私にも必要なのかな?失業後の健康保険の手続きとは?

職を変えたり、生活を変えるときはただでさえ不安で忙しいものです。特に単なる転職ではなく、フリーランスへの変更や失業の場合は、心配もひとしおのことと思います。そんな中でも手抜かりなく社会保障制度の変更手続きを行うために必要な準備と手続きを紹介します。



健康保険って加入しないとダメなの?

そもそも、なぜ失業時に健康保険の切り替えの手続きをしなければならないのでしょうか?「自分は健康で病院にはほとんど行かないから、保険料を払うくらいならその分貯金したいよ!」と思うこともあるかもしれません。

しかし、日本は、「国民皆保険制度」といって、国民全員が加入する医療保険制度を取っています。日本国民は、会社に勤めている場合は健康保険の一般被用保険者(勤め人のことです)、公務員の場合は共済保険、自営業や退職した場合は国民健康保険の一般被保険者としてこの制度に加入しなければなりません。

支払わないデメリットとして、医療費負担割合が100%となってしまうことが挙げられます。健康保険証が貰えないということです。病院に保険証を忘れていった時、一旦全額を払ってから後日保険証を持って行って差額を返してもらった、という経験をされた方もいるのではないでしょうか。

「医療費の仕組み」:みんなの医療ガイド – 全日本病院協会
参照元:全日本病院協会(2015年12月時点、著者調べ)



おさらいしましょう。失業手続き

さて、失業・転職に関わる健康保険について具体的に紹介する前に、退職に伴う手続きを確認しましょう。私自身が転職を経験した時、退職前に年休を使い切って悠々と辞めることが叶わなかったこともあり、手続きには大分バタバタしました。

また、周囲やインターネットの話を聞くと、中には定年退職以外で退職する社員に対し、必要な手続きの実施を渋る・わざと手続きをしないなど、意地の悪い対応をする上司や会社もあるそうです。私自身、嫌がらせまでとは思いませんが、直属の上司は退職に関わる手続きの説明や担当部署への手引き(連絡)などはしてもらえなかった覚えがあります。

それだけ、上司にとって部下が転職で退職することは歓迎しがたいことなのだろうと想像しますが、私とは違う部署・違う時期に退職した先輩も、直属の上司からは具体的な説明をしてもらえずに自分で手続き内容を調べなければならなかったと話されていましたので、単に以前の職場がそういう風土の会社であったということかもしれません。私達は「えーい!なら自分でやるわい!」と自分でどうにかしたのですが、退職する社員にも適切な制度の説明をすることは事業者の義務ですので、労働者には説明を求める権利があることだけは申し上げておきます(言いにくいかもしれませんけどね!)。 いずれにせよ、これまでお互いにお世話になったはずですので、お互いに感謝と尊敬の念を持って大人な対応をしたいところです。しかし、それが叶わない場合には、自分の手続きは自分でさっさと済ませてしまいましょう。

そのためにも、まずは、健康保険の手続きを含めた退職時に行うべき手続き・会社から回収するべき書類をおさらいしましょう。必ず行うべき手続きは以下の通りです。

・雇用保険喪失届(退職後2週間程度で送られてきます)
・健康保険喪失届(同上です。この書類に加え、健康保険証を返還します。)
・源泉徴収票(退職金の支払いなどが終了したあと、送られてきます)
・年金手帳(退職の日か、それに先んじて返却してもらえます)

仮に転職の場合は、上記の4つの書類は次に勤める会社に渡し、手続きに使われることになります。個人事業主の場合は、健康保険の手続きや年金の区分変更、確定申告に使用しますので、無くさずに保管してください。

この他に、会社の共済保険に加入していた場合、労働組合で積立金があった場合などは、会社の人事部での手続きとは別に、これらの解約手続きや返金手続きが発生します。 失業の合わせて、現在の住所から引越しをした場合は、以下の手続きも必要です。

・住所変更(転出届と転入届、2回の手続きが必要です。転入届は、設定した転出の日から2週間以内に提出する必要があります。)
・免許証の住所変更(上記の市役所での住所変更後に住民票を取得し行います。)
・銀行に届け出ている住所の変更(銀行印が必要ですのでお忘れなく!)
・自動車の車庫証明の変更
・自動車保険、クレジットカード会社に住所変更の手続きを行います。(自動車保険は地域により保険料の増減がありますので、手続き必須です。)
・住民税の支払い(新しい住所に届きます。退職の時期により、分割納入と一括納入が分かれます。)

お分かりいただけると思いますが、住所変更・それに伴った書類の変更だけで、純粋に2~3日は必要になります。ただでさえ忙しい時期に何度も同じ機関に足を運ばなくて済むようにできるだけまとめて手続きをしたいものです。

離職したら | グッジョブ相談 ステーション
参照元:グッジョブ相談 ステーション(2015年12月時点、著者調べ)

何が違うの?健康保険!

