結婚後扶養に入る条件や手続き方法を基本の「き」から徹底解説

結婚後、夫の扶養に入るにはどのような条件や手続きが必要になるのでしょうか。また、妻の収入によっては年末調整で還付金が返ってくることもあります。損をしないようにしっかり申告しましょう!



扶養家族になるとそもそもどうなるの?

そもそも、「扶養」とはどういう意味があるのでしょうか。扶養に入ることには「社会保険」と「税金」二つの意味があります。

夫の社会保険に入れる「扶養」

年金制度には「第3号被保険者」というものがあります。サラリーマンや公務員の配偶者となった場合受けることのできる制度です。

こちらは満20歳以上60歳未満が対象になり、年収130万未満の場合保険料を払わなくても健康保険のサービスを受けることができます。この130万円というのは過去の収入は関係ありません。

夫が支払う年金と社会保険料は今までと変わりません。一人分と同じ金額で二人分の保険サービスが受けられるのです。妻は自分の社会保険をやめても自分で国民健康保険などに入りなおさなくて済むのでうれしいサービスですよね。

例えば、6月まで正社員で働いていて、年収が150万円を超えていた場合でも、その後収入がなく、現在の状況が続けば年収130万円未満の場合第3号被保険者になることができます。

また、失業保険を受給している場合は、会社によって扶養に入れるか入れないかの基準が違ってきますので事前に確認しましょう。失業保険をもらっている場合は働く意思があるので第3号被保険者にはなれない、という会社もあれば、失業保険の収入を加えても年収130万円未満であれば大丈夫という会社もあります。会社に申請をするときに説明があると思いますのでしっかり確認しましょう。

また、2016年10月からは年収106万円から厚生年金に加入する必要がでてきます。条件にもよりますが、130万円ではなく106万円が基準になってきますので注意しましょう。

税金が安くなる「配偶者控除」

扶養にはもうひとつの意味があります。それは夫が支払う所得税や住民税に「配偶者控除」もしくは「配偶者特別控除」が受けられるようになります。

妻の収入が141万円未満の場合、夫の税金が安くなるのです。詳しくはのちほど説明していきます。

No.1180 扶養控除|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2015年11月時点・著者調べ)

被扶養者とは? | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会(2015年11月時点・著者調べ)



扶養に入るにはどんな手続きが必要?

では、扶養にはいるには実際にどのような手続きをすればいいのでしょうか。社会保険の手続きと、控除の手続きを合わせてみていきます。

社会保険に入るには

社会保険に加入するには、夫の会社に申請します。必要書類は会社によって異なりますが、離職票、戸籍標本、健康保険資格喪失証明書などが必要になります。妻の働いていた会社で書類の作成が必要な場合もありますので、退職前からどのような書類が必要なのか確認しておくとスムーズになります。

3月末で退職した場合、離職票が発行されるのは4月中旬ころになりますが、以前の保険での資格が喪失した翌日から新しい保険に入れるよう手続きしてもらえることが多いです。

その間に病院にかかった場合、はじめは全額負担になるケースもありますが、後日発行された保険証をもっていけば7割分返金になるでしょう。

ただし、会社によっては保険に加入できる時期が遅くなる場合もありますので、事前に確認しておきましょう。

配偶者控除を受けるには

配偶者控除を受けるには、年末調整で申請する必要があります。こちらはのちほど詳しく説明します。

従業員が家族を扶養にするときの手続き|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2015年11月時点・著者調べ)

税金が安くなる「配偶者控除」とは?

それでは税金が安くなる「扶養控除」について詳しく見ていきましょう。

「控除」とはそもそもなんなの?

税金には、「控除」という枠があります。所得から差し引かれ、所得税もしくは住民税のの対象外となるものです。まずは所得税の仕組みから見ていきます。

扶養控除という言葉をよく耳にすると思いますが扶養控除が適用されるのは子供や高齢者です。配偶者には扶養控除は適用されず、「配偶者控除」もしくは「配偶者特別控除」が適用されます。「扶養」という言葉を使うことが多いですが、正式名称は異なるので覚えておきましょう。

控除にはほかにも「医療控除」や「生命保険料控除」などがあります。

103万円の壁!「配偶者控除」とは

よく「103万円の壁」という言葉を耳にすると思いますが、これは配偶者控除を受けられる年収額の上限を指しています。配偶者控除が受けられるのは以下の条件の場合です。

・配偶者であること(内縁は不可)
・納税者と生計を共にしていること
・年間の合計収入が38万円以下であること
(給与収入の場合は103万円以下)
・事業専従者から給与を受けていないこと
(自営業で給料をもらっていないこと)

この条件を満たす場合、38万円が夫の年収から控除され、税金の対象外になります。

上限収入は38万円?103万円?

配偶者控除を受けることのできる年収の上限金額ですが、「38万円」とも「103万円」とも書いてありますが、これはどういうことなのでしょうか。

収入がパートや、年の途中まで勤めていた正社員での給料の場合103万まで大丈夫です。給与収入の場合、給与所得控除額というのがあり、最低の場合65万円です。

103万の給与-給与所得控除65万=38万円という計算になります。

分かりにくいと思われるかもしれませんが、収入は給与だけとは限りません。自営業で働いていたり、贈与なども含まれます。ショップの運営などの収入も給与にはなりませんので気を付けてください。合計で38万円以下であることが条件となりますので注意してください。

パート収入が103万円を超えたら控除は受けられないの?

