「相続の相続?」数次相続を<遺産分割協議書>で解決する方法

数次相続とは、被相続人(亡くなった人)の遺産分割協議が終了する前に、法定相続人が亡くなってしまうことを指します。つまり、連続しておこる相続とイメージして下さい。相続の手続きだけでも煩雑であるのに、さらに法定相続人が亡くなってしまったらもっと手続きは複雑になります。そこで、今回は相続上級編の数次相続を取り上げます。



数次相続とは


数次相続とは、被相続人の相続財産を相続人間で遺産分割協議する前に、相続人のうちの誰かが亡くなってしまうことです。具体的な事例を挙げて説明すると、父A、母B、長男C、長女Dの4人家族だとします。父Aが亡くなり、母B、長男C、長女Dで遺産分割協議を行う前に、長男Cが亡くなってしまうというような場合です。

代襲相続との違いを理解しよう

数字相続は、代襲相続とよく混同されます。確かに、混同する気持ちもわかるのですが、まったくの別物です。まずは、代襲相続の説明をします。先ほどの例と同じく父A、母B、長男C、長女Dの4人家族だとします。父Aが亡くなる前に、先に長男Cが亡くなり、Cには子どもE(Aにとっての孫)がいたとすると、母B、長女D、孫Eが法定相続人となるでしょう。

この孫Eは、亡くなった長男Cが相続するはずであった父Aの相続分を引き継ぐことになり、これを代襲相続と言います。先ほどとは亡くなった順番に違いがあることがおわかりいただけたでしょうか。つまり、父より先に息子が亡くなったので、飛び越えて孫にいくのが、代襲相続であり、父が亡くなった後に、息子が亡くなる数次相続とは大きく異なるようです。

民法条文
参照元:総務省行政管理局(2015年10月、著者調べ)

数次相続の具体的な効果は

相続が重なったからと言って難しく考えることはありません。一つ一つ考えていけばよくわかります。先ほどの例と同じく父A、母B、長男C、長女Dの4人家族だとします。父Aが死亡し、遺産分割協議が終了していない状態で、母Bが亡くなったとします。一つ一つの相続を分けて考えると、

・父Aの相続人→母B、長男C、長女Dの3人です。

・母Bの相続人→長男C、長女Dの2人です。

父Aが亡くなった時に遺産分割協議が終了していない訳ですから、父Aの財産について誰が協議をすればいいのかというと、母Bの相続人である長男C、母Bの相続人である長女D、長男C、長女Dの4人です。え?4人?と思われた方もいるかと思いますが、厳密には4人です。母の相続人として、亡くなった母の代わりに協議をする長男Cと父Aの相続人である長男Cと2つの立場が併存しているということです。長女Dも同じことが言えるでしょう。

まわりくどい説明をしましたが、こうやって説明しないと数次相続は何となく面倒くさいものというイメージが残るだけです。それでは、このまとめを作った意味がありません。結論を言えば、長男Cと長女Dが母親の分まで含めて2人で決めてしまっていいということになります。結論だけを拾えば、2人で協議ができるということですが、ポイントは母親の代わりとしての立場も併存しているという点にあるでしょう。



「遺産分割協議書」の文例

遺産分割協議書が大きく変わる訳ではない

数次相続の遺産分割協議書は、何も特別なことを書き加える訳ではありません。

「被相続人A(平成〇〇年〇〇月〇〇日死亡)の死亡により開始した相続につき、同人の妻B、長男C、長女Dが相続人となったが、Bが平成〇〇年〇〇月〇〇日に死亡したため、Bについて相続が開始し、Bの相続人である長男C、長女Dの2名は、本日、Aの相続財産について、下記のとおり遺産分割協議を行った。」といった内容が書かれてあれば、問題ないでしょう。

これは、あくまで例文ですが、先ほどの数字相続の流れが理解できていれば、上記の文章はすんなり理解ができるでしょう。

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補足

数次相続が開始したからといって必ずしも遺産分割協議をしなくてはいけないのではありません。先ほどの例で言えば、父Aが亡くなった後に、母Bが亡くなったとすると、父Aの財産を亡母B2分の1、長男C4分の1、長女D4分の1といった具合に法定相続分によって相続することも可能でしょう。

しかし、亡母Bが相続した2分の1を、今度は長男C、長女Dで2分の1ずつ法定相続するか、遺産分割協議をして法定相続とは異なる割合で相続するかのどちらかになります。結局、2段階で相続することになるのならば、父Aの分と母Bの分をまとめて1回の遺産分割協議で済ませた方が手間は大幅に省くことができるでしょう。

民法条文(法定相続分)
参照元:総務省行政管理局法令データベース(2015年10月、著者調べ)

まとめ


今回は、相続上級編ということで、内容が複雑なものを取り上げました。しかし、一つ一つ紐解いていけば、必ず理解できます。父が亡くなり、落ち着いたころに母が亡くなるということは決して珍しいことではないでしょう。言い換えるならば、相続上級編といえども、誰にでも起こりうる可能性があるということです。本まとめを何度かご覧になって頂き、数字相続の理解を深めて頂ければ幸いです。

※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。