借金の時効援用って?その方法・書き方は?

時効・・・良く耳にする言葉ですが、借金にも時効があるのをご存じですか?借金の時効はただ時がくるのを待っているだけでは成立しません。また、貸金業者から借りたもの、個人からかりたものでは時効の期間が違うのです。時効を成立させるための『援用』についての方法・書き方について、知っておくと損のない情報をご紹介します。



借金の時効って?

借金の時効は貸主によって期間が違います。クレジット会社や消費者金融、銀行などの金融機関から借入れた場合は5年、友人や知人など個人から借金をした場合は10年、と大きく2種類に分かれます。

時効がスタートする日はいつ?

借金をしてから1回・少額でも返済をした場合は返済が滞った翌日からスタートします。
金融業者から借入れた場合は返済予定日が設定されていると思います。

例えば、4月1日に借金、毎月1日に分割で支払う予定だったと仮定しましょう。5月、6月と返済したけれど7月1日から返済が滞った場合、返済予定日の翌日である7月日2から時効が始まるということになります。

個人から借金をした場合は、返済期日を決めないケースもありますが、その場合は一部でも支払った日の翌日からカウントが始まります。
借りてから1度も返済していない場合は、返済期日が設定されていたなら最初の返済予定日の翌日から、返済期日が決められていなかったら、契約した日からスタートすると考えられるのが一般的です。

ただし、契約のケースによっては時効のスタート、いわゆる起算日については見解が分かれることがありますから注意が必要です。

時効が伸びる?時効の中断ってなに?

借金をしてから返済をすることなく5年、10年が経過したからといって、時効が成立する時期が来たとは限りません。法律で定められた事由が起きたとき、時効の進行が中断することが民法147条に定められています。時効が中断すると、カウントは消えてしまうのです。

返済をしていなかった期間を単純に計算するのではなく、その間に時効が中断していないか確認することが必要です。

時効の中断は、貸した側が行動を起こす『催告・請求』、『仮処分・差押え・仮差押え』そして、借りた側による『債務の承認』と、大きく3つに分かれます。

催告・請求とは?

photoby:Pyoto AC 「権利の上に眠る者は保護に値せず」という考えが法律に用いられています。
貸したお金があるのに返済を求める行為をしないままでいた場合、貸金債権の権利は法に定められた時効によって奪われるのです。

そして、借金の時効を6か月間、先延ばしにする効力を持っているのが催告です。

『催告』とは、郵便局が郵便物の内容を公的に証明してくれる制度である内容証明郵便によって貸主が借主に借金の返済を求める書面を送ることです。これによって貸主は、権利の上に眠っていた訳ではありませんよ、借金の返済を求めましたと主張できるわけです。

ただし、催告は時効の完成を6か月間引き伸ばすだけですから、6か月を過ぎると時効の期限を迎えてしまいますので、貸主は時効を中断させるため、裁判による『請求』の手続きに移ることが考えられます。

催告は、請求を起こすために支払を求めた事実を作る前段の行為であると捉えたほうが良いでしょう。

裁判による『請求』の手続きは民法に定められていて、支払督促の申し立て・訴訟の提起・民事調停の申し立て・和解の申し立て、が挙げられます。
この裁判上の請求が取下げられることなく判決を得ている場合、5年であった時効期間が10年に伸びていることが考えられます。

債権回収から逃れるために、住民票を移さずに居住地や電話番号を変えたからといって、催告や請求を受けていないとは限りません。

内容証明郵便や訴状が届いた、受け取り拒否をした、または内容証明郵便や訴状が届いてないという場合でも、知らない間に判決が得られていることもあるのです。

訴状が届かない場合、公示送達という方法を使うと訴状が届いたことになり、本人の知らないうちに判決が出てしまうということがあるのです。

仮処分・差押え・仮差押えとは?

『仮処分・差押え・仮差押え』は、銀行などの金融機関が、住宅ローンを滞納した債務者に対して不動産などの財産を処分して返済に充てるために住宅を差押えて競売を行うことや、信販会社が車のローン滞納者に対して車を差し押さえることなどが例として挙げられます。

この手続きが行われると、時効は中断します。

債務の承認とは?

債務の承認とは、借金をした人がお金を借りていることを認める行為のことです。
返済を待って欲しい、借金を減額して欲しいなどの意思表示をすると、カウントしていた時効の期間は消えてしまいます。

また、1回の返済に満たない額、例え100円であっても返済をした場合は借金があることを認めたと判断されることがあり、その場合、返済の時点で時効は中断したことになるのです。



時効の援用って?

借金の時効の期間の違い、スタートする日についてや、時効のカウントが消えてしまう行為があることなどを踏まえたうえで時効に達する時が来たとしても「権利の上に眠る者は保護に値せず」・・・そう、ただやり過ごすだけでは時効は完成しません。『時効を援用』する、という主張をすることで初めて債務を免れることができるのです。

さあ、ここからが本題です。時効援用の方法についてご紹介しましょう。

時効の援用の方法は?

