税理士報酬、差がつく理由はどこにある?徹底解説します!

自分でビジネスをやっている人だったら、一度はこう思ったかもしれません。「税理士報酬、もう少し安いところないかなあ」「だからといって、安すぎるのも不安だなあ」と。ちょっと待ってください。そもそも税理士報酬って何で決まるんでしょうね?もっと言えば、決まりなんてあるんですかね?そのあたりをまとめました。



税理士報酬の基本

さて、まずは税理士報酬は何で決まるのか?という基本をお話ししておきたいと思います。あまりに簡単すぎてびっくりするかもしれません。日本の税理士を取りまとめる機関である日本税理士会連合会は、税理士報酬に関し、次のような取り決めをしています。

平成14年4月1日施行の改正税理士法では、従来、税理士会が定めていた税理士の業務に関する報酬規定を廃止しました。その後は、税理士又は税理士法人は自由な意思のもと自己責任と説明責任に基づいて報酬を算定し委嘱者に請求することとなりました。税理士に委嘱される場合には、委嘱の範囲と報酬額について契約書を締結されることをお勧めします。

報酬に関するご案内-日本税理士会連合会
参照元:日本税理士会連合会(2015年11月参照、筆者調べ)

基本は「言い値」

つまり、おおざっぱに言ってしまえば「税理士さんの言い値で決まります」ということなんです!びっくりでしょ。病院やクリニックにかかったときは、保険の範囲の治療なら、どこで受けても基本的には同じ窓口負担で済みます。

しかし、税理士にはそのような取り決めはないのです。いや、正確に言えば、昔は報酬規定という取り決めがありました。しかし、先ほどの税理士会からの案内にもあるように、報酬規定は廃止され、税理士が各自報酬を決めることになったのです。

このことは、税理士業界に大きな波紋を及ぼしました。その波紋とは何でしょうか?

価格競争の時代に突入

さて、報酬規定が廃止されたことにより、何が起こったでしょうか?カンのいい人ならわかるかもしれませんが、答えは「価格競争」です。報酬を自由に決めていい、ということは、必然的に「同じレベルのサービスなら、安いところで」というお客さんが増えることになります。当然、顧問料の値崩れが起こるわけです。

日本税理士会連合会が2015年に税理士約77,000人に対し行った調査によれば、中小企業を対象とした月額顧問料報酬の金額が「1万円以上3万円未満」と回答した割合はなんと全体の52.5%にも上りました。「1万円未満」と回答した割合も7.7%に上り、合計で約60%の税理士が月額3万円未満の報酬で顧問を引き受けているのです。

「税理士実態調査」分析 顧問料の低落でさらに付加価値が求められる|税理士の転職はジャスネットキャリア
参照:ジャスネットキャリア(2015年11月参照、筆者調べ) 筆者は勝手に「税理士はもうかるんでしょ」と思っていましたが、全員が全員そうでもないのかもしれません。なかなか税理士の仕事も、何もしないで食べていくのは厳しい時代に突入しているようです。

そこで、税理士の友人と食事をしたときに、それとなく「最近、仕事どう?」と探りを入れてみました、「もう大変……私、ぜってー独立なんて無理。ありえない。だって、独立したら今よりもっと給料落ちるもん」と本音が。税理士=バリキャリという図式はもはや崩壊しかかっているようです。

もう一人の税理士の友人にも聞いてみたところ、「俺、親父の事務所で働いているけどさ、税理士の資格だけで食っていけそうにないわ。今度社会保険労務士の試験受けるけど、どうなるんだろう。まあ頑張るよ」と胸の内が……それなりに続いている税理士事務所でも、懐事情は決して甘くなかったのです。

そこまで報酬が下がっていることに、正直驚きました。学生時代の筆者は「資格を取る=それなりにいい生活ができる」と本気で思っていたのです。



どこで差がつくのか?

