高額療養費の制度で安心!医療費の負担を軽くする知識を徹底解説

いくら健康に気を遣っていても、いつ事故に遭うか・病気になってしまうかわかりません。そんなときに「お金がないから」といって病院に行くのをためらうのは良くないこと。実は通院・入院・薬局などの医療費には<自己負担額の上限>という、ありがたい制度があるんです。難しい制度の内容ですが知っているだけで医療費を大きく抑えられるはず!



【高額療養費制度】ってなんだろう?

会社の健康保険に加入しているAさん。普段、通院や薬局では医療費の3割負担の支払いをしています。そのAさんが10月1日から20日まで病気で入院することになりました。退院時の支払いが30万円!仕事も休んでいたので、貯金から支払うことになり、Aさんは悲しんでいました。しかし数日後、なんと20万円が返ってきたんです。

という、この嬉しい制度が【高額療養費制度】と呼ばれるもの。ある一定額以上の医療費をひと月の間に支払った場合に、自己負担額以上の差額が戻ってくるという、とってもありがたい制度なんです。高額療養費制度は、会社の社会保険に加入している被保険者やその扶養家族として同じ保険に加入している被扶養者、そして国民健康保険の加入者でも受けられる制度なんですよ!

高額な医療費を支払ったとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会(2015年10月現在、著者調べ)

間違えられやすい「医療費控除」

間違えられやすいのが「医療費控除制度」。医療費控除は、所得税や住民税を計算する際、ある一定の医療費以上を支払った場合に、その一定額以上にかかる所得が控除されるという仕組み。確定申告で申請する人が多くいる制度です。

高額医療制度は、保険給付の一つ。医療費控除にも高額医療にも当てはまる方であれば、どちらも申請することができますので、忘れないようにしましょうね。

「高額療養費」と「医療費控除」ってなんだろう? | 都道府県支部 | 全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会(2015年10月現在、著者調べ)



<適用外>の医療費も。

さきほどのAさん、30万円を支払って20万円が返ってきましたね。Aさんが条件に当てはまる自己負担額は80,100円だったとします。ということは、100,000-80,100=19,900円は適用外だった!ということになりますよね。実は高額療養費には適用されない医療費というものがあるんです。

ではこの適用外になる医療費には、どのようなものがあるのでしょうか?高額療養費の制度は「保険給付の一つ」である制度とさきほどお話しましたね。つまり、保険内診療であれば適用されますが、<保険外>の診療は当てはまらないということが言えるでしょう。 この<保険外>の診療、どういったものがあるのでしょうか。入院時にかかる保険外の医療費として覚えておきたいのが「食費」。人は生きるために食費はかかるもの。だから、入院していなくてもかかるものとされる食費は保険外の診療になるのだそう。

他にも、患者さんが自ら希望して移動した「差額ベッド代」や「個室代」、「先進医療にかかる費用」もあてはまりません。また、不妊治療の中でも「体外受精」や「顕微授精」に関わる薬や処置代・手術代のほとんどは<保険外>の診療なんだそう。

申請~受け取りまでのステップ

申請は加入の医療保険へ!

自分が加入している公的医療保険に申し込みをしましょう。医療保険によっては自己負担額以上の金額を自動的に支給してくれたり、支給を進めてくれる場合もあるそう。ですが自分から申請しないと全額自己負担になってしまう場合もありますので、気を付けましょう。

また、連絡先が分からない場合には保険証を確認するか、会社・自治体の役所で聞いてみましょう。高額療養費の「支給申請書」の提出だけでなく、病院など医療機関の領収書も提出が必要な場合もありますので、普段から領収書類は必ず保管しておくようにしましょうね!

