マイナンバーで税金も変わる?制度導入の影響をまとめてみた

平成25年に制定したマイナンバー法では・行政運営の効率化・公正な給付と負担の確保・国民の負担軽減と利便性向上の3点を目的として、日本国内のすべての個人および法人に重複しない番号を付与することが決まりました。これにより行政機関が保有する個人情報と番号の紐付けをして活用する制度がマイナンバー法です。



マイナンバーの目的とは

行政運営の効率化

行政運営の効率化とは簡単にいえば、県庁や市役所、税務署、年金事務所などの官公庁の仕事が効率よく行われるようになり、時間や人員が節約できるということです。

公平な給付と負担の確保

次の公平な給付と負担の確保とは、今まで年金保険料や社会保険料の未納や税金の脱税、または年金の不正受給など、ズルをして払うべき税を払わなかったり、もらうべきでない受給を受けたりする不正、不公平を減少させる事を指します。

国民の負担軽減と利便性向上

最後の国民の負担軽減と利便性向上とは、国民の役所での手続きがより簡単にできるようになることです。



マイナンバーの利用分野

マイナンバー制度では当初は次の3分野での利用が規定されていました。

社会保障

年金、健康保険などの加入・申請・受給するときにこのマイナンバーが必要になります。また、雇用保険等の資格取得や確認給付、ハローワークの利用時にマイナンバーが利用され、児童手当や生活保護などの福祉、医療の分野でもマイナンバーが必要になってきます。

税金

税金の分野では国民の所得税の確定申告、サラリーマンが会社で行っている年末調整、各種届出や調書類にもマイナンバーの記載が必要になり税務署等の内部処理にも利用されます。

災害対策

災害時には被災者台帳の作成時や被災者生活再建支援金の支給に関する事務手続きにマイナンバーを利用をします。

マイナンバー実施のスケジュール

では時系列で何が起こるかをご説明します。

2015年10月から

①番号が通知されます
日本国内に住民票を持っている人すべてに12桁のマイナンバーを通知します。住民票があれば外国人にもマイナンバーは送られるのです。また、法人は13桁の番号となります。送り主は各市区町村役所で、簡易書留での送付です。このときの送付は通知が目的です。

2016年1月1日から

②番号の利用が始まります
社会保障、税、災害対策の3分野で法律で定められた行政手続きに利用されます。利用されるというのは、「税務署や市区町村役所で書類を申告、申請するときにマイナンバーが必要になる。」ということです。

③「個人番号カード」の交付が開始されます
ここでやっとマイナンバーカードの登場です。表面には氏名・住所・生年月日・性別の4情報と顔写真、裏面にマイナンバーが記載されているカードです。これは交付を希望する人が市区町村役所に行って申請をしなければ発効されません。

2017年1月から

④国の機関同士の連携が開始されます。
実質的な運用が交付開始から1年経ってやっと始まります。

⑤マイナポータルの導入
マイナポータルとは正式名称「情報提供等記録開示システム」のことです。自宅のパソコンからweb上の自分専用のマイナポータルに接続して、行政機関が保有する自分の情報やお知らせを確認することができるようになります。

これにはマイナンバーカードの発行が不可欠となりますが、個人の所得税や社会保険料の納付状況、年金の受給に関する情報などもパソコンを通じていつでもwebで確認することが出来るようになるのです。

2017年7月から

⑥地方公共団体同士の情報提携が開始されます
住民税や固定資産税など市区町村が保有する情報も連携されてくるわけです。

2018年1月以降予定

・預金口座へのマイナンバー付番
・医療分野への拡大
・戸籍に関する事務
・自動車登録に関する事務
・旅券発行等に関する事務
・その他民間の利用(民間利用に関してはこれから最終決議が行われます)
など。ここでやっと政府が目指す本格的な運用となります。

その後はNHK受信料の支払い向上、日本学生支援機構の奨学金制度、選挙制度などにも利用の範囲を広げたいなどの意見もあるようです。



マイナンバー制度の本音と建前

行政がスリム化することで公務員の数が減り、税金の無駄遣いが無くなる!というのがマイナンバー制度導入の政府の建前です。しかし本当にそれだけの理由でマイナンバー制度は実施されるのでしょうか?

