【住宅ローンの繰り上げ返済】いつが得?シミュレーション

住宅ローンは繰り上げ返済で早く終わらせるべき!いや繰り上げ返済はせずその分を他で運用したほうが得!と両極の情報や意見が錯綜する中、どうすれば最もお得に繰り上げ返済が活用できるのかについて考えてみました。繰り上げ返済をいくつかのパターンごとにシミュレーションし、資金がなくても無理なく繰り上げ返済できる方法もご紹介します!



効果の大きい住宅ローン繰り上げ返済

最も効果が大きいのはローン前半

繰り上げ返済の大きなメリットは、その返済月の利息以外をすべて「元金」に充当できることにあります。つまり繰り上げ返済額の元金とその分にかかる利息がごっそり消えるので、総返済額がかなり減少するのです。

住宅ローンの返済イメージは下のグラフのように、開始時が最も利息の割合が大きく支払い回数が増えるにしたがって元金の割合が増すという形です(ただし金利の大きな変動があった場合はこの限りではありません)。元金が減るのが早いほどそれにかかる利息も減りますので、繰り上げ返済をするなら、なるべく早い時期に行うのがお得だと言えるでしょう。 2015年10月作成:takeringo

効果の大きい方法は「期間短縮型」

繰り上げ返済には、月々の返済額は変わらず完済までの期間が短くなる「期間短縮型」、借入期間はそのままで毎月の負担を軽減する「返済額軽減型」の2種類があります。支払総額を減少させるには期間短縮型が圧倒的に効果大のようです。毎月のやりくりに問題がない場合は最もお勧めの繰り上げ返済方法だと言えます。

教育費などで支出が多い時期などにどうしても毎月の返済額を減らしたい…といったときなどには「返済額軽減型」を利用して月々の負担を軽くするのも良い方法です。また変動金利で借り入れている場合、この方法で返済することで金利が上昇したときに月々の負担を軽くするという方法もあるようです。

住宅ローン 繰り上げ返済 | 新生銀行
参照元:新生銀行(2015年10月 著者調べ) 期間短縮型の繰り上げ返済が分かりやすく説明されています。

期間短縮型と返済額軽減型を比較

同じ条件で、期間短縮型で返済した場合と返済額軽減型で返済した場合の違いをシミュレーションしてみましょう。35年固定金利2%で3,000万円の借入だと仮定すると、5年後に200万円返済した場合… 2015年10月著者作成 上の表のとおり期間短縮型での返済のほうが倍以上の額の支払総額の減少が見込めます。返済額軽減型もこまめに行えば効果的だという情報もありますが、期間短縮型のみしか扱いがない金融機関もあるようです。

ボーナス払いより繰り上げ返済

もしあなたがまだ住宅ローン契約をしていないのなら、ボーナス払いはせず月々のみ支払いのプランをお勧めします。ボーナス払いをすると月々の負担が軽くなりますが、ボーナスは安定した収入ではないので、もし勤務先が業績不振な時期ならば期待通りの金額が支払われないかもしれません。

住宅ローンの利息は後払いになるため、返済時に前回支払日翌日から支払日までの利息が引かれます(経過利息)。月々支払は前月の約定返済日翌日からの利息ですが、ボーナス支払いの場合は前回のボーナス支払い日翌日から半年分の経過利息がかかってくるため、ほぼ元金に充当できる繰り上げ返済より返済できる元金が利息分少なくなってしまうということなのです。 2015年10月著者作成 上の表のとおり仮定した場合、毎月+ボーナス払い15万円にするより、ボーナス払いなしで年間30万円を繰り上げ返済に回したほうが、300万円程総支払額が少なくなる計算になりました。返済期間も8年半ほど短縮されるので、繰り上げ返済の効果がよくわかっていただけるかと思います。



繰り上げ返済をするタイミング

繰り上げ返済はローン前半、早ければ早いほど効果が期待できますが、それ以外にも注目したいタイミングがあります。できるだけお得に返済できるように留意しておきたい点について挙げさせていただこうと思います。

繰り上げ返済するなら年末より年始

毎年末のローン残高の1%が10年間所得税から控除される住宅ローン減税は、最大では年間40万円(認定住宅なら50万円)が還付されます(2015年10月現在)。なので、12月に例えば100万円の繰り上げ返済をすると、その時点でのローン残高が4,000万円以下だった場合、控除額が1万円減ることとなります。

返済額が大きいほど控除額が少なくなりますので、ローン開始から10年以内であれば年末より年明けに繰り上げ返済をしたほうがお得だと言えるでしょう。5月頃までに余裕資金がある場合は、還付金より利息の軽減のほうが大きくなることが多いので、年明けまで待たずに繰り上げ返済したほうがいいようです。

ちなみに金融機関からの年末借入残高証明書は10月頃に届きますが、その額で申告し年内に繰り上げ返済をすると後に発覚した場合に追徴課税される恐れがあるため、正直に年明けまで待つほうがいいと思われますので注意しましょう。

住宅ローン減税制度の概要|すまい給付金
参照元:すまい給付金公式ホームページ(2015年10月 著者調べ)

こまめに?まとめて?どちらが得?