『催告・請求』とは?で内容証明郵便についてご紹介しましたが、時効の援用でもこの内容証明郵便の制度を利用したほうが確かなようです。内容証明郵便は郵便局が郵便物の内容を公的に証明してくれる制度でしたね。

口頭や電話でも、時効を援用しますと伝えることはできますが、書面で残すことが確実であり、それには手渡しや一般の郵便ではなく、公的に内容を証明してくれる内容証明郵便が一番確実でしょう。

催告では貸金債権の権利を失くさないための主張を内容証明郵便によって示しますが、時効の援用では、時効によって債務を逃れるという利益を得るために、借主が貸主に対して今後の借金の返済を拒絶することや請求をしないよう求める主張を示します。

内容証明について

内容証明郵便を差し出す方法については郵便局のサイトに詳しく案内されています。内容証明専用の用紙が市販されていますが、用紙のサイズや筆記用具など細かな規定はありませんので専用用紙を使用する必要はありません。

内容証明の差出方法・利用料金
「参照元:日本郵便株式会社」(2015年11月著者調べ) ただし、その内容については、縦書き・横書きによって1枚の行数や1行の文字数に制限があります。文字数や行数の制限があるために記号や単位などの文字数カウントにも細かに規定されています。

また、複数枚になると料金が加算されますし、綴り目に契印を押すなど複雑になるので、1枚にまとめましょう。インターネットでは24時間受付できる「e内容証明」というサービスもありますが、パソコンの動作環境の確認やソフトのインストールなど事前の作業が多く、ひと手間かかるのでパソコンが苦手な方には不向きかもしれません。パソコン操作に自信のない方は窓口での手続きをお勧めします。

ただし、窓口での内容証明郵便受付は全ての局で取り扱うわけではありませんから、予め確認をしておきましょう。

内容証明の利用条件・加算料金
「参照元:日本郵便株式会社」(2015年11月著者調べ)

e内容証明 – 日本郵便
「参照元:日本郵便株式会社」(2015年11月著者調べ)

文章の書き方は?

内容証明は基本的には手紙やビジネス文書と共通しています。表題を書く書かないは自由ではありますが、「消滅時効援用通知書」とすると明確ではないでしょうか。文字数・行数に限りがありますから、文面には必要最低限の内容を盛り込みましょう。

そして、書面を送付する年月日、そして当事者である相手方の住所・氏名、債務者の住所・氏名が必要です。相手方が法人であれば、会社名と代表者の役職名、代表者氏名まで記載しましょう。

相手方に「被通知人」、債務者に「通知人」と肩書きを付けると誰からの通知書であるのかがより明瞭になりますが、記載は自由です。また、印鑑の押印についても自由ですが、通知人の氏名の後ろに押印しておくのが一般的です。

本文について、金融業者宛ての簡単な文例をご紹介します。

【私が貴社より借り受けた金銭は最終弁済日より5年を経過しておりますので、本書面を以て消滅時効を援用いたします。今後、貴社よりいかなる請求があっても時効の完成により債務は消滅しましたので支払いを拒絶します。】

債権の顧客・契約番号などが判っている場合は一緒に記載しておくのも良いかと思います。

【万が一、本債権に時効中断事由があれば詳細な資料と共に書面にて回答いただくようお願いします。】

といった文章を加えても良いかもしれません。
ただし、あくまでも1例ですので、詳しくはご自身の責任のもと改めて調べて頂く、もしくは専門家へのご相談をお勧めします。

書面が完成したら、全く同じものを3枚用意しましょう。郵便局に内容証明郵便を差し出す際は3枚を提出します。3枚のうち1枚は受取人へ郵送され、1枚は謄本として郵便局に5年間保存、残り1枚は謄本として差出人に返却されるそうですから、証拠として保管しましょう。

書面と一緒に用意する必要があるのは、封筒です。宛先や差出人の住所・氏名は作成した文面と同じでなければならないことになっているようです。番地など多少の省略は認められるかもしれませんが、全く同じ表記にしておくことをお勧めします。

自分でできる?時効の援用

借金を返済する義務を免れることができる時効の援用について、その方法や書き方をご紹介しました。しかし、時効には本人が知らない間に中断することがあることもありますから、行動を起こす前に慎重に確認することが必要でしょう。

本人からの請求であれば、信用情報機関で債務者自身の信用情報を閲覧することもできるそうです。代表的な信用情報機関のサイトは以下の通りです。

全国銀行個人信用情報センター – 全国銀行協会
「参照元:全国銀行個人信用情報センター」(2015年11月著者調べ) 全国銀行個人信用情報センターは消費者信用の円滑化等を図るために、一般社団法人全国銀行協会が設置、運営している個人信用情報機関です。

指定信用情報機関のCIC
「参照元:CIC」(2015年11月著者調べ) CICは、割賦販売法および貸金業法の両業法に基づく指定信用情報機関です。安全・安心・高品質なサービスを提供することにより、クレジットやローン市場の健全な発展に貢献しています。

JICC 日本信用情報機構(指定信用情報機関)|HOME
「参照元:日本信用情報機構(JICC)」(2015年11月著者調べ) 日本信用情報機構(JICC)は、信用情報の収集・管理・提供・開示を通じて健全なクレジットライフをサポートする指定信用情報機関です。 時効の援用は書面に残すこと、それも内容証明郵便の発送によって、謄本という証拠として保管することが確実であることを、ここではご紹介しました。

内容証明の作成や発信については、専門家ではない個人でもそんなに難しくないことかもしれません。

しかし、金額が高額であったり、借入先が複数であったりする場合は非常に複雑です。安易な判断は却って危険を招くことになる可能性があることも忘れないようにしましょう。

※本記事の情報は、一般的または筆者個人の調査によるものです。法令などの改正、前提事実や個人状況の違いや変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。 従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。