労働基準法で残業はどう決められている?残業代や残業時間は?

残業についての問題で悩む人は多いようです。残業代がつかないことで悩んでいる人もいれば、残業時間が多くて疲れている人もいることでしょう。そもそも労働時間に該当する時間の定義はどうなっているのか、倒産した会社にも残業代支払いを請求できるのか、残業時間100時間は違法ではないのか、などの疑問に答えます。



法定労働時間

一日8時間、一週間で40時間

労働時間は「労働基準法」で定められています。労働基準法32条に定められている内容をご紹介しましょう。

・使用者は、労働者に休憩時間を除き1週間について40時間(※)を超えて労働させてはならない。
・使用者は、1週間の各日については労働者に休憩時間を除き1日について8時間を超えて労働させてはならない。
※特例措置対象事業においては40時間ではなく44時間。特例措置対象事業とは、次の事業を営み且つ常時使用する労働者(パート・アルバイトを含む)が10名未満のものを指します。商業(卸・小売業)、理・美容業、倉庫業、映画・演劇業、病院、診療所等の保健衛生業、社会福祉施設、接客・娯楽業、飲食店など。

そして、残業代についても定められています。

・使用者が、労働者に当該労働させた期間を平均し1週間当たり40時間を超えて労働させた場合においては、その超えた時間について割増賃金を支払わなければならない。

労働基準法
参照元:労働基準法(2015年11月時点、著者調べ)

残業時間の上限

基本が週40時間の労働時間、では残業とはどういう扱いで認められることになっているでしょうか。それは「会社と労働者の話し合いで労使協定が結ばれればその協定の範囲内で残業させる事が認められている」という仕組みになっています。適当に口約束というわけにはいきませんから、労働組合か労働者の過半数をから選ばれた代表者との話し合いで決められ、その内容を書面として労働基準監督署に提出する必要があります。労働基準法で定められているのですね。

とはいえ、上限もしっかり定められています。厚生労働省が告示していますのでご紹介しましょう。一般の労働者の場合、労働延長時間は最も長い場合でも以下の限度時間を超えないものとしなければならない、とされています。

・1週間:15時間
・2週間:27時間
・4週間:43時間
・1ヵ月:45時間
・2ヵ月:81時間
・3ヵ月:120時間
・1年:360時間

時間外労働の限度に関する基準
参照元:厚生労働省(2015年11月時点、著者調べ)

労働時間に該当するのは?

労働時間に該当する時間とそうでない時間の定義を御存知でしょうか。例えば昼休み中の電話当番は労働時間に該当します!他も含めて具体例でご紹介しましょう。

●労働時間に該当

(1)昼休み中の来客当番や電話番: 昼休み中であっても来客や着信があった場合は対応しなければならない場合。

(2)黙示の指示による労働時間:残業をしていることを使用者(社長や上司)が知っているにもかかわらず見て見ぬ振りをしている場合。あるいは、使用者から「(残業は認めていないから)早く帰りなさい」などの指示を受けたことがない場合。

(3)所定労働時間外の教育訓練: 但し、強制ではなく自由参加のものであれば労働時間には該当しない可能性が高い。

(4)着替え時間:着用を義務付けられた制服や作業服などに着替える場合。

(5)仮眠時間:「昼休み中の来客当番や電話当番」と同じ考え方。 使用者の指揮命令下から離脱している、つまり労働者が労働から解放されていることを補償されている状態であれば労働時間には該当しない。一方、警報や電話に対する対応が義務づけられているなどの場合には労働時間に該当する可能性が極めて高い。

(6)出張中での業務内での移動時間

(7)慣行的に行われている始業時間前の簡単な雑巾がけや湯茶の準備:義務的に行わせていたり、実施の拘束があり事実上の強制を伴う当番制として行わせていたりしており、使用者がその強制的な実施を知りながら容認している場合。当番制とせずに任意に行う自発的な場合には労働時間とはならない。

●労働時間(残業時間)に該当しない

(1)通勤時間

(2)出張先への往復時間:但し、物品の運搬自体を目的とする業務の移動時間は労働時間に該当。

労働時間について。労働基準法【労働どっとネット】
参照元:行政書士 高田事務所(2015年11月時点、著者調べ)

