生前贈与で相続税を減らす技【小金持ちから大金持ちまで必見の6選】

生前贈与は相続税を減らす有効な方法です。自分のためにお金を使って減らすのも良いですが、子どもや孫のために今から資産を分けることで生きているうちに喜ぶ顔を見るのも良いですよね。



生前贈与の意味は?相続税との関係は?

「生前贈与」とは、生きているうちに財産を誰かに譲ることです。 その目的は相続財産(亡くなった後に渡される財産)のいくらかを、あらかじめ生前に渡しておくことで相続財産を減らすことです。それによって相続税を減らすことができます。生前贈与行うと相続税は減りますが贈与税がかかります。

相続税の基礎知識

相続税法は2015年1月に大きな改正がありました。特に幅広い層に影響があるのが、基礎控除の引き下げです。改正前の基礎控除は、遺産総額が”1,000万円×法定相続人+5,000万円”でしたが、引き下げにより”600万円×法定相続人+3,000万円”となりました。

No.4102 相続税がかかる場合|相続税|国税庁
参照元:国税庁HP(平成27年11月著者調べ) 基礎控除の計算に出てくる“法定相続人”とは、法律で定められた相続人(遺産を受け取る権利がある人)という意味です。法定相続人は配偶者と子どもになる場合が多く、子どもがいない場合は配偶者と両親になります。両親もいない場合は配偶者と兄弟姉妹となります。配偶者がいない場合の優先順位は子ども・両親・兄弟姉妹となります。優先順位がより上位の相続人がいる場合は下位の人は法定相続人とはなれません。

No.4132 相続人の範囲と法定相続分|相続税|国税庁
参照元:国税庁HP(平成27年11月著者調べ) 基礎控除が下がると相続税の納税対象者が増えます。たとえば遺産総額が6,000万円、妻と子ども2人の合計3人が法定相続人となった場合、相続税法の改正前であれば≪1,000万円×3人+5,000万円≫で8,000万円の基礎控除があったため相続税は非課税で済みした。ところが今回の改正で、この場合だと基礎控除は≪600万円×3人+3000万円≫で4,800万円となるため、相続税の支払い対象者となったのです。

基礎控除が下がることによる影響は相続税の課税対象者が増えるだけでなく、改正前から相続税の対象となっていた人には大幅な増税となったということです。先ほどと同様に法定相続人が妻と子供2人の合計3人であった場合で資産が1億であった場合を考えてみます。改正前では基礎控除が8,000万円だったので課税遺産は≪1億円-8,000万円≫で2,000万円です。この時、配偶者と子どもの納税額合計は200万円(注1)でした。これが改正後は課税遺産が≪1億円-4,800万円≫で5,200万円となります。納税額は630万円にまで上がっています(注2)。基礎控除で減らせたはずの課税財産が減らせない影響は非常に大きいのです。

(注1)(注2)法定相続分で分割し、減免措置等を一切考慮していません

No.4155 相続税の税率|相続税|国税庁
参照元:国税庁HP(平成27年11月著者調べ) それでは相続税がかからないように生きているうちに財産を相続人などに渡してしまえばいいという発想になりますよね。生きているうちに財産を渡すことは“贈与”となり、贈与する財産の額によっては贈与税が課税されます。

贈与税の基礎知識

贈与税は累進課税方式といって、贈与を受けた金額が多くなるほど税率が高くなるしくみになっています。贈与税の一般税率で計算すると、贈与額が200万円の場合では贈与税額は9万円です。贈与額が倍の400万円になると税額は35万円になります。さらに倍の800万円の場合は145万円です。これでも減税後の税率ですので、改正前はもっと高額でした。

No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|贈与税|国税庁
参照元:国税庁HP(平成27年11月著者調べ) なぜ贈与税が高い理由は相続税を逃れることを防止するためです。贈与税と相続税は「相続税法」という1つの法律の中で定められています。相続税を定めるにあたって、生きているうちに推定相続人(相続人になりそうな人)に財産を贈与することで税金が徴収できないことを避けるために作られたのが贈与税です。つまり、下手に贈与をしてしまうと相続税よりも高い税金を払うことになってしまいます。相続税も贈与税も高いのであればどうすれば良いのでしょうか?



