慰謝料の相場を悩み別に検証!私の慰謝料はいくら?

助けてと言えずにひとり悩んで孤立している女性が多くなっているようです。肉体的・精神的・経済的に被害を受けた場合、慰謝料としてどのくらいもらえるものなのでしょうか?今回は過去の裁判による判例から悩み別に慰謝料の相場を調べてみました。



助けてと言えない女性たち

2015年11月に放送されたNHKクローズアップ現代では「助けて」と周囲に言えない女性たちが社会で孤立し、自殺を計って命が危ぶまれるギリギリの段階になってようやくその状況が明らかになり、医療現場とつながるという衝撃的な内容でした。その中でも私が一番驚いたのは、ドメスティックバイオレンスの件数が今年過去最多の5万9千件を記録したという事実でした。

女性たちの悩みは人それぞれですが、その悩みは根深く女性たちを苦しめています。今回は過去の判例から悩み別に慰謝料がどのくらい請求できているのか検証してみます。

助けてと言えなくて~女性たちに何が~ – NHK クローズアップ現代
参照元:NHKクローズアップ現代(2015年12月著者調べ)

www.nhk.or.jp
尚、今回の過去の判例は慰謝料算定の実務・第2版を元に検証していきます。

Amazon.co.jp: 慰謝料算定の実務 第2版
参照元:千葉県弁護士会(2015年12月著者調べ)



慰謝料の基礎知識

慰謝料とは?

慰謝料とは法的には不法行為による損害賠償請求の事です。すなわち、違法な行為によってダメージを受けた人が、その原因を作った人から償いの為にもらうお金の事です。肉体的に受けた損害に対する慰謝料、精神的に受けた損傷に対する慰謝料、財産的に受けた損傷(物が壊された等)に対する慰謝料等があります。

慰謝料をもらう意味

慰謝料をもらうという事の意味は以下のようなものがあります。

・被害者が受けた損害を加害者に金銭で補わせる意味
・裁判で加害者に金銭を払わせるという制裁的な意味
・被害者が慰謝料をもらう事によって精神的苦痛を和らげて満足させる意味
・被害者が慰謝料をもらう事によって経済的損失を克服するための意味

慰謝料が変わる要因

慰謝料の算出の際に参考とされる要因は以下のようなものです。

・被害者の苦痛の程度
・被害者の財産状況
・被害者の年齢
・被害者の職業や社会的地位
・被害者の過失
・加害者の故意・過失
・不法行為の動機・原因

慰謝料と解決・和解金の違い

慰謝料とは裁判で不法行為が認められた場合に支払われるお金です。よって、不法行為が認められる証拠が必要となります。また慰謝料が請求できる時効は損害および加害者を知った時から3年と法律で定められています。あまり時間が経っていると、慰謝料を請求するための直接の要因とは判断されないためです。

解決金・和解金は当事者同士で話して合意したお金の事です。裁判を行うと時間がかかりますが、解決・和解金の場合は裁判ほど時間がかからずに決着をつけることができます。また、被害者、加害者の状況によって大きく金額が変わってきます。例えば加害者が「これだけ多くのお金を払うから別れてほしい」と申し出をし、被害者がそれに合意した場合は相場より高い金額になります。

現状では裁判で慰謝料もらう割合は10%程度で、あとは解決金・和解金をもらう割合が90%程度と言われています。次に過去の裁判での判例に基づき、それぞれの問題の相場を見て行きます。

弁護士ドットコム -[内容証明]慰謝料、和解金、示談金、解決金の違い。金額を提示するのに慰謝料として支払うと聞くべきでしょうか?
参照元:弁護士ドットコム(2015年12月時点、著者調べ)

www.bengo4.com

男女問題での慰謝料の相場

離婚慰謝料の相場

離婚慰謝料はひとそれぞれの状況が違いますので、相場も違ってきます。よって離婚慰謝料の相場は一概には言えないのですが、過去の裁判での判例を元にどのくらいの慰謝料が請求出来ているのかを見て行きましょう。また、慰謝料をもらう!と裁判を起こそうとしても次のような場合は慰謝料がもらえないので注意が必要です。

