住宅ローン審査|通過するコツと裏側を元行員がこっそり教えます。

住宅ローンは条件に合致しているか確認して申し込みを行い、その上で内部審査を通過して初めていざ融資となります。条件は「年収いくら以上」「勤続年数何年以上」という形で各金融機関のパンフレットやホームページに記載がありますが、審査基準は非公開である上に絶対教えてくれません。元現場の人間が審査通過のコツと裏側を教えます。



住宅ローンの審査と条件

住宅ローンを始めとしたそれぞれのローンサービスには、申し込みの際に「この基準を満たした方が申し込んでください」という条件が目に見える形で提示されています。パンフレットやホームページに「年収いくら」「勤続年数何年」「年齢何歳まで」という形で記載があると思います。まさに、これがローンサービス申し込みの条件になります。

条件に合致していない方が申し込んでも、ほぼ確実に落とされますし、そもそも申し込めないこともあります。ローンサービスを利用するには真っ先に条件に合致しているかどうかを判断する必要があります。しかし、条件に合致しているからといって必ずローンサービスを利用できるわけではありません。

■条件に合致した人が申し込みを行うこと
■さらに内部審査を通過すること

ローンサービスを実際に利用するにはこの二点が必要になります。これは住宅ローンだけでなく、リフォームローンやカードローン、教育ローンに自動車ローンなど、現在世に普及している全てのローンを利用する際に必要になることです。「条件を満たしていても内部審査で落ちることがある」「内部審査も通過しないといけない」こと。これが全てのローンに共通することです。

しかし、条件は文章化されており、パンフレットやホームページで確認することができますが、内部審査の基準やどんな部分を重要視するかはどこの金融機関も秘密にしています。また、審査に落ちた場合も絶対に「なぜ落ちたのか?」を教えてくれることはありません。

基準がわからないからこそ難しい。けれど絶対に通過しなければならないもの。それが「審査」です。

ローンを申し込む際には、その目に見えない部分が知りたい!と思うのは当然のことです。審査のコツを知りたい!と思う方も多いと思います。今回は条件に合致した人がローンを申し込んだ後に内部審査でどんなことをしてどんなチェックをしているのかを教えます。審査基準は目に見えません。そんな審査を読み解くコツ、審査を通過するコツも合わせて説明いたします。

住宅ローンの申し込み条件

審査の話に入る前に少しだけ「条件」についてお話したいと思います。

条件とは、金融機関の各ローンのパンフレットやホームページに「年収いくら以上」「継続的な収入が必要」「何歳以上は借り入れ不可」といった目に見える形で提示されている項目のことです。これが住宅ローンを始めとした各ローンを申し込むのに必要な条件になるでしょう。

条件は「そのローンの目的にどれだけお金がかかるか」によって変化します。例えばカードローンでしたら、生活費の補填や急な葬式のためなどに借りる人が多いため、目的にかかるお金を金融機関側は比較的低く見積もっています。額が低いということは返済が難しくないということですので、その分条件が緩くなる傾向にあります。

しかし、住宅ローンの場合は、目的が不動産ですので、目的にどれだけお金がかかるかの見積もりも高くなります。個人への融資で最も大きなお金が動く可能性のあるサービスが住宅ローンであるとさえ言えるでしょう。ですから、住宅ローンの条件は他ローンより厳し目に設定されています。カードローンの条件は満たしているけれど住宅ローンの条件は満たしていないという場合だって当然ですがあるはずです。

中にはぎりぎり条件に届かないということだってあると思います。そんな時はどうでしょうか。例えば年収200万円以上という条件があるけれど、年収が190万円というぎりぎり足りないような場合です。四捨五入すれば200万円だからいいんじゃない?と思われるかもしれませんが、駄目です。

各ローンに申し込む際の条件として提示されているのは「必要最低限」です。ですから、条件を満たしていない人が申し込みを行っても、まず落とされると思ってください。借入額が多いローンほど条件が厳しいですが、あくまで条件は最低限これは満たしていないとというラインで決められています。

その最低ラインを満たしていないと返済が辛いと金融機関は思っているからです。ですから、条件を満たしていないけれどそこは何とか!という話はまず通用しません。これは住宅ローンだけでなく全てのローンに通じる話でしょう。

住宅ローンと条件

住宅ローンは多額のお金が動くローンサービスですから、条件自体もカードローンなどと比べて厳しくなっています。厳しいというより、「かなり厳しい」と言った方が良いかもしれません。