繰り上げ返済はこまめにするほうがいいのか、まとめてするほうがいいのかどちらでしょうか。3,000万円の35年ローン、全期間固定金利2%と仮定しシミュレーションしたところ、以下の表のようになりました。5年後に500万円返済するより、5年目まで1年ごとに100万円ずつのほうが期間、支払総額ともに大幅に軽減されています。

近頃はインターネット上の手続きだと繰り上げ返済手数料が不要の金融機関が多いので、こまめに返済しやすくなっています。あくまで余剰資金の範囲で、ある程度の額がたまったら返すという方法はお得な返済方法だと思われます。 2015年10月著者作成

庶民的な繰り上げ返済

1年に100万円単位の高額な繰り上げ返済の例を見てきましたが、実際に住宅ローンを返済しながら生活と貯蓄もしつつ繰り上げ返済をするとしたら、大きな額は厳しいというご家庭が多いのではないかと思われます。そこで、もう少し少額の繰り上げ返済をしたらどうなるのでしょうか。

基本的には、繰り上げ返済はこまめにしたほうが得だと言われています。たとえば5年後に100万円返済するより、1年ごとに5年間20万円ずつ返済するほうが少しですが得になるということです。ただ金融機関によっては少額の繰り上げ返済ができなかったり、約定返済日以外の繰り上げ返済はできないということもあるようです。

知識情報「資金計画編」|NTT Living Service
参照元:NTTビジネスアソシエリビング事業部のサイト(2015年10月 著者調べ)

毎月少しずつ繰り上げ返済

例えばローンを支払い始めたものの、あと月に1万円くらいは払えたなあ…といった場合、毎月1万円ずつ繰り上げ返済することも可能です。インターネットなら1万円から返済できる金融機関も多いです。ただしその場合は翌月返済予定の元金より少額になるため期間短縮ができず、返済額軽減型の方法でしか返済できないということです。

変動金利の住宅ローン繰り上げ返済

変動金利の場合は利率の予測がしづらいため、固定金利に比べると繰り上げ返済の計画は立てにくいです。ただ早い段階で繰り上げ返済をすると、やはり元金の割合が少ないぶん長い期間の元金に対しての利息が大きく減少するので繰り上げ返済の効果は大きいと思われます。

変動金利の5年ルール

変動金利は半年ごとに金利の見直しがありますが、5年間は月々の返済額を一定にするという「5年ルール」を設ける金融機関が多いのです。月々の返済額は一定でも、契約時、または前回の見直し時から5年目までの間に金利が上昇すれば、毎月の支払額の中で利息の占める割合が増えます。つまり元金の減りが悪くなります。

ところが、繰り上げ返済をすると5年目の見直しを待たずに一旦返済プランがリセットされます。そして新しい利率で再計算され、毎月の支払額も変更されてしまいます。繰り上げ返済の額にもよりますが、急な金利の上昇があった場合には月々の負担が大きくなってしまうこともあるので注意が必要だと思われます。 しかし繰り上げ返済で5年ルールがなくなることは必ずしもデメリットではありません。なぜなら金利が上昇したとして月々の返済額が増えても、5年ルールを適用している場合より月々の元金の支払額が増えるからです。

5年の間利率が上がるごとに繰り上げ返済でリセットしておけば、繰り上げ返済分の元金も減り利息も減って毎月の返済からも順調に元金が減っていくので、5年後一気に返済額がアップするより結果的にはお得になります。毎月のやりくりに余裕があればデメリットはないので、金利が上昇する前になるべく元金を減らすのがおすすめです。

金利が低いときは返済したら損?

