[奨学金は借金?!]返せないとどうなるの?その対処方法とは

学生時代に借りていた奨学金。社会人になってからも、ずっと返し続けている方もいらっしゃると思います。また、お給料が安くて、返済が滞っている方もいらっしゃるかもしれませんよね?奨学金と言えど、これは「借金問題」になると思います。奨学金の返済が出来なくなったら、どうなってしまうのか?また、その対処法について、調べてみました!



奨学金について

わが国で一番有名な「奨学金」というと、「日本学生支援機構」の奨学金制度と言えると思います。下記に該当する教育機関で学ぶ人を対象としている、国が実施する「貸与型」の奨学金となります。

■大学院
■大学
■短期大学
■高等専門学校
■専修学校

この奨学金は、学生が「必要」とする学費や生活支援を目的としており、「お金」を学生へ貸与し、卒業後に借りた本人が「返還」する仕組みとなっている制度です。

奨学金の種類について

奨学金には、2種類あります。

■第一種奨学金:利息無し
・対象者:優れている学生、生徒で、家庭の「経済的な理由」により、「著しく」修学が困難である者。
・貸与月額 : 学種別や入学年度、通学形態別により定められております。詳細金額は、下記よりご確認下さい。

■ 第二種奨学金:利息あり<年利3%を上限とする利息が付く(在学中は無利息)>
・対象者:第一種奨学金よりは、ゆるやかな「基準」により選考された者。
・貸与月額 : 本人がその金額を「選択」できます。また、在学中の採用である場合、申込年度の4月に「遡って」貸与を受けることも可能です。

平成27年度 入学者の貸与月額

■第一種奨学金
<国・公立>自宅通学:45,000円/自宅外通学:51,000円/定額:30,000円
<私立>自宅通学:54,000円/自宅外通学:64,000円/定額:30,000円

■第二種奨学金
<国・公立><私立>30,000円/50,000円/80,000円/100,000円/120,000円のいずれか。
 
第一種奨学金では、学種別・設置者・入学年度・通学形態別に定められていますが、3万円を選択することもできます。また、第二種奨学金では、国公立・私立、自宅・自宅外にかかわりなく「5種類」の月額から選択できます。12万円を選択した場合に限り、私立大学の「医・歯学課程」は4万円、「薬・獣医学課程」は「2万円の増額」が可能です。貸与期間中に必要に応じ、貸与月額を変更することもできます。

出典:

www.jasso.go.jp
その他に、入学時特別増額貸与奨学金(利息付)があります。それは、第一種奨学金(無利息)と第二種奨学金(利息付)の両方を併せて、入学時の「一時金」として借りることが出来る奨学金です。

・貸与額:10万円、20万円、30万円、40万円、50万円

この中から、1つの金額を選択するようになっています。

※但し、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」に申し込んだが、「利用不可」であった世帯の学生や生徒を対象とする制度になっています。

奨学金の種類:日本学生支援機構(JASSO)
参照元:日本学生支援機構(JASSO)(2015年12月時点、著者調べ)



みんな、奨学金いくら借りている?

仮に、大学生の場合だったとして、4年間で借りる「奨学金」の合計金額を算出してみましょう。

■第一種奨学金(無利息)

(国公立:自宅通勤者)
・45,000円×12カ月×4年間=2,160,000円
(国公立:自宅外通勤者)
・51,000円×12カ月×4年間=2,448,000円
(私立:自宅通勤者)
・54,000円×12カ月×4年間=2,592,000円
(私立:自宅外通勤者)
・64,000円×12カ月×4年間=3,072,000円
(定額)
・30,000円×12カ月×4年間=1,440,000円

■第二種奨学金(利息付)
(月額3万円の場合)
・30,000円×12カ月×4年間=1,440,000円
(月額5万円の場合)
・50,000円×12カ月×4年間=2,400,000円
(月額8万円の場合)
・80,000円×12カ月×4年間=3,840,000円
(月額10万円の場合)
・100,000円×12カ月×4年間=4,800,000円
(月額12万円の場合)
・120,000円×12カ月×4年間=5,760,000円
4年間で借りる奨学金は、合計するとかなり大きくなりますね。これを返していくのは、なかなか大変なことがわかるでしょう。

さらに、第二種奨学金については、「年利3%」の利息が、卒業後には付いてきますので、返済期間が長ければ長いほど、返す金額も多くなります。大学卒業後、大学院へ進む場合も考えると、さらに奨学金の借り入れ額が増す計算になると思われます。かなりハードですね。

奨学金が返せない人

延滞している人の割合は?