カードローンなどの少額の融資がメインのローンには、専業主婦でもOKというものや、審査結果も即日お伝えしますというものがあります。しかし住宅ローンのように額の大きなローンの場合は審査も慎重になりますのでそうはいきません。

収入のない専業主婦が審査を通過するのはまず不可能ですし、前項でお話したように条件にぎりぎり届かないという場合もかなり難しいでしょう。何しろ条件は最低限度のラインです。即日に答えが出るということもまずありませんので、条件に合致していても慎重に慎重を重ねて結果を出すという形になります。

住宅ローンでよくある条件に、こんな条件があったらこんな部分をチェックしているという解説を加えて見ます。

■勤続年数
「1年や2年の勤続年数」という形で提示している場合が多い条件です。数社通算で条件を満たすというより、一社で条件を満たすことが必要と考えた方が良いです。勤続年数という具体的な期間で条件を提示していますが、金融機関側は勤続年数がどのくらいかにより「現在の予想預金額」や「今後の継続的な収入はあるか?」という部分を判断します。

あまりにほいほい仕事を変わってしまう人だと今後の収入が不安定になるので、勤続年数を満たしていても勤務状況から不安と判断される場合があります。

また、仕事を変わり過ぎている、短期間でやめていると、返済への態度も不安だと判断される場合があります。今ある預金の目星を付けること、そして今後の返済能力だけでなく契約を結んでも大丈夫かどうかを人間性の面でも判断します。

■継続的な収入
継続的な収入は返済を考える上で大切な要素です。「宝くじで一発当てたら返します」は当然ですが通用しません。月に20万円ずつの安定した収入がある場合と、月々30万円から10万円の額で変動的な収入を得ているという場合は、金融機関にとってみれば同じ額の収入がある方が安心です。

返済能力を見るということが第一ではありますが、安定収入がある方が今現在の預金額なども目星が付けやすいので金融機関側からすれば安心材料になります。

■年収
継続した収入があるかという形でなく、年収がいくらかで判断する条件です。本人の年収だけでなく世帯全員の総収入額で判断するという条件を設けている場合もあります。その人の返済能力を見るという面でも年収は重要な情報ですが、その他に、どれだけ貸しても大丈夫なのか?を年収から割り出すことができます。

年収の何割をローン返済に何年あてた場合にこれだけ貸せるという形で参考にすることができます。ローンの最低額と限度額にかなりの幅がある場合は継続的な収入より年収という情報がある方が幾らまで貸せるかの判断に役立つことになります。

■年齢
二十代だから家を持つには早い!若い!というわけではありません。金融機関が年齢を条件として挙げている場合は、主にある程度お歳を召した方のローンを控えていただくために挙げている場合が多いです。例えば二十代で毎月十万円ずつ返済するのと、五十五歳から十万円ずつ返済するのとでは総返済額がかなり変わってきますよね。

どちらが返済するより先に亡くなる可能性が高いかというと、五十五歳の方の方です。若い場合は年収や安定収入の面がキーになりますが、ある程度お歳を召した方だと収入よりも年齢が問題になります。

収入は条件を満たしているのだけど健康状態や年齢が高いという点で金融機関が不安を抱きお断りするケースがあります。ある程度お歳を召した方の年齢を注視しますので、若いから駄目ということはありません。むしろ若い方で安定収入のある方のローンは金融機関側は歓迎する傾向にあると思います。

審査は見えないけど「読める」!

住宅ローンの条件は各金融機関で異なっています。概ね、前項でご紹介したような条件の全てかどれかを必須条件として掲げている場合が多いと思います。

条件は条件として満たすべきもので、内部の審査とは別物です。しかし、条件から読み解けることがあるのです。条件でどんなものを掲げているかによってその金融機関が重視するところが薄らと透けて見えることがあります。

例えば、年収の条件を設けている金融機関があったとします。仮にA銀行としましょう。この銀行は年収条件を300万円としていました。ですが、勤続年数の条件を1年としていました。もう一つ、B銀行という銀行が側にあり、こちらの住宅ローンは年収条件を200万円としており、勤続年数2年以上という条件を掲げていました。さあ、どうでしょう?ここから予想できることはないでしょうか。

A銀行は年収を重視していると予想できます。B銀行の審査の際には年収だけでなく勤続年数から分かる仕事態度や将来性も大きなウェイトを占めると予想することができます。条件をじっくり読んだ上で他の金融機関と同サービスの中身や利用条件を比較することでそれぞれの金融機関が何を重視しているのかを把握し、審査に臨む際の手掛かりにすることができます。

条件に当てはまらない場合は?

