<労災保険料率>って??今さら聞けない社会人の基礎の基礎

社会人になると色んな保険とかかわりがでてきます。労災保険というのを聞いたことがあるでしょうか?いわゆる労災と呼ばれるものです。全ての働く人が加入し、勤務中に事故や怪我で働けなくなった場合、補償してくれます。このおかげで、安心して働くことが出来る大切な社会保険の一つです。



労災保険を知る

まずは、私たちが加入している社会保険をご存じでしょうか?日本には国民の生活を支える五つの社会保険があります。

・医療保険
・年金保険
・介護保険
・雇用保険
・労災保険

この中でも特に最後の二つ、雇用保険と労災保険は労働保険と呼ばれています。労働保険には、すべての働く人が加入することになっています。

今回は労災保険の保険料率についてですが、まずは労災保険とは何なのか、そして私たちの生活とどのような関係があるのか、という視点から入っていきましょう。

労災保険は、厚生労働省の管轄です。そこでは労災保険は次のように説明されていました。

■労災保険とは

労働者が業務上の事由又は通勤によって負傷したり、病気に見舞われたり、あるいは不幸にも死亡された場合に被災労働者や遺族を保護するため必要な保険給付を行うものです。
また、労働者の社会復帰等を図るための事業も行っています。

出典:

www.mhlw.go.jp

補償が受けられます

世の中には色々なお仕事があります。仕事によっては、危険が伴う作業を行うものがあります。そうした業種はもちろん、比較的安全と思われている業種でお仕事している人でも加入することになっています。つまり労災保険は、業種や危険度に関わらずすべての働く人が加入するものです。

デスクワーク主体の人でさえ、通勤途中で何があるかわかりません。労災では、通勤も勤務時間外とはいえ業務上必要と見なし、怪我や事故を補償してくれます。こうした通勤災害を始め、勤務時間中の業務に起因する労働災害による怪我や病気を補償してくれます。

労災認定を求めてもめることもあります。裁判で争われることもあります。業務に起因すると認められれば、この保険が適用されることになります。ニュースなどの報道で見ることもあると思います。

このように労働保険があるおかげで、万が一仕事中に、あるいは仕事が原因で怪我や病気になっても救済策が受けられることになります。このように一度何かあったときに私たちが困らないように補償をしてくれる保険です。

労災と認められるには

どんなときに補償が受けられるのかが気になります。次の二つにはどんな場合が労災になるのか、記載されています。

・職業病リスト
・業務災害に認定

「職業病リスト」は厚生労働省が発行しています。ネット上から入手が可能です。今年は21疾病が新たに加えられたそうです。

業務災害の認定については、公益財団法人労災保険情報センターがまとめています。業務災害の認定と通勤災害の認定について、いろんな場合を想定して書かれています。

労災保険制度は、労働者の業務上の事由または通勤による傷病などに対して、必要な保険給付を行うものです。 この制度の補償の対象となる疾病は「職業病リスト」で定めています。

出典:

www.mhlw.go.jp

業務災害の認定
参照元:公益財団法人 労災保険情報センター (2015年12月時点、著者調べ) 事故等で労災認定されるかどうか調べたい場合もあるでしょう。上記のように資料はあるものの、読むところがたくさんあって難しく書かれていて、自分で読んで理解するのは時間がかかり大変そうです。

自分のケースが労災にあたるのかどうか、労災の申請やその他の手続きなどを巡っては、様々な悩みや戸惑いもあるようでしょう。

実際に自分のケースが労災にあたるどうか判断しかねる場合は、とりあえずこちらに電話で相談してみてはどうでしょうか?厚生労働省が運営する労災のための相談ダイヤルです。

また手続き等でスムーズにいかない場合などは「労働基準監督署」に相談することをお勧めします。

労災保険相談ダイヤル
参照元:厚生労働省(2015年12月時点、著者調べ)

通勤災害について

通勤災害という言葉があり、労災適用における通勤の定義が載っています。例えば、通勤の途中でどこかに寄り道した場合など、例えばコンビニに立ち寄ったらどうなるかなどが記載されているので、参考になると思います。

ちなみにコンビニに立ち寄ってジュースを買ったりしても、それが普段通っている経路だったら、通勤の中断とはならないそうです。

労災の保険料は何に使われているの?

