贈与税とは?高いと噂の贈与税はどれくらい高いのかを考える

高い高いといわれる贈与税。贈与税といえば「高いんでしょ?」という言葉がすでにお決まりになってしまっているような気がします。しかし、高いという印象があってもどのくらい高いものなのか?贈与税の基本と優しい計算で説明します。



贈与税とは?

贈与税とは、贈与に関して課される税金のことをいいます。一般的に「贈与税は高い」「贈与税は怖い」なんて言われますが、本当でしょうか?高いといっても、具体的にどのくらい高いのでしょうか?贈与の基礎から贈与税の基礎までを一通り説明した上で本当に高いのかどうかを考えます。



贈与とは?

贈与は財産をあげる約束で口約束なら履行していない部分は自由に撤回可能。書面の贈与契約は口約束より強いので履行していない部分も撤回できない。贈与に関して夫婦は何時でも約束を撤回できる。ここまではOKでしょうか。贈与の基本ですので是非覚えておいてください。

贈与の基本と言えば、他にも重要なことがあります。贈与といっても種類があるということです。法律には贈与の種類が4つ規定されています。

■定期贈与
■負担付贈与
■死因贈与
■贈与

以上の4つです。

「定期贈与」とは、「1年間毎月10万円ずつあげます」という定期給付を内容とした贈与です。「負担付贈与」とは「100万円渡すから生活の面倒をみて」という、贈与の代わりに義務を負わせる贈与です。「死因贈与」とは「私が死んだら私の定期預金1000万円をあげますね」という、死によって効力が発生する贈与です。「贈与」とは「はい、1万円あげる」という、今すぐ渡すような普通の贈与のことです。

法律上ではこの4種類が贈与とされています。しかし、この法律上の贈与と税金上の贈与は一部が異なっています。

贈与の基礎知識 – 司法書士本千葉駅前事務所
参照元:司法書士本千葉駅前事務所(2015年12月時点、著者調べ)

民法と税金は違う

民法の贈与とは民法549条に規定されていることをいいますが、税金上の贈与は少々異なっています。民法上の贈与はあくまでお金や物といった財産をあげることですが、税金では債務の免除なども贈与に含まれます。AさんがBさんに100万円貸したけれど、何時もBさんにはお世話になっているから100万円の借金をちゃらにする。何か上げたわけではありませんが、Bさんは結果的に100万円分の利益を得たことになります。

民法では債務の免除と贈与は別物です。しかし、税金では債務の免除は贈与の一種。このように民法の贈与には含まれないけれど税金上は贈与に該当するものもあります。他に、株式の名義をBからAに変更したのに、AからBへ株式の対価が支払われていない場合や、資金負担者以外の人が不動産を取得した場合も贈与にあたります。

特に気をつけなければならないケースがマイホームの購入。奥さんがお金を半額出し、旦那さんがお金を半額出して家を購入したのに家の名義が旦那さんだと奥さんから旦那さんへの贈与だと見なされ贈与税の対象になります。

とにかく何か利益を得たら贈与税の可能性があることを頭の隅に留めておきましょう。贈与税の課税対象はとても広いと覚えておきましょう。

No.4402 贈与税がかかる場合|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

非課税の財産もあり

ただし、一部の贈与は非課税です。例えば旦那さんが奥さんに渡す生活費。これが贈与税の課税対象だったら恐ろしいですね。また、親が子供に渡す学費も非課税となります。「はい、大学の学費ね。ちゃんと手続きしなさいね」とお母さんが渡した100万円が贈与税の対象であればこれまた恐ろしいことです。

この他に社会通念上適切と思われる額の見舞金や香典、祝い金、損害賠償金、損害保険金、公職選挙法に則って報告された選挙候補者が受けた贈与金などは贈与税の課税対象外となっています。

No.4405 贈与税がかからない場合|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

贈与税の対象とならない弔慰金等|所得税目次一覧|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

保険と税|税について調べる|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

No.1700 加害者から治療費、慰謝料及び損害賠償金を受け取ったとき|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

贈与だけど他の税金の対象?

法律上は贈与に該当するけれど、税金上は贈与税ではなく別の税目になる場合もあります。

法律では贈与は4種類ありました。しかし、この4種類全てが贈与税の対象になるわけではありません。「死因贈与」は贈与税の対象外です。なぜでしょう?死を原因として財産を渡すのですから、他に課税されるとしたらどんな税金が課税されるでしょうか?

そう、相続税です。死を原因に財産が渡るのですから、相続税の課税対象になります。法律上では死因贈与も贈与の一種ですが、税金上では贈与税ではなく相続税が課税されます。

また、法人から人への贈与は一見して贈与税の対象として考えがちですが、法人から個人への贈与は所得税と住民税の課税対象です。給与が代表的な例ですね。このように贈与税の贈与と法律上の贈与は違っている部分があります。

課税される人は?