どうしても住宅ローンに申し込みたいのだけど条件に当てはまらない場合はどうしたらいいの?

こんな場合は、必ずその金融機関の住宅ローンでなければならないのかを自問自答してください。住宅ローンが目的ならその金融機関にこだわる必要はありません。大手、地方、ネット上、金融機関はどこの地方にお住まいでも選択肢が多くあります。その中から自分が満たせる条件を提示している金融機関を探しましょう。住宅ローンが目的ならば一つの金融機関にこだわる必要はありません。また、銀行だけでなく、組合や労働金庫、信用金庫でも住宅ローンは扱っています。

例えば、Aさんは専業主婦で夫は年収が200万円だったとします。中古住宅購入のため住宅ローンを借りたいのですが、Z銀行の年収条件は300万円だったとします。この場合、Aさんの家は条件を満たすことができません。ですが、他の銀行を見ると、勤続年数や継続的な収入などを条件を提示しているところを見つけることができました。別の金融機関ですんなり審査を通過、こんなことはよくあることです。

年収の条件が満たせないなら、世帯の総収入を条件に掲げているところをチェックするなど、自分の家庭に合った住宅ローンを探しましょう。引く手あまた、条件は金融機関によって様々です。一つの金融機関にこだわらなければ、わりとあっさり条件を満たす住宅ローンが見つかるのではないでしょうか。

また、条件を満たさない場合は、住宅ローン以外を検討することも重要です。「その金融機関の住宅ローンじゃなきゃ駄目?」と自問自答すると同時に「住宅ローンじゃなきゃ駄目?」とも自問自答するのです。これに関しては後の項目で詳しくご説明します。



住宅ローン審査の裏側

ローンの申し込みをした後に「審査」とは言うけれど、具体的にどんなことが行われているのだろう?と思うことがありませんか。金融機関ごとに違う部分はありますが、大体内部ではこんな形で審査が行われています。「審査」の言葉に内包された一連の裏側をご紹介します。

まずはチェック

申込み受けると、まずは受付けた職員(ほとんどが窓口担当です)が書類の不備がないかチェックします。お客さんから書類を受け取った際にもすぐにチェックが行われますし、住宅ローンの場合はお客さんもかなり入念にチェックしてから提出に踏み切ることが多いです。けれど、それでもあるのが不備。わりと多い不備の理由が印鑑の押し忘れだったりします。

条件のチェックをこの段階で行います。条件に合っていなければ、この段階で問題になり、上司や審査部門と相談の上で審査に落とすことになります。基本的に窓口の者はローンの審査の合否を判断する立場にないので、妖しいなら上司や専門の部署に相談するという形でチェックを進めます。

ここで不備を是正するか不備がなければ、受付けた職員はそのお客さんの口座と取引履歴を確認します。過去に契約トラブルがあれば確認できますし、取引履歴を遡れば、妖しい取り引きがあれば一目瞭然です。履歴やサービス状況を確認し、その上で受付けは次の担当へ書類を回すことになります。

さらなるチェック

どんな順番で書類が回るか、どの段階で職員が何人チェックするかは金融機関によって様々です。ですが、ほとんどのローン審査の流れは、受付けが受けとって不備がないかなどをざっと確認し口座情報などを照会した上で更に上へと回す形になります。住宅ローンであれば受付けの上司が同じように書類を確認し、条件に合致しているかも見ます。そして、また口座や履歴を照会します。

一般的に受付けよりもその上司の方が職員歴が長い場合が多いです。ですから、受付けが見逃した不備や履歴の気になる部分を発見することがあります。「この人、毎月同じ額を遠い地方に送金しているなあ?」と、ちょっと疑問に思うことがあれば、送金関係を確認することも行います。実は取引履歴を疑問に思った職員が調べた結果として詐欺が見つかることもあるのです。

住宅ローンの申し込みだけでなく、申し込み者の口座に何らかの犯罪の臭いのする履歴がないかも入念にチェックします。チェックの結果OKだったら、今度は支店から専門の部署へ書類を上げることになります。

もっとチェック

専門の審査部門に回ってきた書類は、専門部署の人間が更にチェックします。もちろんその際には書類も重々に確認しますが、口座情報と取引履歴の確認は、どこの金融機関でも必ず行っているでしょう。口座情報と取引履歴は書類からは分からないお客さんの情報を判断する最も信頼のおける資料のようなものなので、誰がチェックする場合でも必ず参照します。

