雇用保険の受給期間を延長したい!ママのための手続きマニュアル

「妊娠・出産・育児」を経験する女性にとって実は「退職」というのは意外と身近な問題。また、育児などで働けない期間は失業保険を受け取れないという事ご存知でしたか?もしもママになって会社を退職した場合、絶対に知っておきたい「雇用保険の受給期間延長」の手続きについてまとめてみました。



退職する女性には働けない期間がある!

妊娠、出産、育児、介護…色んな事情が。

人生においてやむを得ず会社を退職しなければならない時ってあると思います。例えば、20代〜40代の女性の間ではやはり「妊娠・出産・育児」などが特に多いですよね。妊娠、出産後も育休を利用してスムーズに会社に復帰できる人もたくさんいますが、まだまだきちんと取得できる環境が整っている訳ではなく非正規雇用の場合は復帰しづらいのが現状です。

普通は会社を辞めて次の就職が見つかるまでの間、雇用保険により失業給付を受ける事が出来ますが、こういった「働きたいけどすぐに働けない」場合はどうすればいいのでしょうか?きちんと給付金をもらえるのか不安になります。

雇用保険には受給期間という給付金をもらえる期限が決められているのですが、「すぐに働けない」事情がある場合はその期間を延長する「受給期間延長申請」が出来るようになっています。上記のように妊娠や出産など女性がしばらく働けない状況にある場合も申請が出来る制度です。

育休を取っても、結局退職するケースが増えている。

最近では契約社員や派遣社員などの非正規雇用でも育児休業までは取れるようになってきました。でも、育休を取得した後が問題。契約期間のある非正規雇用だと契約を延長してもらえる保証はなく、休んでいる間に人員の穴埋めをされたりするといよいよ路頭に迷ってしまう…そんな状況が増えています。

そのようなケースばかりではありません。復帰は約束されていたのに保育園が見つからず期日までに復帰できなくて結局会社を辞めざるを得なくなったケースなど、まだまだ女性を取り巻く環境は厳しいのが現実です。こんな状況なので自分にもいつふりかかるか分かりません。「知らないと損をする」逆に「知っていて助かった!」となる「雇用保険の受給期間延長」について勉強してみましょう。

育休取得者が増えても、出産退職者が減らない理由 | 日経DUAL
参照元:日経DUAL(2015年12月著者調べ)



雇用保険の受給期間延長申請って?

まずは雇用保険(基本手当)についておさらい

「失業」とは、離職した方が、「就職しようとする意思といつでも就職できる能力があるにもかかわらず職業に就けず、積極的に求職活動を行っている状態にある」ことをいいます。

出典:

www.hellowork.go.jp
働いていた会社を倒産や契約期間の満了など様々な理由で退職した時、雇用保険をかけていた被保険者が次の就職先を見つけるまでに安定した生活を確保する。そして、安心して職探し出来るようにと給付されるのが雇用保険の「基本手当」というものです。基本手当の支払い日数は「退職に至った理由」「雇用期間」「年齢」で異なり、支給額も「貰っていた賃金の額」や年齢で違います。

いずれも住所を管轄するハローワークに申請をしますが、受給条件として「働く意思」はあるが、次の仕事を見つけるために就職活動をしていても働き先が見つかっていない人が給付の対象です。なので「妊娠・出産」「育児」「介護」などすぐに働ける状況にない人は失業給付受給の申請はすぐに出来ないのです。

ハローワークインターネットサービス – 基本手当について
参照元:ハローワーク(2015年12月、著者調べ)

受給期間とは?

失業して雇用保険から失業手当を受けるのには実は期間が設けられています。いつ申請しても必ずもらえるわけではありません。失業等給付を受けられるのは『離職した日の翌日から1年間』です。これが受給期間と呼ばれるものです。

離職票に記載された退職日を見て、その翌日から1年間が手当を受け取れるリミットということになります。この期間が過ぎてしまうと、給付日数が残っていたとしても給付金は受給できません。つまり、退職したらすみやかに手続きを取らないと給付できる期間がどんどんなくなってしまうとい事です。

すぐに働けない場合は受給期間延長が可能!

雇用保険の受給条件を確認すると、「じゃあ、すぐに働けないと失業給付を受け取れないの?」と不安になりますよね。でも大丈夫です。特定の理由に該当する場合、受給期間の延長をすることができます。「妊娠」「出産」「育児」「病気・けが」「介護」「定年退職」等の職業安定所が認める理由がある場合です。

この場合においては、受給期間延長の手続きを取って働ける状況になるまで給付金を受け取れる期間を延長できるのです。(※延長の期限あり)延長手続きについて詳しくは「手続きの流れ」でご説明しますので、次の項ではどんな人が延長申請の対象となるかを詳しくみていきましょう。

雇用保険の受給期間を延長するには?

