銀行における相続手続きをスムーズに。必要な書類をケース別に詳しく解説!!

大事な方が亡くなると残された家族や親せきは悲しみに包まれます。しかしその方に銀行との取引があれば死亡の事実と共に預金は凍結されて相続手続きを済まないうちは相続人は利用することもできません。悲しみは別として相続手続きは淡々と進めていく必要があります。ここでは相続手続きに必要な書類についてできるだけ分かりやすく説明します。



はじめに

人が亡くなると相続が発生します。その亡くなった方の取引銀行が死亡した事実を知る方法は通常二つのルートがあります。一つは家族から直接銀行に知らされた時、もうひとつは銀行の外交員が営業している間にその事実を知るか、新聞の死亡欄で事実を確認した時です。

銀行は死亡を知ってその方の取引預金がその銀行にあった場合は、即日預金を凍結します。
理由は事実を知ったまま放置しておくと、相続人の一部が勝手に預金を引き出して、のちに銀行が相続をめぐる相続人間のトラブルに巻き込まれることを防止するからです。

以後、銀行から預金を引き出すためには銀行ルールに基づいた相続手続きが必要になります。
以下ではその相続手続きについて詳しくみていきます。



預金相続の手続きに必要な書類

亡くなった口座名義人が遺言を残した場合

遺言がある場合は以下の相続書類が必要になります。

①遺言書…遺言書が公正証書遺言以外の自筆証書遺言・秘密証書遺言の場合は家庭裁判所の検認済み証明書が必要

②死亡した人の戸籍謄本…本人の死亡した日の確認のため必要、本人の生まれた日から死亡までの連続した戸籍謄本が必要

③遺産を受ける遺族・遺言執行者の印鑑証明書…印鑑証明書は本人死亡日以降6ケ月以内に発行されたもの

④遺言執行者選任審判書謄本…遺言執行者が遺言で指定されていなくて、裁判所で選任された場合

⑤遺産を受ける遺族・遺言執行者の実印・取引印

⑥死亡した人の預金通帳・証書

⑦相続関係図届出書…銀行所定のもの

亡くなった口座名義人が遺言を残さなかった場合

遺言がない場合は以下の書類が必要になります。

①死亡した人の戸籍謄本…本人の死亡した日の確認のため必要、本人の生まれた日から死亡までの連続した戸籍謄本が必要

②相続人全員の戸籍謄本…死亡した本人と相続人全員の関係を確認するため必要

③遺産分割協議書…協議書に相続人全員の署名及び実印が押されているもの

④相続人全員の印鑑証明書…印鑑証明書は本人死亡日以降6ケ月以内に発行されたもの

⑤相続人の実印・取引印…相続手続き後、預金の払い戻しに必要

⑥死亡した人の預金通帳・証書

⑦相続人全員の住民票

⑧相続関係図届出書…銀行所定のもの

家庭裁判所から調停調書・審判書が出た場合

家庭裁判所から調停調書・審判書が出た場合とは、通常相続人間で相続の話が決着できず最終的に裁判所で調停ないし裁判で決着したケースを指します。
この場合の必要な書類は以下の二つです。

①家庭裁判所の調停調書謄本あるいは審判書謄本

②預金を相続する人の印鑑証明書

預金相続の手続に必要な書類 – 全国銀行協会
参照元:全国銀行協会(2015年11月 著者調べ)

亡くなった口座名義人が預金取引とともに住宅ローン取引で残高があった場合

死亡した本人の銀行取引が預金だけでなく、住宅ローン取引があって残高がある場合は相続手続きはより複雑になります。以下では二つの対応についてみていきます。

団体信用生命保険に加入していた場合

死亡した本人が団体信用生命保険に加入していた時は、銀行は保険金の請求を行い入ってきた保険金を銀行が受取り、残っていたローン残金と相殺します。
団体信用生命保険の仕組みは被保険者に住宅ローン利用者が、保険契約者に銀行がなって形式的には毎月の保険料を銀行が支払います。

したがって、仮に支払い途中で本人が不慮の死亡や高度障害で返済が不能になっても、その保険金でもってローンの残金と相殺し、ローン取引を終わらせることができます。
このため、相続では住宅ローンに関しこれ以上の手続きはありません。

団体信用生命保険に未加入の場合

一方、死亡した本人が団体信用生命保険に未加入の場合は少し手続きは複雑になります。

もし相続人の中に引き続き、その住宅ローンの債務を引き継ぐ意思のある人がいれば、「債務引き受け契約」を契約し名義変更することで引き続き返済を継続することができます。

しかし本人が死亡した事実によりすでに相続が発生し預金が凍結された状態になっていますので、もし債務を引受する人がいるならば、早期に相続人間で遺産分割協議を済ませ、遅くても次のローンの約定返済日(通常1カ月以内)までにはすべての相続手続きを終わらせておかねばなりません。



銀行相続手続きの問題点と対策

相続手続きは通常一つの金融機関では収まらないケースが多いです。あちこちの銀行と取引しているからです。その場合は一つ一つの銀行と同じような相続手続きを交わさねばならないうえに、もし相続人全員が集合し遺産分割協議並びに署名捺印までするとなると、全員が広域に住んでいた場合は大変です。それゆえ、協議と手続きを効率よく進めるためにも準備が必要です。以下、問題点と取るべき対策を述べます。

①本人が死亡すると、死亡前に長期入院していた時には病院への支払い、あるいはお葬式費用にまとまった額のお金が必要になります。金融機関は必要性の高い緊急支払いにはその凍結預金から引き出すことも協力してくれるのですが(あくまで個々の金融機関の判断によります)、のちのちのトラブル防止のため、事前に相続人全員に了解を求めていたほうがいいと私は思います

②相続人全員が一か所に集まり遺産分割協議を始める時に、死亡した本人の預金の内容を確認するため、銀行に預金残高証明書を発行してもらっていたほうがいいでしょう。

③遺産分割協議は相続人の数が多いと1回の会合で終わりません。しかし最終的に銀行と手続きを行う相続人代表は手続きに必要な印鑑証明書枚数とか他の書類について相続人全員に前もって知らせておくほうが手続きはスムーズに進むと思われます。

④相続手続きの中で遺産分割協議書原本とか、相続人個々の戸籍謄本原本などはその銀行の手続きが終了すれば戻してもらえ、それを他の銀行にも使用できますので、銀行にその旨伝えておきましょう。

その他の相続手続きの注意点

その他の相続手続きとして考えられるのは、死亡した本人が投資信託とか株式を保有していた時です。

投資信託は銀行を窓口として購入できますが、銀行はあくまで販売代理店に過ぎません。相続が発生したら相談窓口はその投資信託を管理している管理会社になります。そちらに相談する必要があります。

さらに株式取引の場合の相続相談窓口は死亡した本人が管理口座を持っている証券会社になります。そちらに相談してください。

まとめ

銀行における相続手続きをケース別に見てきましたがいかがでしたか?
相続手続きは一見非常に複雑難解にみえる手続きですが、細かくみるとほぼ定型化された手続きに過ぎません。銀行と相続人双方の協力を仰ぎながら、効率よく進めていけばそれほど難しい手続きではないと私は思います。

※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、記載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の記載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。