健康保険高額療養費支給申請書 | 申請書のご案内 | 全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会(2015年10月現在、著者調べ)

受け取りまで

医療保険によっても異なりますが、一般的に受診日から3カ月ほどかかると言われています。申請が遅れるとその分遅くなることも。病院にかかると、医療機関から「診療報酬明細書=レセプト」を医療保険に提出します。そのレセプトを審査したうえで支給が確定されるため、どうしても時間がかかってしまいます。

無利子の高額医療費貸付制度も

もし、高額の医療費の支払いが厳しいな…という方は、「高額医療費貸付制度」の利用をおすすめします。これは無利息で高額療養費支給見込額の約8割を貸してくれる制度。しかし、貸してもらうには書類の提出などが必要になりますので、医療保険に確認してみてくださいね!



便利な<限度額適用認定証>

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あとで返ってくるというのはわかっていても、一時的な支払いも家計の負担になりかねます。もし今後入院する予約が入っている場合など自己負担額以上の医療費を払うことがわかっているのであれば、事前に<限度額適用認定証>をもらっておくのが便利です!

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この申し込みも、医療保険へ。70歳未満であれば、この認定証を入院する前や入院中に病院へ提出することで、退院時の支払いが「自己負担額まで+保険外の診療分」となり、一時的な高額負担をしなくても良いことになります。70歳以上の方は一般的にはこの認定証は必要なく、医療保険の保険証と「高齢受給者証」を医療機関に提出すると、一定金額の支払いとなるそう。しかし「市町村民税が非課税である低所得者」はこの認定証が必要になるようです。

また今後、この認定証を使わないという場合、また有効期限が切れてしまった限度額適用認定証は、医療保険へ返還してくださいね!

健康保険限度額適用認定申請書 | 申請書のご案内 | 全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会(2015年10月現在、著者調べ)

提出するタイミングは?

例えば、自己負担額が80,100円のAさん。<限度額適用認定証>がまだ手元になかったAさんは、10月22日にB病院の内科で診療を受け、100,000円の支払いをしたとします。そのあと、<限度額適用認定証>を持って10月28日にもB病院の内科で診療を受けた場合、28日の請求額は50,000円でしたが、100,000円+50,000円=150,000円となり10月の自己負担額を超えてしまっているため、28日の医療費支払いはなく、さらに19,900円が返ってくることになります。 このAさん。もし10月28日に診療がなく、<限度額適用認定証>を持って11月10日にB病院の内科で診療を受けたとします。しかし認定証を利用して病院で清算できるのは当月のみとされています。
したがって、10月分は病院で清算されず、加入している医療保険に「高額療養費支給申請書」を提出し、自己負担額以上の支払った医療費分の返還の申し込みをする必要があります。申し込みをしてもすぐに手元に戻ってくるわけではありません。10月22日の支払い100,000円に加え、11月10日の支払いも重なり、家計は苦しくなることもありそうですよね。

こういったことを考慮すると、やはり事前に<限度額適用認定証>を手に入れていたほうが良さそうですね!

自己負担額×4になることも!?

限度額適用認定証を使って支払いをする場合、同じ月の入院費や通院費、薬代まですべてを合算できるわけではないんです。この制度を利用する70歳未満の方は、「入院」「通院」を分けて計算しなければなりません。また、同じ病院内でも、「医科」「歯科」を分けて適用されます。自己負担額は20,100円以上であることという条件も忘れてはいけないポイント! 例えば、AさんがB病院の内科で1日~20日まで入院していて、25日と28日に内科へ通院したとしましょう。入院分の医療費の請求が300,000円、通院分の医療費がそれぞれ20,000円だったとすると、合算すると340,000円となり自己負担額以上になるため適用されそうですよね。しかし残念ながら高額療養費制度は適用されません。入院費と通院費は合算できない上に、通院費の一回の負担額が20,100円未満だからです。したがって、「入院分は自己負担額まで」+「それぞれの通院分」を支払う必要があります。 またAさんが10月中に、B病院の内科に5日間入院・整形外科に5日間入院・歯科に5日間入院ということがあったとします。この場合は、内科と整形外科の入院費は合算できますが、歯科の入院費は合算することができないということになります。