労災保険料はどんな風に使われているのでしょう?平成25年度の実績を見てみましょう。総額の約八割にあたる8469億円が労災保険給付のために使われています。

労災保険給付の中でも割合の高いものを見てみます。亡くなった方の遺族年金に26.3%、怪我や病気の補償に25.9%、障害を負ってしまった人への年金が18.6%などとなっています。

こうして見ると、万が一何あったときのために使われているのを実感します。また保険金の給付以外としては、社会復帰促進事業などにも使われているそうです。

お支払いいただいた労働保険料(労災保険料、雇用保険料)の使用用途について|厚生労働省
参照元:厚生労働省(2015年12月時点、著者調べ) お支払いいただいた労働保険料(労災保険料、雇用保険料)の使用用途について紹介しています。



労災保険の保険料を知る

保険料、誰が払うの?

このように働く人がすべて加入する労災は、いざという時に役立ち、私たちを助けてくれます。次に保険料について話を進めていきましょう。保険料と言うと、一般的には加入する人が負担するイメージですが、労働保険の場合はどうなのでしょう?

まずは、社会保険はどうなのでしょう?日本における社会保険では、保険料は本人と事業主の両者が負担しています。年金も健康保険も折半ですから、本人が50%、事業主が50%を負担して納付しています。介護保険も同じです。

雇用保険の場合はどうでしょう。雇用保険は労災保険と同じく労働保険です。その保険料は、本人が5/1000に対して、事業主は8.5/1000を負担することになっています。つまり、本人:事業主の割合が5:8.5、つまり10:17で事業主が多く支払っています。

労災保険はどうでしょう?これだけは働く人の負担はゼロです。事業主が全額負担して支払うことになります。

労災保険の保険料の計算

労災保険は、一年間に支払う賃金の総額に保険料率をかけます。賃金の総額とは具体的に何を指すのでしょう。基本給与以外にもボーナスを始め色々と手当などがあります。つまり何を含めて何を含めないかは、一覧表があります。含めるもので主なものは次のとおりです。

・ボーナス
・残業代
・通勤手当
・退職金

では含まれないものにはどんなものがあるのでしょう。

・結婚祝金
・死亡弔慰金
・災害見舞金

実際に仮の数字で計算してみましょう。次のような会社があるとします。

・業種は小売業
・一年間に事業主が賃金として払った総額は1,000万円

小売業の労災保険料率は3.5/1000になります。ですから保険料は、1,000万円×3.5/1,000=35,000円となります。労災保険だけだと一年間の保険料は35,000円となります。

労働保険料等の算定基礎となる賃金早見表(例示)
参照元:厚生労働省(2015年12月時点、著者調べ)

雇用と労災で労働です

実際に企業が保険料を納めるときは、労働保険料として支払います。ですから労災と雇用の二つの保険料を一緒に計算することになります。

雇用保険の場合の保険料率は、本人が5/1,000、事業主が8.5/1,000でした。ですから合わせて13.5/1,000になります。一年間の賃金の総額が1,000万円の小売業では、労働保険料の計算は次のとおりになります。

一年間の賃金の総額×(労災保険料率+雇用保険料率)=労働保険料
1,000万円×(3.5/1,000+13.5/1,000)=1,000万円×(17/1,000)=170,000万円

この170,000円のうち、労災保険料は35,000円、雇用保険料は135,000円です。そのうち働いている人の負担は雇用保険分の50,000円です。雇用保険はいわゆる失業保険ですから、失業したときに給付金を受けることができます。そのために支払う保険料です。

こうしてみると、労働保険の事業主負担分は120,000円となかなか大きいですね。なお、本人負担の雇用保険保険料は毎月の給与から天引きされています。

保険料率はみな同じ?

ここで気になるのが、労災保険の保険料率です。同じく労働保険である雇用保険は、どんな業種でも収入が多くても少なくても保険料率は一律で、本人負担は5/1000でした。では労災保険はどうでしょう?