ここでは、返済を延滞している人がどのくらいいらっしゃるのか、その割合について、平成25年度の状況から、みてみましょう。

<平成25年度末の状況>

■返還を要する者の債権(期日到来分のみ。):3,424,000人
■返還している者:3,090,000人
■1日以上の延滞債権:334,000人
■3ヶ月以上の延滞債権:187,000人

出典:

www.jasso.go.jp
こうしてみると、3ヶ月以上(長期)で返済を滞納されている方が「187,000人」。その割合でいうと、(約5%)の方が返済していないという調査結果になっているようです。

1日以上延滞に関しては、振込み忘れや、何かの手違いなども考えられるため、ここでは触れないでおこうと思いますが、「334,000人」も(約10%)いらっしゃいますね。その人数の多さに驚きました!こんなに返済が滞る方が多ければ、それが問題になるのは、当然のことと言って良いでしょう。

延滞している人の職業は?

<奨学金を借りている本人の職業> (単位:人/%)

■常勤社(職)員
・延滞者:1,475人/36.2%
・無延滞者:1,708人/67.9%

■任期付常勤社(職)員 (※1)
・延滞者:343人/8.4%
・無延滞者:141人/5.6%

■非常勤社(職)員 (※2)
・延滞者:598人/14.7%
・無延滞者:187人/7.4%

■派遣社員
・延滞者:269人/6.6%
・無延滞者:74人/2.9%

■自営/家業
・延滞者:273人/6.7%
・無延滞者:63人/2.5%

■学生(留学を含む)
・延滞者:30人/0.7%
・無延滞者:31人/1.2%

■専業主婦(夫)
・延滞者:311人/7.6%
・無延滞者:153人/6.1%

■無職・失業中/休職中
・延滞者:642人/15.8%
・無延滞者:134人/5.3%

■その他
・延滞者:132人/3.2%
・無延滞者:23人0.9%

合計
・延滞者:4,073人/100%
・無延滞者:2,514人/100%

※1.任期付常勤社(職)員:「常勤社(職)員(雇用期限がある)」の略。
※2.非常勤社(職)員   :「非常勤社(職)員 (週あたりの勤務時間が短く、雇用期限がある)」の略。

出典:

www.jasso.go.jp
こうして職業別でみると、延滞者は、無延滞者に比べて、正規雇用(常勤社員)である割合が「36.2%」とかなり低いことが判ります。また、非常勤社(職)員や派遣社員、任期付き常勤職員である割合も、無延滞者と比べて高くなっています。

このデータから、収入が低いため、毎月「奨学金」の返済まで追いつかないということが考えられます。正社員でなければ「ボーナス」が出ないことも多いため、返済する「余裕がない」のでは、無いでしょうか。失業者の割合についても、延滞者は、無延滞者の約3倍「15.8%」となっています。

こうしてみると、返せない理由には、その方の収入が影響していることがわかりますね。

返せない?その「延滞理由」とは

ここでは、日本学生支援機構が延滞者へ調査した内容から、その延滞理由をみてみたいと思います!

<延滞が始まった理由(きっかけ):その割合>(延滞者のみ回答)

■忙しかった(金融機関に行くことができなかったなど):8.2%
■返還を忘れていた、口座残高をまちがえていたなどミス:7.3%
■家計の収入が減った:72.9%
■家計の支出が増えた:34.5%
■入院、事故、災害等にあったため:18.1%
■返還するものだとは思っていなかった:2.7%
■その他:28.3%

出典:

www.jasso.go.jp
上記の調査結果から、「収入が減った」ことにより、返済が遅れた方の割合が「72.9%」と最も大きくなっていることがわかります。これは、正規雇用ではなく、非正規雇用の割合が増えている原因も大きいと考えられるでしょう。

次いで、家計の「支出が増えた」ことにより返済が遅れた方の割合が「34.5%」です。これは、友人の結婚式が相次いだとか、そのような「想定外の出費」が発生したと考えても良いかもしれません。普段の浪費もあるのでしょうか。

さらに、気になったのが、「返還するものだとは思っていなかった」という方が、「2.7%」もいること。奨学金は給付金ではなく借金です。奨学金に対する考えの浅さがみてとれます。

今なお、返せないその理由とは?