では、報酬はどこで差がつくのでしょうか?ここで書く以外にも様々な要因はあると思いますが、大きく左右する要因を二つ挙げてみます。

税理士本人のキャリア

まず、税理士本人のキャリアは大きいです。例えば、昔、国税専門官などの公務員だった場合(業界用語では「国税OB」というそうです)、経験値が高いということで顧問料は高く設定されていることが多いとか。やはり、様々な現場で仕事を経験しているため、知識が豊富ということは高く評価されるのでしょう。

同様に、大手税理士法人で経験を積んできた人も顧問料を高く設定することが多いです。こちらもやはり経験値のなせる業かもしれません。

高付加価値のサービス

もう一つの要因として考えられるのは、サービスが提供する付加価値です。つまり「その人にしかできない何か」を持っているか?ということ。例えば、税理士以外の資格も持っているため、幅広い業務に対応できる場合、顧問料は高く設定されていることが多いです。

また、先ほどのキャリアの話と一部かぶる部分がありますが、赤字に陥っていた顧客の黒字化に成功したなどの事例があれば、顧問料を高く設定していく場合ものあるのが現状。高い報酬を設定している、ということは、それなりに自分の腕に自信がある、ということの表れでもあるでしょう。

税理士報酬といい税理士の関係は?

では、ここで一つの問いをみなさんに投げかけてみたいと思います。「いい税理士ってなんだと思いますか?」という問いです。これを頭において、ここから先の文章を読んでいってください。

まずは人柄

税理士には、本当にいろいろなことを話すことになります。自分がやっているビジネスの話から、普段の生活の話まで……著者が知っている税理士の中には、「こんなことまで話すのか!」ということを聞いている、という人もいました。

とにもかくにも、税理士は人とビジネスに関わるセンシティブな話を扱う専門家です。そんなセンシティブな話を、心を開けそうにない相手に話せますか?少なくとも、私には無理です。たぶん、「あ、コイツ無理」と思ったら、その後の予定をどうするか本気で考え始めると思います。

つまり、それぐらい税理士(を含めた士業)は人柄がよいことが求められますし、利用する側のあなたにだって、選ぶ権利はあるのです。

専門分野

さて、人柄がよかったとします。まずは第一段階クリアです。となると、次に重視したいポイントは何でしょうか。それは、専門分野が何か?ということです。

税理士試験を受けたことがある人なら知っていると思うのですが、税理士資格は、会計系必修科目2科目+税法系科目(選択必修、選択)3科目の合計5科目の試験に合格し、実務経験を経た上で付与されます。

つまり、試験の時点でどの科目を選択したか、そして、どんな実務経験を積んできたかで、税理士の得意分野は決まるといっても過言ではありません。自分の専門分野以外のことは一般論程度にしかわからない、という税理士もたくさんいます。あなたが相談したい分野に強い税理士かどうか、というのは一つの判断基準となるでしょう。

ビジネスへの理解

専門分野のお話をしたところで、もう一つ、知識の面から大事な要素をお話ししたいと思います。それは、あなたのビジネスの特質を理解してくれているか?ということです。たとえば、使える助成金は何か、融資を受けるための事業計画書はどう書けばいいか、繁忙期を見据えた資金繰り計画を一緒に考えてくれるかどうか……ビジネスの特質によって、このあたりのポイントはいくらでも異なります。そして、これらのポイントに対する最適な答えは、ビジネスへの深い理解がないと導き出せません。

あなたのビジネスが、インターネットを使ったビジネスなど、業種として比較的新しいものであれば、年齢の若い税理士のほうが有利ということもありうるのです。もちろん、経験を積んだ年齢の高い税理士でも、知識のブラッシュアップに余念のない人はいます。そういう人だったら、経験と新しい知識をマッチングさせることもできるのです。頼りになるアドバイスがいただけるかもしれません。

ニーズとのマッチング

人柄、専門分野、ビジネスの理解と来たところで、考えなくてはいけないポイントはまだまだあります。それは「あなたがやってほしいと思っていることをやってくれるかどうか」ということです。たとえば、あなたのビジネスがまだ小規模で、やることが少ない場合は記帳代行をお願いする、申告書を作ってもらうなど、基本的な部分だけをお任せしていく形でもいいでしょう。

それにも関わらず、様々なサービスを提供することを最初から持ち掛けてくる税理士はニーズとマッチしているとはいいがたいです。「自分が必要なものを、必要なだけ提供してもらう」ということを大事にしてください。日々のビジネスがちゃんと回せるようになってから、お任せする仕事を増やしていってもいいのですから。

