〈雇用保険=失業保険〉加入条件とは?失業時の救いの制度を知る

失業後もお金が受け取れるというと失業保険のイメージが強いですね。でも雇用保険とは違うのでしょうか?どちらも仕事を辞めたあとすぐに次の仕事が見つからなかったときのためのセーフティネット。アルバイトやパートでも入れるのでしょうか?加入の条件をご案内します。



失業保険から雇用保険へ

雇用保険も失業保険も、ひんぱんに使用されているためどちらも言葉として通じてます。同じか違うか紛らわしいのですが、実は両方とも同じものを指しています。正しくは雇用保険と言います。

その昔、失業保険法という法律があったそうです。その名残で今でも失業保険と言う人がいるようです。確かに雇用されなくなってから給付を受ける訳だし、失業したときのための保険なので失業保険のほうがわかりやすくイメージに合っているかもしれません。

ですから一般的には今でも、失業保険を受けてる、失業保険に入っているなどと言っても充分通じます。全然問題ありません。ただ正しくは雇用保険ですから、正式に使用する場合は気をつけましょう。例えば身近なもので言うと、給与明細などでの記載はどうでしょう。雇用保険となっているはずです。

失業して給付金を受け取っている事を、雇用保険をもらってると言うと???になるかもしれません。やはり失業保険をもらってると言ったほうがスンナリ理解してもらえる気はします。

ちなみに「失業保険をもらっている」とは厳密に言うと、雇用保険の給付金をもらっていることになります。

雇用保険て何?

雇用保険とは一言で言うと、何なのでしょう?厚生労働省では、下記のように述べられていました。

雇用保険制度は、労働者が失業した場合などに必要な給付を行い、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに再就職の援助を行うことなどを目的とした雇用に関する総合的な機能をもった制度です。

出典:

www.mhlw.go.jp

雇用保険の概要

雇用保険では、会社を辞めた人がそれまでの給与の額に応じた額を失業中に給付金として受け取ることができます。

その目的が雇用の安定や再就職援助ですから、給付金が支給されるのは失業期間中に限られます。ですから次の仕事が決まったら給付はおしまいです。ですから仕事がないあいだも生活に困らないように支給されるものです。

ただ給付を受けられる期限も決まっています。最短で90日、最長で360日です。仕事が見つかっても見つからなくても期限が来たら終了です。ですから給付金が出ている間に仕事を見つけるよう頑張ることになります。給付日数についてはハローワークが公開しています。

このように収入がない時期に受け取れるものなので、大変有難い制度です。加入できるものならぜひ加入したいですね。

ちなみに次の仕事がすぐに見つかりブランクがない人もいます。その場合は、どんなに長い期間雇用保険に加入していても給付は受けられません。あくまで仕事がない人の生活を支えるための制度です。

ハローワークインターネットサービス – 基本手当の所定給付日数
参照元:ハローワーク(2015年著者調べ)

雇用保険は社会保険の一つです

社会保険という言葉を聞いたことがあるでしょう。社会保険労務士という資格もありますし、求人票など見ると社会保険完備と書かれていたりします。具体的には社会保険とは何を指すのでしょうか?

社会保険は大きい意味で五つあります。すべて私たちの生活に身近なものです。

・健康保険
・年金保険
・介護保険
・労災保険
・雇用保険

介護保険は、40才以上が対象です。健康保険に加入していると40才になったその月から介護保険料が加算されます。

労災保険と雇用保険は二つ合わせて特に「労働保険」という呼ばれています。雇用保険が失業時への備えであり、労災保険は勤務時間内の怪我や事故に対する保険となります。いわゆる「労災」ですね。

この労働保険には人を一人でも雇う場合は、事業主は従業員が加入できるよう手続きをしなければなりません。ですからそこの会社で働く人は、労災保険と雇用保険の二つは必ず加入できることになっています。社会保険完備となっていたら、働く人は年金と健康保険と介護保険にも加入できる事になります。

また考え方として、健康・年金・介護の三つを社会保険とし、労災・雇用を労働保険とする分け方もあるようです。



給付金

失業した場合に受け取れる給付金の額はどのぐらいになるのでしょう?概算だと、だいたい現在の給与の40~80%ぐらいと言われています。実際は下記の条件をもとに計算されます。

