[帝王切開の費用]どのくらい必要?出産前に知っておきたいコト

逆子や未熟児などで、予定通りの帝王切開で出産される人もいらっしゃると思います。ですが、緊急で帝王切開で出産になってしまうことも意外と多く結構あるんですよね!帝王切開は、手術費用がかさむことも然ることながら、長引く入院費用も気になるところ。出産前に知っておきたい、帝王切開にかかる費用についてご紹介したいと思います。



帝王切開での出産について

みなさんも出産を迎える際は、自然分娩を希望する方が多いかと思います。しかし、厚生労働省の調べによると、帝王切開で出産されている方は、年々増加傾向にあるということが明らかになっています。昔に比べると、医療技術の進歩により安全性も高いことから、帝王切開による出産を希望する人も多くなったのかもしれません。特に、高齢出産が増えている昨今、母体への負担を減らすという意味での帝王切開による出産が増えていることも確かでしょう。

また、「予定していた帝王切開」だけでなく、「緊急な帝王切開」による出産になることも有り得るでしょう。帝王切開で出産するとなると、手術費用だけでなく、長引く入院費用もかさむことになることが予想されますね。もしかしたら、帝王切開による出産になり得るかもしれない方、または念のため知っておきたい方も「帝王切開の費用」とは、一体どれくらいの金額が必要となるのか?みていきましょう。

帝王切開娩出術割合:厚生労働省
参照元:厚生労働省(2015年11月時点、著者調べ)



帝王切開で出産する理由とは?

定期健診にて、経膣分娩だと母子共にリスクが大きいことがわかっている場合、ママと赤ちゃんの安全を第一に考え、医師から帝王切開を勧められることがあります。これは、「予定されて行う帝王切開」の手術です。37週以降に日程を決めて実施するため、事前に家族の予定などを調整することが出来ます。

予定されて行う帝王切開とは?

■児頭骨盤不適合
骨盤より赤ちゃんの頭が大きい場合、又は、お母さんの骨盤が変形しているなどで、赤ちゃんが骨盤を通ることができない場合に赤ちゃんの安全を優先して、帝王切開となることがあります。

■前置胎盤
胎盤が部分的、又は完全に子宮口を塞いでしまっている場合、帝王切開による出産になると思います。経膣分娩では、赤ちゃんが産道を通れない上、更に赤ちゃんが出る前に胎盤がはがれる恐れあるため、帝王切開になることがあります。

■重症妊娠高血圧症候群
お母さんの高血圧症状が重い場合、母体に危険をきたすことが予想されます。また、胎盤の機能が低下する恐れもあり、赤ちゃんへ酸素が十分に行き届かないことも考えられるため、帝王切開になるでしょう。

■子宮内胎児発育遅延
お腹にいる赤ちゃんの発達が異常に遅かったり、分娩前に胎盤がはがれ落ちる危険性も考えられるため、帝王切開で予定より早めに赤ちゃんを出すことも考えられます。

■多胎妊娠
双子であれば、経膣分娩も可能である場合がありますが、母子共に多少のリスクが高くなります。三つ子以上であれば、母体の安全を優先するため、たいていは、帝王切開になる可能性が高くなるようです。

■骨盤位(さかご)
子宮内で赤ちゃんの頭が上にある胎位を骨盤位といいます。骨盤位の場合、経腟分娩には母子ともに多少のリスクを伴うため、医師の判断により、帝王切開になることが多いでしょう。

予定していなかった帝王切開とは?

■緊急帝王切開
出産時に「分娩停止」や「分娩遷延」など、経腟分娩の進行が途中で止まってしまうこと。他にも、胎盤がはがれてしまう「常位胎盤早期剥離」、子宮筋が破裂してしまうなど、緊急対応が必要となることもあります。

医師により「経膣分娩は危険」と判断された際は、緊急に帝王切開での出産となります。突然、「帝王切開手術同意」を迫られるため、焦る方も多いかもしれません。しかし、母子共の安全を最優先に考えての医師の結論です。驚きのあまり取り乱さないようにしましょう。

出産にかかる費用とは?

帝王切開にかかる費用は、自然分娩に比べるとどのくらい差があるのでしょうか?自然分娩にかかる費用と比較しながら、見ていくことにしましょう!

自然分娩でかかる費用は?