国の借金:1,000兆円!

平成27年3月末の国の借金は:1,053兆円近くになっています。これは国民1人あたり:830万円の借金をしている計算です。このままではいけないことは誰が見ても明らかな事実ですが、ではどうしたらよいのでしょうか?

まずは税金の問題です。
毎年、国税庁の査察や国税局、税務署の税務調査などで摘発される脱税総額、申告漏れによる税額は約2,000億円にもなります。しかしこれは日本の総企業数の約3%を調査しただけの結果です。もし仮にすべての企業の申告漏れをただすことが出来たらどうなるでしょうか?税金をすべて適正に徴税できれば国の借金も随分減らすことが出来るのです。

税務調査のための人員不足で徴税漏れが膨大にある現状を打開をするために、マイナンバー制度は必要です。マイナンバー制度により税金がより正しく徴収できれば、国の財政に多大な貢献をすることになるのです。

生活保護費の不正受給

厚生労働省の発表によれば、平成25年の生活保護費の不正受給総額は187億弱あります。これは本当は働いて所得のある人が生活保護を受けていたり、年金をもらっているのに申告しない人がいるためです。

マイナンバー制度が正しく導入されれば、こういった不正受給が出来なくなり人件費をかけなくても、国の財政を大きく助けることができるのです。

税金は何が変わるの?

厚生労働省の発表によれば、平成25年の生活保護費の不正受給総額は187億弱もあります。これは本当は働いて所得のある人、年金をもらっているのに申告しない人がいるためです。マイナンバー制度が正しく導入されれば、こういった不正受給が出来なくなり人件費をかけなくても支出をおさえることができ、国の財政を大きく助けるのです。

個人にとってマイナンバー制度の大きなメリットの一つには、確定申告の手続きが簡単になることがかかげられます。
源泉徴収票をなくしてしまったり、国民年金の控除証明書を紛失してもマイナンバーにより紐づけられている個人情報により、書類の再発効をしなくても簡単に申告ができるようになるのです。

健康保険組合や国民健康保険もマイナンバーでの紐付けが出来ますので、予定では2017年7月から領収書がなくても医療費控除が受けられるようになる予定です。

証券口座の開設にもマイナンバーが必要に!

2016年以降、マイナンバーを通知しないと証券会社での新規口座開設が出来なくなるとされています。

3年間の猶予期間が設けられてはいますが、証券会社が税務署にマイナンバーを記載して提出する書類は次の4つがあげられます。

・NISA口座の年間取引報告書(非課税口座)
・特定口座年間取引報告書
・配当、剰余金の分配等の支払調書
・株式の譲渡対価の支払調書

個人投資家の方はインターネットで証券会社からの取引状況をマイナンバーによる紐付けで入手し、簡単に確定申告ができる方法が検討されています。

預金口座もマイナンバー登録が義務付け!

新規の開設口座はもちろん、既存の銀行口座もマイナンバーの登録が義務化される見込みです。
これにより預金口座の名寄せが簡単にできるようになります。

預金口座の名寄せが簡単にできるようになると、個人事業者の所得の申告漏れも、税務署があえて調査に行かなくても人件費を使わずに簡単にバレてしまうコトになります。
また、相続税においても被相続人の隠し口座の所有が実質的に不可能になり、マイナンバー制度は脱税の防止にも大変役立つのです。

富裕層の憂鬱

富裕層の方の場合、マイナンバー制度が導入されると、今まで出来ていた節税方法が使えなくなる可能性があります。
日本の労働人口の約80%が給与所得のみの人、いわゆるサラリーマンだといわれていますが、このサラリーマンといわれている人にとってマイナンバー制度は最初面倒くさいとは感じても、恐怖を感じるものではないと思います。既にご自分の所得を100%税務署に掌握されていますので今更隠すものがないのですから。
しかし富裕層の方で有能な税理士と契約している方は、いわゆるグレーゾーンといわれる税金の法律スレスレのところで節税されている方がたくさんいます。

しかしそのスレスレの節税策を行うことが、マイナンバー制度ではお金の流れが個人と結びついてすべて明らかになるシステムですから出来なくなり、より厳しく課税する政策がとられる可能性が高いのです。

富裕層の方からしてみれば、所得税は累進課税で低所得者よりずっと高い税率で課税され、すでに多額な税金を納めているのに、さらに厳しく徴税されるといったらマイナンバー制度に恐怖感を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか?

