<介護保険とは?>気になる保険料の仕組や利用法を詳しく解説!

消費税が上がるか上がらないかも気になる問題ではありますが、毎月引かれる税金も意外と負担に感じるものです。いつの間にか始まった介護保険制度、保険料が負担ではあるけれど将来的にどんなメリットがあるのでしょうか。介護保険制度が始まった経緯や具体的な保険料など、介護保険のあれこれについてご紹介します。



介護保険、いつ始まった?

平成12年からの制度です

「いつからかは覚えていないけど、介護保険料という負担が増えた」という印象の人も多いことと思います。利用している人は実感できているこの制度、まだ「介護保険料を払っているだけ」の人にしてみれば「介護が必要になったとき役立つのだろうけれど、保険料の負担が重い」程度の認識かもしれませんね。そもそもどんな制度なのでしょうか。

介護保険制度は平成12年から始まっています。日本では高齢化が急速に進んでいますが、「要介護高齢者の増加」や「介護期間の長期化」など介護ニーズは大きくなり続けています。一方で核家族化が進んでいることや介護する家族の高齢化(老老介護の問題)という現象もあり、要介護高齢者を支えてきた家族をめぐる状況も変化しています。そこで、国が新しい制度を作ったというわけです。

公的介護保険制度の現状と今後の役割
参照元:厚生労働省(2015年11月時点、著者調べ)

制度前に問題があったため

どうして新しい「介護保険制度」が作られたか。それは古い体制では問題があったためです。具体的な例は以下です。

・市町村がサービスの種類、提供機関を決めていたため、利用者がサービスの選択をすることができなかった
・所得調査が必要なため、利用に当たって心理的抵抗感が伴っていた
・市町村が直接あるいは委託により提供するサービスが基本であるため競争原理が働かず、サービス内容が画一的となりがちだった
・本人と扶養義務者の収入に応じた利用者負担だったので、中高所得層の負担が大きかった
・中高所得者層にとって「介護を理由とする一般病院への長期入院」をさせる方が(介護サービス利用時に比べ)利用者負担軽減になることからそのような形で長期入院させるケースが増えてしまった(福祉サービス基盤整備が不十分であったことも理由となっている)

確かに、制度ができてから「介護の関係する車両」を街中で見かける機会が多くなったようです。負担は増えたけれど、介護をめぐる状況には変化があるようです。

どう変わったか

具体的にどう変わったのかを下記に示します。

【改正前】行政窓口に申請し、市町村がサービスを決定。
【改正後】利用者が自らサービスの種類や事業者を選んで利用。

【改正前】医療と福祉、別々に申し込み。
【改正後】介護サービスの利用計画 (ケアプラン) を作って、 医療 ・ 福祉のサービスを総合的に利用。

【改正前】市町村や公的な団体(社会福祉協議会など)中心のサービスの提供。
【改正後】民間企業、農協、生協、NPOなど多様な事業者によるサービスの提供。

【改正前】中高所得者にとって利用者負担が重く、利用しにくい。
例:世帯主が年収800万円の給与所得者、老親が月20万円の年金受給者の場合
・特別養護老人ホーム :19万円/月
・ホームヘルパー:950円/時間
【改正後】所得にかかわらず、1割の利用者負担。
例:世帯主が年収800万円の給与所得者、老親が月20万円の年金受給者の場合
・特別養護老人ホーム:5万円/月
・ホームヘルパー:400円/30分~1時間

かなり変わったことがわかります。介護問題はまだ色々あるようですが「払うだけの価値のある制度」と言えるようです。



いくら払う?払い続けることになる?