厚生労働省の調査によると、経膣分娩でかかる自己負担額の平均は、約42万円という値が出ています。自然分娩は、保険適用外のため、とても高額です。お住まいの地域によって、妊婦検診などの費用が自己負担、または無料であったりもするため、一概に費用を算出することが出来ないと言っても良いでしょう。

また、出産する病院が、
・大学病院
・総合病院
・個人病院

などの違いや入院日数によっても、費用に差が出てくるでしょう。セレブが出産するような個人病院は、金額も桁違いのような気がしますので、ここでは、日本赤十字社医療センターの料金体系を例に見てみることにしましょう!

■自然分娩(通常)の概算額
・入院期間4-5日間 : 570,000円 ~610,000円
・入院期間6-7日間 : 640,000円 ~680,000円

■自然分娩(ハイリスク対象)の概算額
・入院期間4-5日間 : 640,000円 ~ 690,000円
・入院期間6-7日間 : 740,000円 ~ 800,000円 ※下記の場合、ハイリスク対象出産となります。

■妊娠32週未満の早産
■多胎妊娠
■40歳以上の初産婦
■現在治療中の疾患がある方
■妊娠高血圧症候群重症
■妊娠中または出産時に開腹手術を行う方など ここにある概算額は、平均的な入院をもとに算出された金額になります。そのため、

・室料(部屋代)の差額については、別途発生する可能性があります。
・妊産婦さんの状態や合併症の有無によっても、金額や入院日数は異なることがあります。
・健康保険法に基づき、深夜または緊急の時間外異常分娩は、割増料金が発生します。
・双子の概算額は、+35万円となります。(新生児の費用は、全て赤ちゃんの数倍となる計算です。)

帝王切開でかかる費用は?

ここから、「帝王切開分娩」のかかる費用をみていきましょう!帝王切開の場合、自然分娩とは違い、保険適用になることが大きなポイントです!

■手術料
■投薬料
■検査料
■入院費

については、健康保険が適用となります。 ■帝王切開分娩(通常)
・入院期間6-7日間 :630,000円 ~ 650,000円

■帝王切開分娩(ハイリスク)
・入院期間6-7日間 : 690,000円 ~ 720,000円 帝王切開でかかる費用のうち、手術費用は、地域や医療機関に関わらず、221,600円(32週未満の早産の場合は、245,200円。平成24年診療報酬点数表より)となります。このうち、3割が妊産婦の自己負担となっており、出産費用に加算されている計算です。

・(帝王切開手術代)221,600×(3割)0.3=66,480円

帝王切開でかかる「手術代」については、自己負担額:66,480円という計算になります。

また、入院費については、自然分娩の入院期間が出産後で4〜5日となるのに比べ、帝王切開で分娩した場合、平均の入院期間が6〜7日となっています。その日数が増える場合、さらに入院費がかさむことになります。入院費が1日約2万円だと仮定したら、帝王切開の場合は、3日分で約6万円程度の負担ある計算になりますね!しかし、医療保険が適用される分、思っていたほど自然分娩の費用との差は出ないようです。

入院費用:日本赤十字社医療センター
参照元:日本赤十字社医療センター(2015年11月時点、著者調べ)



帝王切開で利用できる制度や手当は?

出産育児一時金の支給

妊娠4ヵ月(85日)以上で出産した際、健康保険より支給される「出産育児一時金」です。1児につき、42万円が給付されます。双子の場合は、2名分支給されるものです。
また、自然分娩や帝王切開だけでなく、早産・流産・死産、人工妊娠中絶のいずれも支給対象となっています。
※但し、妊娠22週未満での出産や、産科医療補償制度に未加入の医療機関等における出産の場合においては、「39万円」の支給となっております。(平成27年1月1日以降の出産は40.4万円)となります。 また、この「出産育児一時金」については、出産前に被保険者(出産する本人)と医療機関(病院)が「出産育児一時金の支給申請及び受取りに係る契約」を結ぶことで、病院が本人に代わりに健康保険組合へ「出産育児一時金」の申請を行うことが出来ます。そのため、病院が「出産育児一時金」を直接受けることができる制度です。

出産育児一時金の支給が、健康保険組合から直接医療機関等へ支払われるため、本人は病院窓口で高額な出産費用を支払う必要がなくなります。多額の費用を準備する心配が無くなるという点で、メリットだと思います。
※この、直接支払制度を利用できるかどうかは、出産予定の医療機関等へご確認下さい。

また、出産にかかった費用が出産育児一時金より少ない場合、その差額が被保険者等に支給されるため「健康保険出産育児一時金内払金支払依頼書・差額申請書」の提出が必要となるでしょう。

出産育児一時金について :全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会(2015年11月時点、著者調べ)

高額療養費制度(限度額認定証)