さらに、B病院の内科に入院・通院、歯科に入院・通院した場合には、すべて別々で自己負担額の適用になることがありますので注意が必要です!しかし、これらは70歳未満の場合。70歳以上は外来・入院を合算できるという嬉しいメリットがあるんです。病院にかかる機会が増える高齢者には、医療制度はとても厚くなっているんですね。 また、他の病院にかかった場合でも合算ができる場合があります!10月にB病院へ入院後、C病院にも入院、D病院にも入院したとします。すると、それぞれ入院費が50,000円ずつかかったとしても入院費を合算できることになります。

それぞれ20,100円以上の自己負担額があり、「入院」「通院」を分けてそれぞれを合算した場合に自己負担限度額を超えることに加え、<高額療養費支給申請書>の提出が条件になるそうですよ! さらに、薬局で薬を処方された場合には、「A月にB病院で発行した処方箋で、C薬局にて処方された」というA/B/Cの条件が全て同じである場合でのみ合算ができるのだそう!こういったときのために、「かかりつけ薬局」というものを決めて、普段から同じ薬局にかかるようにしておくのがいいですね。

家族の医療費も合わせよう!

「入院した場合には10万円近くいくことがあっても、なかなか一人の通院だけで自己負担限度額まではいかないよ。」「家族の入院のタイミングが重なっちゃって、家計が苦しい。」「親の分の医療費も払っているけど、正直大変。。」そんな方々にとってありがたいのが、【世帯合算】ができるということ!

社会保険の場合には?

まず、ここでいう「世帯」というのは、住民票の世帯で考えるのではなく<医療保険上の世帯>で考えます。どういうことかというと、例えば旦那さんのAさんが会社の健康保険に加入している「被保険者」で、奥さんがその「被扶養者」である場合。この場合はAさんと奥さんは<医療保険上の世帯>と言えますね。そして、Aさんの両親も健康保険の扶養に入れている場合には、たとえ別居していても<医療保険上の世帯>と言えます。 しかし、住民票で同じ世帯である夫婦であっても、奥さんが自分の会社の健康保険に加入している場合には<医療保険上の世帯>にはなりません。また、同居している親がいても、親が仕事をしていてそれぞれ異なる健康保険に加入しているなどで健康保険の場合、<医療保険上の世帯>は別と考えられるので世帯合算はできなくなるそう。

国民健康保険の場合には?

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高額療養費は国民健康保険に加入している方々にも当てはまる制度です。だから、同一世帯の家族の中に複数の国保の方がいれば、その分の合算は可能です。しかし、国民健康保険には「扶養」という概念がそもそもないので、「被保険者」「被扶養者」という言葉もなく、国民健康保険に加入している人数分を<住民票の世帯主>が払うことになっています。

したがって、一般的には国民健康保険の高額療養費の計算も、住民票の世帯を単位として考えられています。住民票の一世帯の中で国民健康保険に加入している人の医療費は合算することができるようです。 例えば、Aさんは会社の健康保険に加入、奥さんは国民健康保険に加入しているとします。この場合には、奥さんはAさんの健康保険の被扶養者ではないため、世帯合算はできませんね。もし子どもがAさんの健康保険の被扶養者になっている場合には、奥さん以外の医療費を世帯合算することはできます。 ではAさんが国民健康保険に加入、奥さんが自分の会社の健康保険に加入しており、Aさんの母も国民健康保険に加入して、Aさんとは世帯を別にしているとしましょう。(同じ家には住んでいても、住民票で世帯を別にしている場合、その家には世帯主が2人いるということになります。これを世帯分離と呼びます)。この場合には、Aさん・奥さん・母それぞれを合算することはできません。しかしAさんとAさんの母を、住民票上同じ世帯にして、世帯を一つにしたとすると、Aさんと母は合算することができるのだそう。

世帯合算するときに注意すること

70歳未満の方の医療費を合算する場合には、20,100円以上の自己負担額のみを合算することができます。例えば、40歳のAさんの通院費が20,000円、Aさんの被扶養者である65歳の父の通院費が80,000円だったとします。この場合、20,000+80,000に出来そうですが、20,100円以上のみが合算できるため、Aさんの通院費は合算できないでしょう。 もう一つ注意が必要です。Aさんが40歳で、同居している父が80歳の場合には、例えAさんの医療費が30,000円、父の医療費が100,000円だったとしても合算できないんです!これは、父が<後期高齢者医療制度の被保険者>であるため。

