者調べ) こちらでキャッシュフロー表というエクセルファイルがダウンロードできます。

物件を絞る前に適正購入額を把握しておく

住宅破綻に陥る特徴的なパターンとしては、物件を決めてから住宅ローンについて考えるということだそうです。しかしこれは順番が逆なのです。まず、自分の家計に合った適正価格を知ってからローンの借入額について考え物件を決めるべきだということなのです。

家族構成や将来必要となるお金のこと、生活のパターンについてきちんと把握せず、年収だけで借入額を安易に考えるととんでもないことになってしまう恐れがあります。住宅メーカーはそこまで説明してくれないことが多いです。返済だけでやっと…という状況でなく、貯蓄もしっかりできる余裕は残しておくべきではないでしょうか。

まとめ

このように、住宅ローンの借入額を年収だけで安易に考えることは大変危険なことであり、万が一家族の誰かが病気になったり、収入が減ったりなどのイレギュラーなことが起こった時に対応できる余裕がなくなる恐れがあります。ですので、できるだけ軽くしておく必要があるのではないかと思われます。

・住宅ローン年間返済額は手取り年収の2割ほどに抑える
・固定資産税や都市計画税、維持費用も月額単位で考慮しておく
・現在の家賃に税金と維持費用を足して考えるとイメージしやすい
・ライフプラン表を作って、無理のない返済計画を立てる
・先に物件を決めるのではなく、購入価格から決める

生涯で最も大きな買い物ですので、これらのことに注意して無理のない住宅ローン返済計画を立てましょう。

※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。