「社会労務士」と呼ばれる「社会保険労務士」はどのような人か?

弁護士とか税理士さんなら聞いたことがあるけど「社労士」や「社会労務士」と言われる「社会保険労務士」という資格を持つ人達はどんな仕事をしているのか?専門分野は自分たちにどのような利益をもたらすのか気になることってありませんか?



社会保険労務士とは?

士業

国家資格の最後に「士」が付く業務を「士業」と言います。士業のうち、戸籍・住民票などについて、職務上必要な場合において業として取り扱うことが認められている主要なものは8士業と呼ばれることがあります。

1.弁護士
2.司法書士
3.土地家屋調査士
4.税理士
5.弁理士
6.社会保険労務士
7.行政書士
8.海事代理士

上記の国家資格の持つ方達は、試験合格率が極めて厳しい専門家集団です。 その他、会計・コンサルティング系の公認会計士や中小企業診断士、ファイナンシャル・プランニング技能士等、士業と呼ばれる方は専門的な知識をもって、それを生業とされています。

社会保険労務士

さて社会保険労務士とは、「社労士」や「労務士」・「社会労務士」などと呼ばれ、世間一般的には「社労士」と呼ばれることが多いです。 主な仕事内容として労働関係法令や社会保険法令に基づく各種書類の作成代行や届出等を行ないます。これは会社からの依頼でも個人からの依頼でも可能です。

また会社を経営していく上での労務管理と呼ばれるものや社会保険・労働保険に関する相談・指導を行うことがあります。そのような国家資格を持った専門家です。 労働関係法令で特に代表的なものは、雇用保険・労災保険といえます。それ以外では労働基準法や労働安全衛生法等も該当します。 社会保険法令で特に代表的なものは、健康保険・厚生年金といえます。それ以外では、国民年金・介護保険・国民健康保険等も該当します。

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参照元:全国社会保険労務士連合会(2016年1月、著者調べ)



社労士の業務形態

社会保険労務士は、それぞれの状況に応じて下記の通り区分けされています。

開業社会保険労務士

個人で事務所を開いている方です。企業からの依頼に応じて人事・労務管理の専門的業務を行っています。主に多くの中小企業、零細企業を対象として多角的に人事・労務管理業務を行っていることが多いです。

勤務社会保険労務士

企業や団体に属したまま、そこの企業内に限定された社会保険労務士としての仕事を行っています。大企業の管理部門に所属して、人事・労務管理に専業として従事する人が多いです。

勤務士業登録が正式に資格として認められているのは、士業の中でも社会保険労務士だけとなっています。

その他社会保険労務士

企業に所属しているものの営業や経理、専門職等をしていて、直接は社会保険労務士業務と関わらない職種に従事している方や、専業主婦、何れの企業・団体にも所属しないフリーランスを対象とした方をいいます。

社会保険労務士法人

個人で開業をしている社会保険労務士が、業務を組織的に行うため、共同して社会保険労務士法人を設立して業務を行っています。

特定社会保険労務士

会社内での労使間における労働関係の紛争で、裁判外紛争解決手続制度に従った代理業務に従事することを認められた社会保険労務士のことを特定社会保険労務士といいます。 特定社会保険労務士になるには、社会保険労務士の登録を受けている者が 厚生労働大臣が定める司法研修を修了して、そのうえで紛争解決手続代理業務試験に合格しなければいけません。

つまり社会保険労務士試験に合格して、更に紛争解決手続代理業務試験というものに合格しないといけないのです。

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参照元:全国社会保険労務士連合会(2016年1月、著者調べ)

仕事の業務内容

仕事の業務形態は、それぞれ自分の得意形態を専門分野とされている方が多いです。企業専門にしている社労士の方、個人の年金申請等をされている社労士の方、コンサルタントや執筆、講師、講演を専門とされている方等いらっしゃいます。

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参照元:全国社会保険労務士連合会(2016年1月、著者調べ)

会社からの依頼例

会社からの依頼例は以下のようなものがあります。

○会社の移転、支店や拠点が増減した場合の労働保険・社会保険上での法的手続き
○社員の入社や退職した際に雇用保険の失業給付手続き
○社員の入社や退職した際に健康保険・厚生年金の資格取得や喪失の手続業務
○社員の毎月の給与計算やタイムカード等の勤怠管理業務
○業務上のケガ・通勤途上のケガ等の労働災害が発生したときの届出
○社員の家族が増えたり減ったりする場合の被扶養者としての健康保険証の変更手続き業務
○社員の住所や姓名か変更された時の雇用保険・健康保険・厚生年金などの変更手続き業務
○労働保険料の1年間分の保険料を計算して申告する業務(年度更新業務)
○1年一回、社員一人ひとり個別の社会保険料を計算して申告する業務(算定基礎届)
○健康保険関係の給付(出産一時金・傷病手当金)手続き

