お金の仕組みを知らないと損してしまう理由

『預貯金していればお金は減らない』そう思っていませんか?通帳に書かれている預金額の数字が減っていなくても、損してしまう可能性があります。資産価値の目減りについて、お金についてあまり考えた事がない人でも分かりやすく解説させて頂きます。



お金の仕組みを理解している人は少ない

円の価値は日々変化している

今日持っている1,000円は明日になっても同じ1,000円だと思っていませんか?数字としての1,000円という額面はもちろん変わりませんが、1,000円で買える物の値段は日々変化しています。

一つの物の値段が上下しただけでは、純粋にその物の値段が変化したといえますが、多くの物の値段が同時に変化した場合はどうでしょうか?それは物の値段が変化したわけではなく、お金自体の価値が変化したといえます。

例えば明治時代に選挙権があったのは直接国税を15円以上納めていた人です。この時代の15円は大金で全人口の1%程しか納めておりませんでした。同じ15円でも今の価値とは大きく違います。これは戦後ハイパーインフレが起こった為です。

ここまでの急激なインフレは起こらないとしても、為替相場でも円の価値は日々変化しておりますし、現金や預貯金は千円・1万円といった数字は保証してくれても、そのお金自体の価値は保証してくれないという事を理解しなければ老後の貯蓄も無意味なものになってしまう恐れがあります。

資金循環統計(2015年第2四半期速報):参考図表
参照元:日本銀行調査統計局(2015年12月時点、著者調べ)

制限選挙
参考文献:内閣官報局[1889]『法令全書』

第1回衆議院議員総選挙
参照元:Wikipedia(2015年12月時点、著者調べ)

安倍政権によるインフレ政策

今持っている資産の価値が今後どうなっていくか考察する上で、政府の政策は重要です。安倍政権ではインフレ目標2%を掲げています。国内の借金が多い日本ではインフレ政策はどうしても必要になってきます。

ポジティブにインフレの効果を考えると、物価が上がり給料が上昇する一方で、円建ての借金の価値は下がり返済はデフレに比べ容易になります。

ネガティブにインフレの効果を考えると、今持っている預貯金と現金の資産の価値は下がっていってしまいます。

インフレ目標2%
参照元:日本銀行(2015年12月時点、著者調べ)

インフレによる資産価値の目減り

どうしてインフレによって資産の価値は目減りしてしまうのでしょうか?例えば1,000円札を現金で持っていれば1年後でも1,000円札はそのまま手元に残りますが、物価上昇率が2%であれば、100円の物は1年後には102円になっています。つまり1,000円で100円の物が10個買えても、1年後には9個の物しか買えなくなっているのです。

消費税の増税もインフレと同様です。増税前と比べ、増税後は同じ物でも買える数量は減少してしまい、現金や預貯金の資産の価値は目減りしてしまいます。



海外にも日本円の価値は影響される

外貨を持たない人でも為替相場を理解する事は重要?

円しか使わないから、為替なんて関係ないと考えている人は多くいます。しかし、電気料金やガソリン代が輸入に依存している以上、ほぼ全ての物の値段に影響を与えている事は間違いありません。

代表的な米ドルとの関係を例に考えてみましょう。現在1ドル120円だとし、翌日121円になったとします。前日より1円多く払わなければ1ドルと交換できない為、この状況を円安ドル高になったと言います。2015年12月時点で、日本は円安政策・アメリカはドル高政策を行っています。今後も方針が変わらなければ、円安ドル高に進む可能性は高いといえます。

円安というのは円の価値が下がる事です。つまり預貯金や現金で資産を持っていれば、円安になればなるだけ資産の価値も目減りしているという事です。

米国の量的金融緩和縮小とその影響
参照元:経済産業省『2014年版通商白書』(2015年12月時点、著者調べ)