上記の例で3.5/1000だったのは、これは小売業だからです。労災保険の特徴は、業種や仕事内容によって保険料率が細かく分類して決められていることです。これも仕事の種類によって、作業内容が様々だからでしょう。怪我や病気になる確率が高いと思われる仕事の場合、高くなるよう調整されているようです。

ですから一覧表も2ページにわたってその料率を記載しています。どのような料率になっているのか、ここから見て行きましょう。

労働保険料の申告・納付|厚生労働省
参照元:厚生労働省(2015年12月時点、著者調べ) 労働保険料の申告・納付について紹介しています。

保険料率の特徴

保険料率の高いもの

まずは保険料率が高いランキングを作ってみました。

・第一位 金属鉱業、非金属鉱業(石灰石鉱業又はドロマイト鉱業を除く。)又は石炭鉱業(鉱業)→88
・第二位 水力発電施設、ずい道等新設事業(建設事業)→79
・第三位 林業(林業)→60
・第四位 採石業(鉱業)→52
・第五位 船舶所有者の事業→49

うしろの数字が保険料率になります。例えば第一位の金属工業の場合は、保険料率が88/1,000となります。これは先ほどの小売り3.5/1,000の25倍ほどです。25倍!この違いは大きいですね。

労災保険は事業主が保険料全額負担であることは先ほどお伝えしました。ですから保険料率の高い業種での、事業主の負担の大きさを感じますね。

保険料率の低いもの

それでは逆に、保険料率が一番低いのは何でしょう?見たところ最も小さい数字は2.5でした。

・計量器、光学機械、時計等製造業(電気機械器具製造業を除く。)(製造業)
・通信業、放送業、新聞業又は出版業(その他の事業)
・金融業、保険業又は不動産業(その他の事業)

これらの仕事は、労災保険料が安いということは、業務に起因した怪我や病気が比較的少ない仕事ということになるでしょう。

身近な仕事の保険料率

それでは今度は、私たちにとって仕事の中身がわかりやすい、身近なお仕事で保険料率を見てみましょう。

最初は建設業です。ランキング二位の「水力発電施設、ずい道等新設事業」は79と飛び抜けていますが、他の建設業のお仕事は6.5から17の間になっています。私たちに身近でわかりやすい仕事としては、道路新設が11、舗装工事が9ですね。

製造業はどうでしょう?

・食料品製造業→6
・パルプ又は紙製造業→7
・印刷又は製本業→3.5
・貴金属製品、装身具、皮革製品等製造業→3.5

建設業に比べると、数字が明らかに低くなっています。次にその他の事業というカテゴリーからいくつか見てみましょう。

・農業→13
・倉庫業、警備業、消毒又は害虫駆除の事業又はゴルフ場の事業→7
・卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業→3.5

となっています。自分が関心のある職業の保険料率はこちらを見れば知ることが出来ます。

労働保険の保険料率が変わります 平成27年4月1日改定
参照元:厚生労働省(2015年12月著者調べ)

保険料率の見直し

労働保険の保険料ですが、申告は一年に一回です。申告期限が6月1日から7月10日までなので、6月に計算する会社が多いです。

保険料率については、毎年4月1日に改定されています。平成27年度は雇用保険料率は前年度と同じでしたが、労災保険料率は変更がありました。ただ全部が変更になった訳ではなく、変更になった業種もあれば、変わらない業種もあります。

例えば林業は60で変わらずですが、建設業の中の「鉄道又は軌道新設事業」は17から9.5と大幅に少なくなりました。保険料率が下がれば、事業主負担が軽くなります。事業主さんからは歓迎ですね。

労働保険料の申告・納付|厚生労働省
参照元:厚生労働省(2015年12月時点、著者調べ) 労働保険料の申告・納付について紹介しています。



保険料率は毎年確認

このように、保険料率は常に一定ではありません。毎年4月に改定されるので、その段階での確認が必要となります。確認した上で、企業は6月に忘れずに申請する必要があります。

なお、6月の申請の段階では二つの作業が行われます。

・昨年度分の確定の申請
・今年度分の概算の申請

ですからもし保険料率に変更があった場合は、上記の二つは異なる料率で計算することになります。昨年度分は古い数字で、今年度分は4月に新しくなった数字で行います。昨年度分はすでに納付済みなので、もし確定との差が発生すれば精算となります。

保険料率のまとめ

すべての働く人は、労災に入っているはずです。働く人は保険料率など気にならないと思いますが、逆に保険料を全額負担している事業主にとっては、保険料率は気になるところでしょう。

社会人として労災保険の大切さ、有難さは十分に理解されていると思います。知識を更に広めて、社会人生活に役立てて頂ければ幸いです。 本記事の情報は、一般的または筆者個人の調査によるものです。法令などの改正、前提事実や個人状況の違いや変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。 従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。