受給期間延長の手続きの対象となる理由は大きく2つに分けられます。「傷病等による受給期間延長」と「定年退職者等の受給期間延長」です。おそらく、このまとめをご覧になっている方は後者(定年退職等)に該当される方は少ないと思いますので、前者(傷病等)のケースについて重点的にお伝えしていきたいと思います。では「退職後すぐに働くことが出来ない人」とはどういうケースでしょう?

ケース1:病気やけがで仕事ができない

雇用保険を申請できるのは健康に働ける状態にある方が対象となっています。もし、就職を希望していても自分自身の病気やけがで日常的に働ける状態にない方はその状況が回復するまで受給期間を延長する必要があります。もちろんそれを証明することが必要ですから、きちんと医師の診断で働けない事が確認できる「診断書」などが出ている場合です。

ケース2:妊娠、出産、育児で仕事ができない

妊娠、出産、育児のために退職した場合も受給期間の延長が可能です。「育児休業を取らずに退職になった」ケース、「育休を取ったけど保育園に入れず退職になった」ケースもこれに該当します。最近は待機児童の問題もあり都市部で0・1歳児を保育園を入れるのは大変ですよね…。そんな働きたいのに働けないお母さんもこの申請ができます。ただし育児で延長する場合は子供の年齢が3歳未満の乳幼児に限定されるので気をつけましょう。

ケース3:親族の介護のため仕事ができない

「親族の介護」高齢化社会でこれに該当するケースも最近は多いようです。親族に該当するのは6親等以内の血族(自分側の親戚)、配偶者及び3親等以内の姻族(配偶者側の親戚)です。このような親族の介護を行わなければならず仕事に就けない場合は延長が可能です。

ケース4:海外赴任する夫に同行しなくてはならない

あまり多くはないと思いますが、自分は働きたいけど夫が海外赴任になり夫の会社などから「海外赴任に同行してください」と言われたケースです。このような自分ではどうしようもない状況の場合は受給期間の延長が認められるようです。

その他

その他には「60歳以上の定年退職者でしばらくの間休養したい人」「青年海外協力隊による海外派遣」などがあります。定年退職者等の延長については、他のケースと異なり延長できる期間や手続きの期間が異なるので注意が必要です。

ハローワークインターネットサービス – 基本手当について
参照元:ハローワークインターネットサービス(2015年12月著者調べ)



受給期間延長|手続きについて

延長できる期間

①【傷病等による受給期間延長】

(対象):受給期間(1年間)の間に「妊娠」「出産」「育児」「病気・けが」「親族の介護等」「その他職業安定所がやむを得ないと認めた場合」が理由で『引き続き30日以上働くことが出来ない』状態となった人。

(延長できる期間):最大3年間まで。※当初の1年を合わせると退職後4年間。

②【定年退職者等の受給期間延長】

(対象):60歳以上の定年に達した人。定年後の雇用期間延長や再雇用期限が終った人。

(延長できる期間):最大1年間まで。※当初の1年を合わせると退職後2年間。

手続きの場所と期限

【手続き場所】
住んでいる住所を管轄するハローワーク(職業安定所)に必要書類を提出します。
※郵送での手続きも可能。本人が手続き出来ない場合は委任状を受けた代理人でも大丈夫です。

【手続き期限】
①傷病等の場合:働くことができなくなった期間が30日を超えた日(退職日から30日経過など)から1ヶ月以内
②定年退職の場合:離職した日の翌日から2ヶ月以内

申請に必要な書類

申請に必要な書類はそれぞれの延長を希望する理由や状況、申請方法によって異なります。以下が主な手続きに必要な書類です。

■「受給期間延長申請書」
■「離職票1・離職票2」または「受給資格者証」(失業給付申請後の場合)
■受給期間延長の理由を確認できる書類(定年退職者は不要) ※以下参照
①妊娠、出産の場合:母子手帳の表紙のコピー
②育児の場合:母子手帳の出産日がわかるページのコピー
③病気、ケガの場合:傷病手当申請書または診断書のコピー
④親族の介護の場合:本人と要介護者の関係を確認する書類(世帯の住民票や戸籍証明書)と介護が必要な証明(診断書、介護認定証)