■慰謝料がもらえない場合
・性格の不一致
・双方に離婚の責任がある場合
・事実上、夫婦関係が破綻してからの不貞行為

■離婚慰謝料の計算方法
離婚慰謝料を計算する上での要素は、婚姻期間、支払側の財力、原因の重さ、未成年の子どもがいるかどうかです。その中でも婚姻期間が大きな要素となります。裁判事例とアンケートによると婚姻期間が5年未満の場合の慰謝料は100万円未満が多く、30年以上だと300万〜499万円が多いという結果になっています。

婚姻期間別・判例

■婚姻期間5年未満の判例
・ケース1:価値観の違い/慰謝料:50万円
・ケース2:夫への不信感、妊娠した時の配慮のなさ/慰謝料:50万円
・ケース3:夫の性的不能/慰謝料:100万円
・ケース4:夫の浪費/慰謝料:200万円

■婚姻期間5~10年未満の判例
・ケース1:夫の借金問題/慰謝料:150万円
・ケース2:夫が育児に協力しない/慰謝料:300万円
・ケース3:夫による性交渉拒否、夫からの離婚請求による破綻/慰謝料:300万円
・ケース4:夫の実母の一方的な言い訳を信じて妻に配慮しない/慰謝料:700万円

■婚姻期間10~20年未満の判例
・ケース1:経済的感覚の違い/慰謝料:70万円
・ケース2:夫が借金を重ね破産/慰謝料:100万円
・ケース3:夫の不貞/慰謝料:250万円
・ケース4:性交渉がない/慰謝料:300万円

■婚姻期間20〜30年未満の判例
・ケース1:夫の妻に対する思いやりのなさ/慰謝料:100万円
・ケース2:夫の不貞/慰謝料:350万円
・ケース3:夫が婚姻費用を負担しない/慰謝料:400万円
・ケース4:夫のギャンブル等による借金/慰謝料:500万円 不貞とは不倫・浮気等を含めた男女間の性交やその類似行為のことをいいます。これは加害者である夫だけでなくその相手方にも請求する事ができます。なお肉体関係がない場合であっても第三者が婚姻生活を破綻したと違法行為が認められた場合は慰謝料が支払われた判例もあるようです。

DV=暴力による離婚慰謝料の相場

判例からみると暴力による離婚の慰謝料平均額は171万円で、不貞を原因とする慰謝料よりも低いようです。ただし暴力に関しても婚姻期間が長いほど高額になる傾向が見られます。DV=暴力の場合、期間だけでなく暴力を受けた回数やそれによって受けた怪我、暴力の影響で発症した病気(うつ病など)の程度にもよります。

■婚姻期間別・慰謝料の判例
・5年未満:200万円
口論が高じて夫が妻に暴力行為に及んで負傷させ、食器等を執拗にたたきつけて割るなどの家庭の平和を乱す行為をした
・5~10年未満:250万円
暴力・風俗店における性交渉及び妻へ性病を感染させた
・10~20年未満:300万円
夫の暴力により後遺障害併合8級で入通院慰謝料など別に認め、離婚慰謝料は300万円

現在ドメスティックバイオレンスでお悩みの方は受けた時の証拠になる写真や診断書をその都度取っておき、すぐに相談機関に相談される事をおすすめいたします。

女性のためのDV相談室 by NPO法人 全国女性シェルターネット
参照元:全国女性シェルターネット(2015年12月著者調べ) 夫や恋人からのDV(ドメスティック・バイオレンス)、デートDVなど、さまざまな暴力に悩む女性をサポートします。

DV相談ナビについて | 内閣府男女共同参画局
参照元:内閣府(2015年12月著者調べ)