非課税制度を使って生前贈与をする方法4選

贈与税には非課税制度が多くありますので、非課税制度を活用して贈与することにより少ない税金で資産を子どもや孫に渡すことができます。年間110万円までの贈与は贈与税の基礎控除で課税されることはありません。基礎控除以外の非課税制度には次のようなものがあります。

・配偶者控除
・住宅取得資金の贈与の特例
・教育資金一括贈与の非課税制度
・結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置

それぞれ簡単に説明します。

非課税制度①-配偶者控除-

20年以上の婚姻期間がある夫婦間で贈与を行う場合は特別な制度があります。居住用の不動産か居住用の不動産を取得するための資金を贈与する場合には最高2,000万円を控除することができるのです。贈与税の基礎控除である110万円と合算すると2,110万円までの財産を非課税で贈与することができます。

この制度を利用できるのは1度きりで、適用を受けるためには贈与を受けた翌年に申告をする必要があります。制度を適用することにより贈与税の支払いがなかった場合も申告は必要です。この制度は相続開始前3年間の相続財産の加算対象ではないという利点もあります。

No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除|贈与税|国税庁
参照元:国税庁HP(平成27年11月著者調べ)

非課税制度②-住宅資金の贈与-

住宅資金を子どもや孫のために出してあげたいという場合は「住宅取得資金の贈与の特例」を使って生前贈与ができます。対象となる住宅は床面積が50~240平方メートルでその面積のうち半分は居住用である必要があります。住宅は新築でなくても中古住宅でも大丈夫です。中古住宅の場合は贈与時の築年数が耐火建築物で25年以内、それ以外は20年以内のものに限られます。こちらは地震に関する安全基準に適合していれば築年数の制限はありません。

省エネ住宅を購入する場合は1,000万円までが非課税となり、それ以外の住宅は500万円までが非課税となります。財産をもらう人の要件としては贈与者の子どもや孫であり、20歳以上かつ、贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であるということです。この制度も相続開始前3年間の相続財産の加算対象ではありません。

No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|贈与税|国税庁
参照元:国税庁HP(平成27年11月著者調べ)

非課税制度③-教育資金の贈与-

生前贈与のお金を教育のために使って欲しい時に役立つ非課税制度は「教育資金一括贈与の非課税制度」です。教育資金一括贈与の非課税制度は子どもや孫1人につき1,500万円までの教育費を非課税で贈与できる制度です。この制度を利用するには贈与する人が銀行や信託銀行などの金融機関に教育資金口座の開設を行い、教育資金を一括で預けることが必要です。手続きは金融機関の窓口で子どもや孫名義の教育資金専用の口座を開設して贈与資金を入金することにより完了します。名義人しかお金を引き出すことはできず、未成年の場合は親が代理人として引き出します。贈与者は資金を引き出したり解約することはできません。

この資金を使える対象は学校の入学金や授業料以外にも学校を通じて支払う修学旅行費・遠足代・給食費などです。教育資金をもらう人にも要件は贈与する人の子どもや孫であり、30歳未満であるということです。30歳になった時点で教育資金の口座に残っているお金には贈与税の課税対象となりますので、申告が必要となります。この制度も相続開始前3年間の相続財産の加算対象ではないという利点があります。

No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税|贈与税|国税庁
参照元:国税庁HP(平成27年11月著者調べ)

非課税制度④-結婚・子育て費用の贈与-

新しい生前贈与の非課税制度としては「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」があります。この制度は平成27年4月から開始となりました。期間限定で平成27年4月1日から平成31年3月31日までの贈与に限られます。この制度で受贈者となれる人は20歳以上50歳未満の人です。贈与者は受贈者の父母や祖父母となります。結婚や子育てのための資金1,000万円までの贈与が非課税となる制度で、金融機関等の営業所等を経由して結婚・子育て資金非課税申告書を提出することにより贈与税が非課税となります。税務署などには行く必要がなく、金融機関で専用の口座を作るなどの手続きを行うことで完了します。

父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし|パンフレット・手引き|国税庁
参照元:国税庁HP(平成27年11月著者調べ)

相続税よりも贈与税を払う方が得な場合もある

非課税制度の多くは贈与資金の使い道が決められています。住宅や教育のためのお金が不要であれば、これらの制度は使えません。これらの制度を使わず、多少の贈与税を払っても相続税に比べれば少ない税金で済む場合もあります。

相続税額と贈与税額の分岐点

相続財産と法定相続人、相続財産の分け方によって相続税額は変わりますので、現状であればいくらの相続税がかかるか確かめる必要があります。相続税の額によっては毎年生前贈与を行って贈与税を支払った方が安くなる場合もあります。



おススメの生前贈与はこれ!