一般的に「審査」というと、この審査部門での審査を指すことが多いと思います。ですから、少し詳し目に書くことにいたしましょう。

口座情報や取引履歴を参照しながら書類を確認して審査を行いますが、その際に必要であれば受付けした支店へのヒアリングも行います。「このお客さん、どういう人?」「窓口で何か言っていた?」といったことや、今までの取引履歴で疑問に思ったことがあれば担当の支店に話を聞きます。また、個人の信用情報をチェックしたり、過去のサービスでトラブルがなかったかなどもかなり詳しくチェックします。当然ですね。貸す額がかなり大きいのですから。

その他に、ローン審査の際には他の部署と連携して動くこともあります。金融機関によって部署名は異なりますが、裁判所手続きや債権債務を担当する部署に差押えや権利関係のことで確認をとることもあります。また、不動産登記を司法書士と連携して行い管理するような部署に連絡して、住宅ローンを組むにあたって設定する抵当権のことなどを確認することもあります。審査部門の審査はかなり慎重です。もし一つでも気になるところがあれば即座にその部門の上に立っている職員か、場合によっては金融機関のトップクラスの立場の人と話し合い、審査を通すかどうか話し合うこともあります。

審査はどの時点で誰でストップという決まりはありません。金融機関によっては一番偉い人が必ず目を通す場合もあります。受付け、支店、審査部門、審査部門の長、金融機関の上層部、どれか一つでも疑念を抱いたら審査通過は危ういと言えます。このように審査の際には延々と、上、上、上、上、と書類が上がって行き、その都度必ず厳しくチェックされることになっています。

他ローン審査との違い

他ローンとの違いは何より「審査が金融機関内のどこまで行くか」でしょう。カードローンのようなすぐに審査結果が出るというスピードが売りのサービスは、金融機関の上層部が審査に関わることなどほとんどありません。そこまでやっていたら一日二日では終わらないからです。ですが、住宅ローンは額の大きなローンですので、かなり上の立場の人までが審査に関わることも珍しくありません。

審査通過のために気をつけること

以上のような審査の中身を踏まえ、気をつける点を確認します。審査の基準は公表されていないと書きましたが、それはある意味当然のことです。審査では条件が合致しているということを念頭に、言葉で表現できない部分までも見ます。第一に「金融機関に不安を抱かせないこと」が通過の鍵です。

信用情報

以前に、消費者金融や金融機関と契約上のトラブルがあったり借りたお金の返済を滞納していたりすると、個人信用機関のブラックリストに載ることになります。ローンの際に金融機関は必ず情報をチェックし、その人が過去に滞納やトラブルがないかを確認します。確認の上でブラックリストに何かきな臭い情報が載っていると、内部審査で「今回はお断りしましょう」という結果が出ることになります。

個人の信用情報に関しては、ブラックリストに載っている人の多くはわりと身に覚えがあるものです。過去に債務整理をしたですとか、お金がなくて返済を滞納したですとか、何かあれば覚えているのではないでしょうか。住宅ローンを申し込む際に「過去のことだし」「他の会社とのトラブルだし」と思っても、きっちりチェックされているのでほぼ確実に分かります。

心配な方は住宅ローンを申し込む前に個人信用情報会社に情報開示の請求を行うと良いでしょう。ブラックリストに載っていないと分かれば、審査に関しても安心材料が増えるのではないでしょうか。

本人開示の手続きについて – 全国銀行協会
全国銀行協会の「全銀協の活動を知りたい方」コーナーでは、全銀協の活動や組織について紹介しています。参照元:全国銀行協会(2015年11月、著者調べ)

信用情報の開示手続き|日本信用情報機構(JICC)指定信用情報機関
日本信用情報機構(JICC)は、信用情報の収集・管理・提供・開示を通じて健全なクレジットライフをサポートする指定信用情報機関です。参照元:日本信用情報機構(2015年11月、著者調べ)

情報開示とは|指定信用情報機関のCIC
情報開示について紹介します。CICは信用情報の収集・管理・提供・開示を通じて、皆様のクレジットライフをサポートしています。参照元:CIC(2015年11月、著者調べ)