・退職理由
・過去六カ月の給与
・雇用保険への加入年数

退職理由ですが、通常はこの二つに分けられます。

・会社都合
・自己都合

会社都合とは会社のリストラや倒産等のやむ得ない事情で辞めざるを得なかった場合を指します。それ以外は自己都合とされます。

会社都合か自己都合かで受取額が変わってきます。加えて、支給開始時期も変わります。自己都合は辞めてから三カ月経過して時点で支給開始ですが、会社都合だとすぐに支給されます。ですから会社都合で辞めた人には手厚くなっています。逆に言うと、自己都合の場合は支給されるまで三カ月待たなければいけません。

退職理由は人それぞれです。どちらか微妙な方もいるでしょう。そんな場合は会社側に直接訊ねて、どちらで手続きを進めるべきか確認する必要があります。

また加入年数が一年未満だと90日しか支給されません。

また仕事を辞める予定はないけれど、仮に辞めたらいくらぐらい失業保険がもらえるのか興味ありますよね。ネット上には自動計算してくれるサイトがいくつかありました。試してみると良いかもしれません。金額の把握に役立つと思います。

雇用保険の給付額の計算 – 高精度計算サイト
参照元:keisan|カシオ計算機株式会社(2015年12月時点、著者調べ)

保険料

ここまで来ると、働くなら雇用保険に入りたいものです。パート・アルバイトの場合は雇用保険に入っていない人もいるものです。あるいは雇用保険などの労働保険は、フルタイムの人じゃないと入れない、と思っている人もいるでしょう。でもそうではないようです。

そうなると毎月の保険料が気になります。雇用保険については、その概要から詳細まで厚生省労働局のHPを見ればわかります。平成27年12月現在の働く人の保険料率は、の5/1000です。という事は、アルバイト料が5万円だと250円、10万円だとしてたら雇用保険は500円です。この250円や500円が給与から天引きされることになります。

ですからアルバイトやパートの場合は、毎月給与が変動するのでそれに合わせて計算することになります。パートの場合、月5~10万円の収入なら保険料は250~500円ですから、負担になる金額ではないようです。

ちなみに事業者側も保険料を支払うことになります。アルバイト料が10万円だとすると、事業者負担が850円になります。ですから計1,350円を雇用保険料として納付することになります。

この保険料率は平成27年4月1日から平成28年3月31日までのものです。平成26年から変更がないそうです。

平成27年度の雇用保険料率
参照元:厚生労働省東京労働局(2015年12月現在、著者調べ)



加入条件

社会保険においては、加入条件はそれぞれ認定要件が異なります。つまり加入条件はそれぞれが規定しているのです。雇用保険も同じ事で、労働時間と働く日数を基準に加入要件としています。扶養であるか否かは関係ありません。また収入要件もなく、どんなに多くても加入できます。

雇用保険は働く人すべてが加入することになっています。そうは言っても、最近では非正規の仕事が広がりました。期間限定の人や、たまにしかシフトに入らない人、極端に言えばたった一回一日だけのアルバイトのような人もいます。そういう人はどうなるのでしょう?

中には複数箇所をかけもちでアルバイトをしている人がいたりします。またその場合はどこの保険に入ることになるのでしょうか?

雇用保険に加入するには、以下の二つの要件を満たす必要があります。

・一週間の所定労働時間が20時間以上あること
・31日以上の雇用見込みがあること

この二つを両方とも満たすとは、具体的にどんな働き方になるのでしょうか?

所定労働時間が20時間以上

所定労働時間とは何でしょう?所定とは、その会社で決められている業務時間内、就業時間内という事になります。例えば、決められた業務時間が9時から18時までで昼休みが1時間なら、所定労働時間は8時間になります。

20時間と言うと、所定労働時間が仮に8時間の会社だったら週2日と4時間以上という事になりますね。あるいは、一日6時間勤務の人は、週3日と2時間以上となります。

ですから目安としては週に3日以上ぐらいでしょう。あるいは月84時間以上ぐらいでしょうか?時給900円の人だったら75,600円、時給1,000円だったら80,000万円を超えているぐらい働いていると要件を満たしている可能性があります。

