[生前贈与を孫に]教育資金を贈り、相続税の対策をしよう!

平成25年度税制改正により、「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」という制度が創設されました。おじいちゃんおばあちゃんが生きている間に、孫へ「教育資金」を贈ることで、贈与税を軽減できる仕組み。将来、学校などへ支払う費用なら、「1,500万円を限度」に贈与税が非課税となります。ぜひ、この制度を利用してみませんか?



生前贈与にかかる「税金」について

非課税制度の話を始める前に、相続税と贈与税について考えてみましょう。

■亡くなった個人から親族等へ引き継がれた遺産:相続財産
※その評価額が、一定額を越える場合、財産を引き継ぐ親族に対し「相続税」が発生。

■生前に個人から個人へ移転された資産:贈与税の対象財産

贈与税については、財産を生前に親族へ移転することで、相続税を免れようとすることを「抑止」する措置ともなっています。そのため、相続税より高い税率が課せられると言っても良いでしょう。

1年間で「110万円を超える」贈与、または、非課税特例措置に該当しない贈与、一般的生活慣行に当てはまらない贈与の場合、贈与を受ける側(もらう側)にかかる税金が「贈与税」です。たとえ親子間であろうと、贈与税の課税対象になれば、かなりの額の税金を払う可能性が出てくるでしょう。

但し、一定要件を満たす婚姻関係のある夫婦間での「居住用不動産」や「その取得資金」の贈与、父母や祖父母から、「住宅取得資金」を贈与された場合など、非課税特例措置に該当すれば、「一定金額まで」は贈与税がかからない仕組みになっています。

今回ご紹介する「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」についても、このような「特例措置」の一つと言えるでしょう。

教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置:文部科学省
参照元:文部科学省(2015年11月時点、著者調べ)

教育資金の一括贈与を受けた場合(平成25年4月):国税庁
参照元:国税庁(2015年11月時点、著者調べ)



非課税措置の制度とは?

教育資金の一括贈与について

この制度の内容ですが、子・孫・ひ孫が、直系尊属(祖父母など)から、「教育資金用」として、前渡しの一括贈与を受ける場合には、将来的に学校などへ支払う費用なら、1,500万円を限度に贈与税が非課税となる制度になります。※うち、500万円までは、塾や習い事など学校以外の費用も対象。

・贈与をする側である<直系尊属>とは、

■両親
■祖父母
■曾祖父母

であれば、年齢は特に問われません。しかし、非課税となるのは、贈与を受ける者が、「30歳未満で支払われるもの」に限定されている点に注意が必要です。また、「養父母から子への贈与」や養子縁組関係では、受贈者の「配偶者の両親・祖父母等からの贈与」も対象となります。 非課税となる財産については、教育費の支払いを「直接賄う金銭など」に限られます。そのため、「不動産」などを贈与して、「売却したお金を教育費に充ててね!」というのは、対象にはなりませんので、注意して下さい。

また、この制度を利用する際には、次の要件に沿う必要が出てきます!

教育資金の一括贈与を受けた場合(平成25年4月):国税庁
参照元:国税庁(2015年11月時点、著者調べ)

措置の適用期間について

この制度は、一時的なものであるため、制度の適用期間が次のように定められています。

■贈与時期:2013年4月1日~2019年3月31日までの間に行われる贈与が対象となります!

金融機関について(その手続き)

贈与資金は、所定の金融機関等で「一定の手続き」を経た、受贈者(子ども、孫など)名義の口座が必要となりますが、その口座は、

■1(いち)金融機関
■1(いち)支店
■1(いち)口座

とする決まりがあります。実際は、各金融機関に、この制度に適した専用の金融商品(口座など)があると思われますので、期間内に子ども・孫など、「1人につき1つ」の金融商品(口座など)へお金を入金しておけば、その金融機関にて、手続きや添付書類についての詳しい説明があるでしょう。該当する金融機関等とは、3つに大別できます。 ■信託銀行・信託会社など
親や祖父母(委託者)と信託銀行(受託者)とで、子どもや孫を受取人(信託の受益者)とした「教育資金管理契約に基づく信託」などの設定をします。通常、「この制度専用の金銭信託商品」により、資金を管理することになるでしょう。

