出産費用一時金|具体的な給付額と利用方法を経験者が教えます!

保険証を持っているなら「出産育児一時金制度」を利用して給付金をしっかり確実にもらっておきましょう。仕事継続で産休中なら「出産手当金」ももらえます。筆者のリアルな体験談も交えて解説します。



出産費用一時金について知ろう

出産にはたくさんのお金がかかります。

筆者の出産のときのリアルな金額ですが、年末調整の際に医療費控除書類に添付した明細を見ると妊婦検診・薬代だけで8万5千円もかかっていました。そして他にもマタニティ用品・ベビーの出産準備・体調不良で仕事を休み等でお金はどんどん飛んでいきました。しっかりもらえるお金はもらっておきたいですね。

今回は出産でもらえる給付、出産費用一時金についてご紹介していきます。

出産育児一時金って?

出産育児一時金は健康保険に加入している人が出産する際にもらえる給付金です。出産は保険が効かないため、全額負担となり50万くらいかかります。その費用を補助するための給付です。お金は健康保険組合から支払われます。被保険者が出産したことに対する給付なので、自分で健康保険を払っていなくても扶養になっているなどして保険証を持っている人であれば誰でももらえるお金です。

保険組合によっては、被保険者に対する給付は「出産育児一時金」、被扶養者である家族に対する給付は「家族出産育児一時金」というように呼び方を分けている場合もあります。

【ポイント】
・妊娠4ヵ月(85日)以上で出産(健康保険法でいう出産)をしたときもらえます
・双子だったら倍もらえます
・きちんと申請しないともらえません

出産に関する給付 | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
参照元: 全国健康保険協会(2015年11月時点、著者調べ)

間違えないで!「出産育児一時金」と「出産手当金」

このふたつの似た単語に何度頭が混乱したことでしょう。まったく別物なので注意が必要です。

「出産育児一時金」も「出産手当金」も健康保険から出るお金です。しかし「出産手当金」は自分で健康保険料を継続して払っていないともらえないのです。また、加入しているのが国民健康保険の場合も支給されません。正社員やパートで会社勤めをして保険料を払っているママ向けといえましょう。

ちなみに「出産手当金」は産休中のお給料の2/3が給付される制度で、勤務表や賃金台帳を元に金額が決まります。傷病手当金の制度に似ています。

出産で会社を休んだとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
参照元: 全国健康保険協会(2015年11月時点、著者調べ)



出産費用一時金の金額

出産手当金はお給料の一部が支払われるものなので、人によって金額が異なります。ここでは一律に支払われる出産育児一時金の金額についてご説明します。

出産育児一時金はいくらもらえる?

出産育児一時金は、平成27年(2015)時点では42万円が基本的な給付額です。

健康組合の懐事情にもよりますが、お祝い金として3万程度プラスされることもあります。また市区町村からも出産お祝いとして給付金があったり、産直品のプレゼントがあったりしますが、どのママももらえるのは子供ひとりあたり42万です。

出産育児一時金の支給額・支払方法について |厚生労働省
参照元: 厚生労働省(2015年11月時点、著者調べ)

出産費用は42万円じゃ足りないかも?

出産育児一時金の給付金額の根拠については公的な文章で説明しているものがあります。知りたい場合は、厚生労働省保険局社会保障審議会の「出産育児一時金について」という文章をみると参考になります。平成24年の平均入金日数は6日間で出産入院にかかる費用は平均417,064円だそうです。ただしこれには差額ベット代金の平均14,635円と出産お祝いのスペシャル演出(お祝い膳など)の25,363円が含まれていません。

豪華なやアメニティやフルコースディナーなどがある病院も増えてきて、42万円じゃ足りないこともあるでしょう。筆者の出産の際は陣痛から分娩が長く唯一空いていた一番いい個室にしかも1日多くいたためか、60万円かかりました。地域は首都圏です。

産院は家から一番近いところという理由で選んだので、ご飯もおいしいけれど普通で特に過度に豪華ではなかったと思います。特に差額ベット代・処置の時間外割増費用ぶんについては、想定外にかかりました。産む日や時間はいつになるかわからないので、本人の希望でなくても産院が混んでいて個室しか空いていなければ高くなるし、土日に産んだら高くなります。自分の中では安い方で見積もっていたので誤算でした。

まだ出産する病院を決めていないママもいると思います。産婦人科のある病院では、出産費のだいたいの見積をもらうことができます。一覧表になって細かくオプションも書いてあることが多いです。全国平均値がだいたい出産育児一時金の42万+他費用4万で46万くらいと思っておけば、少しめやすになるのではないでしょうか。

出産育児一時金について(平成26年第74回社会保障審議会医療保険部会)
参照元: 厚生労働省保険局(2015年11月時点、著者調べ)

出産育児一時金は30万?35万?