ローンと名のつかないサービス

ローンと名のつかないサービスの利用に関しても気をつける必要があります。特に気をつけたいのが奨学金と携帯電話の料金です。

奨学金にはローンという名前はついていませんが、お金を借りることに他なりません。比較的利息が低い傾向にありますので、他の借り入れと比較して後回しにされがちです。うっかり滞納してしまったら、ローンという名はついていませんが滞納に他なりません。

携帯電話料金に関しては、電話料金・通信料金に端末代金を合算して分割で支払っている場合は要注意です。口座にうっかりお金を入れ忘れて引き落としができないと、分割で払っている端末代金を滞納したということになります。何となくスマートフォン(携帯電話)の使用料という思考があるため、分割払いの滞納と頭の中でなかなか繋がらないことがあります。端末代を分割して電話料金と合算で支払っている方は忘れないように注意が必要です。

窓口でのおしゃべり

窓口で金融機関職員と話しながら書類を提出することも多いでしょう。その際のおしゃべりには注意が必要です。なぜなら、話したことも一つの判断材料になるからです。つい、うっかり、家庭状況を話しすぎないように、また、余計なひと言を口にしないように注意しましょう。ローンを予定している場合は、常日頃から気をつけておくことが重要です。

例えば、住宅ローンの申し込みをしに行った時にうっかり「他のローンに追われて大変なのよね」「主人の給料も下がるし」なんて口にしたとしましょう。金融機関職員は「そうですか」とのほほんと聞いているかもしれませんし、職員によってはその言葉を世間話の一つとして胸にしまっておく場合もあるでしょう。しかし、住宅ローンは多くの人の審査を受けますので、その際に「ちょっと待った!」と言われることもあります。

職員が上司に書類を上げる際に「そういえばこの方の奥様がこんなことを仰っていました」という話になります。それを上司が「ほほう」と聞きます。上司がローン審査部門に書類を回す際に「ちょっと気になることが」と留保するような態度をとります。審査部門がそれを「ほほう」と聞くわけです。

嘘をつけとは言いません。お金が足りないからローンを組みに来るのだと金融機関は把握しています。見栄を張る必要もありません。お金があるなら最初からローンを組んで利息分を余計に払うなんてことはしないだろうと金融機関は思っています。しかし、友達とおしゃべりするような勢いで余計な家庭状況まで洩らさないようにしましょう。窓口に来た時点で審査は始まっています。

金融機関とのおつき合い

おつき合いのなかった金融機関でも、条件を満たしていて、その上で審査が通れば住宅ローンを利用することができます。ですが「おつき合い」があった方が、有利に働く場合もあります。有利というのは条件を緩めてくれる、審査をほいほい通してくれるということではありません。そこはどの金融機関もお金の貸し借りが絡むので厳しくチェックします。顔馴染みだからといって返済できなさそうな人にお金を貸すことは絶対に有り得ません。しかし、金融機関の職員も人間である以上、「心証」は少なからず関わる場合があります。

ローンの申し込みを受けたら金融機関が真っ先にすることはその人の口座情報と取引履歴を確認することです。取引の履歴を見て、引き落とし日に引き落とすべきお金が落ちていないことが多いと、おいおいこの人は大丈夫なのか?と心配になることがあります。口座情報ではその人がどんな口座引き落としを契約しているかも分かりますから、しょっちゅう忘れているような人だと履歴から返済態度が見えますので不安になります。こういった場合はおつき合いがマイナスに働く場合があります。

履歴を確認した時に引き落とし日にきっちりお金が落ちていて、窓口では笑顔で挨拶をしてくれる。こんなお客さんには、やはり職員も好感を抱きます。住宅ローンの申し込みがあった時に履歴を確認し、上司に申込み書のチェックをお願いする際にさらっと「きっちりした方ですし、とても良い方です」と申し添えることもあります。また、そのお客さんがローンを急いでいる場合は「どうやらお急ぎのようでした」と申し添えることもあります。そうすると上司がやはり「ほほう」と聞くわけです。

上司が書類をローン審査部門に上げる際に今度は社内電話で審査部門に連絡し「どうやらお急ぎのようで」「普段から良いお付き合いをさせてもらっています」とそれとなく言うわけです。そうすると審査部門の方では「ほほう、良いお客様なのだな」と考えるわけです。そして「お急ぎなのか。そうかそうか、審査を急がないとな」とも思うわけです。