■銀行など
親や祖父母と子どもや孫とで、書面による「金銭の贈与契約」を結ぶことで、その2ヵ月以内に贈与された金銭を、子どもや孫が自分名義で「教育資金管理契約に基づく金銭を預金等として預入する」専用の口座へ資金を預け入れます。通常は、各銀行に「制度専用の預貯金口座」を設けていると思いますので、そこに資金を預け入れることとなるでしょう。

■証券会社など
親や祖父母と子どもや孫とが、書面による「金銭の贈与契約」を結ぶことで、その2ヵ月以内に贈与された金銭など(MMFやMRFなど)を子ども・孫等が自分名義で「教育資金管理契約に基づく証券口座」にて、有価証券を購入することになるでしょう。また、親・祖父母等の証券口座から、子どもや孫への証券口座へ有価証券が振り替えられた場合も、これに該当するでしょう。

普通預金(教育資金贈与非課税口):三井住友銀行
参照元:三井住友銀行(2015年11月時点、著者調べ)

教育資金贈与信託:みずほ銀行
参照元:みずほ銀行(2015年11月時点、著者調べ)

教育資金贈与サポート:マネックス証券
参照元:マネックス証券(2015年11月時点、著者調べ)

非課税措置の注意点

注意するポイントとは?

贈与時の注意点は、上記のとおり、子ども1人につき、1口座です。期間内であれば、

・追加入金は可能(最大1500万円まで)
・原則として中途解約はできません

金融機関や金融商品の選択については、慎重に行うことをおすすめします。

<対象外の金融機関>
・外国の金融機関
・国内金融機関の外国支店

また、複数の親族から、贈与を受ける場合であろうと、子ども1人に対して、最大1,500万円までが限度となるルールです。旦那さん側の祖父母だけでなく、奥さん側の祖父母が、後から贈与を希望されたとしても、その合算額が「限度額を超える」場合は、この制度の対象となりませんので、注意して下さい。

贈与契約とは、贈与者と受贈者双方が贈与の意思確認をすることが前提となっていますが、この制度に関しては、「判断能力に乏しい」子どもや孫への贈与であっても、親権者などの「代理人」が必要書類を提出すれば、認められるものとなっています。

また、この非課税措置を適用させるためには、「受贈者」が所轄税務署へ確定申告する必要があるのですが、この制度ではそういった面倒な手続きを金融機関が「代行」してくれるため、とても助かる制度なのです。

教育資金の一括贈与を受けた場合(平成25年4月):国税庁
参照元:国税庁(2015年11月時点、著者調べ)



資金を引き出す場合について

引き出す際に必要なこととは?

ちなみに、教育費の支払いが生じる度、口座から出金することが可能となりますが、受贈者(子ども)が対象となる出費に対する、

■「領収書」
■「証明書」

を金融機関へ提出する必要が出てきます。先に支払った分(お金)を口座から出金する場合、支払から「1年以内分」の領収書をまとめて提出すれば大丈夫でしょう。

しかし、「教育費の支払する前」に

■金融機関から「出金する方法」
■金融機関に「直接支払いを依頼する方法」

などもあるでしょう。領収書や証明書は、原本提出が原則となりますが、場合によっては、その代用する書類も認められることがあります。詳しくは、金融機関へ確認することをおすすめします。

その専用口座の期限について

金融機関が代行して、非課税措置を専用とした口座については、子どもが30歳に達する(または死亡する)と自動的に終了します。その時点で残ったお金(残高)については、「贈与税の課税対象」となり、子ども本人が確定申告により納税することになるわけです。贈与税の負担を避けるためには、それまでにお金を使い切ってしまうことが重要ポイントになると言えるでしょう。

しかしながら、将来の贈与税の税率や教育資金の水準については、現時点で予想がつきません。更に、子どもが、どう進学していくのか?子ども本人が、どう人生を選択するか?によって、必要となる教育費の額は、さまざまです。

世間一般では、子ども1人にかかる教育費用は、約1,000万円以上と言われています。人によっては、私立の学校を出られたり、海外へ留学されることも考えられますので、それ以上の額が必要な場合も考えられるでしょう。

贈与税の「有る無し」ばかりを考えるのではなく、子ども本人の意思が最も重要になることを忘れないで頂きたいです。

教育資金の一括贈与を受けた場合(非課税):国税庁
参照元:国税庁(2015年11月時点、著者調べ)