それではパート収入が103万円、もしくは収入全体が38万円を超えてしまった場合は控除は受けられないのでしょうか。103万を超えると全くなくなるのかというとそうではなく、141万円未満までは控除を受けることができます。これを「配偶者特別控除」といいます。

ただし、控除額は段階的に減っていきます。収入は給与のみという人が多いと思いますので、わかりやすく給与の年収額で控除額を見ていきましょう。

・103~105万円未満/38万円
・105万円以上110万円未満/36万円
・110万円以上115万円未満/31万円
・115万円以上120万円未満/26万円
・120万円以上125万円未満/21万円
・125万円以上130万円未満/16万円
・130万円以上135万円未満/11万円
・135万円以上140万円未満/6万円
・140万円以上141万円未満/3万円
・141万円以上/0円

控除額はだんだん減ってししまう仕組みになっています。

38万円は一括で振り込まれるの?もらえるのはいつ?

結論から言いますと、扶養控除の38万円はそのままもらえる金額ではありません。夫の給料の税金対象額から38万円が差し引かれる、ということです。会社にもよりますが、12月の給料と一緒に還付金が戻ってくることが多いです。

では一体いくら戻ってくるのかというと、税率によって異なりますので夫の年収によって変わってきます。年収、税率、還付金は以下の通りです。

・195万円以下/5%/19,000円
・195万円以上330万円以下/10%/38,000円
・330万円以上695万円以下/20%/76,000円
・695万円以上900万円以下/23%/87,400円

大体この金額を目安にしてください。なお、年末調整では配偶者控除以外の調整も行いますので、この金額ぴったりが返ってくるというわけではありません。

妻は確定申告すれば税金が全額返ってくる可能性も!

扶養控除とは別の話ですが、扶養者である妻も確定申告を行うことをおすすめします。

とくに、年の途中まで正社員で働いていたという場合はそれまでの給料で所得税がひかれています。年収が103万未満の場合、所得税の納税義務はありませんので申告すれば支払った所得税は全額戻ってきます。

なお、住民税については100万円以上で納税義務が発生しますが、前年のものを支払っているため還付金はありません。

住民税は33万円減税に!

今までお話しした控除額は所得税のお話しです。

所得税のほかに、住民税でも配偶者特別控除が受けられます。妻の収入が年収103万円(合計38万円)の場合、夫の住民税から一律33,000円引かれます。住民税は翌年に支払いますので、還付金が戻るのではなく、翌年の税金が安くなります。住民税が給料天引きになってる場合は、ひと月あたりだいたい2,750円安くなります。

103万以上141万円未満の場合は、段階的に控除額が変わっていきます。

No.1195 配偶者特別控除|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2015年11月時点・著者調べ)



結婚後、パートで働くなら年収はいくらまでが得?

結婚後は正社員をやめ、パートなどで働く人も多いと思います。パートやアルバイトの場合は年収いくらまでで働くのがよいのでしょうか。段階的に、税金や控除額が変わってきますのでまとめてみました。

年収100万円未満の場合

まず、パートでの収入が100万以下の場合、所得税、住民税がかかりません。稼いだ分だけ収入にすることができます。

ただし、パートではなく、自営業などの場合は35万円までです。パート以外に収入がある場合も変わってきます。

市区町村によっては100万円以下の収入でも住民税がかかる場合があります。お住まいの市区町村はどうなのか調べてみましょう。

年収100万円以上103万円未満の場合

年収が103万(パート以外の場合は38万円)の場合は、住民税はかかりますが所得税がかかりません。住民税の額はそれほど大きくありませんので、損をすることはないでしょう。

また、妻の年収が103万円以下の場合、夫の所得税と住民税で控除が受けられます。103万円を超えた場合も控除は受けられますが、段階的に控除額が下がってしまうため、103万円を目安に働く人も多いです。

年収103万円以上130万円未満の場合

103万円以上の収入になると、配偶者特別控除が受けられますが、控除額は収入に合わせて段階的に減っていきます。

130万円未満の場合は、夫の社会保険に第3号被保険者として保険料を払わなくても社会保険のサービスを受けることができます。130万円を超えてしまうと国民健康保険などに別途加入しなくてはいけなくなるため、130万円を目安に働く人も多いです。

2016年10月からは106万円以上で第3号被保険者から外されてしまいますので、注意してください。

年収130万円以上141万円未満の場合

年収が130万円を超えた場合も141万円未満であれば、配偶者特別控除がうけられます。

ただし、130万円以上になると控除額は11万円以下とかなり少なくなってしまいます。

141万円以上の場合

年収が141万円を超えてしまう場合は、すべての扶養が適用されません。

自分の住民税、所得税を支払い、夫の税金の控除はなく、健康保険も別になってしまいます。

130万円以上の年収があると支払額が大きくなってしまうため、130万円以上かせぐなら150万円以上稼いだほうがよいとも言われています。

また、2016年10月以降は106万円で第3号被保険者から外されてしまうようになる予定です。現在は扶養控除全額、所得税もなしの103万と130万円の間に27万円差がありますが、6万円しか差がないのでしたら、第3号被保険者でいるのなら103万円以内で働く方がよいのかもしれませんね。

せっかく働いたのに税金などでお金が飛んでしまうのはもったいないですからね。どのくらいの収入で働くのかの目安にしてみてください。

家族と税|税について調べる|国税庁
参照元:国税庁(2015年11月時点・著者調べ)

まとめ

結婚後、扶養に入る、というのには2つの意味がありました。年収103万円以下にして配偶者控除を受けるのか、年収130万円以下にして扶養家族として第3号被保険者になるのか、というのがキーポイントになるのではないかと思います。2016年10月からは106万円以上で第3号被保険者になれなくなってしまうので注意しましょう。

結婚後の働き方についての参考にしてみてください。 本記事の情報は、一般的または筆者個人の調査によるものです。法令などの改正、前提事実や個人状況の違いや変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。 従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。