<延滞が継続している理由は?:人数/割合>

※理由は、1人2つまで回答のため、合計は100%にならない。

■本人の低所得:2,049人/51.1%
■本人が失業中(無職):605人/15.1%
■本人が学生(留学を含む):30人/0.7%
■本人が病気療養中:212人/5.3%
■本人の借入金の返済:796人/19.8%
■親の経済困難(本人が親への経済援助をしているため):758人/18.9%
■親の経済困難(親が返還する約束):710人/17.7%
■配偶者の経済困難:218人/5.4%
■家族の病気療養:230人/5.7%
■忙しい(金融機関にいけない等):139人/3.5%
■奨学金の延滞額の増加:1,201人/29.9%
■返還するものだとは思っていない:19人/0.5%
■その他:262人/6.5%

<回答者数4,013人>

出典:

www.jasso.go.jp
最も多かったのが、「本人の低所得」により、返済が滞っている「51.1%」でした。次いで多かったのが、「本人の借入金の返済」で「19.8%」となっています。もしかすると、奨学金の経験から借金がクセになりクレジットカードやキャッシングのローン返済に追われていることもあるのかもしれませんね。

人によって、ローンの種類については違うと思いますが、その「借金」に返済の順序をつけていることも考えられます。

また、「親の経済困難」が理由の場合もあるようです。本人が現在親へ生活援助しているため、返済が困難である方が「18.9%」もいらっしゃるとのこと。他にも、「親が返す約束」で奨学金を借りた方もいらっしゃるようですね。ですが、その親が返済出来ないとなると、当の本人が支払わなければならない状況に追い込まれるわけです。これは、子どもとしては、想定外の「借金」となっているのでしょう。

私が気になったものとしては、「配偶者の経済困難」が「5.4%」いらっしゃることでしょうか。結婚してからも、返済は続きますので、「自分が働かないと返せない」という主婦の方もいらっしゃるかもしれません。お子さんがいらっしゃれば、さらに、その返済するお金を準備することが難しくなってくるように思います。

そう考えると、結婚前に繰り上げ返済しておく等をしておかなければ、永遠にその借金は、借金のままになってしまうわけです。「奨学金だから、延滞しても大丈夫だよ!」と思っている方がいらっしゃれば、それはあまい考え方かもしれません。



返済が遅れると、一体どうなる?

その①:督促の連絡

返済が延滞した場合は、本人だけでなく、連帯保証人や保証人に対して、文書と電話にて督促があるはずです。

電話による督促については、機構職員からだけはでなく、業務委託した「債権回収会社」からも行われます。さらに、本人の「勤務先」へも電話があることも考えられます。

「借金」のとり立て同様の行為が取られることが想定されるわけです。職場にも催促の電話がかかってきたら、困りますね。また、借りた本人だけでなく、連帯保証人や保証人へも催促(請求)されることになるため、迷惑をかける可能性も出てきます。自分だけの問題では無くなるため、「深刻」に考える必要があるでしょう。 また、延滞したことによる「延滞金」も課せられることになります!その詳細については、金額等については、日本学生支援機構のHPでご確認下さい!

奨学金Q&A〜奨学金の返還〜-JASSO
参照元:日本学生支援機構(JASSO)(2015年12月時点、著者調べ)

その②:法的措置

長期間延滞が続く場合は、「民事訴訟法」に基づく「法的措置」が執られます!詳細は、以下のとおりです。

<人的保証の場合>

(1)支払督促予告・・・延滞し、督促しても返還しない場合は、返還期限が到来していない分を含め、返還未済額の全部、利息および延滞金の一括返還を請求すると共に、支払督促を申し立てることの予告をします。
(2)支払督促申立・・・支払督促予告で支払いを求めた返還期限を過ぎてもなお返還しない場合は、裁判所に支払督促の申立をします。
(3)仮執行宣言付支払督促申立・・・支払督促の申立をしてもなお返還しない場合は、裁判所に仮執行宣言付支払督促の申立をします。
(4)強制執行・・・仮執行宣言付支払督促の申立をしてもなお返還しない場合は、強制執行の手続きをとります。

≪注意≫
支払督促以降の手続きにかかった費用は、返還者の負担になります。
返還金の充当順位は、督促費用があるときは、まず督促費用に充当し、次に延滞金、利息(第二種奨学金のみ)、最後に元金の順になります。

<機関保証の場合>

(1)一括返還請求・・・返還期限が到来していない分を含め、返還未済額の全額、利息および延滞金を返還していただきます。
(2)代位弁済請求・・・本機構から保証機関((公財)日本国際教育支援協会)に対し、返還未済額の全額、利息および延滞金について請求を行います。
(3)保証機関からの請求・督促・・・代位弁済がなされた場合、(公財)日本国際教育支援協会から、代位弁済額の一括請求を行います。
(4)強制執行・・・返済に応じない場合は、(公財)日本国際教育支援協会が強制執行にいたるまでの法的措置を執り、給与や財産を差し押さえます。

出典:

www.jasso.go.jp
この時点では、支払いは基本「一括請求」になります。「利息」や「延滞金」の支払いもすべて含まれるため、正直なところ「頭が真っ白」という状況になってしまいかねません。

強制執行されると、給与や家を差し押さえられる等、手段も強行になります。もちろん自分の勤務先にもすべてがバレてしまうでしょう。

その③:名前が「ブラックリスト」へ

日本学生支援機構の方針だと、「3ヶ月以上」返済を滞納している人に関しては、信用情報機関「全国銀行個人信用情報センター」(ブラックリスト)へ登録されることになります。もし、あなたの名前が、そのブラックリストに載ってしまったら、どうなってしまうのか?ご存知でしょうか?