運用による「利益」の発生について

また、口座内で発生した利子や運用益等は、通常の金融商品と同様に所得税・住民税の課税対象となってきます。最大30年という長期間に及ぶ、預入や運用となるため、限度額いっぱいにお金を入れていると、高額の利子や運用した利益が出ることも考えられますよね?その場合は、上限額を「超える額」が贈与税の対象となってしまう可能性も出てきます。

逆に、「損失」が発生した場合、当初口座に入金した金額に対し、減った額を領収書などで証明することは不可能です。そのため、その「元本欠損額」も贈与税の課税対象となり得るでしょう。そのようなデメリットを考慮すると、多少リスクのある金融商品での、制度利用は、避けるべきかもしれません。

教育資金の一括贈与を受けた場合(平成25年4月):国税庁
参照元:国税庁(2015年11月時点、著者調べ)

対象となる教育費とは??

この制度の対象となる「学校教育費」とは、一体どこまでの範囲を指しているのでしょうか。

■<幼稚園や保育園>など~<国内外の大学院>まで

・入学試験代
・入学金
・授業料
・施設整備費
・学用用品
・遠足や修学旅行費
・学校給食費
・寮費など

その学校等へ支払いが生ずる費用について該当するでしょう。このうち、500万円まで対象となる、「学校外費用」としては、

・学校指定業者へ支払う教科書等(学校教材費)
・制服等(学用品など)
・PTA会費
・塾や習いごとの費用
・それに伴う物品購入費など

が対象となるでしょう。

逆に、<適用対象外>の費用については、
・寮費以外の下宿代
・留学のための渡航費、滞在費等

※対象となる教育費については、文部科学省HP、国税庁HPを確認して下さい。

教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置:文部科学省
参照元:文部科学省(2015年11月時点、著者調べ)

教育資金の一括贈与を受けた場合(平成25年4月):国税庁
参照元:国税庁(2015年11月時点、著者調べ)

その他に注意するポイントは?

「名義預金」や「定期贈与」について

年間110万円以下の贈与は申告不要という旨は、上のほうでサラッと説明しましたが、「名義預金」や「定期贈与」になってしまう可能性があるでしょう。

両親または、おじいちゃんおばあちゃんが、「子どもや孫のため」に預けている預金「子どもや孫の名義の通帳」や印鑑等を管理している時、この預金は、子どもや孫の「名義を借りている」とみなされるかもしれません。父母や祖父母が亡くなった時、相続財産にこの金額も合算されて計算されてしまうでしょう。このような預金を「名義預金」と呼んでいます。証券会社の口座についても同様です。

これを防止する策としては、印鑑は、父母や祖父母と同じものは使わないこと!また、贈与を受けた人が通帳と印鑑を管理すると良いでしょう(子どもが未成年の場合、親が代理で通帳を管理)。

それと、父母や祖父母から、例えば、20年間にわたって50万円ずつ贈与を受けた場合、定期的に一定の金額が贈与されたとみなされ、「定期贈与」となります。これにより、合計1,000万円に対して、贈与税がかかることになるでしょう。

定期贈与とみなされないためには、贈与ごとに、別の贈与であることを証明する手段があります。それは、

■贈与する毎に、贈与契約書を作成する
■その契約書に「公証役場」で確定日付のスタンプもらう

ということです。公証役場にてスタンプをもらうことで、証明の効力を持ちます。

各種手数料:日本公証人連合会
参照元:日本公証人連合会(2015年11月時点、著者調べ)

生前贈与を孫に

ここまで、「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」についてみてきましたが、いかがでしたでしょうか?おじいちゃんおばあちゃんから相続するお金に対して、「教育資金の一部」として、生前贈与することで、税金が非課税になると言う、便利な仕組みであることがお判りになられたかと思います。

子どもについて、1人当たり:最大1,500万円までということですが、現代は、結構お金持ちの方が多いのでしょうか?私が子どもの頃は、そんな相続のお金の話なんて、一切出てこなかったな…と考えてしまいました。

しかしながら、「将来的にかかる教育資金」をおじいちゃんやおばあちゃんが出してくれるということは、ご両親への経済的負担が減るということに繋がっていると言えるでしょう。今後、おじいちゃんたちから、そんなオイシイお話があれば、是非、受けた方が良いかもしれませんね!ぜひ、参考にしてみて下さい。