昼休みに電話当番を命じた場合、別途休憩時間を与えなければならないのでしょうか。|人事のための課題解決サイト|jin-jour(ジンジュール)
参照元:jin-jour 高田事務所(2015年11月時点、著者調べ)



働き方いろいろ

変形労働時間制

「変形労働時間制」とは一定期間によって働き方を変更できる制度のことです。業務によって暇なときもあれば忙しいときもあります。それを調整することができるということです。労働者の「総労働時間」が労働契約の時間を超えた分については、時間外労働として割増賃金(残業代支払いの対象になる、ということになっています。

一定期間の単位については、1年単位、1ヶ月単位、1週間単位があります。

(1)1年単位の変形労働時間:季節によって繁閑の著しい業種で実施されます。
【制限】
・1日の労働時間:10時間まで
・1週間の労働時間:52時間まで
・連続労働日数:6日まで
・1週間の労働時間が48時間を超える週は連続3回まで、3ヶ月につき3回まで

(2)1ヶ月単位の変形労働時間:月末や締めの時期など、忙しい時期がある場合に、総法定労働時間を超えない範囲で利用します
・総法定労働時間:40時間×変形期間の暦日数/7日

(3)1週間単位の変形労働時間:実施する週の前日までに各労働者に通知することが原則です。
【制限】
・1日の労働時間:10時間まで
・実施できる業種:労働者数30人未満かつ小売業、旅館、料理店、飲食店

労働時間・休日 |厚生労働省
参照元:厚生労働省(2015年11月時点、著者調べ)

フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、研究開発業務やデザイナー、設計業務など労働時間を画一的に定めない方が業務効率の上がる職種に採用されることが多い制度です。法定労働時間(1日8時間、1週40時間(特定措置対象事業場は44時間))を超えて労働させることが認められる制度です。

出勤および退勤の時刻は労働者自身が決めることができ、「必ず勤務すべき時間帯(コアタイム)」と、「その時間帯の中であればいつ出勤および退勤してもよい時間帯(フレキシブルタイム)」とに分けられているのが特徴です。
※コアタイムを設けず、すべての労働時間をフレキシブルタイムとすることもできます。

フレックスタイム制を採用していたとしても、法定労働時間を超えて労働した場合には残業代が発生します。

フレックスタイム制の仕組みと残業代 | 本当に知ってる?残業代の基礎知識 | サービス残業・未払い残業代請求のことなら残業代バンク
参照元:残業代バンク(2015年11月時点、著者調べ)

みなし労働時間制

「労働時間が把握しづらい一部の職種」に対し、「みなし労働時間制」が適用される事があります。わかりやすく言うなら「この仕事には大体○○時間くらい必要だから、細かい労働時間の計算はおいといて1日あたり8時間働いた事とみなしましょう」という制度です。

みなし労働時間制が適用されるのは大きく分けると事業場外労働と裁量労働という2つのケースです。

(1)事業場外労働
例えば一日の大半を客先回りなどに費やす営業マンの場合、会社や上司の目の届かないところで労働しているので労働時間を正確にカウントする事が困難です。このように事業所外で仕事の直接的な命令・監督を受けずに働く場合は「みなし労働時間制」で予め決められた所定労働時間働いたと「みなす」事ができます。
※事業外労働であっても仕事の進行を指揮・監督する立場の上司などが同行する場合やあらかじめ行き先や業務内容などを具体的に指示されている場合、携帯電話などで命令を受けながら働く場合はこの制度は適用できないようです。

(2)裁量労働
特殊な技術などを研究・開発している場合、仕事の進み具合で日々の労働時間が大きく異なります。映画やゲームソフトの製作に関わる労働者や会社の事業展開そのものを取り仕切る労働者は、激務が続く事もある反面、仕事に区切りが付けばある程度まとまった休みが取れたりもします。このように、いちいち指示を受けて働くよりも労働者の判断で自由に仕事を進めたほうが合理的な職種に関しては、その仕事を行うに当たって通常必要とされる時間を予め計算しておき、その時間分働いたと「みなす」事が可能です。
※企画・製作などの仕事であってもチーム単位でプロジェクトを進める場合など「労働者個人に仕事の進め方に関する裁量が無い場合」にはこの制度を適用できません。