なかなか意識しないかもしれませんが、健康保険にも種類があります。転職の間に期間の空きがある時、失業した場合、個人でその期間の健康保険への加入手続きを行う必要があり、選択肢は以下の3つです。

・健康保険任意継続(退職から最大2年まで)
・国民健康保険に加入する
・家族の扶養に入る

それぞれ、どのような条件の時に加入することができ、どのような制約があるのでしょうか?次から、詳しく見ていきたいと思います。

健康保険任意継続制度

在職中と同様の保険給付が受けられる制度です。ただし、2年間までの適用期限があります。具体的な条件は以下の通りです。

・退職までに、2ヶ月以上鵜継続して被保険者だった
・退職日から20日以内に協会けんぽ組合の支部(または健康保険組合)に、「任意継続被保険者■取得申出書」を提出します。

保険料は、前職に勤めていたときと同じですが、事業主と折半になっていた保険料の全額を自分で払うことになります。例えば、元々給与明細から引かれていた健康保険料が1,000円だったとき、支払額は2,000円となります。

2年間を過ぎる、保険料を納付しなかった、別の事業者の被保険者となった、75歳を過ぎて後期高齢者医療制度の被保険者となった、死亡した、のいずれかに該当する場合は、任意継続が終了します。

なお、リストラなどの自分から進んで退職したわけではない場合も利用できる制度ですが、そうした不幸な失業の場合は、国民健康保険に加入し、軽減制度を利用したほうが保険料の支払額を節約できる場合があります。そのため、一度住所所在地の役所にある「国民健康保険課」などに相談されることをお勧めします。

国民健康保険

自営業・フリーランスになる場合は、国民健康保険に加入することになります。手続きは住所所在地の役所に「国民健康保険課」などの係がありますので、そちらで指定の用紙に記入し、退職時に手続きした喪失届を添えて提出する形です。

転職と転職の間の期間に当たる場合やリストラなどに伴う失業の場合も、原則的には国民健康保険に加入することになりますので、最もベーシックなパターンとして覚えておくと良いと思います。

家族の扶養に入る

被扶養者となれるかどうかは所得額に応じても変わってきます。そのため、すぐに再就職の予定がある場合や、退職までの給与額が扶養範囲を超えている場合は、被扶養者として保険に加入することはできません。

源泉徴収票などを添えて、ご家族のお勤め先に提出した上で加入の可否を相談することになります。具体的には、以下の条件があります。

・扶養する側の家族と、被扶養者が同一世帯(被扶養者の年収は130万円未満で、扶養する側の年収の半分未満のとき)
・同一世帯になくても、配偶者、子、孫、兄弟であり、年収が130万円未満の場合(大学生の子供や兄弟を県外に下宿させているような状況が想定されています。)
・60歳以上か、障碍者で年収が180万円未満の時

全国健康保険協会HP(2015年12月、著者調べ)
会社を退職するとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会

被扶養者の認定について | 被扶養者の認定 | 味の素健康保険組合
参照元:味の素健康保険組合(2015年12月時点、著者調べ)

失業時の健康保険、3つの選択肢 [仕事・給与] All About
参照元:All About(2015年12月時点、著者調べ)



健康保険Q&A

以下では、退職や転職にあたり実際に調べる必要があった情報を元に、簡単なQ&Aをご紹介します。

社会保険ってそもそも何?

社会保険というのは、今回紹介している健康保険制度と年金保険、そのほかの介護・医療保険制度をまとめた言い方です。これらは、職業や年齢に応じて加入条件・範囲が決められています。例えば、40歳以上で加入する介護保険や、労働者の災害や被害に対して保障する労災保険などがあります。

会社員の場合は、健康保険、厚生年金保険、雇用保険の保険料を、自営業者の場合は国民健康保険、国民年金保険の保険料を支払う義務があります。

失業したときも、社会保険料を払わないといけないの?

次に該当する場合は、保険料の軽減や免除が受けられる場合があります。ます、健康保険について。「非自発的失業者」の場合は「国民健康保険料の軽減」が受けられます。

具体的には、リストラされた、会社が倒産したなどの自由意志によらない退職の場合が該当し、実際の所得の30%の金額を保険料算出のための所得額とします。適用期間は、失業の翌年度末までですので、1~最大2年ほど利用できます。
詳しくは、市役所などにある「国民健康保険課」などの係に問い合わせをしてください。

被災者の場合はどうなるのか?