よく「繰り上げ返済するなら、その分を他で運用したほうが得」だという記事を目にしますが、繰り上げ返済する以上に利回りのいい安全な金融商品などないと思われます。リスク覚悟で株やFXなどに投資してうまく行けば万々歳ですが…

例えば3,000万円の35年ローンで、変動金利が0.7%程度から推移しなかったとして、5年目に100万円を繰り上げ返済すれば20万円以上の利息が軽減されます。100万円で20万も利息が付く商品はないですよね。どんな金利になっても、繰り上げ返済が損になるということは一般的にはないでしょう。



月5千円+で200万円得する方法

住宅ローン減税還付分と+αで返済

住宅ローン減税制度は、住宅ローン開始から10年間、年度末借入残高もしくは住宅取得対価のどちらか少ないほうの1%を所得税(+住民税)から控除されるという制度です。2014年度4月より、消費税率の引き上げに合わせて年間最大控除額が従来の20万円より40万円に見直されました(2019年6月まで)。

これは収入に関係なく、底面積50平米以上の住宅であれば10年以上の住宅ローンを契約した場合は必ず受けられる制度ですので、それを繰り上げ返済に充当すれば無理のない繰り上げ返済が可能であると思われます。3,000万円35年ローンで金利2%と仮定した場合、住宅ローン減税の還付金額は以下の表のようになると思われます。 2015年10月著者作成 3年目で85~86万円ほどになりますので、税が還付されたらできれば専用口座を作ってそこに入金するといいと思います。その口座に月々5千円を貯蓄してみると、3年分で100万円くらいになっていると思われます。そうやって3年ごとに繰り上げ返済してみると以下のようになります。 2015年10月著者作成 自己資金「月額5千円×10年」のみで、期間が4年以上短縮し、支払総額が200万円以上減少しました。シミュレーションでは返済年度の最終月に返済していますが、もっと早いタイミングで返済すればさらに効果は期待できます。

ちなみに変動金利でも当初金利が安い分さらに効果が期待できます。繰り上げ返済を頑張る余裕がない…と諦めていた人も、住宅ローン減税還付金と月5千円の積立、これなら無理なくできると思いますのでぜひトライしてみてください!

住宅ローン繰り上げ返済の注意点

繰り上げ返済手数料と保証料

繰り上げ返済をする場合、大手都市銀行などはインターネット上の手続きであれば繰り上げ返済手数料は無料であることが多いようです。インターネットバンキングに抵抗がある方も多いと思われますが、繰り上げ返済には必須と言っても過言ではありませんので、住宅ローン契約を機にインターネットでの取引をお勧めします。

インターネットで繰り上げ返済をする場合もきちんとシミュレーションがされてからの返済になることが多いのも安心要素のひとつです。シミュレーション後、実行の手続きをするという段取りのようです。

また、保証料を全額前払いしている場合は短縮した期間の保証料が返戻されることがありますが、その際に保証会社事務手数料を3,000~10,000円ほど差し引きされる場合があります。こちらもインターネットなら無料という金融機関もありますが、こまめに繰り上げ返済しすぎるとこういった手数料も発生してくるので注意が必要です。

住宅ローン : 繰上返済手数料改定のお知らせ(ご利用中のお客さま) | 三菱東京UFJ銀行
参照元: 三菱東京UFJ銀行(2015年10月 著者調べ)

繰り上げ返済中毒になる人も

繰り上げ返済は総支払額が大きく減るため、一度やったら病みつきになってしまうという人も多いようです。けれども住宅ローンの返済計画は、ある程度家計に合わせて考えられている方がほとんどだと思いますので、無理して返済するのは大変危険かと思われます。

もし無理な返済をして契約者に万一のことがあった場合、ローンは消えたけれど貯蓄もないという状況に陥ってしまいます。住宅ローンの返済中も家賃支払い時と同様に貯蓄分は必ず家計から確保し、余剰資金で計画的に繰り上げ返済を行いましょう。税還付金やボーナスの一部などを利用するだけでも大きな効果は得られますので無理のない繰り上げ返済をしましょう。

住宅ローンの繰り上げ返済まとめ

・繰り上げ返済は早い時期ほどお得
・ローン開始10年は年末に繰り上げ返済するなら年始にしたほうがお得
・返済額軽減型より期間短縮型のほうが総支払額は少なくなってお得
・繰り上げ返済は、手数料が無料ならこまめにしたほうがお得
・変動金利は繰り上げ返済によって5年ルールに関係なく返済プランが再計算される
・金利が低い場合も、繰り上げ返済が損になるということはない
・住宅ローン減税還付金を利用すれば無理なく繰り上げ返済できる
・繰り上げ返済はあくまで余剰資金で行うべきものなので計画的にしましょう

以上、ハマりすぎず無理のない返済計画を立てて、人生を楽しみましょう!

返済プラン比較シミュレーション – 住宅金融支援機構
参照元:住宅金融支援機構(2015年10月 著者調べ) 本記事内のシミュレーションはこちらのページのものをお借りいたしました。 ※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。