高額療養費制度とは、病院(医療機関)や薬局で支払った額が、1カ月(月の初めから終わりまで)で一定額を超えた場合、その超えた金額を支給される制度です。この制度は、年齢や所得に応じて、本人が支払う医療費の上限が定められており、いくつかの条件を満たすことにより、さらに負担が軽減する仕組みとなっています。

また、帝王切開などで入院・手術費用などが高額療養費の給付対象となる場合、事前に認定を受けることも可能です。事前に認定を受けると、窓口での支払いは自己負担限度額までとなり、負担が少なくなります。(限度額認定証)

■70歳未満の方の場合は、

1か月の負担の「上限額」を算出する方法は、以下のとおりです。

・上位所得者(月収53万円以上の方):150,000円+(医療費-500,000円)×1%
・一般:80,100円+(医療費-267,000円)×1%
・低所得者(住民税非課税の方):35,400円

ここでは、「一般」ということで上限額の計算をしてみましょう。

(例えば)医療費総額で約30万円かかったとします。そのうち、自己負担額の3割である、9万円を窓口にて支払いました。

・一般の上限額:80,100円+{(医療費総額)300,000円-267,000円}×0.01=80,430円

80,430円が「上限額」となりますので、窓口で支払った9万円から、この上限額を差し引くと、

・(自己負担した額)90,000円-(上限額)80,430円=9,570円

9,570円が支給されることになります。支払った金額が多ければ、さらに戻る金額も多くなると考えて良いでしょう。医療費がかさむ方には、とても便利な制度ですね!

高額療養費制度:厚生労働省
参照元:厚生労働省(2015年11月時点、著者調べ)

出産手当金(保険組合)

出産手当金は、出産日(出産が予定日より後になった場合は、出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から、出産日の翌日以降56日までの範囲内で、会社を休んでいる間、給与支払いが無い期間を対象としてもらえる手当です。1日につき、標準報酬日額の3分の2に相当する金額が支給されます。但し、出産手当金の額より少ない給与が支払われている場合は、その差額が支給されます。 ■会社を退職する場合、次の2点を満たしていれば、退職後も引き続き「出産手当金」の支給を受けることができます。

(資格喪失後の継続給付)
・被保険者の資格を喪失をした日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間(健康保険任意継続の被保険者期間を除く)があること。
・資格喪失時に出産手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること。

出産手当金について: 全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会(2015年11月時点、著者調べ)

医療費控除還付金(確定申告)

所得税を払っている方で、年収103万円を超えた人(共働きならどちらか一方)が申告できます。1年間(1月1日~12月31日)に家族全員の医療費が10万円を超えた人、又は、所得が200万円未満で1年間の医療費が所得の5%以上になる人が対象となります。
医療費として認められるのは、以下のようなものです。

・妊娠定期健診、検査費用
・出産の入院費用
・通院にかかる交通費
・事情により入院等で使用したタクシー代
・不妊治療費
・治療に必要な薬代
・市販の薬代(風邪薬、胃腸薬など)
・治療のためのマッサージや指圧代
・子どもの健診費・入院費・通院のための交通費

などが該当します。 ■医療費控除額の計算方法は、下記の通りです。

・医療費控除額=(医療費控除の対象になる医療費 - 保険金等で補てんされた金額)-10万円(総所得200万円未満の人は総所得金額等×5%)

「保険金等で補てんされた金額」とあるように、医療費から差し引かなくてはいけないお金があります。以下のようなものです。

・出産育児一時金(出産手当金は引かなくてもいいです)
・高額療養費
・生命保険や、損害保険の支払い保険金
・医療費の補てんを目的としてもらう損害賠償金
医療費がかかった翌年の住民税が自動的に下がりますので、ぜひ申告すると良いでしょう!

※申請に必要な領収書や領収書のない交通費のメモ書きなどは、申請書と一緒に提出する必要があるため、きちんと保管して置くことをおすすめします。

医療費を支払ったとき(医療費控除):国税庁
参照元:国税庁(2015年11月時点、著者調べ)

まとめ

ここまで、帝王切開に関する費用、またその際に利用できる制度等をみてきましたが、いかがでしたでしょうか?帝王切開での出産は、健康保険が適用になることもあり、思っていたほど自然分娩との差が無いことが判りましたね!また、いろいろな制度を活用すれば、病院の窓口で負担しなければならないお金についても、高額費用を準備する心配が無いということがわかりました。これから、出産を予定しているみなさん、これを参考に出産に向けてのプランを立ててみてはいかがでしょうか! ※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。 従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。