では、みなし労働時間制の場合、残業代の扱いはどうなるでしょうか。実際に労働した時間が定められたみなし労働時間以上でも以下でも、その時間労働したことになりますので、みなし労働時間が会社の所定労働時間を超えて設定されている場合にはその分残業代(8時間を超えれば割増賃金についても)がもらえますし、深夜労働や休日労働があれば、その分割増賃金等が別途支払われることになるようです。

「みなし労働時間制」だと残業代は出ないのでしょうか?|おシゴト法律相談所|イーキャリアFA
参照元:イーキャリアFA(2015年11月時点、著者調べ)

残業代を払ってくれないとき

悪質な残業代未払い事例

悪質な残業代未払いの事例も複数あるようです。違法の場合もありますので、ご紹介しましょう。

(1)「うちの会社は残業代が出ないから」と残業代をカット【違法】
「採用時に残業代が出ないことを説明した」、「残業代が出ない旨を記載した雇用契約を締結している」などという理由で、残業代を支払わない会社がありますが、これは違法です。
※「それなら(強行法規である労働基準法に違反しているから)どうせ無効だし、どんなルールでも承諾してしまって大丈夫だろう」と考えるのはNG。仮に違法なルールであっても、それを知っていた場合黙認していたことになります。

(2)定時にタイムカードに打刻させ、残業代をカット【違法】
実際は打刻後に残業をする(させる)ことが判っているのにとりあえず定時にタイムカードに打刻させる会社がありますが、これは非常に悪質であり違法です。その場合には、残業後の実際の退勤時刻を証する記録を残しておかなければなりません。

(3)会社で残業させず、仕事を自宅に持ち帰らせ残業代をカット
この自宅での業務時間も労働(残業)時間に該当します。但し、自己判断によって自宅で業務した場合は残業時間に該当しません。残業しなければならないのであれば自宅に持ち帰らず会社内で行うことが奨められるようですが、どうしても自宅業務を行う場合には「未払い残業代の請求には証拠が必要なため」証拠を残す努力をした方が良いと言えます。

(4)1ヵ月の残業時間上限を勝手に決め、残業代をカット【違法】
「残業代は1ヵ月につき20時間分までしか払わない」などというルールを定め、残業代を支払わない会社がありますが、これは違法です。(1)同様、このルールは原則無効になります。

(5)「年俸制だから」と残業代をカット【違法】
「年俸制だから残業代は出ないことを説明した」、「年俸制だから残業代が出ない旨を記載した雇用契約を締結している」などという理由で残業代を支払わない会社がありますが、これは違法です。
※「年俸制」と「定額残業代制」を複合的に採用している場合には注意が必要です。具体的には、「年俸額に○○○時間分の定額残業代を含む」というようなルールが定められている(就業規則や雇用契約書に記載されている)場合、その定額残業代(残業時間)を差し引いた分のみを請求できるということになります。
※年俸制における基礎時給の計算方法
残業代の計算は基礎時給[基礎賃金(月額給料-除外手当)÷月間所定労働時間]を計算することから始めますが、年俸制においては月額給料額が定かではないことから次のように計算します。
基礎時給=基礎賃金( 年俸額(賞与含む)-年間除外手当(賞与含まず))÷12ヵ月÷月間所定労働時間
※通常、賞与は除外手当に該当しますが、年俸制において賞与は除外手当に該当しません。年俸制であることを理由に残業代をカットされている人は賞与を含んで基礎時給(残業代)を計算できるため、月給制の人に比較すると、より多くの残業代を請求できる可能性もあるということになるようです。

(6)名ばかりの管理職に仕立て上げ、残業代をカット
「課長は管理職だから」などという理由で残業代を支払わない会社がありますが、これは違法である可能性が高いようです。労働基準法で残業代支払い対象外と定められている「管理監督者」と、会社組織上の「管理職」が必ずしもイコールではないためです。会社組織上の「管理職」に仕立て上げれば残業代を支払わなくて済むと制度をよく理解しないままに、あるいは意図的に都合の良い解釈をして採用している会社は多いようです。就業規則で「店長、所長、部長、および、課長などを管理監督者とする」などの旨が定められていたとしても、その規定は無効です。
※労働基準法上の管理監督者に該当するかどうかの判断基準
・経営者と同じ立場で仕事をしている
・経営者から管理監督、指揮命令にかかる一定の権限が与えられている
・出勤、退勤について厳格な制限を受けていない(タイムカードの有無は関係ありません)
・遅刻をしても早退をしても減給などの罰則を受けることがない
・残業代の支払いを受ける場合と比較した場合に、同等以上の給料を受け取っている
・一般労働者と比較して相応の待遇がなされている