安いからいいとは限らない

結局のところ、税理士報酬は、安いからいいと限らないし、高いからいいとも限らないのです。報酬が安くても、ちゃんとした仕事をしてくれる税理士(独立開業したての人に多いです)はたくさんいます。

逆に、報酬が高い上に、「仕事の成果は……」と思わされる税理士が少なからずいるのも、残念ながら事実です。そういう税理士に当たってしまったら、報酬の無駄遣いで終わる、という悲劇も起こりえます。「これで大丈夫かな」と思ったらまず相談し、それでも解決できないときは思い切って変える勇気も持ちましょう。



具体的にはどう選ぶ?

では、税理士を選ぶとき、報酬も含めてどういう視点で選べばいいのでしょうか。あなたのビジネスを確実に輝かせる税理士の選び方をご提案します。

信頼がおけるかどうか

繰り返しになりますが、一番大事なのは、「その税理士を信頼できるか?」という点につきます。信頼できない人とは、腹を割って話すことなどできません。ましてや、税理士にはお金やビジネスのいわゆる「裏事情」など、かなり話しにくい話もしなくてはいけないのです。

まずは一度、無料相談で話を聞いてみて、「この人なら信頼できそうだな」と思えるかどうかを大事にしましょう。「ここは顧問料が安いから」という理由だけで税理士を決めてしまうと、「こんなはずじゃなかった……」と後悔する原因にもなりかねません。

ブログやフェイスブック

人柄が大事、という話をしたところで、人柄を判断する一つのツールのお話をしようとお思います。最近は、税理士でもブログやフェイスブック等、Webでの集客に力を入れている人が増えてきました。そこに書いてある内容も、税理士の人柄を判断する手段にはなりうるでしょう。注意して見てもらいたいポイントが2つあります。こちらです。 ・専門的な話をする時、専門用語ばかり使っていないか?:税理士のブログやフェイスブックを見るのは、専門用語が通じる相手=同業者ではありません。基本的に専門用語が通じない相手=一般の人がほとんどでしょう。それにも関わらず、専門用語を多用して記事を書いている場合、不安が残ります。「この人に難しい制度を説明してもらったところで、ちゃんと自分に理解できるのだろうか」と思わせてしまうからです。専門用語をわかりやすく解説してあれば、ポイントはかなり高いでしょう。 ・他人の批判めいたことを書いていないか?:あまりいないとは思いますが、ごくたまに、自分の私見として、他人の批判めいたことを書いている税理士のブログ等もあります。何をどう思うかは個人の自由なので、あまり強くは言えません。しかし、公共の場で批判めいたことを書くのに不快感を覚える人は多いのではないかと思います。もし、ブログやフェイスブックを見た時点で不快感を覚えるようなら、その税理士とはお付き合いしないほうが無難かもしれません。

まずはスポット契約から

それでもなかなか見極めは難しいもの。そこで、悩んでいる方にオススメしたいのが、「まずはスポット契約を結ぶこと」です。これは、忙しい時だけ記帳代行をお願いする、税務申告関係の書類だけ作ってもらう、というように、部分的に仕事をお願いすることです。

多くの税理士が、このようなスポット契約でも引き受けてくれるようになりました。スポット契約で仕事をともにし、雰囲気が良ければ正式な顧問契約を結ぶ、という使い方もアリでしょう。

失敗しない税理士の選び方/税理士紹介 – 税理士ドットコム
参照元: 税理士ドットコム(2015年12月時点、著者調べ)

税理士報酬は志への支払い

税理士、という漢字をご覧になってもらえばわかると思うのですが、「士」という字が入っていますよね?税理士ではありませんが、別の士業でもある著者は「志」でもある、と思っています。つまり、顧客と志をともにするのが税理士を含めた士業の仕事であり、報酬はその志に対して払われるものです。「この人と志をともにするのに、いくらだったら払ってもいいか?」と考え、税理士選びをしてみてください。きっと、あなたのビジネスを最高に高めてくれるパートナーになりうるでしょう。

※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。