[おひとりさま老後資金]リアルに必要な金額は?

さらに続く「高齢化社会」のわが国。ひとりで老後を過ごす人も少なく無いでしょう。特に、女性の方が長生きすることも考えられ、いつ何時、自分が一人になるかもわかりません。年金がもらえる年齢も現時点では、65歳。これからさらにもらえる年齢が高くなる可能性もあるでしょう。ひとり老後生活に必要な資金について、調べてみました。



おひとりさまの割合について

現在、日本にどのくらいのおひとりさまが存在するのか、ご存知でしょうか?国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集(2014年)」の調査報告によると、生涯未婚率は、年々増加傾向にあるようです。下記の表を見てみましょう。

<性別生涯未婚率>

(年次:男:女)
■1965年:1.50%:2.53%
■1970年:1.70%:3.34%
■1975年:2.12%:4.32%
■1980年:2.60%:4.45%
■1985年:3.89%:4.32%
■1990年:5.57%:4.33%
■1995年:8.99%:5.10%
■2000年:12.57%:5.82%
■2005年:15.96%:7.25%
■2010年:20.14%:10.61%
2000年から見てみてもわかるように、この10年間で未婚率が急激に増加していることが判ります。今後も、生涯結婚しない人がさらに増加することが予想されており、この数値がさらに高くなることも考えられます。これは、わが国の「少子化」と直結した問題と言っても良いかもしれません。

人口統計資料集(2014年):国立社会保障・人口問題研究所
参照元:国立社会保障・人口問題研究所(2015年11月時点、著者調べ)



おひとりさまの生活費について

初めに、おひとりさまの老後にかかる生活費は、どれくらいかかるのか?みてみましょう。現時点で、毎月の支出をだいたい把握している方は、それを基準に自分が60歳以降になった時にかかる生活費について、イメージしてみましょう。

60歳になった時点(定年退職)で、生命保険料や国民年金保険料、また、住宅ローンなどの支払いが終わる方もいらっしゃるでしょう。しかしながら、年齢が高齢になると同時に、医療費も増えることが予想されます。また、時間に余裕が出来る分、レジャーや趣味などへかけるお金が増えることも考えられますね。これらを計算してみると、老後にかかる支出内容について、大体想像がつくのではないでしょうか。

ここでは、おひとりさまが「老後にかかる生活費」について、見てみましょう。総務省の「家計費調査年報」によると、60歳以上の単身世帯(おひとりさま)の1カ月の支出データは、以下のとおりです。

60歳以上おひとりさま女性の生活費

<性別、年齢階級別1世帯当たり1か月間の家計について>

■持ち家率:81.7% 
■家賃支払い率:17.0%
■消費支出計:150,326円

(支出内訳)
・食料:32,776円
・居住費(修繕、管理費):12,976円
・水道、光熱費:13,646円
・家具、家電用品:5,874円
・被服および履物代:6,304円
・保健医療:8,326円
・交通、通信費:11,850円
・教養娯楽費(旅費、月謝など):16,951円
・その他支出:41,623円

60歳以上おひとりさま男性の生活費

■持ち家率:72.3%
■家賃支払い率:24.6%
■消費支出計:151,658円

(支出内訳)
・食料:38,711円
・居住費(修繕、管理費):18,446円
・水道、光熱費:13,857円
・家具、家電用品:5,086円
・被服および履物代:2,127円
・保健医療:7,443円
・交通、通信費:19,832円
・教養娯楽費(旅費、月謝など):18,287円
・その他支出:27,869円 このデータを見てみると、持ち家の割合が女性が81.7%、男性が72.3%と比較的高い傾向であることがわかります。このことから、住居費があまりかかっていないのが、わかりますね。持ち家がない場合は、さらに「家賃支出」が負担となることも計算しておく必要が出てきます。

政府統計の総合窓口:総務省
参照元:総務省(2015年11月時点、著者調べ)

老後の収入について

おひとりさまの「老後の収入」について、みていきたいと思います。考えられるのは、主に公的年金になるでしょう。下記は、職業別、男女別で65歳以降にもらえる年金額の目安となります。会社員男性は、実態に近い年金額となるようですが、女性は年金額より少ないことが予想されます。 65歳以上の公的年金給付目安額(平成26年度)