保険料でまかなっているのは全体の半分

「公的介護保険」は40歳以上の人が全員加入して介護保険料を納めることになっています。そして「介護が必要になった時に所定の介護サービスが受けられる」保険です。

介護保険制度の「被保険者」は年齢によって2通りに分けられています。
①65歳以上の人(第1号被保険者)
②40~64歳の医療保険加入者(第2号被保険者)

そして「介護保険制度」は40歳以上の人が納める「保険料」と国や都道府県、市町村が負担する「公費」を財源にして運営されています。

・第1号被保険者の保険料:21%
・第2号被保険者の保険料:29%
・市町村負担金:12.5%
・都道府県負担金:12.5%
・国:25%

保険料は65歳以上の第1号被保険者と40歳以上65歳未満の第2号被保険者で異なります。 また保険料は市町村によって差があります。保険料でまかなっているのは丁度半分のようですね。公費と半分半分ということです。

保険料の例(65歳以上の人)

「介護保険」制度のことで「介護保険料」を払っている立場の人が一番気になるのは具体的な金額でしょう。介護保険料は市区町村によって異なります。なぜ住んでいる市区町村によって保険料が違うのか?それは、市区町村ごとに介護保険サービスを利用する人の数と65歳以上の方の人口数が違うことが理由のようです。

まずは65歳以上の人の保険料を横浜市の例でご紹介しましょう。横浜市では保険料段階を13段階とし、所得の低い人の保険料を軽減しています。

【介護保険料(65歳以上):横浜市の場合(平成26年度)】

●第1段階 :27,000円
・生活保護を受給している人
・市民税非課税世帯の、老齢福祉年金を受給している人
・中国残留邦人等支援給付を受給している人

●第2段階 :27,000円
・本人が市民税非課税
・同じ世帯にいる人全員も市民税非課税
・本人の「公的年金等収入額」と「合計所得金額」の合計額が年間80万円以下

●第3段階 :35,100円
・本人が市民税非課税
・同じ世帯にいる人全員も市民税非課税
・本人の「公的年金等収入額」と「合計所得金額」の合計額が年間120万円以下、かつ第2段階以外の人

●第4段階 :39,000円
・本人が市民税非課税
・同じ世帯にいる人全員も市民税非課税
・上記以外の人

●第5段階:57,000円
・本人が市民税非課税
・同じ世帯に市民税課税者がいる人
・本人の「公的年金等収入額」と「合計所得金額」の合計額が年間80万円以下の人

●第6段階(基準額):60,000円
・本人が市民税非課税
・同じ世帯に市民税課税者がいる人
・上記以外の人

●第7段階:66,000円
・本人が市民税課税
・本人の「合計所得金額」が150万円未満

●第8段階:75,000円
・本人が市民税課税
・本人の「合計所得金額」が150万円以上250万円未満

●第9段階: 90,000円
・本人が市民税課税
・本人の「合計所得金額」が250万円以上350万円未満

●第10段階:96,000円
・本人が市民税課税
・本人の「合計所得金額」が350万円以上500万円未満

●第11段階:111,000円
・本人が市民税課税
・本人の「合計所得金額」が500万円以上700万円未満

●第12段階: 129,000円
・本人が市民税課税
・本人の「合計所得金額」が700万円以上1,000万円未満

●第13段階:147,000円
・本人が市民税課税
・本人の「合計所得金額」が1,000万円以上

年額で一番低い人が27,000円、高い人が147,000円と所得により大きく変わってくることがわかりますね。

介護保険料は原則として年金から納めることになります。年金額によって納め方は2種類に分かれています。

・特別徴収:老齢(退職)年金、障害年金、遺族年金を月額1万5千円(年額18万円)以上受給されている人は年金からの天引き
・普通徴収:老齢(退職)年金、障害年金、遺族年金が月額1万5千円(年額18万円)未満の人は、市区町村から送られてくる納付書又は口座振替で納める

保険料のしくみ:横浜市 健康福祉局高齢健康福祉部 高齢者福祉の案内
参照元:横浜市(2015年11月時点、著者調べ)

保険料の例(40~64歳:健康保険の人)

40歳以上から64歳までの人の介護保険料は加入している医療保険ごとに保険料額を決定します。介護保険料額は給料や所得に応じて計算されます。

会社の健康保険に加入している人の場合は下記となります。
(1)保険料は給料所得額に応じて異なる
(2)保険料は事業主と折半
(3)サラリーマンの妻など被扶養者の分は、新たに保険料を納める必要なし
(4)保険料は、医療分と合わせた健康保険料として給与から差し引かれる

具体的な金額(月額保険料)の例をご紹介しましょう。三菱電機健康保険組合の場合の金額です。(2015年3月1日現在)