<後期高齢者医療制度>とは、75歳以上の高齢者(または65歳以上74歳以下の一定以上の障がい認定を受けた方)を対象とした医療制度のこと。後期高齢者に含まれる方は、それまで家族の扶養に入っていたとしても独立してこの医療制度に加入することになります。この後期高齢者医療制度で医療を受ける人が同じ世帯に何人かいる場合には、その分は合算することが可能となるそう。

高齢者医療制度 |厚生労働省
参照元:厚生労働省(2015年10月現在、著者調べ) 高齢者医療制度について紹介しています。

一番気になる<自己負担額>は?

自己負担の上限額は、年齢によって基準が分かれ、そこから所得によってカテゴリが分けられています。年齢の基準は、70歳未満・70歳以上、そして後期高齢者医療制度の75歳以上。自己負担額の計算の前に、知っておきたい2つの言葉について説明をしましょう。

「住民税の非課税」とは

税金のお話をしていると時々出てくるのが、「住民税が非課税である人」という言葉。【住民税】は、主に1月1日にその自治体に住んでいる人が課税対象となり、6月以降に納めることになっています。お給料をもらっている人なら、お給料から引かれていると思います。「都道府県民税」と「市区町村民税」を合わせて住民税と呼んでおり、また住民税にはそれぞれに「均等割」と「所得割」があります。 「均等割」は定額で課税されますが、「均等割」は前年の所得金額に応じて課税されているんです。そしてこの住民税は、ある条件に当てはまる人は納めなくても良いとされているんです!これが「住民税が非課税である人」。住民税の計算は前年の所得が関わってくるため、今年所得があったとしても「住民税が非課税である人」がいるということになりますね。また、退職してしまって今年の所得がない方も住民税は請求されますので、覚えておいてくださいね! <東京都の所得割・均等割どちらも非課税の条件>

・生活保護を受けている人
・障害者、未成年者、寡婦又は寡夫(配偶者と離婚や死別をして、再婚をしていない人)で、前年の所得が125万円以下であること
・前年の所得が35万円×(納税者+配偶者控除・扶養控除を受けている人数)+21万円または、独身で35万円以下の人

東京都主税局<税目別メニュー><個人住民税>
参照元:東京都主税局(2015年10月現在、著者調べ)

「標準報酬月額」とは

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所得を区分する際に必要なのが、この「標準報酬月額」です。これは、保険料や年金額を決める際にも大切になってくるものなんですよ。

月々のお給料は毎月異なりますよね。それを一定期間に当てはめて計算しようというものが「標準報酬月額」。現在は第1級の5万8千円から第47級の121万円までの全47等級に分かれているんです。計算する際の「報酬」には月々の手取りではなく、お給料や各手当、年4回以上の賞与などが当てはまります(年3回までの賞与は含まれません!)。そして、毎年9月に、4月から6月の報酬の平均を出し、その人の「標準報酬月額」が決まります。

平成27年度保険料額表 | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
参照元: 全国健康保険協会(2015年10月現在、著者調べ)

70歳未満の自己負担額

では、実際に自己負担額の上限を見ていきましょう!自己負担額は下記の計算式で求められますよ。

・標準報酬月額83万円以上:252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
・標準報酬月額53万~79万円:167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
・標準報酬月額28万~50万円:80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
・標準報酬月額26万円以下の方は57,600円、低所得者(被保険者が市区町村民税の非課税者等)は35,400円。

また、標準報酬月額は<被保険者>のものを使用します。下のリンクから、だいたいの目安を試算することができます!

高額療養費簡易試算(平成27年1月診療分から:70歳未満用) | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会(2015年10月現在、著者調べ) 例えば4月から6月の報酬が35万だったAさんは、「標準報酬月額28万~50万円」に当てはまります。すると、総医療費が267,000円以下だった場合には、80,100円+(総医療費-267,000円)×1%=80,100円で求められるので、80,100円の自己負担額が上限となるでしょう!