おススメ①【生命保険で納税資金も確保】

生前贈与で相続財産を減らしながら相続税の納税資金も同時に準備できる方法があります。相続と関係の深い生命保険を活用する方法です。契約形態としては、

【契約者】贈与を受ける人(子ども)
【被保険者】贈与をする人(親)
【受取人】贈与を受ける人(子ども)

となります。保険種類は終身保険がベストです。たとえば毎年310万円の贈与を行うと≪310万円-110万円(基礎控除)×10%≫となるので贈与税は20万円になります。310万円から税金分の20万円を差し引いた290万円が終身保険の年間保険料となるように設計します。
保険料相当分を贈与することにより、生前贈与が成り立ちます。また、被保険者が亡くなった場合(=相続が発生した場合)には贈与を受ける人に死亡保険金が入ります。このお金を相続税の納税資金に充てることができます。つまり生前贈与と相続税の納税資金対策が同時にできるのです。

高齢や持病があっても対応可能

贈与する人が高齢な場合や病気を持っている場合は通常の終身保険には加入できない場合がありますが、保険会社によっては85歳まで加入できる終身保険や、持病があっても加入できる終身保険を販売しているところもあります。高齢だからといって諦める前に調べてみると意外に加入できる保険が見つかるかもしれません。

ただし、高齢で終身保険に加入すると「終身払」といって死ぬまで保険料を払い続ける契約となります。支払った保険料が死亡保障額を超えることもあることに注意しないといけません。

終身払を避ける方法がある

終身払で損をしてしまうことを避ける手段としては、保険料を一括で支払う「一時払終身保険」が有効です。この保険であれば、90歳まで加入できる保険会社もあります。保険加入の手続きは毎年必要ですが、保険料が保障額を上回ることもありません。

保険料を暦年贈与の非課税限度の110万円以内にすると贈与税は一切かかりませんが、資産が多い人には相続税を減らす効果は高くありません。そのような場合は贈与する人数を多くするか、非課税枠を超えて贈与をする方が相続税を払うよりも安くなることがあります。

贈与税は贈与を受ける人が支払うものなので、贈与者が多ければ多いほど節税効果は高くなります。子どもが2人であれば110万円×2人で毎年220万円を非課税で贈与することができます。

保険活用のデメリット

保険を活用した生前贈与の場合、保険を解約しないという前提があります。被保険者が高齢であるため、払い込んだ保険料より解約返戻金の方が少ない期間が比較的長くなります。保険を解約して現金化する可能性がある場合は他の方法もあります。

こんな方法もある!

おススメ②【贈与信託で確実に贈与!】

贈与信託は信託銀行に贈与予定のお金を預けておき、年1回贈与依頼書を提出することにより贈与契約が完了するものです。預けたお金と贈与されたお金は元本保証であるため、相続が発生する前に現金化しても元本が減ることはありません。

現金を直接贈与することとの違いは、贈与する人と贈与される人に信託銀行から確認書が送られるため、別途贈与契約書を作成することなく贈与の事実が証明される点にあります。銀行口座間の送金だけであれば「名義預金」として贈与されたことにならず、相続税の課税対象資産に組み込まれることがありますが、これを回避することができます。ただし、110万円を超える贈与をする場合は申告が必要になることは変わりません。

まとめ

生前贈与で相続税を減らす方法は非課税制度を使ったり生命保険を使う方法が有効ですが、他にも生前贈与の対象として有効な資産は“収益を生む資産”と“今後価値が上がる資産”です。収益を生む資産とは、家賃収入のあるアパートやマンション・配当金が高い有価証券(株や投資信託)などです。

今後価値が上がる資産は黒字決算が続いている会社の自社株などです。自社株は他人への売却が難しいため親族間でのやりとりになります。黒字決算が続けば続くほど評価額が高くなるため、贈与をするのであれば早い方が低い価値で贈与することになり、贈与税も少なくて済みます。資産の状況に合わせて生前贈与をする資産を考えてみると、有効な方法が見つかるはずです。 ※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。