出産費用一時金の金額について、昔のサイトや書籍を見ると出産育児一時金が35万や30万と書いてあるものもあります。間違っているわけではなくて昔は金額がもっと少なかったということです。ママが自分のお母さんに聞くとそんなものなかったわよと言われるでしょうし、お姉さんに話すと今はそんなにたくさんもらえていいわねと言われるでしょう。

・平成6年に出産一時金制度ができる。一律同額支給となる。30万円。
・平成18年10月以降は35万円。
・平成21年10月以降は38万円。
・平成21年10月~平成23年3月は暫定で42万円。
・平成23年4月に原則42万円を恒久化(平成27年11月時点42万円)。

出産育児一時金は分娩にかかわる費用は一律負担をなくすことが必要ということで、世帯の収入にかかわらず同じ額を支給することを目的に作られました。そんな理由もあって平均的な出産費用を元に金額を決めているので、出産にかかる費用が増えてきたのをうけて増額されてきたのです。それでも近年の出産にかかる費用の高騰にまだまだ追いついていないのが現状です。

出産育児一時金制度について(平成22年第40回社会保障審議会医療保険部会)
参照元: 厚生労働省保険局(2015年11月時点、著者調べ)

出産育児一時金のもらい方は3通り!

1.直接支払制度

直接支払制度は「給付金との差額を支払う」または「給付金との差額をもらう」方法です。直接支払制度の場合は、手続きを病院に代理でお願いする形になるので、病院の用意する合意書に署名するだけでOKです。病院の受付の方が対応してくれるのでわからなければ聞けばすむので安心です。

退院時に必ず保険証が必要になるので、扶養にはいってすぐで保険証が無いというようなタイミングになる場合は制度を利用できないことも視野にいれて準備したほうがいいかもしれません。

差額の返金がある場合は「出産育児一時金差額申請書」が必要になってきますが、入金を特に急がない場合は「支給決定通知書」(病院への支払いが終わった連絡)が健康保険組合から届いてからの手続きになるのでゆっくりでも問題なかったです。筆者は準備していましたが無駄になりました。

【ポイント】
・扶養家族としての保険証を持っている場合は被保険者本人(夫や両親)の署名が必要
・退職した会社の健康保険組合から給付を受ける場合は「被保険者資格喪失等証明書」が必要
・付加給付がある場合はそのぶんはもらい方が異なるのでしっかり確認

2.受取代理制度

一方、受取代理制度は「申請して医療機関に振込してもらう」方法です。利用できる医療機関が直接支払制度より少ないので、あまり発生しないケースかもしれません。受取代理制度を利用する場合は、出産予定日の2カ月前に自分で健康保険組合に申請をする必要があります。

【送付書類】
・「出産育児一時金等支給申請書(受取代理用」…自分で書いてから病院に記入を依頼する
・添付書類:出産予定日を証明できるもの(母子手帳の1ページ目など)

差額の返金がある場合、受取代理制度では申請時に被保険者の振込口座も通知するため後になにかする必要はありません。

3.裏ワザ!産後申請

直接支払制度を使わずに分娩費用を全額自分で支払い、あとから給付金をもらうやり方もあります。クレジッドカードを利用できる病院がほとんどなので、数十万円ぶんのポイントを一気に貯めるためにこの方法をとるのもありです。産後申請してから1カ月から2カ月程度後に支払われるので、クレジットカードの口座に余裕があるかどうかも確認してから活用したほうがよいかもしれません。

ただ、ポイントの少額のリターンに目を奪われたために、産後給付金をもらい忘れたということがないように気をつけましょう。病院としては直接支払制度の方が支払いもれも少なく確実なので、そちらを進められるとは思います。出産育児一時金の申請期限は2年ですが、1日でも過ぎるともちろんもらえません。

【ポイント】
・限度額にひっかからないように注意
・「健康保険出産育児一時金支給申請書」は妊娠中に準備して書けるところは記入
・送付するときの封筒もあらかじめ用意しておき、心配であれば記録郵便などにする

【送付書類】
・「健康保険出産育児一時金支給申請書」…医師か市区町村の証明が必要
・直接支払制度を利用していないことが証明できる書類

子どもが生まれたとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会(2015年11月時点、著者調べ)

もらい方をいつまでに決める?