もしAさんが入院して、請求が400,000円。そのうち保険外診療と食費を合わせて50,000円だったとしましょう。すると、保険内診療分400,000円-50,000円である350,000円から267,000円をひくと83,000円。つまり、80,100円+(83,000円)×1%=80,930円が高額療養費として支払う分となり、窓口では保険外診療分50,000円を足した130,930円を支払うことになるでしょう。万が一100万円の請求だったとしても、全額保険内診療であれば87,430円の支払いで済むことになると言えますね!

70歳以上&後期高齢者医療制度の自己負担額

70歳以上の方では、「外来・入院の世帯合算の自己負担額」と、「個人で外来に支払う自己負担額」が変わってきます。上でも説明しましたが、70歳以上であれば、外来と入院は分けて計算しなくても良いという条件があります。しかも、個人での外来の合算時のみは自己負担額がかなり低くなるというメリットがあるんです!

・標準報酬月額28万円以上で高齢受給者証の負担割合が3割の人: 44,400円(個人)/ 80,100円+(医療費-267,000円)×1%(世帯)
・一般所得者:12,000円(個人)/44,400円(世帯)
・低所得者で被保険者が市区町村民税の非課税者等:8,000円(個人)/24,600円(世帯)
・被保険者と扶養家族の収入ー必要経費・控除額=0の人:8,000円(個人)/15,000円(世帯)

高額療養費・高額介護合算療養費 | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会(2015年10月現在、著者調べ)

一つの世帯に70歳未満と70歳以下の家族がいる場合には?

70歳未満と70歳以上では、外来・入院に分けるかどうか、また自己負担額も変わってきましたね。世帯の家族の年齢がバラバラの場合には、注意して計算するようにしましょう!例として74歳の父・73歳の母、44歳の一般所得者であるAさんと40歳の奥さんがいる世帯について説明をしましょう。またこの世帯は両親とAさんの一世帯とします。

まず、父・母が外来にかかった医療費の合計を、それぞれ分けて計算します。一般所得者の個人の外来の合計は12,000円でしたので、これ以上かかっている場合は、差額が払い戻しされます。父が14,000円、母が5000円を払ったとすると、父は14,000-12,000=2,000円の払い戻しがあるということになりますね。 次に、父・母の入院費の合計と、先ほど出した自己負担額までの合計を合わせます。父が入院費100,000円だったとすると、外来の自己負担額12,000円+5,000円に、入院費100,000円を足して117,000円ですね。70歳以上75歳未満の世帯合算の自己負担額は一般所得者で44,400円でしたから、117,000-44,400円=74,600円の払い戻しがあるでしょう。

そして、Aさんと奥さんの自己負担額と、70歳以上の自己負担額44,400円を合計します。Aさんと奥さんの医療費の合計が50,000円だったとすると、80,100円+(50,000+44,400-267,000円)×1%=80,100円となり、Aさん世帯は医療費の支払い合計が80,100円で済むことになるでしょう。もし高額療養費の制度を使っていなければ、19,000+100,000+50,000=240,000を支払わなければなりませんでしたので、かなり家計が助かりましたね!

後期高齢者医療制度の方がいる世帯では

「後期高齢者医療制度」とは独自の医療制度です。それぞれの人が<被保険者>になり、自分で保険料を支払う仕組みになっているんです。したがって一つの世帯で暮らしていたとしても<被保険者>が変わると世帯合算はできないという最初のルールにあてはまることになります。

しかし、同一世帯で「後期高齢者医療制度」の方が複数いる場合なら、その方たちの分の病院・診療所・診療科の区別をせずに合算することが可能なんだとか。

後期高齢者医療制度について【給付内容について】 | 新潟県後期高齢者医療広域連合ホームページ にいがた高齢者医療.com
参照元: 新潟県後期高齢者医療広域連合ホームページ(2015年10月現在、著者調べ)

独自の上限額がある場合も

一般的な自己負担額でお話をしてきましたが、医療保険や各自治体によっては独自の自己負担の上限額を定めていたり、高額な治療(血液の病気などの特定疾病)を続ける方には特例がとられる場合もあります。医療費が高額になる場合には、自分が当てはまっていないかよく確認することをおすすめします!