<職業:年金の種類:性別:年金月額>

■自営業、自由業:国民年金:男女:約64,000円 
■会社員:厚生年金:男性:約162,000円
■会社員:厚生年金:女性:約124,000円

※国民年金は、保険料を40年間納付した場合。
※厚生年金は、平均的な給与で保険料を40年間納付した場合。

もらえる公的年金は、職業とその加入年数により、もらえる金額が異なりますので、注意が必要です!
高齢化社会が進んでいるわが国では、将来、さらに年金額は引き下げられていくことも予想されます。しかし、今回は、それを想定しないでおきます。また、日本年金機構が運営する「ねんきんネット」にて、自分がもらえる年金額を調べることが出来ます。ぜひ、確認してみると良いでしょう。

ねんきんネット:日本年金機構
参照元:日本年金機構(2015年11月時点、著者調べ)



老後に不足する金額とは?

不足額の計算について

前項の年金の目安金額から、会社員男性は月約15万円、会社員女性は月約10万円、自営・自由業の男女は月約6万円程度が、もらえるものと想定してよいでしょう。ここでは、総務省の「家計費調査年報」の

・(60歳以上の女性)消費支出計:150,326円
・(60歳以上の男性)消費支出計:151,658円

というデータから、月額約15万円の支出があることを前提に、老後かかる生活費の不足分を算出したいと思います。設定するは、65歳女性、65歳男性とし、

・持ち家の場合
・賃貸の場合

の2パターンで計算してみましょう!

※賃貸の場合、家賃金額に各自ばらつきがあると思いますので、ここでは、月額5万円という設定で計算します。 <女性の場合>

■持ち家の場合
・厚生年金の場合:(年金収入)10万円-(平均消費支出)15万円=▲5万円
・国民年金の場合:(年金収入)6万円-(平均消費支出)15万円=▲9万円

■賃貸の場合
・厚生年金の場合:(年金収入)10万円-{(平均消費支出)15万円+(家賃)5万円}=▲10万円
・国民年金の場合:(年金収入)6万円-{(平均消費支出)15万円+(家賃)5万円}=▲14万円
<厚生年金受給者>
・持ち家の女性:月額5万円の赤字
・賃貸の女性:月額10万円の赤字

<国民年金受給者>
・持ち家の女性:月額9万円の赤字
・賃貸の女性:月額14万円の赤字
<男性の場合>

■65歳男性<持ち家の場合>
・厚生年金の場合:(年金収入)15万円-(平均消費支出)15万円=±0
・国民年金の場合:(年金収入)6万円-(平均消費支出)15万円=▲9万円

■65歳男性<賃貸の場合>
・厚生年金の場合:(年金収入)15万円-{(平均消費支出)15万円+(家賃)5万円}=▲5万円
・国民年金の場合:(年金収入)6万円-{(平均消費支出)15万円+(家賃)5万円}=▲14万円 <厚生年金受給者>
・持ち家の男性:プラスマイナス0
・賃貸の男性:月額5万円の赤字

<国民年金受給者>
・持ち家の男性:月額9万円の赤字
・賃貸の男性:月額14万円の赤字 この計算で判ったのは、年金だけでは、生活が不可能という点です。厚生年金受給者の男性で、持ち家であれば、プラスマイナス「ゼロ」も可能かどうか?微妙なラインと言えるでしょう。この毎月の赤字額を埋めるには、結構な金額の貯金が、大前提となることが判ります。

おひとりさま老後資金は、いくら必要か?

自分の余命が判るわけではないので、貯金すると言っても「何歳までの?」と思われる方もいらっしゃいますよね!私もそう思います。ですので、ここでは、日本の平均寿命をみてみましょう。厚生労働省の調査によると、

<2014年の日本人の平均寿命>
■女性86.83歳
■男性80.50歳

男女ともに、過去最高を更新したそうです。医学の進歩のせいもあり、今後もこの記録が更新され続ける可能性もあるでしょう。そう考えると、ここでは、女性が90歳くらいまで生きる(約30年間分)と仮定した上で、老後の資金について、計算していくことにしましょう!

「最低限」用意するべき金額とは?