ストーカーによる慰謝料

平成12年にストーカー行為等の規制に関する法律ができて、それ以降毎年1万件を超える事案が発生しているようです。また平成24年には1万9,920件とストーカー法施行後、最多件数となったようです。この「つきまとい行為」は、された側の身体の安全・住居の平穏を害し、行動の自由を害され精神的に苦痛、不安を与えるものが不法行為とみなされます。ここでは2つの判例をご紹介します。

■男性が仕事を通じて知り合った女性に一方的に行為を抱き、警察から注意を受けたにもかかわらず頻繁に電話をかけ、駅で待ち伏せ等を繰り返した。女性には何の落ち度も無い事と、男性の執拗なつきまとい行為の内容・程度・悪質さに違法性が強いと判断されたため、慰謝料は300万円となった。

■宅配業者の配達員が業務上の必要がないのにもかかわらず、配達先であった女性の自宅を訪問したり、何度も電話をかけたりなど。被害者は急性ストレス障害を発症するほどの恐怖を感じたけれど、身体的接触はなく侵害状況は強いものではないと判断されたため、慰謝料は100万円となった。

男女共同参画白書(概要版) 平成25年版 | 内閣府男女共同参画局
参照元:内閣府男女共同参画局(2015年12月時点、著者調べ)



ハラスメント問題

セクシャルハラスメントの慰謝料

セクハラの定義は「相手方の意に反する性的な行動」で主に職場や学校において問題になる事が多いものです。セクハラに対する慰謝料の算出要因はセクハラ行為の悪質性、回数、セクハラにより休職・退職等に追い込まれたなどが関係してきます。また、身体に接触したか、接触してないか、言葉だけのセクハラかという事も関係してきます。接触していない場合の平均慰謝料は97.2万円、接触した場合の平均慰謝料は180.9万円、接触していて悪質な場合は191.8万円となっています。

ここで2つほど過去の判例をみてみましょう。
■「昨晩遊びすぎたんじゃないの」などと発言し、人格をおとしめ職場の上司の指導上の言動として正当化しえる物ではない。身体への接触はなかったが、発言が継続的で退職に追い込んだ。慰謝料は50万円となった。

■約11年にわたり、スカートをめくって下着の色をきいたり、胸をさわったり頬にキスをしたりした。身体への接触があり、11年もの間継続的な行為により退職に追い込まれた。慰謝料は300万円となった。

第8回 ブナの森セミナー 「セクハラ事件の検討(その行為、高く付きますよ!)」のご報告 | ブナの森セミナー開催報告 | ブナの森法律事務所
参照元:ブナの森法律事務所(2015年12月時点、著者調べ)

パワーハラスメントの慰謝料

パワハラの定義は「同一集団内で力関係において優位にある者が、自分より劣位にある者に対し一方的に身体的・精神的・社会的苦痛を与える」こととされています。パワハラの慰謝料はパワハラ行為の悪質性や回数、被害者の精神疾患の発病、被害者の回復度、被害者の自殺等で変わってきます。

ここで2つほど過去の判例をみてみましょう。
■他の従業員がいる前で罵ったり被害者1人だけを呼び出し毎回30分位にわたり、叱咤し被害者がうつ病の診断書を提出すると「うつ病みたいな辛気くさいやつはうちの会社にはいらん」などと罵声を浴びせた。その当日被害者が自殺未遂を図った。パワハラ行為とうつ病との因果関係を否定。自殺未遂も被害者のうつ病の要因ありとし、また被害者がうつ病であった事を自殺未遂当日まで知らなかった事を考慮して、慰謝料は80万円となった。

■会社による違法な配置命令・人事評価による退職勧奨で被害者の長年勤務した会社における地位を根本的に脅かすものであるとされ、慰謝料は300万円となった。

隣人問題

騒音や生活妨害など隣人問題に関する慰謝料もそれぞれの状況で相場が異なります。騒音に関しては建築や解体工事による騒音や店舗営業等による騒音、住民間での生活騒音に分類され、裁判例の傾向としては10万〜100万円の範囲で慰謝料が支払われているようです。