31日以上の雇用見込み

雇用見込みとはどういう意味になるのか、気になります。この点については、厚生労働省の資料で詳しく説明されているので引用します。

31日以上雇用が継続しないことが明確である場合を除き、この要件に該当することとなります。
例えば、次の場合には、雇用契約期間が31日未満であっても、原則として、31日以上の雇用が見込まれるものとして、適用されることとなります。
・雇用契約に更新する場合がある旨の規程があり、31日未満での雇止めの明示がないとき
・雇用契約に更新規程はないが、同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績があるとき

出典:

www.mhlw.go.jp
ですから、例えば帰省中の大学生などで夏休みが終われば学校に戻る人がいるとします。9月1日には戻るため、9月からはアルバイトが出来ない事が明らかです。この場合、この学生さんが8月2日からアルバイトしたら31日以上雇用が継続しないことが明らかですから、こういった場合は雇用保険の加入適用外になります。

ですから31日未満で、確実に期間限定で最終日も確定しているような場合は加入の要件に適用になりません。でも31日未満でも、それ以降続く可能性があるなら、加入できる可能性があります。例えばこういう場合です

・1カ月契約だが、辞める日付けが決まっている訳ではなく、更に延長される可能性がある
・更に延長されるかどうか決まってないが、職場の先輩で同じ雇用契約の人が実際に31日以上雇用されたことがある場合

こういった場合は加入できる可能性があるので、加入を検討してみましょう。またこれを機会に雇用契約書を再確認してみると良いかもしれません。

加入できるかも

このようにパートやアルバイトでも要件を満たせば、雇用保険に加入することが出来ます。ですからもし現状の働き方が次のようであれば、可能性があるかもしれません。

・週に三日か、それ以上働いている
・すでに一カ月以上働いている

もし可能性がありそうなら、これまで週に何時間勤務していたのかぜひまとめてみて下さい。それから給与明細を見て確認しましょう。もし雇用保険料が引かれてなかったら、まだ未加入の可能性があります。

加入したら雇用保険料が天引きされるほかに、二つの書類が本人に手渡されます。
・雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(被保険者通知用)
・雇用保険被保険者証

この二つは本人が受け取る書類で、雇用保険加入を証明するものです。忘れずにもらって保管するようにしましょう。

雇用保険の手続きはきちんとなされていますか
参照元:厚生労働省(2015年12月時点、著者調べ)

こんな場合はどうする?

また現在未加入でも、あとになって加入すべきだったことが判明する場合もあります。そういったときはさかのぼって加入することが出来るそうです。その場合は保険料を支払うことになりますが、加入期間が増えることによって、受け取る雇用保険給付金の額が増えます。

また、この制度には日雇いで働く人のために、特別の雇用保険があるそうです。「日雇い労働者被保険者手帳」を作ってくれるので、それで自分で管理することが出来ます。名称は日雇いですが、30日以内の仕事でいろいろな会社を点々とするようでしたら、これに該当するようです。

雇用保険に加入していますかー日雇い労働の皆様へ
参照元:厚生労働省(2015年12月時点、著者調べ)

かけもちでアルバイト

複数の事業所から給与を得ている人もいるでしょう。メインがあって他が複数ならば、メインのところで要件を満たしていれば加入できる事になります。

もし雇用保険について更に詳細を知りたい場合は、ハローワークが窓口になります。最寄りのハローワークに訊ねてみると良いでしょう。全国のハローワークはこちらに掲載されています。

全国ハローワークの所在案内|厚生労働省
参照元:厚生労働省(2015年12月時点、著者調べ) 全国ハローワークの所在案内について紹介しています。

転ばぬ先の杖

雇用保険は、仕事をなくしたときのための制度ですから、本当は利用することがないのが一番です。ただ長い社会人生においては、どうしてもお世話にならなくてはいけないときも来るかもしれません。

特に会社都合で突然職を失ったような人、一家の大黒柱、扶養する人を抱えている人、次の仕事を探すのが難しい人にとっては、じっくり腰を据えて今後の事を考えて行動する時間的猶予になると思います。

お金の余裕が気持ちの余裕ですね。保険料も負担になる金額ではないので、加入は前向きに検討されてはいかがでしょうか? ※本記事の情報は、一般的または筆者個人の調査によるものです。法令などの改正、前提事実や個人状況の違いや変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。 従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。