個人からの依頼例

個人から相談を受ける依頼は以下のようなものがあります。

○障害になった際に、受給資格の確認をしての障害年金の支給事務
○年金相談
○年金の給付代行(遺族年金・年金分割等)
○健康保険や介護保険の給付事務・申請代行
○労働に伴う相談

講師やコンサルタント業務

講師やコンサルタントしては以下のような業務を行います。

○社会保険事務所・労働基準監督署の調査指導の対応
○就業規則の作成・見直し・変更のコンサルティング
○社会保険料の適正化コンサルティング
○助成金のコンサルティング
○労働時間制などの導入コンサルティング
○人事制度全般にかかる賃金制度設計や評価制度の導入コンサルティング
○退職金制度のコンサルティング
○高齢者の定年後の雇用に関するコンサルティング



相談をしたい場合

全国社会保険労務士連合会・会員

全国社会保険労務士連合会に登録された者だけが、社会保険労務士の業を行うことが出来ます。社労士は全国各都道府県のあなたの住む地域に、必ずいらっしゃいます。

全国社会保険労務士会連合会・社労士 | 都道府県社会保険労務士会&会員リスト
参照元:全国社会保険労務士連合会(2016年1月、著者調べ)

事業所の労働保険・社会保険の事務代行

特に中小企業や零細企業、個人事業主の方で、労働保険や社会保険を自ら書類を作成している方にはアウトソーシングして業務を委託する方が効率的になると言われています。

面倒だった書類を専門的な知識を持つ社会保険労務士に委託して、自ら本業の経営に専念できるというわけです。

全国社会保険労務士会連合会・社労士 | 全国社会保険労務士会連合会ホーム | “社会保険労務士”活用術 | 労働社会保険手続の代行
参照元:全国社会保険労務士連合会(2016年1月、著者調べ)

報酬額は?

以前は社会保険労務士会が定めていた報酬規程というのがありましたが、現在は廃止されています。ホームページで検索しますと、社会保険労務士の方達が自ら定めた報酬額表を掲載してありますので参考になるかと思います。 なお旧・報酬規定での代表的な報酬額を紹介いたします。

1.顧問報酬 
○月額21,000円(人員4人以下)
○月額31,500円(人員5~9人以下)
○月額42,000円(人員10~19人以下)

と人員が増えると、月額顧問報酬も増えていきます。なお上記金額に建設業の場合は50%を加算します。 2.個別契約による手続き報酬
○就業規則集の作成 210,000円
○その他規定類の作成 各105,000円
○健康保険・労災保険給付請求 31,500円
○育児休業給付に係る給付申請 10,500円 旧・報酬規程はもう既に存在していませんが、この報酬規程を参考にそれぞれの社会保険労務士事務所で報酬額表を提示されています。

寺嶌社会保険労務士事務所 − 旧報酬規程(ご参考資料) − (兵庫県 神戸市 三宮 の 社労士 寺嶌綾子(てらしまあやこ) のページ)
参照元:寺嶌社会保険労務士事務所(2016年1月時点、著者調べ)

総合労働相談所

全国47都道府県に社会保険労務士が、安心してご利用できる相談窓口として設置をしています。経営者の方も労働者の方もお気軽に無料で相談に応じてくれます。

全国社会保険労務士会連合会・社労士 | 全国社会保険労務士会連合会ホーム | 各種相談窓口 | 総合労働相談所
参照元:総合労働相談所(2016年1月、著者調べ)

社労士会労働紛争解決センター

労務管理の専門家である社会保険労務士が、解雇や賃金問題等、職場のトラブルの当事者双方の言い分を聴きながら、話し合いによって解決を図る「あっせん」という手続きによって、円満に解決を図る場を設けてくれます。

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参照元:社労士会労働紛争解決センター(2016年1月、著者調べ)

街角の年金相談センター

社会保険労務士連合会が日本年金機構から委託を受けて、社労士の協力を得て運営を開始した年金に関する相談所となっています。「対面相談」による親切丁寧なサービスを行ってくれます。

全国社会保険労務士会連合会・社労士 | 全国社会保険労務士会連合会ホーム | 各種相談窓口 | 街角の年金相談センター
参照元:街角の年金相談センター(2016年1月、著者調べ)

資格試験を目指そうとした場合

この記事を読まれた方の中で、この資格に興味がある方がいらっしゃるかもしれませんので、試験内容について説明します。

合格率は?