生活妨害については20~100万円の間でおおむねのケースで慰謝料が認められているようです。なかには隣家に向けて除草剤等の薬剤を多数回噴射するという危険な行為について200万円の慰謝料を認めた判例があるようです。

子どもに関する問題

子どもの権利に関する慰謝料は学校事故、幼稚園・保育園等における事故、いじめ、教師による体罰等の不適切指導等があります。子どもの権利に関する慰謝料は事故により死亡してしまった場合や後遺症が残ってしまった場合は当然高額になります。

子どもの事故の慰謝料

■学校での事故
学校での事故で子どもが死亡してしまった場合、死亡慰謝料の基準である2,000万〜2,200万円に沿った形で慰謝料が認められるようです。後遺症については残ってしまった障害の程度にもよるようですが、約1,000万円が基準であるようです。

■幼稚園・保育園等での事故
学校での事故に比べると、被害者が幼いこと(その後の長い人生を生きる権利を奪われたこと)を考慮して死亡慰謝料は高額(2,300万〜3,000万円)になる判例がいくつか出てきているようです。

子どものいじめ・体罰

■子どものいじめ
いじめの定義とは児童生徒が一定の人間関係のある者から心理的・物理的な攻撃を受けた事により精神的苦痛を感じていることです。慰謝料が決まる要因はいじめの悪質性、期間、回数、頻度、加害者と被害者の関係が考慮されているようです。また教員の安全配慮義務違反等も考慮されます。

2つほど過去の判例をご紹介します。
・中学生が学校の内外で同級生らから暴行等のいじめ行為を継続的に受けていた。いじめ行為が長期間・執拗である事と自殺したいと考えるほどの苦痛を受けていた事を考慮し、慰謝料100万円となった。

・小学校2年生が、小学校4年生の強制により池で溺死した。死亡当時の年齢(7歳)、事故の発生後の被告の対応、深い愛情を受けながら順調に成長していた事を考慮し、慰謝料1,800万円となった。

■体罰
学校教育法では「教員は教育上必要である場合は文部科学大臣の定めるところにより児童・生徒に懲戒を加えることができる、ただし体罰を加えることはできない」と定められており、体罰は違法行為です。過去の判例を見ると10万〜50万の小額のケースもあれば、体罰を受けた結果、自殺してしまったケースでは慰謝料2,500万円が認められています。

ひとりで我慢しないで相談を!

ニュースでも報道されているようにひとりで問題を抱え相談しないで悩んでいる女性がたくさんいます。無料で相談出来るサイトをいくつかご紹介しますので、まずはひとりで悩まずに相談してください! ■日本弁護士連合会
その地域の弁護士が所属する弁護士連合会があり、そこで法律相談センターというものがあります。基本的に有料なのですが年に数回程度無料法律相談会が開かれることがありますので、お住まいの弁護士会に確認してみてください。

日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:ひまわりお悩み110番 (法律相談の予約)
参照元:日本弁護士連合会(2015年12月著者調べ) ひまわりお悩み110番 日常の'困った!?'を、地域の弁護士が解決! 0570-783-110 お近くの弁護士会につながります ■法テラス
法テラス(日本司法支援センター)は、国により設立された法的トラブル解決のためのセンターです。経済的な余裕がない人のために無料(一定の条件あり)で法律相談を受けることができます。

相談をご希望の方へ  法テラス|法律を知る  相談窓口を知る  道しるべ
参照元:法テラス(2015年12月著者調べ) ■弁護士ドットコム
メールで無料相談が出来ます。他の方の相談例を見ると参考になる情報を見つけられる可能性もあります。

弁護士に無料で相談「みんなの法律相談」 – 弁護士ドットコム
参照元:弁護士ドットコム(2015年12月著者調べ)

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