地盤改良に関する費用とその工法|それって適正?見極めポイント

地盤改良にかかる費用や工法はさまざまですが、地盤調査の結果、もしや過剰な地盤改良ではないかと不安になるのも事実…強固な地盤は住宅を建てる上で最も重要なポイントであり住宅の基礎の基礎となるものです。提示された案が適正な費用と改良法なのかを少しでも見極め、過剰な改良や費用を抑えるためのポイントをまとめます。



住宅の基礎は地盤から

地盤の重要性

2015年10月、横浜市の大型マンションが不十分な地盤改良により傾斜していることが判明し大きなニュースとなりました。ここまで大ニュースになっていなかっただけで、実はこのようなケースはマンションなどのビル、個人の戸建て住宅にかかわらず以前からたくさんあったということです。

ニュースからも分かるように、軟弱な地盤の上に建っていれば、どんなに頑強な鉄筋コンクリートの建物でも傾いてしまいます。まさに地盤は住宅の基礎の基礎。建築基準法では、地盤の沈下や変形に対して構造耐力上安全な基礎が建築物に対し義務付けられているので、地盤の安全性を確認することは不可欠です。



セメント系地盤改良の費用と工法

地盤改良費用の目安

地盤改良にかかる費用は一般的な一戸建ての目安として50~200万円とかなり幅があるようですが、その土地の地質や形状、建物の構造や重さによって工法が変わるため、実際に地盤調査を行い見積もりを取るまでは分かりません。まずは見積を取らなくてはなりません。

一般的には軟弱地盤の深さが深く、底面積が大きいほど高額な費用が掛かります。また前面道路からの重機の搬入のしやすさなども費用が増す要因となるようです。またメーカー上乗せ分などで、かなり大きな額になることも多いということです。必ず詳細な見積もりをもらいましょう。

知っておきたい地盤改良工事|地盤ドクター
株式会社地盤ドクター(2015年10月 著者調べ)

表層改良=坪2~3万円

地表から2mまでの軟弱地盤に対して行われるのが表層改良という工法になります。地表を掘りセメント系の固化材と混ぜて固める方法です。こちらが費用・工期ともに一番最小限で済むということです。目安としては坪2~3万円程度と言われていますが、メーカーによってさらに高くなることも。

柱状改良=坪4~5万円

地表から2m~8mの軟弱地盤に対して行われる、おそらく最もポピュラーな工法が柱状改良です。建物の平面図を基に要所にセメントで柱を作って建物を支える方法です。坪単価およそ4~5万円だと考えられますが、わが家の場合の最初に出された見積は、1階の底面積約17坪で約130万円!

建物見積時の予算より50万円オーバー、驚愕でした。詳細な見積はなく一式という形でした。ただでさえ素人が地盤改良など分かるわけがないのに、何にどれだけお金がかかるのかまったく分からないのです。おそらくメーカー上乗せ分がかなりあったのではないかと思われます。

いろいろ調べたところ、底面積17坪程度ならば60~70万円程度が普通の相場なのではないでしょうか。メーカーは建物で利益を得ているのだから施主にとって大きな負担となる地盤改良費で大きく儲けようなどとしてはいけないと個人的には考えています(もちろん何%かの手数料などは常識の範囲と考えますが…)。

砕石による地盤改良工法とその費用

環境に優しく資産価値を守る工法

PhotoBy:takeringo 柱状改良などのセメント系の地盤改良は実は土地の価値を下げる心配があると言われています。セメントと土を混合すると化学反応により六価クロムという発がん性有害物質が発生する恐れが懸念されることや、地中に立てた杭が埋設物とみなされるため土地を手放す際に産業廃棄物として撤去する必要があります。

そこで現在、注目を集めている新しい地盤改良法が砕石を使った工法です。これは支持層まで掘った穴の中に天然の砕石を入れ柱状に転圧して固めることで建物を支えるという、環境にやさしく撤去の心配も要らない画期的な方法だということです。