<厚生年金受給者>
・持ち家の女性:月額5万円の赤字
{5万円×12カ月}×30年間=1,800万円

・賃貸の女性:月額10万円の赤字
{10万円×12カ月}×30年間=3,600万円

・持ち家の男性:プラスマイナス0
{0×12カ月}×30年間=0円

・賃貸の男性:月額5万円の赤字
{5万円×12カ月}×30年間=1,800万円

<国民年金受給者>
・持ち家の女性:月額9万円の赤字
{9万円×12カ月}×30年間=3,240万円

・賃貸の女性:月額14万円の赤字
{14万円×12カ月}×30年間=5,040万円

・持ち家の男性:月額9万円の赤字
{9万円×12カ月}×30年間=3,240万円

・賃貸の男性:月額14万円の赤字
{14万円×12カ月}×30年間=5,040万円 <厚生年金受給者>
■持ち家の女性:1,800万円
■持ち家の男性:0

■賃貸の女性:3,600万円
■賃貸の男性:1,800万円

<国民年金受給者>
■持ち家の男性、女性:3,240万円
■賃貸の男性、女性:5,040万円

90歳まで生きるとすれば、国民健康保険受給者の男女は、約5,000万円以上が必要になってくることが判明しました。これがもし、100歳、120歳ともなれば、更なる金額が必要となるわけです。5,000万円貯めるって考えると、大変恐ろしいですよね…。

他に、厚生年金受給者の男性については、プラスマイナスゼロで計算したため、当然必要な金額もゼロになっていますが、実際はゼロに収まらないと思います。このことを考えると、上記で計算した不足金額は、あくまで「最低限必要」な額であり、贅沢な生活が出来るわけではないことを肝に銘じる必要があるでしょう。

「余裕のある」生活に必要な金額とは?

自分が本当に困らないような老後資金を貯めたいと考えるのであれば、上記で算出した金額にさらにプラスする金額を計算しなければなりません!プラスする金額の内容は、

■60歳~65歳まで(5年間)生活費不足分
■生活費では払いきれない、医療費や介護費用
■持ち家の人は、住宅の維持費(修理代など)
■自立した生活が出来なくなった際の住居費(老人ホーム入居費など)
■葬儀代(自分のお墓代も含め)
■その他 (趣味や旅行等にかかる特別予算など)

これらも含めて考えると、老後資金として必要となる資金は、

■会社員男性:3,000万~4,000万円
■会社員女性:4,000万~6,000万円
■自営業の男女:7,000万~8,000万円

「最低限」プラス2,000万円~3,000万円の金額が目安となるでしょう。※但し、この金額は、公的年金制度が現在と同様であることが前提での金額となります。

老後資金をどう捻出するか?

貯蓄と退職金などで、老後に必要な資金が準備できれば良いと思いますが、なかなか「無理な金額」であると思うのは、私だけでしょうか!?ですが、人間必ず訪れる「老い」に対し、知らんぷりしておくわけにはいきません。それに、自分が何歳まで生きるのか?もワカラナイわけですから。

ですので、「最低限」の老後資金だけでも目標に捻出する方法を考えてみました。

老後の「お金のつくりかた」とは

■定年後も、死ぬまで働き続ける
定年後の収入は、現役時代の収入と比べても、断然低くなることは、みなさんもご存知でしょう。しかし、少しでも収入があれば、老後資金の不足分を補えます。また、仕事をしている間は、誰かとコミュニケーションが出てくるため、孤独死を防ぐことも出来るメリットが考えられます。

■年金だけでなく、他にも不労収入を得る仕組みを作る
財産を投資や運用することも必要かもしれません。自分の貯金を「投資信託」や「株式投資」、「外貨預金」に充てたりする方法もあるでしょう。また、保険会社の「個人年金」などへ積み立てるのも良いかもしれません。他には、不動産による「賃貸収入」などもあれば、さらに安心と言えるかもしれません。

まとめ

ここまで、「おひとりさま」が老後資金で必要となる金額についてみてきましたが、いかがでしたでしょうか?私は、自分でも将来が不安でいっぱいになってきました!?たぶん、私だけでは無いと思います。年金生活しているご老人たちが、時々テレビなどで「年金だけじゃ生活できない」と言っていた意味をようやく理解したわけです。

これからの人生、はっきり何年かまでは判りませんが、とりあえず最低限の生活が出来るよう、最低限の貯金はしておくべき!と自分へ言い聞かせました。みなさんもこの目安金額に尻込みせず、自分がやれることから始めてみると良いでしょう。将来の受給年金額も、これから更に減額されるかもしれません。それを念頭において、貯金することをおすすめします! ※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。