いつ出産育児一時金のもらい方を決めなければいけないかというと、出産する病院を決めて予約をするときです。その際に予約金の支払いと一緒に、直接支払制度(ないしは受取代理制度)を利用するかどうかを聞かれると思います。



出産手当金の申請の段取りはこう!

産休をとる前にスタート

出産手当金は産休をとる場合に、その間の給与の代わりとして支払われる給付金です。給与の一部が支払われるため、申請も会社を通して行います。出産手当金の書類は総務の方に確認してあらかじめ準備しておきましょう。

会社の人が知っているはずだからと指示待ちになってしまわないで自主的に報告するほうが不安も減るのでよいと思います。社内で産休・育休というのはそう何度もやる業務ではないかもしれませんし、どんどん制度も変わります。しっかりお金をもらうためにも「産休とりたいんですけどどうすればいいんですか」というような受け身の態度をとることはおすすめしません。

筆者も初の産休取得者だったので、以下のようなまとめをつくっておきました。当時は産休中の社会保険料免除がなかったのでその手続きは含まれていませんが、ある程度は参考になるかと思いますので当時のドキュメントから抜粋します。

■スケジュール
・出産予定日 :いつ
・産休(産前6週):いつから~いつまで
・産休(産後8週):いつから~いつまで
・育休1:いつから~いつまで
・育休2:いつから~いつまで

■出産・育休に関する書類手続き

【健康保険】
・出産手当金…産休中の無休期間に対する手当
提出書類:「健康保険出産手当金支給申請書」
添付書類:賃金台帳・出勤簿(産休期間)
期限:某月末まで

・育児休業保険料免除…育児休暇中は被保険者分及び事業主分とも社会保険料徴収免除
提出書類:「育児休業等取得者申出書」
期限:育児休業開始後すぐ

【雇用保険】
・育児休業給付金
提出書類1:「育児休業給付受給資格確認・(初回)支給申請書」
提出書類2:「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」
添付書類:母子手帳のコピー・賃金台帳・出勤簿
期限(初回):某月末まで
   ※産休開始月から数えて4か月以内に申請しないと受給資格が即失効します

出産したら会社に連絡して書類を提出!

出産したら「健康保険出産手当金支給申請書」に追記しましょう。出産手当金は産休を何月何日までとったか、標準報酬月額がいくらかが確定しないと申請できないのであまりあせる必要はありません。申請期限は2年ありますが、ベビーの一カ月検診がすぎたら会社に書類をお願いしたほうがよいかと思います。

【やること】
・自分で産休の期間を調べて書く
・病院に医師記入欄の記入を依頼する

医師記入欄は、入院の時に持って行って書いてもらってもいいですし、新生児は1カ月後に検診があるのでそのときでもいいと思います。

自分でできるところまで書いたら、会社に書類を郵送して続きの手続きをお願いします。このあとの会社の処理が進まず困っている旨の知恵袋などがよくありますので、さりげなく記録が残る郵便で送るのがおすすめです。

自分で提出することもできるので、記入部分と添付書類を説明して返送してもらったほうがかえって楽かもしれません。筆者の場合、会社の担当の方はスムーズに処理してくれたのですが、電子申請をした際に私の字が汚くて自宅住所の記載ミスがありました。その後書類に不備があり健康保険事務局から自宅に書類が戻ってきたのですが、もし住所がもっと間違っていたらあやうく書類が迷子になるところでした。

健康保険事務局から書類が戻ってくるのが会社ではなく本人宛てになることでよくわかると思いますが、出産手当金は被保険者本人が提出するもので、会社は代理で申請をしてくれているにすぎないのですね。金額も大きいですからしっかりと自分で管理して給付金をもらいましょう。

まとめ

出産費用一時金についてまとめてきました。少しでもお役に立てれば幸いです。妊娠中のママや出産直後のママが調べものでたどり着いているページかと思いますので、最後にエールをおくらせてください。

筆者は妊娠中、つわりでトイレの住人となり、職場に休みの電話をした後よくひとり泣いていました。出産後はまともに歩けず階段を登れず、ろくに家事もできずに宅配弁当の手配をするので精一杯でした。つらさは人によって違いますが、妊娠中・出産直後はとても大変です。決して無理をせずに、ゆったりと過ごして下さいね。 ※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。