【標準報酬月額:健康保険料:介護保険料】(単位:円)
●58,000:2,050:388
●104,000:3,676:696
●200,000:7,070:1,340
●300,000:10,605:2,010
●410,000:14,493:2,747
●500,000:17,675:3,350
●620,000:21,917:4,154

健康保険料に比べれば額は低いものの、年額にすると12倍ですからそれなりの金額になりますね。

また、賞与からも介護保険料が引かれることとなっています。具体的な例をご紹介します。

①賞与額が482,300円の場合(愛知県)
・482,000円×0.05775=27,835円

②賞与額が210,000円の場合(愛鉄連健康保険組合)
・210,000円×49.80/1000=10,458円

全ての収入に介護保険料がかかってくるようですね。

保険料月額表
参照元:三菱電機健康保険組合(2015年11月時点、著者調べ)

賞与からの控除(社会保険料) 給与計算の豆知識
参照元:愛知労務(2015年11月時点、著者調べ)

保険料について | 愛鉄連健康保険組合
参照元:愛鉄連健康保険組合(2015年11月時点、著者調べ)

保険料の例(40~64歳:国民健康保険の人)

次に、国民健康保険に加入している場合については下記のようになります。
(1)保険料は所得や資産などに応じて異なる
(2)保険料の算定方法や限度額は各市町村によって異なる
(3)保険料は国と折半
(4)世帯主が世帯員の分も合わせて負担
(5)介護保険料は、医療分と合わせ国民健康保険料として世帯主が納める

具体的な金額が気になるところですね。3つの例をご紹介しましょう。それぞれ1年間の介護保険料です。

①50歳で前年の総所得金額等が400万円の男性の場合(逗子市)
・(400万円−33万円)×1.60%+5,500円×1人+2,700円 =66,920円

②45歳の世帯主(給与収入480万円)、38歳の妻(給与収入130万円)、子供2人(所得なし)の4名が国民健康保険に加入する場合(船橋市)
・(330万円-33万円)×1.20%+9,610円×1人=45,250円

③夫43歳の世帯主(給与収入300万円)、39歳の妻(所得なし)、子供1人(所得なし)の3名が国民健康保険に加入する場合(町田市)
・159万円×1.17%+8,400円×1人+3,000円=30,000円

国民健康保険料 | 逗子市
参照元:逗子市(2015年11月時点、著者調べ)

船橋市|国民健康保険料の計算方法
参照元:船橋市(2015年11月時点、著者調べ)

国保税の税率等/町田市ホームページ
参照元:町田市(2015年11月時点、著者調べ)

介護サービスを利用できるのか

条件があります

「介護保険料を払っているのだから、いざとなったらサービスを利用できるに違いない」と思う人も多いことでしょう。介護保険のサービスを利用できる人の条件をご紹介します。

●65歳以上の人:第1号被保険者
寝たきりや認知症などにより介護を必要とする状態(要介護状態)になった、あるいは家事や身支度等、日常生活に支援が必要な状態(要支援状態)になった場合。

●40歳~64歳までの人:第2号被保険者
初老期の認知症、脳血管疾患など老化が原因とされる病気(※特定疾病)により、要介護状態や要支援状態になった場合。

※特定疾病は以下16種類となっています。
・筋萎縮性側索硬化症
・脳血管疾患
・後縦靭帯骨化症
・進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
・骨折を伴う骨粗しょう症
・閉塞性動脈硬化症
・多系統萎縮症
・慢性関節リウマチ
・初老期における認知症
・慢性閉塞性肺疾患
・脊髄小脳変性症
・脊柱管狭窄症
・糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
・両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
・早老症
・末期がん

「老化が原因とされる病気」がポイントのようですね。

介護保険とは | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」
参照元:厚生労働省(2015年11月時点、著者調べ)



負担に感じるけれど必要な税金

いかがでしたか?毎月、あるいは賞与のときにも引かれている介護保険料。負担は決して小さいとは言えませんが、高齢化が進んでいて必要であったこと、また新しい制度になってサービスが利用しやすくなっているということがわかりました。

給与明細を見て「引かれてばっかりで嫌になる」と思うこともあるでしょう。この知識が「仕方ないか」と思うことに少しでも役立てば幸いです。 *本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。