(7)残業時間を切り捨て、残業代をカット【違法】
「退勤時刻は15分単位で切り捨てる」などというルールを定め残業代を支払わない会社がありますが、これは違法です。

(8)「フレックスタイム制だから」と残業代をカット【違法】
「フレックスタイム制だから残業代を支払わない」などというルールを定め、残業代を支払わない会社がありますが、これは違法です。

(9)「みなし労働時間制だから」と残業代をカット【違法】
「みなし労働時間制だからだから残業代を支払わない」などというルールを定め残業代を支払わない会社がありますが、これは違法です。

会社側が「有利になるように勝手な解釈をしている」場合もあるようです。労働者側も「知っておく」必要がありそうな知識と言えますね。

よくある悪質な残業代未払い事例 | 本当に知ってる?残業代の基礎知識 | サービス残業・未払い残業代請求のことなら残業代バンク
参照元:残業代バンク(2015年11月時点、著者調べ)

なるべく大人数で請求

「残業代がちゃんと払われてない」、あるいは「明らかにサービス残業だ」という場合は迷わず会社に請求して良いようです。ポイントとしては「可能な限り仲間を集め、文書で請求をする」ということがあります。なぜなら、一人で戦うよりも大人数で請求を行うほうが立場的に有利になるからだそうなのです。

サービス残業をさせているような会社の場合、被害は沢山の労働者に及んでいるため出来るだけ同志を集め、今までのタイムカード等から残業時間と請求する金額を明確にして会社に文書で残業代支払いの催促をするのが良いようです。誰か一人が代表して会社と交渉しようとした場合、会社がその人だけに不利益な処分を下したりする可能性もあるので残業代支払請求は連名で郵便物として出すと良いでしょう。また、会社が書類を受け取った事を隠したりする可能性がある場合は、内容証明郵便などの方法を使うと良いそうです。

何らかの理由で会社を辞めてしまってからでも2年間の間は会社に対して支払いの請求をする事が出来るそうです。未払いの残業代は、言い換えれば会社が労働者に対して借金をしているのと同じですから、退職しただけで支払の義務が消えることは無いということのようです。いじめや嫌がらせに遭って仕方なく会社を自主退職してしまった場合でも、会社の外から遠慮なく請求できるそうです。

泣き寝入りせずに請求してみることが大事と言えます。

残業代を払ってくれない時は? | 労働基準法違反を許すな!労働者
参照元:労働基準法違反を許すな!労働者(2015年11月時点、著者調べ)

会社が倒産しても請求できます

残業代を払えない会社ということは、倒産のリスクもあるかもしれませんね。実は会社が倒産してしまっても「残業代の請求は可能」です。独立行政法人労働者健康福祉機構が「未払賃金の立替払事業」を行っており、これは政府が(倒産した)事業主に代わって立替払するという事業なのです。

●立替払してもらえるのは未払賃金総額又は限度額のいずれか低い額の8割相当分です。
●立替払対象の未払賃金:退職日の6か月前の日から労働者健康福祉機構に対する立替払請求の日の前日までに 支払期日が到来している「定期賃金」と「退職手当」(で未払となっているもの)です。
●ボーナスは、立替払の対象とはなりません。
●未払賃金総額が2万円未満の場合には、未払賃金立替払制度の対象とはなりません。
●限度額は以下の通りです。
【退職日の年齢:未払賃金総額の限度額:立替払の上限額(限度額の8割)】
・45歳以上:370万円:296万円
・30歳以上45歳未満:220万円:176万円
・30歳未満:110万円:88万円

未払賃金の立替払事業
参照元:独立行政法人労働者健康福祉機構(2015年11月時点、著者調べ)

Ⅴ未払賃金立替払に関するQ&A
参照元:独立行政法人労働者健康福祉機構(2015年11月時点、著者調べ)

残業代を請求できない人

法的に「残業代を請求できない人」もいます。注意が必要ですので、ご紹介しましょう。

・土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業に従事する労働者。
・動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他の畜産、養蚕又は水産の事業に従事する労働者。
※理由:事業自体が季節や天候などの自然条件に左右されやすいため規定が馴染まないと考えられるためです。