■クレジットカードが作れない
■現在持っているクレジットカードも使用出来なくなる
■ローン(住宅、車)が組めない
■保証人になれない

などが考えられるでしょう。「え、それだけ?」と思われる方、いらっしゃいますか?これだけのことですが、「出来ない」ということがどれほど精神的に大変なことか、後々味わうことになるでしょう。

病気など、いざという時にももう現金でしか支払いができなくなるのです。生活にかなりの不安がのしかかることになりますよね。

そして、ブラックリストの情報記録は、「延滞が終了」してからの「5年間」となっているようです。一度失った信用は簡単には取り戻すことはできません。

延滞した場合について:日本学生支援機構(JASSO)
参照元:日本学生支援機構(JASSO)(2015年12月時点、著者調べ)

どうしても払えない!対処法はあるの?

しらべてみると、やむを得ない理由により返済が厳しい方のために、いくつか対処法がありました。

減額返還制度

毎月の返還額を「減額」し、無理なく返還を続けることを目的とした制度になっています。
<例えば>第二種奨学金で「月額12万円」を選択した場合

■奨学金の合計:576万円(卒業後、利息を年率3%)で計算してみると、

・返済金額:32,297円
・支払い回数:240回(20年)
・返済総額:7,751,445円

毎月の返済額が、32,297円(20年)となるわけですよね。かなり大きな返済額です。必ず給与から引かれるということで、収入状況によっては厳しいこともあるでしょう。

そのような方のために、減額返還「適用期間」に応じた分の返還期間を「延長」するという制度になります。返済額が減額されるわけではありませんので、ご注意下さい。

<平成26年4月から減額返還制度が変わりました。>
1.基準の緩和
「経済困難」事由の収入基準額(給与所得者:収入300万円/給与所得者以外:所得200万円)を超えるが、定められた「特別な支出」を控除して収入基準額以下となる場合の控除を新設・変更します。
(1)本人の被扶養者について1人につき38万円を収入・所得金額から控除して審査します(新設)。
  (従来の「親等への生活費補助の控除」は48万円から38万円に変更になります。)
(2)減額返還適用者は一律25万円を収入・所得金額から控除して審査します(新設)。

※本人の医療費及び本人が扶養している者の医療費に係る特別な支出の控除は従来どおりです。

2.減額返還制度の申し込みに係る提出書類の簡素化
平成26年12月以降の貸与終了者(在学猶予修了者も含む)については、卒業・退学等の翌年6月までに減額返還を願い出る場合、卒業、退学後の初回申請時に限り、証明書類の提出が不要となります。詳細は、下記のページをご確認ください。

出典:

www.jasso.go.jp

返還期限の猶予制度を利用する!

病気や経済的理由、または、失業などによって、返還困難な状態になった場合、「返還期限の猶予」を申し込むことが出来ます。その場合は、「延滞する前」にその手続きをおこなう必要があるようです。
※「奨学金返還期限猶予願」には審査があります。

この「返還期限の猶予」は、一定期間返還期限を「延期」する制度で、返還する元金や利息が減額や免除されるわけではありませんので、ご注意下さい。

「所得連動返還型無利子奨学金」の猶予

奨学金を得ていた「学生」が「卒業」、または、「退学」後に

・「無職」
・「未就職」
・「低収入」
・「経済困難」

などの理由で、「所得連動返還型無利子奨学金」の返還が困難になった時、「返還を猶予」することもできるようです。

※詳しくは、日本学生支援機構のHPを確認して下さい!

返還期限の猶予について:日本学生支援機構(JASSO)
参照元:日本学生支援機構(JASSO)(2015年12月時点、著者調べ)

まとめ

ここまで、奨学金の返済に関して、いろいろと見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
思っている以上に重たいペナルティーが科せられることが判明し、これはどうにかしなければ!と思う方もいらっしゃるかもしれません。どうしても現状返すのが難しければ、ご紹介した「対処法」にある制度を利用することも一つの方法かもしれません。

ただ、奨学金は借金です。返済をせずにすむものではありません。返済をしたそのお金がいま困っている学生への奨学金へと充てられます。出来る限り通常通り返済ができるよう努力をしつつ、どうしてもの際には紹介をしたような方法で少しずつ返済を進めていきましょう。 ※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。