また天然砕石の杭は水を通しやすく、周囲の地層の水圧をうまく吸収して液状化を防ぐとも言われています。東京ディズニーリゾートや羽田空港、関西空港などの湾岸地域でもこの工法と同様のサンドコンパクション・パイル工法が採用されているということです。

東日本大震災時の浦安市の液状化現象多発の際にも、東京ディズニーランドパーク内に液状化は見られなかったという情報もあることから、かなり優れた地盤改良法なのではないかと思われます。わが家もいろいろと調べ悩んだ結果、この工法を採用させていただきました。

一般的に、セメント系の柱状改良より1~2割増しの費用がかかることが多いようです。平均すると坪6万円前後といったところなのでしょうか。しかし穴をあけて天然砕石を詰め込むというシンプルな工法なので、これからもっと技術的に広く浸透していけばリーズナブルになっていくのではないかと個人的には考えています。 PhotoBy:takeringo

砕石地盤改良工事[エコジオ]
エコジオ工法協会(2015年10月 著者調べ)

新地盤改良工法 | HySPEED工法 | ハイスピードコーポレーション
ハイスピードコーポレーション㈱(2015年10月 著者調べ)

液状化現象、ディズニーランド免れ 理由は地盤改良工事にあり:MONEYzine:株/FX・投資と経済がよくわかるWebマガジン
MONEYZINE(2015年10月 著者調べ)



地盤改良の必要性を見極めるには

昔の地図をチェックする

ここで、少しでも自分で地盤改良が必要な土地なのかどうかを、あらかじめ見極める方法がないか考えてみましょう。まず水に近いところは軟弱地盤である可能性が高いようです。海や河川、湖や池や沼の近くなどが挙げられます。先般記述いたしました横浜市の傾斜マンションも海や川に近いところでした。

あとは、昔ため池や水田であったところなども軟弱地盤であることが懸念されると言われています。畑も掘り返された土地なので地盤が弱く、改良が必要であることが多いようです。今は住宅地になっていても昔は田畑だったところを整備されて造られた土地なのかもしれません。過去の地図は下のリンクの国土交通省国土地理院のサービスなどで調べることができます。

では海や河川から遠い、山を切り開いた土地などなら安心なのでしょうか。いえ、むかし山だったからと言って地盤が強固かというと、これも一概には言えません。

山を削った造成地などで切り土・盛り土がされている土地(特に1m以上の擁壁が作られている土地)は地盤が弱いことが多く、特に造成後10年が経過していない土地は大幅な地盤改良が必要となることが多い傾向にあるようです。

国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス
国土交通省 国土地理院(2015年10月 著者調べ) 国土交通省国土地理院提供の昔の航空写真などを調べられるサイトです。最初に利用規約に同意する必要があります。

地盤サポートマップ
ジャパン・ホームシールド㈱(2015年10月 著者調べ) 住所を入力するだけで、地盤や地質などその土地の詳しい情報がわかる無料サイトです。

現地でチェックできること

土質が粘土質のところは最も軟弱な地盤だとされているようです。一度、雨上がりなどに現地に出向いて地面の状態をチェックするといいかもしれません。水はけが悪く、ねちゃねちゃした土であれば軟弱地盤の可能性が高いと考えられているようです。

あとは、少しお行儀が悪い行為なのかもしれないですが、近隣の住宅の基礎や外壁、玄関ポーチや外階段、または擁壁などをチェックしてみるのも地盤を確認するよい方法だとのことです。もしそこにひび割れや亀裂があるとすれば、その地域の地盤は軟弱である可能性が考えられるようです。

地盤調査結果のチェックポイント

地盤調査報告書の見方

最も多く採用されている地盤調査方法がスウェーデン式サウンディング試験というものです。これは先端がキリのようになっている器具におもりで荷重をかけ、まずは回転させずに重さを増やしていきます。回転させずにおもりの重さのみで自然に沈んだ場合、その層を自沈層と呼びます。