※■住民票や免許証のコピー(離職票の住所・氏名に変更がある場合のみ)
※■返信用封筒(郵送による手続きの場合のみ)

「受給期間延長申請書」はハローワークでもらえます、「離職票1・2」は退職した時に会社から送られてくる書類です。なお、「離職票1・2」はハローワークで確認後また手元に戻されるので次の手続きまできちんと保管しておきましょう。

申請後の手続き

申請後、延長が認められると「受給期間延長通知書」をもらいます。もし延長期間に申請内容の変更があった場合(住所や氏名が変わった…など)や申請の理由が解消された場合(病気が回復した、保育園に入れた…など)はすみやかにハローワークに届け出る必要があります。届け出を怠ると本来もらえるべきものがもらえなくなってしまう場合もあるようなので注意しましょう。

また、受給期間の延長中に就労した場合、その後の受給期間の延長は取り消されます。変更を届出る際は、延長申請と同じく「離職票」や「受給資格者証」と受け取った「受給期間延長通知書」の提出が必要なのできちんと保管しておきましょう。

受給期間延長の手続き | 大阪ハローワーク
参照元:大阪ハローワーク(2015年12月著者調べ)

妊娠・出産・育児・疾病等のため、すぐに就職できないとき | 千葉労働局
参照元:千葉労働局(2015年12月著者調べ)

受給期間延長手続きの流れ

ここまでの内容を手続きの順にまとめてみると受給期間延長申請の手続きの流れは以下のような感じです。

①【退職】:退職したが、傷病や出産・育児等の理由ですぐに就職活動ができない。
   ↓
②【受給期間延長申請】:期限内に必要書類をハローワークへ提出し受給期間を延長してもらう。
   ↓ 
③【延長の終了】:病気の回復、保育園の入園など就職活動ができる状況になったらハローワークへ報告。
   ↓
④【受給資格決定】:通常の失業給付を同様にハローワークで求職の申込みをし、「受給説明会」など説明を受けて就職活動を開始する。以降は通常の雇用保険「基本手当」の手続きを同じ。

ハローワークインターネットサービス – 雇用保険手続きのご案内
参照元:ハローワークインターネットサービス(2015年12月著者調べ)

申請の注意点

申請期間が意外と短いので注意!

手続き期限の項目で記載した通り、出産、育児、傷病等の受給期間延長は申請期限が「働くことができなくなった期間が30日過ぎた翌日から1ヶ月以内」となっています。この1ヶ月の間に必要書類を提出して延長の手続きを取らなければ延長ができなくなってしまうので注意しましょう。

月齢が小さい赤ちゃんの育児や出産間近など、ハローワークに出向くことが難しい場合は郵送手続きが可能なので管轄しているハローワークへ電話して依頼すれば手続きに必要な書類を送ってもらえますので活用するのがおすすめです。

育児で延長する場合は3歳未満の乳幼児まで

育児が理由での延長の場合、何歳の子でもという訳ではありません。保育園や幼稚園に入りづらい3歳未満の乳幼児を育児する場合に限ります。ただ、申請には保育園に入れないという事を証明する書類等は必要ありません。育児をするお子さんの生年月日がわかる母子手帳の「出生届受理欄」などのコピーを提出すれば大丈夫なので別途書類を準備する必要などはなさそうです。

「教育訓練給付金」を受けたい場合は?

「教育訓練給付金」とは、次の就職をより良いものにするために受けた教育訓練などの費用の一部を負担する制度です。基本的には教育訓練期間に支払った費用の20%が支払い対象となります。この制度についても、通常の基本手当の受給期間延長申請と同じように延長ができるようですが別途手続きが必要なので希望する場合は管轄のハローワークへ確認しましょう。

ハローワークインターネットサービス – 教育訓練給付
参照元:ハローワークインターネットサービス(2015年12月著者調べ)

まとめ

いかがでしたか?「雇用保険の受給期間延長の手続き」がどんな制度かわかりましたか?妊娠・出産・育児・介護、女性にとっては身近な問題です。いつ退職しなければならない時がくるかわかりません。そんな時、この手続きについて知っておけば限られた時間にやっておかなければならない手続きがわかりますよね。

きちんと受け取れるものは受け取れるように制度をしっておけば、いざ「働こう!」と思った時に安心して就職活動ができると思います。まだ働く女性に万全の状況とは言えない世の中ですが、可愛い子どもや自分自身のステップアップのために頑張りたいですね! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。