高額長期疾病(特定疾病)で療養中のとき | 都道府県支部 | 全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会(2015年10月現在、著者調べ)

多数回該当なら+αがあるんです

直近の12カ月の間で3回高額療養費制度を利用したら、次の月からは負担額の上限がさらに下がり、自己負担が軽減される場合があります!一年単位ではなく「直近の12カ月」として考慮されるのは、嬉しいポイントですよね。ただし70歳以上75歳未満・後期高齢者医療制度の方の場合には、「外来」のみの限度額の適用回数は含まれませんので注意が必要です! また、転職した場合などで「X会社の被保険者」から「Y会社の被保険者」へ変更になった場合には回数は通算して数えられますが、「国民健康保険」から「会社の医療保険」に変更したり、「被扶養者」から「被保険者」になった場合など、通算して数えることができない場合がありますので気を付けてくださいね!

多数該当の自己負担額の上限は?

70歳未満の方は、所得区分によって24,600円~140,100円。70歳以上75歳未満の方や後期高齢者医療制度の方であれば、現役並み所得者・一般は44,400円、低所得者は24,600円または15,000円となります。

例えば、50歳のAさんの標準報酬月額が50万円だったとして、隔月で100,000円医療費の請求があったとします。3回目までは月80,100円の支払いをしていましたが、4回目~6回目の月では44,400円で済むことになるでしょう!

高額な医療費を支払ったとき(高額療養費) | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会(2015年10月現在、著者調べ)

「介護医療費」を合算できることも

高額療養費は「月単位」の医療費で計算されていましたね。しかし、医療費だけではなく介護費も高額になる場合があります。そんなときには「高額医療・高額介護合算療養費制度」を利用しましょう!

こちらは毎年8月から1年間の「医療保険・介護保険」の自己負担額の上限を設定しているもの。高額療養費と同じく、自己負担額を過ぎた金額は支給されることになっているんです。こちらは、医療保険・介護保険のどちらも自己負担額があること、また70歳未満は、医療機関別、医科・歯科別、入院・通院別でそれぞれ21,000円以上ある場合にのみ合算することができるのだそう。

高額医療・高額介護合算療養費制度について
参照元:厚生労働省(2015年10月現在、著者調べ)

過去申請していなかったら?

「この制度知らなくて支給を受けていなかった!」そんな場合でも、診療を受けた翌月の初日から数えて2年以内であれば、過去さかのぼって申し込むことができますよ。その場合、医療機関の領収書が必要になりますので、忘れないようにしましょう!早めに健康保険に問い合わせをしてみてくださいね。

月末に入院するのって損!?

Aさんが10月28日に入院して11月10日に退院したとしましょう。この場合、レセプト(病院から健康保険に対して医療費を請求するもの)は月をまたいでしまいますよね。レセプトは月単位でまとめられ、月単位で支給されることになっているので、Aさんは10月と11月それぞれで高額療養費の自己負担額の上限までを払わなければならないことになっているそう。 もし10月の医療費が90,000円・11月の医療費が130,000円で合計220,000円だったとすると、標準報酬月額28万~50万円ですべて保険内診療であれば、高額療養費を利用しても80,100円×2=160,200円が請求されることになります。しかし11月1日から13日までの入院だったとすると、同じ請求額でも自己負担額は80,100円に抑えられるということになります。

しかし、いくら高額になるからといって緊急の場合などに我慢してはいけません!すぐに病院にかかるようにしましょうね!

おわりに

いかがでしたか?医療費は節約したいけれど、なかなか身体のことを考えると削ることができないもの。ですが、このような医療制度を正しく理解し活用することで、少しでも医療費の負担を減らすことができそうですね! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。
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