好感が持てるお客様だからといって、条件や審査を優しくすることは一切ありません。しかし、日頃の履歴や応対も人間性を見る一つの判断材料になります。え!?そうなの?と思われる方は、自分が人にお金を貸す時にどんな人になら貸して、どんな人には貸さないかを考えてみてください。金融機関のローンも同じです。日頃のおつき合いにを参考にする部分があるのは個人でも法人でも当たり前ではないでしょうか。

希望額

借り入れ希望額も、当然ですが審査には大きく関係します。希望額が大きければ大きいほど金融機関側も慎重になりますので、同じローンサービスでも借入希望額で審査結果が出るまでの差が生まれることもよくあることです。

住宅ローンの最大融資額が1億円だったとして、1億円で希望を出すのと5千万円で希望を出すのとでは、やはり金融機関側の目も変わると言えるでしょう。5千万円は、単純計算で年に240万円ずつ返済して20年以上かかります。利息がつくので、単純計算以上の年数が返済のために必要になるでしょう。1億円だと、簡単に計算すると倍です。倍かかるということはお金もそれだけ必要ですし、年数もそれだけ必要になるということです。

将来的に収入が下がるリスクはあるのかを長い年数で見定めなければならないのは1億円の融資です。それに、人間には寿命がありますから、58歳の人が1億円のローンを組んだとして亡くなるまで返せるの?という現実問題もあります。20歳の人が5千万円を借りるということ。50歳の人が5千万円を借りること。55歳が5千万円を借りること。そして55歳が1億円を借りることは、不動産のためという目的は同じでも金融機関側にとっては意味が大きく異なります。

実際にその不動産に1億円かかるのであれば、そこは控え目に書かず必要額をきちんと書くべきですが、「1億円までOKなんだ。じゃあとりあえず1億円で申し込もう」ではなく、削れるところは削って、正確な数字を記載する必要があります。その際に借入希望額が大きい方がより慎重に慎重に審査が行われるのだよ、同じサービスでも額が違うと内部の慎重さは変わるのだよということは覚えておいてください。

住宅ローンじゃなきゃダメ?

借り入れ額の低いローンの方が住宅ローンより条件が低い傾向にあることはご説明しました。「住宅ローンじゃなきゃ駄目なの?」と自問自答し、あえて条件が緩い別のローンを狙うのも一つの手です。

近年はローンの目的を広めにとる傾向があります。教育ローンであっても、そのものピンポイントの「学費」だけでなく、教育に掠っていればOKというローンもあります。また、使用目的を厳しく定めていないローンでもけっこうな高額を用立てることのできるものも見受けられます。

借りやすい他ローンを探って行けば住宅ローンより簡単に借りることのでき、かつ、必要額を工面できるローンがあるはずです。一つの金融機関にこだわる必要はありませんし、住宅ローンにこだわる必要もありません。必要額を工面できればいいのですから、果たして住宅ローンでなければダメなのか、この金額なら別のローンでも借りられるのではないのか?と自問自答してみるのは重要なことです。

額の小さなローンは住宅ローンより審査が通りやすい傾向にあります。リフォームローンやカードローン、住宅ローンでは金融機関が「このくらい必要だろう」と考えて設定している金額にかなりの開きがあります。開きがあるということは、住宅ローンよりいくらかは厳格性が薄れるということでもあります(他ローンの審査が厳しくないということではありませんが)。

こだわらずに「お金を工面できたら目的達成」と割り切って、別ローンを模索することも審査通過においては大切なことです。



まとめ

ローンの中でも特に住宅ローンの審査について書かせていただきました。

住宅ローンだけではありませんが、世のローンと名のつくものの審査は条件を満たしているからといって必ず通過できるわけではなく、さりとて基準が文章化されて公開されているわけではありません。だからこそ難しく心配な面があります。

この記事を読んで「当たり前じゃない」と思われた方はけっこう多いのではないでしょうか。審査には基準はありません。ですが、審査のコツは当たり前なことばかりです。金融機関の職員に袖の下を渡すわけにもいきませんから、コツといっても「私たちがお金を貸す時に何を見るか?」という部分を金融機関的視点に立って説明するしか手立てがないのが現状です。

ですが、裏を返せば、「当たり前じゃない」ができていれば、審査に関してはさほど心配する必要はありません。金融機関は各種サービスの利息で利益を得ている面がありますから、できることなら貸したいと思っていることを忘れてはいけません。

「あなたは人にお金を貸す時にその人の何を見ますか?」

この問いかけに対する答えこそ、住宅ローン審査通過の最大のコツと言えます。 ※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。