・労働基準法上の「管理監督者」に該当する労働者。
※理由:課長や部長など管理監督者に該当している労働者である場合、労働基準法上では法定労働時間が適用されないためです。法定労働時間が適用されない管理職は残業が存在しないことになります。ただし、いわゆる「名ばかり管理職」である場合は労基法上管理者とは認められず、一般労働者と同じように残業代を請求できるようです。

・監視を業務とする、常態として身体的または精神的に緊張の少ない、あるいは、休憩時間は少ないが手待ち時間が多い労働者。
※理由:通常の労働者と比較し労働密度が疎であることから、あえて規定で保護する必要はないと考えられるためです。ただし、交通誘導員、新聞配達員、タクシー運転手、常駐消防職員などの緊張や危険が高い業務につく人には労働時間、休憩及び休日に関する規定が適用されます。

法的に残業代を請求できない人もいます | 本当に知ってる?残業代の基礎知識 | サービス残業・未払い残業代請求のことなら残業代バンク
参照元:残業代バンク(2015年11月時点、著者調べ)



労働基準監督署への相談では解決しない?

自分で請求してみなさいと言われる

違法な残業のことで相談したい場合、「労働基準監督署」に行けば何とかしてもらえるのでは?と思う方が多いと思います。しかし、実は相談(労働基準法違反申告)に行くと、ほとんどの場合「まずは会社に対して自分で請求してみてください」と言われるそうです。全国どの労働基準監督署でも同様のようです。

労働基準監督署は労働基準法違反をしている会社を正すことが仕事であり、警察と同じで労働基準法違反の証拠(疑い)がなければ動けないためだそうです。「労働者が請求しても会社が支払わない」、つまり「労働基準法違反の疑い」という事態にならなければ動けないということのようです。
※中には「それは明らかに労働基準法違反ですね!すぐに調査に入りましょう!」と熱意をもって対応してくれる担当者もいるそうですが、滅多にないそうです。 多くの担当者は、彼らのルール通りに「まずは会社に対して自分で請求してみてください」と返してくるそうです。

そのため、基本の解決方法としては下記二通りとなります。

(1)自分で請求する
・残業代を計算(計算書作成し
・請求書(内容証明郵便)をネット上などで入手できる雛型で作成
・郵便局から請求書と計算書を発送。

(2)専門家に依頼する
計算や書類作成の手間を省けることや法的知識のアドバイスを得るための対価として回収額の20%くらいの報酬で依頼できるようです。

依頼する、しないを決める前に「残業代請求相談は無料」という場所もありますので、専門家へ相談するための入り口として活用してみるのも良いでしょう。

労働基準監督署に行っても取り合ってもらえない? | 本当に知ってる?残業代の基礎知識 | サービス残業・未払い残業代請求のことなら残業代バンク
参照元:残業代バンク(2015年11月時点、著者調べ)

残業代請求無料相談センター|普段通り働きながら残業代請求ができる。
参照元:残業代請求無料相談センター(2015年11月時点、著者調べ)

残業時間100時間超え

健康障害リスクが高くなります

株式会社クロス・マーケティングが、首都圏(1都3県)に在住する20歳~64歳の男女を対象に「長時間労働に関する調査」を実施しました。その結果、働き盛りの男性40代のうち約7%が「月の残業時間が100時間を超えている」と回答していることがわかりました。また全体の半数が労働時間に不満を持っていることも明らかになりました。

長時間労働は、命に関わる以下に記す疾患に直結することが医学上明らかに認められています。

●月100時間超、2~6か月平均で80時間を超えると以下のような健康障害リスクが高くなります。
・脳疾患:脳血管疾患で死亡
・心臓疾患:心筋梗塞などで死亡
・精神疾患:最悪は自殺

健康障害リスクが高くなるのにどうして100時間超の残業時間をさせられるのか、理由をご紹介しましょう。

●「時間外・休日労働の労使協定」
これは36協定と呼ばれていますが、具体的な内容は以下となります。
(1)労働基準法において法定労働時間が定められています(週40時間、1日8時間)が、企業経営を行っていくうえでは、業務上において緊急事態が生じることもあります。(=残業を行わなければならない事態)
(2)柔軟に残業させられるようにするための法的根拠として、使用者と労働者の代表者が「法定時間を超えて残業可能」という協定を締結するということが決められました。労働基準監督署に届出しさえすれば、法違反を解除させて、法定外残業を可能としたということです。労働基準法第36条に記載されていることから、通称「36(サンロク又はサブロク)協定」と呼ばれています。
(3)上限は月45時間まで、年間360時間(超えると法違反として処罰の対象)と定められていますが、実はさらに残業させることが可能です。いわゆる「特別条項付き」というものがあるからです。