国民健康保険の加入者が、自然災害などに被災したことにより業務を行うことができず、収入が大きく減ってしまったときには、地方自治体の条例に基づき減免や納付の猶予を受けることが切る場合があります。具体的には、前のQ&Aにもあるように、国民健康保険の係に問い合わせをすると、条例の有無を含め回答してもらえます。

傷病手当とは?

あまり聞いたことも無い方も多いかもしれませんが、「傷病手当金」とは、労働者が病気やケガで働けず、休業している場合に支給される金額です。例えば体調を崩して休職中(失業はしていない)で、その間給与が支払われていても、傷病手当金の方が給与よりも金額が高い場合は差額が支払われます。

国民健康保険の保険料は何で変わるの?

転職して居住する県や地域が変わると、自動車保険の保険料が変わることがあると冒頭で紹介しましたが、国民健康保険の保険料も市区町村によって変わります。一般には、その自治体の財政状況が反映されて高い低いの差が生じると言われていますが、全国で大きすぎる地域差が生じないように配慮はされているようです。

また、保険料は前年の所得に応じて決定されるため、退職一時金の支給などで所得が増えた場合は転職の次の年の保険料が高くなることもあります。詳しい金額が知りたい場合は、市町村のホームページで試算ができたり、具体的な計算方法が紹介されていることが多いですので、確認してみて下さい。

入らないってアリ?

最初の項目でもふれましたが、原則的に日本国民は全員が加入する必要があり、たとえ短期間であっても未加入の期間が無いようにするべきだと考えます。ただし、例えばお盆や年末年始を挟んで退職し、市役所での手続きが間に合わないうちに再就職日が来たなどのやむを得ない場合はあると思います。

いずれにせよ、そうした無加入の期間にケガや病気で加療を受けた場合は自己負担100%の支払いが必要となってしまいますので、多くの人は、リスクと手続きの煩わしさを天秤にかけて、数週間以上期間があるなら手続きする、などの判断を下しているのが実情と思います。私事ですが、転職と転職の間に6日(うち2日は土日)間があり、市役所に健康保険の相談に行ったら苦笑いとともに対応していただいた経験があります。

私の場合、過去に1000kmを超える長距離の車移動の予定があったので、万が一を考えると怖くて急いで手続きをしたのです。しかし、係の方の本音としては、「それぐらいいいんじゃない?」というものだったかもしれませんね。自分でも今振り返るとやや過剰であったと感じます(健康保険の履歴がちょっと奇妙なことになったので)。

労働保険および社会保険への加入が義務の会社とは?
参照元:労働保険事務組合・社会保険労務士事務所(2015年12月時点、著者調べ)

被災者の税金・保険料を減免 震災特別法Q&A  :日本経済新聞
参照元:日本経済新聞(2015年12月時点、著者調べ)

病気やケガで会社を休んだとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会(2015年12月時点、著者調べ)

誓います!健康保険加入!

望んでの転職、望まざる失業に関わらず、健康保険に加入するというのは国民の義務となっています。国民皆保険制度のある日本に生まれ育った私達は、時にこの制度をわずらしいものと感じ、保険料を出し渋ってしまうこともあるかもしれません。

しかし、全国津々浦々、クリニックから大病院まで同じ負担額で医療が受けられるというのは実際ありがたい話です。現に、アメリカのオバマ大統領(2015年現在)が国民のほとんどが加入するベーシックは保険の必要性に言及するなど、世界から見れば、社会全体でお互いを支えあうこの制度は素晴らしいものとして受けとめられていると感じます。

私は普段とても健康で、ワールドカップイヤーにしか風邪を引かないため、風邪薬がしばしば期限切れを起こすほどに薬や病院と縁遠いのです。ただ、それでも、ある日突然腹痛に襲われ、痛みをこらえて病院に行ったら盲腸だったり、趣味のテニスでスマッシュして脱臼したりと、普段の身体の調子に無関係な突然の病気・ケガに見舞われた経験は複数回あります。そうした場合の医療費はたいてい外科的な処置であることもあり、3割負担でも数万~十数万円にのぼります。

これがもし、転職と転職の狭間の「無保険期間」に起こったら…。自己負担が100%になることを考えると、顔もお財布も青くなってしまいます。

保険の手続きや、個人事業主の場合の月々の支払は面倒極まりないことかもしれませんが、忘れずに実施することが我が身を守ることにつながるという意識の元、ミスなく手続きしたいですね。 本記事の情報は、一般的または筆者個人の調査によるものです。法令などの改正、前提事実や個人状況の違いや変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。 従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。