1.0kN(100kg)の荷重でも沈まなかった場合、器具を回転させて25cmねじ込むのにハンドルを何回転させたのかを測定し地盤の強さであるN値と呼ばれる値を算出します。木造住宅を建てるために必要なN値は3.0以上とされ、換算N値の欄を見て3.0以下があった場合はその部分の地盤が弱いと見られます。

調査書の半回転数Naという欄の値が大きいほど地盤が強いということになります。半回転数が”0”になっている場合は自沈したということで、その場合のN値は2.0以下になっていると思われます。もっと分かりやすいのは、貫入量1m当半回転数という横棒グラフで、ここが空欄の場合は地盤が弱いと見ていいでしょう。

つまり自沈層があったりN値が木造住宅の基準である3.0以下の場合は地盤改良が必要と判断されることが多いと考えられます。調査費用は1カ所につきおよそ2万円前後、通常5カ所測定することが多いようですが、多くは当初予算に組み込まれており実質5万円程度の負担になっているようです。

「地盤チェック」未完成現場チェック | 住建ハウジング
住建ハウジング(2015年10月 著者調べ)

住宅かし担保責任保険と地盤保証

新築住宅の場合、住宅事業者と国土交通省指定の保険法人の間で「住宅かし担保責任保険」という契約が結ばれ、引渡し日から10年間、構造耐力上主要な部分や雨水侵入防止部分に欠陥があった場合の補修費用が保障されます。もし住宅事業者が倒産した場合も保険会社によって上限2,000万円まで保険金が支払われます。

住宅の保証は地盤の保証にも大きく関係しますので、建築業者の指定以外の業者で地盤改良を進めることは責任の所在が複雑になるため難しいと思われます。また先に地盤調査をしても、結局設計図をもとにした地点(主に建物の四隅と中央)の調査を行うことが多いため、建築業者においても別途調査はされると思われます。

このように地盤調査および地盤改良は、建築業者が介入することがほとんどと思われ、地盤改良費用に中間マージンが発生することも多いのではないかと考えられます。そういった場合は地盤改良費の見積書も各項目の詳細が記入されず、一式表記された曖昧なものが多いようです。

詳細が不明で高額な地盤改良費用を言われるがまま支払うことに納得しがたい方も多いのではないでしょうか。しかし、素人が専門業者の判断を適正かどうか確かめる方法などあるのでしょうか。

住宅瑕疵担保履行法ホームページ
国土交通省 住宅瑕疵担保対策室(2015年10月 著者調べ)

地盤改良にかかる費用を安くするには

地盤セカンドオピニオン

地盤調査の結果に納得のいかない場合、第三者機関により地盤調査データを解析してもらい、本当に地盤改良が適正なのかどうかを見極める方法もあります。これまでの実績によると、地盤改良工事が必要だと言われた物件のうち6割程度は改良不要だと判定されているようです。また地盤改良が必要だとしても、過剰な工事を未然に防ぐことも期待できます。

地盤解析報告書の発行には別途費用(8万円前後)が発生するとのことですが、報告書の発行により万一不同沈下が発生し建物に損害が出た場合の賠償保証を受けることができるということです。報告書の発行なしで地盤の解析のみをお願いする場合は無料だということです。迷った場合は利用してみるのもひとつの方法かもしれません。

地盤ネット株式会社
地盤ネット株式会社(2015年10月 著者調べ)

地盤改良会社との直接取引

地盤改良会社に直接依頼しリーズナブルに改良して、再度業者に地盤調査をしてもらうという方法もあるようですが、これはなかなか勇気のいることですよね。ただ、相場より高い地盤改良費用は、中間マージンを取られているためと考えられます。

わが家の場合最初の見積額が想定していた予算より50万円以上、またWebなどで調べた相場よりもかなり高かったためかなり抗議しました。予算として計上した金額をはるかに超えた費用、しかも相場をはるかに上回る費用を施主に負担させようとするのは不誠実だとしか思えないというのが私の考えでした。

これは正しい方法ではないのかもしれませんが、再見積前に相場を把握していること、常識外の見積だった場合には信頼関係が破綻すると考え、違約金を支払うことになっても契約破棄を検討したいという旨を伝えました。