所有する資産にも税金がかかる?

さらに富裕層の方が恐れていることがあります。
マイナンバー制度が導入されると国民一人ひとりの財産のすべてが政府に丸見えになってしまうかもしれません。
銀行口座にも証券口座にも、固定資産税の納税の仕組みにより土地や建物の不動産までマイナンバーによりその個人の財産が紐付きで掌握される時代がもうスグやってくるのです。

総資産が把握されればそれに課税するという法案が出来てもおかしくはありません。

総資産100億の人に0.1%の課税をしても1,000万円の税金が国家の収入になるのですから、税金を徴収する側とすればこんなに楽な仕組みはありませんね。

富裕層の海外移転

日本の国内にある財産がすべて国に掌握され、いままでより高い税金を納税することになると、当然「日本を逃げ出して税金の安い国に移住したい!」という気持ちになってしまうかもしれません。

もし本当に日本が富裕層にとって住みにくい国になり、大勢の富裕層が海外に移住することになれば当然国の税収は大幅に減少します。

今よりも借金が多い国にならないように、税制改正は慎重に行って欲しいものです。

Q&A

【Q.1】自分のマイナンバーで一番気をつけなくてはいけないことはなんですか?

〈A.1〉むやみに他人に教えないことです。そして自分の普段使っているパスワードやID番号を個人番号と同じにしないように気をつけましょう。何か一つが漏洩した場合に他の番号もわかってしまう可能性があるからです。

【Q.2】マイナンバー制度の実現により脱税や生活保護、年金、失業保険などの不正受給などをなくすことができますか?

〈A.2〉制度上は可能です。個人の所得や税金、保険料の支払いや給付などすべてマイナンバーに紐付いて把握が出来る制度ですから、当然働いて収入があるのに無いと偽って生活保護を受けるための申請をしたりすればその場でスグに不正が阻止できるのです。

【Q.3】夫に内緒の借金があります。マイナンバー制度によりバレてしまうことはありますか?

〈A.3〉今のところマイナンバー制度は民間では利用できませんのでバレることはないはずです。もし消費者金融などでマイナンバーの提示を要求されてもそれは違法ですからきっぱりと断ってください。
将来的に民間での利用が認められるようになるとバレてしまうかもしれません。

【Q.4】通知されたマイナンバーが気に入りません。変えてもらうことはできますか?

〈A.4〉マイナンバーはその個人が一生使う番号となり、原則としては変更はできません。例外として変更できるのはマイナンバーが漏洩して悪用される恐れのある場合です。この場合には住民票のある市区町村に変更の申請をして、変更が必要であると認められれば変更ができます。

また行政側でマイナンバー漏洩により悪用される恐れがあると判断した場合には個人が申請しなくても変更される場合があります。

【Q.5】マイナンバーについてもっと知りたいことがあります。どうしたらよいですか?

〈A.5〉いろいろな方法もありますが、コールセンターに電話で問い合わせができます。電話番号は0570-20-0178、英語、中国語などでの対応は0570-20-0291となります。
また政府の公表サイトもご参照ください。

特集-マイナンバー:政府広報オンライン
政府の広報・広聴活動をまとめたポータルサイト。内閣府大臣官房政府広報室が運営。出典元:政府広報オンライン(2015年11月、著者調べ)

まとめ

マイナンバー制度は政府の意向どおりに導入されればほとんどの国民にとっては利用価値のある便利な制度といえます。しかし一部の超富裕層や不正をたくらんでいる人には自分のお金の流れがすべて明るみに出てしまう恐怖感のある制度ともいえます。

このマイナンバー制度の一番のデメリットは国民のマイナンバーの情報が外部に漏洩し悪意のある利用をされてしまう可能性が断ち切れないということに尽きます。
まずは自分のマイナンバーは自分で守る。紛失したり盗難にあわないように充分な注意が必要です。

※本記事の情報は、一般的または筆者個人の調査によるものです。法令などの改正、前提事実や個人状況の違いや変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性もあります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨します。