●特別条項付きとは?
厳密に言えば、この特別条項に月と年間の上限はありません。そのため、月100時間まで設定することもできるのです。しかしながら、「特別条項を発動できるのは年間の半分まで」、つまり最大で半年分までということになります。

法定労働時間を大幅に超えて残業させ、しかも労働者の命にかかわる健康障害が生じる恐れがある場合には労働基準監督署は躊躇することなく、法違反を根拠に送検するということになっているようです。

プレスリリース「長時間労働に関する調査」
参照元:Cross Marketing(2015年11月時点、著者調べ)

月100時間を超える違法な時間外労働で書類送検 | 労働基準監督署・調査対策対応支援.com
参照元:労働基準監督署・調査対策対応支援.com(2015年11月時点、著者調べ)

医師による面接指導を義務付けています

法定労働時間は週40時間までとなっており多くの企業では36協定によって更に残業可能な時間が定められていますが、実は「何時間残業したら長時間労働といえるか」について明確な定義はありません。一応の目安としては、厚生労働省が定めた基準として「月45時間以上」というものがあります。

これは残業が月45時間を超えると、「心身の健康障害リスクが徐々に高まること」が根拠となっています。特に慢性的に残業時間が月80時間を超えてる場合や一時的にでも月100時間を超えてしまった場合は健康障害のリスクが高くなり、仮に健康被害が生じた場合には労災の問題になる場合があるそうです。

残業が増えると睡眠や休養の機会が減り、体を十分にリラックスさせることができなくなります。その結果、血圧上昇や脳・心臓疾患(くも膜下出血や心筋梗塞など)が増加します。例えば月80-100時間程度の残業により、心筋梗塞のリスクは通常時の2倍以上になるというデータがあるそうです。また心身の疲労はうつ病をはじめとした精神疾患の発症にも悪影響を与えるそうです。

長時間労働をしていた従業員が健康を崩した場合、従業員に対する安全配慮義務違反を根拠として、会社に法的責任(労災や民事賠償)が発生することがあります。この責任は本人が自主的に残業をしていたとしても免除されません。うつ病等の精神障害の労災認定については、厚生労働省から詳しい認定基準が公表されています。「月の残業時間が160時間を超えた場合」は、業務以外の要因(家庭の事情や本人の性格など)が明らかではない限り労災認定されます。また「残業が月80時間程度でも慢性的に続いた場合」には、やはり労災認定される可能性が高くなります。仮に労災認定がなされた場合、民事訴訟で会社の損害賠償責任が認められるリスクも高まります。

「労働安全衛生法第66条第8項」では、時間外・休日労働時間が1ヶ月あたり100時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められるときは、医師による面接指導を義務付けています(1ヶ月あたり80時間を超える人については努力義務)。面接の結果残業制限などが必要と判断された場合には、医師の意見書を元に適切な対応をする必要があるようです。

アドバンテッジ リスク マネジメントの産業医・産業保健師サービス
参照元:アドバンテッジ リスク マネジメント(2015年11月時点、著者調べ)

繁忙期に月100~200時間の残業時間を設定することは、可能でしょうか?(人事労務Q&A)|エン人事のミカタ by エンジャパン
参照元:en(2015年11月時点、著者調べ)

長時間労働者への医師による面接指導制度について
参照元:厚生労働省(2015年11月時点、著者調べ)

残業代請求について無料相談も可能です

いかがでしたか?「労働時間」の定義について詳しく知らないまま働いていた方も多いかもしれませんね。残業代について「無料相談」できる場所もありますから、悩んでいる場合は一度相談してみても良いかもしれません。

また、長時間労働をしている方も多いようです。長時間労働をしていると健康障害リスクが高くなることが医学上明らかであることがわかりました。医師との面談による「意見書」で「残業時間制限が必要」と判断してもらえる場合もありますので、体調に不安を感じる場合は積極的に利用すると良いといえるでしょう。

働く環境の悩みに今回の知識を役立ててみてはいかがでしょうか。 *本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。