そのせいなのか、再見積の際には良心的で健全な見積書が提示されました。業者が手配してくれたのですが、支払いは直接契約になり大変良心的な価格にしていただけました。正直、工法はレベルアップしたのに費用は当初の予算より低い金額で済みました。

これは必ずしもいいほうに転ぶとは考えられない場合もあるので、本当に契約破棄をしても構わないほど信頼関係が破綻してしまいそうな場合にのみこのようなこともあると、ひとつの例として挙げさせていただきます。

見積書のチェックポイント

地盤改良費の見積書の見極めポイントを見ていきましょう。わが家に実際に出された見積書の項目を見ていきます。地盤調査の結果、粘土質軟弱地盤で柱状の改良が必要だということでした。底面積17坪程度の木造2階建て住宅の例になります。

悪い見積書の例

PhotoBy:takeringo 工事費や材料費、保証費用までまるごと一式で見積もりされています。特に3行目の摘要欄、ここには柱状改良の柱の長さと本数が書かれているのですが、1.5~6.75mと合計本数しか書かれていません。どの部分に何mの柱が立てられるのか、また各長さの本数が書かれていません。

材料もどれだけかかるのかまったく分かりません。すべて一式になっているため、何にいくらかかるのかがまったく分からず、かなり不透明な見積書だと思われます。このような見積書が出てきて納得する施主がどれほどいるのかと疑問に思いました。

セメントによる柱状改良は環境汚染が懸念される上、将来売却する場合に地中埋設物があるとみなされ資産価値が下がると言われています。わざわざ大金を払って自分の土地の価値を落とすようなことはしたくないと思い、砕石パイル工法での再見積を依頼し、その際は詳細な見積内訳書をつけていただくようにお願いしました。

ハウスメーカーは詳細な項目ごとの見積書を省略しがちですが、標準装備での坪単価が定められている建物自体はともかくとして、地盤改良費や外構費用などの不透明な見積書は、施主に対してあまりにも不誠実ではないかと私は考えています。何にどれだけの費用が掛かるのかを把握するのは施主の権利だと思います。

良い見積書の例

PhotoBy:takeringo 地盤改良の杭長ごとに本数と単価がきちんと書かれています。また残土処理費やその他の費用も項目ごとに書かれています。ちなみに杭の配置図と工法安定計算書という詳しい資料も見積時にいただき、大変誠意を感じました。施工後は施工報告書も詳しい冊子にしていただけました。

そしてメーカーの営業さんが尽力くださり、結果的にメーカーを通さず地盤改良会社への直接支払いになったため費用的には先の見積もりと比較にならないほど安くしていただけました。なので、メーカーの中間マージンが発生しなければ、かなりリーズナブルに地盤改良はできるのではないかと思われます。

ただ、わが家の場合は、最初の見積が相場よりあまりにも高額だったため、不審感をあらわにしたので特別に考慮していただけたのかと思われます。保証などの関係で本来は難しいのかもしれませんが、良心的な業者ならば地盤改良会社との直接契約も考えていただけるかもしれません。

地盤改良にかかる費用と工法まとめ

・表層2m以内のセメント系改良の費用は坪2~3万円
・表層2~8mのセメント系柱状改良の費用は坪4~5万円
・砕石パイル工法はセメント系柱状改良費用の1~2割増し程度
・セメント系の改良は有害物質の発生と土地評価を下げると懸念される
・海や河川など、水に近い場所や元は田畑だった場所は軟弱地盤である危険が高い
・地盤調査結果に納得するには第三者機関に解析してもらうのも一手
・昔の地図を見るなどして過去にどういった土地であったか確認すると良い
・近隣のコンクリートなどに亀裂がないか確かめるのもひとつの方法
・地盤改良費の見積書は項目ごとの明細をもらい何にどれだけかかるのか把握することが大切

安全な地盤、適正な地盤改良のもとで安心な家づくりができますようにお祈りいたします。 ※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。