平成26年8月24日(日)に実施された社会保険労務試験の結果は、約3か月後の11月7日に発表されました。合格率は9.3%という相変わらず狭き門でした。

○受験申込者数 57,199人
○受験者数 44,546人
○合格者数 4,156人 (うち科目免除者117人)
○合格率 9.3%

第46回社会保険労務士試験の合格者発表 〜44,546人が受験、合格率は9.3%〜 |報道発表資料|厚生労働省
参照元:厚生労働省(2016年1月、著者調べ) 合格率は7%から10%で推移しています。一ケタ台の合格率ですから、合格することは本当に難しい資格であるといえるでしょう。

過去10年間の合格者数の推移
参照元:厚生労働省(2016年1月、著者調べ)

平成27年試験は稀な合格率

平成27年8月23日(日)に実施された社会保険労務士試験の合格率は、なんと2.6%でした。この数値は過去の合格率から見てもかなり狭き門となってしまっています。

ですが、この年の合格率だけで判断はしないようにしましょう。この年だけは稀なケースであると言えます。

第47回社会保険労務士試験の合格者発表 |報道発表資料|厚生労働省
参照元:厚生労働省(2016年1月、著者調べ)

受験資格

社会保険労務士となるためには、社会保険労務士法に基づいて社会保険労務士試験の合格をすることが必要になってきます。

社会保険労務士試験オフィシャルサイト
参照元:社会保険労務士試験オフィシャルサイト(2016年1月、著者調べ) 受験資格ですが、主に学歴、実務経験、厚生労働大臣の認めた国家試験合格者の3つに分けられます。

1.学歴-高等専門学校、短大、大学を卒業された方
2.実務経験-3年以上の労働保険・社会保険手続きなどの人事・労務の経験がある者
3.厚生労働大臣の認めた国家試験合格者-行政書士試験等の合格者

上記の3つの条件の内、一つでも該当すれば受験資格を得ます。

受験資格・事前確認|社会保険労務士試験オフィシャルサイト
参照元:社会保険労務士試験オフィシャルサイト(2016年1月、著者調べ)

試験概要

午前と午後に分かれてマークシート式で以下の試験を実施されます。

○択一式70問の70点
○選択式1問5点が8問の計40点 それぞれの科目は以下の通りです。

1.労働基準法及び労働安全衛生法
2.労働者災害補償保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)
3.雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)
4.労務管理その他の労働に関する一般常識,社会保険に関する一般常識
5.健康保険法
6.厚生年金保険法
6.国民年金法
合格基準点がかなり厳しいです。選択式試験及び択一式試験のそれぞれの総得点と、それぞれの科目ごとに定められます。

各成績のいずれかが合格基準点に達しない場合は不合格となるのです。

社会保険労務士試験とは|社会保険労務士試験オフィシャルサイト
参照元:社会保険労務士試験オフィシャルサイト(2016年1月、著者調べ) 直近の社会保険労務士試験の問題を閲覧することが出来ます。PDFファイルですが、一度ご覧になって見てください。

社会保険労務士試験についての情報|社会保険労務士試験オフィシャルサイト
参照元:社会保険労務士試験オフィシャルサイト(2016年1月、著者調べ)

勉強時間

社会保険労務士を試験勉強する際の勉強の目安ですが、おおよそ1,000時間と言われています。もちろん質の良い勉強方法をされた方はそれよりも短い勉強時間で合格されています。

実際に1000時間勉強するのは、仕事や家事をしている間の時間ですから容易な事ではありません。例えば、毎日約3時間勉強したとしますと、1か月で約100時間、計10ヶ月以上となります。この時間をやりくりするのは、皆さんの想像以上にハードなのだといえます。

ご近所の社会保険労務士を活用しましょう

各都道府県の主要な市町村には必ず社会保険労務士事務所はあり、業務を行っています。会社に勤務している方で、どうしても労働保険や社会保険の専門家に委託したいと考えている場合はお近くの社会保険労務士事務所にご相談してみたらいかがでしょうか。

あるいは仕事場でのお付き合いで、どこの社労士さんが良いかの評判も聞けるかもしれません。

個人的に相談したい場合は、まずは何を相談したいかを整理して実行に移しましょう。相談料が30分幾らとか、1時間幾らと設定している社労士さんもいらっしゃいます。

ホームページからの問い合わせれば、丁寧に相談に乗ってくれる社労士さんもいらっしゃいますので、一度調べてみましょう。