円安は物価上昇に繋がる

円安が起きると一般的に物価上昇にも繋がります。原油について考えてみましょう。

原油はほぼ海外からの輸入に頼っています。円安になればそれだけ高い金額で原油を購入しなければなりません。それはガソリン代や電気料金にも影響してきます。物やサービスを国産で国内に提供するとしてもガソリンや電気は使用する事になりますので、コストが上がってしまった分、価格に上乗せし利益を上げる必要が出てきます。

お金を守るための考え方

今と昔はお金の貯め方が変わった

変動相場が始まってから2012年10月頃まで円高という流れが続いていました。第二次安倍内閣が始まるまでは、デフレの流れも同様です。昔は資産はただ持っていればデフレにより資産価値は上がっていたので、お金について詳しく考える必要性はありませんでした。

しかし今日の情勢ではその逆です。インフレによりただ持っていれば資産価値はどんどん下がってしまいます。お金を儲けるまでいかなくても、お金を守るためにその対策を考える必要があります。

USD/JPY推移
参照元:Wikipedia(2015年12月時点、著者調べ)

消費者物価指数の推移
参照元:Wikimedia Commons(2015年12月時点、著者調べ)

資産の価値という考え方を身につける

資産を安定的に守るには、額面の数字にとらわれず資産の価値こそ重要だという考え方が必要です。日本人が自国の通貨は生活費以外持たず、余裕資産は全て米ドルで持っていたらどう感じますか?一括投資で危険だとそう思うはずです。しかしそれは円だけを持っていても同じです。円の価値が無くなれば余裕資産は全て無くなるのですから、一括投資をしているに他なりません。

例えば余裕資産100万円を全て円で持っている人と、50万円は円で残り50万円分はドルで持っている人はどちらが安定的でしょうか?現在の為替が1ドル100円で、1ドル200円になった場合と1ドル50円になった場合、100円の物が何個買えるかを考察し実質的な資産価値を考えてみます。

※注意:資産価値の安定度を比べる為の仮定であり、円安比率に対し物価比率は比例すると仮定しております。実際には円の価値が1/2になれば物価も2倍になる訳ではありません。

先ず全て円で持っている人について考えます。1ドル200円になった時、日本円では100万円という数字は変わりません。しかし円の価値が1/2となっているので、100円だった物は200円になる可能性が高く、5,000個しか買えません。一方1ドル50円になった時は、円の価値は倍になり100円だった物は50円になると仮定します。そうすると20,000個も買える事になります。

次に50万円は円で残り50万円分はドルで持っている人について考えます。1ドル200円になった時、円の価値は1/2になっていますが、ドルの価値は2倍になっています。つまり100円だった物が200円になっても7,500個買うことができます。一方1ドル50円になった時は、円の価値が倍になり100円だった物は50円になったと仮定すると15,000個買うことができます。

実際にこのような比率で物価が変動する訳ではありませんが、確実に言える事は日本円だけで資産を保有しない方が安定的に資産の価値を守る事ができるという事です。

物価変動に連動する金融商品

外貨を持つという対策以外にも、物価連動債券などもあります。これは物価が上がらなければ損する事もありますが、物価が上がれば上がるほど利益がでるという商品です。物価が下がれば資産の価値が上がっている可能性も高い為、額面では損しているが資産の価値は守られたという認識もできます。債券ですので投資に関する詳しい知識がない人でも始めやすい商品です。他にも日経225に連動する商品など様々あります。

物価連動国債
参照元:財務省(2015年12月時点、著者調べ)

日経225連動型上場投資信託(1321)
参照元:野村アセットマネジメント(2015年12月時点、著者調べ)



まとめ

お金の価値というのは、インフレや円安により影響を受けます。いくら預貯金が溜まっても、それ以上に円の価値が下がっていれば、買える物は少なくなってしまいます。お金を増やしたり守る為には、お金の価値に対して資産の額面がいくらになっているかを考える事が重要です。 本記事の情報は、一般的または筆者個人の調査によるものです。法令などの改正、前提事実や個人状況の違いや変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。 従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。