死因贈与以外の3種類の贈与によって財産や利益を得た人に贈与税が課税されます。課税される人は財産をもらった人です。

夫婦のお財布は一緒、家族の生計は一という印象がありますが、いかに親しい人に対する贈与であっても贈与税の課税対象です。親が子供に財産をあげて何が悪いんですか、当然のことでしょう!という話ですが、悪い悪くない、あげるあげないは関係なく、とにかく財産または財産と見なされるもの(利益)をあげたならそれが親しい人に対するものであれきちんと税金を払ってくださいねということです。ただし、贈与税の対象ではない財産や利益を得れば他の税金の課税対象になりますし、生活費や学費などの生活の中の基本的なお金や損害賠償金、損害保険金などは非課税ですので課税はされません。

夫婦間の贈与は何時でも撤回可能ですが、それと課税されるかどうかは別物ですので、何時でも撤回可能だけどそれは法律上の決まりであって税金上ではどう見なされるかは別物だよとも覚えておきましょう。

贈与税とは高いのか?

贈与税はよく高い、もらっても何も残らない!という話を聞きます。本当にそうでしょうか?AさんがBさんに贈与をすると仮定して簡単な計算をしてみましょう。

まずは基礎控除額を考える

贈与税には誰でも使える基礎控除額が110万円分あります。

一年間で110万円ですから、AさんがBさんに贈与をする場合に、1月1日から12月31日までの間に100万円であれば基礎控除額の範囲内ですので贈与税は課税されません。贈与をする場合はこの基礎控除額が一つのポイントになります。基礎控除額を上手く使えば贈与税は課税されず賢く贈与ができてしまうのですが、実はこの基礎控除額には大きな落とし穴があるんです。

一つは毎年100万円ずつ1000万円まで贈与するという約束の場合、基礎控除の枠内で毎年上手くやってはいても租税回避行為などと見なされて課税されることがあるということ。個人はきちんと制度内でしているものでも税務署の判断は異なります。基礎控除の枠内で贈与をしても絶対に贈与税が課税されないというわけではないので注意が必要です。

もう一つ、基礎控除額はAさんからもらった贈与に対し110万円ではなく、年間を通じて全ての人の贈与を合計してそのうちの110万円であるということ。AさんがBさんに1月12日に100万円もらい、10月26日にCさんから20万円もらったら120万円。それぞれからの贈与は110万円内で収まっていますが、合計して110万円を超えてしまっているため贈与税の課税対象となります。

また、AさんがBさんに2月8日に10万円贈与し、12月23日にCさんがBさんに貸していたお金200万円をチャラにした場合も債務の免除という利益を200万円分受けていますので、110万円を超えてしまい課税対象になります。

■基礎控除額は110万円

金額と意味を明確にしましょう。

租税逋脱行為と租税回避行為の差異について(序章)
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

実際の税額を考える

贈与額から基礎控除額を引き、そこに贈与税率を使って贈与税の額を算出します。すると、どうなるでしょう。簡単な計算で贈与税は高いかどうかを計算してみましょう。

宝くじを当てたAさんが日頃の感謝を込めてBさんに500万円を贈与した場合、贈与額である500万円から基礎控除額の110万円を引くと残りは390万円です。一般贈与として考えて計算してみます。

No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ) 贈与税の計算表を見ると、300万円越で400万円以下の場合は税率が20パーセントになりますから、390万円に20パーセントを乗じて表の控除額を引くと贈与税額が出ます。500万円を贈与した場合は53万円が贈与税になります。

500万円に対して税金が53万円。

いかがでしょうか。この金額が高いか安いかは意見の分かれるところかもしれません。しかし500万円もらってそのうちの1割が持っていかれてしまうというのは、もらった側にとってはがっかりなのではないでしょうか。

一口ちょうだいと言われてがぶっと大口で食べられた時のような、言い様ない気持ちになります。しかし、500万円の税率はまだマシと言えるのではないでしょうか。税率をよくご確認下さい。1000万円超1500万円以下のところには何と書いてありますか?

一口ちょうだいイコール約半分

基礎控除額110万円を引いて1000万円超で1500万円以下ですと、税率は何と45パーセント!確かにその分、表の控除額も上がっていますが、税率に対しては控え目な上がり方です。

贈与税が高く設定されているのは、所得税が汗水流して働いたお金に課税されるのに対し、贈与税は人からもらうもの、つまり棚からクッキーだからその分高く設定されているんだよという話があります。しかし、それでも約50パーセントは高いような気がしますね。「財産をもらってラッキーだったね。税金として一口ちょうだい」と言われてクッキーを差し出したらがっつりと半分食べられてしまったような脱力感を覚えます。

筆者もたまに「宝くじがあたったら」を想像し、周囲の人にお金を上げるつもりで税金を計算してみてがっくりすることがあります。想像しただけでこうなのですから、実際に支払う方はもっと脱力を覚えるのでしょうね。税金は国を支える大切なお金だとしても、思わずため息をついてしまうのは仕方がないと思います。



じゃあどうする?

結論として、贈与税は高いということが言えるのではないでしょうか。もちろん税金はそれぞれ使い方や課税目的が別ですので、一概に他の税金と比べることはできません。しかし、1000万円越えで45パーセントの課税というのは、感覚として高いのではないでしょうか。棚から降ってきたぼた餅を「これ税金分ね」と半分食われてしまう。想像するとちょっと泣きそうになります。

では、そんな高い贈与税は真面目に払わなければならないのでしょうか?もちろん、贈与があった以上きちんと払わなければいけません。脱税は犯罪です。しかし、決められた制度を利用し税金をコントロールしようとすることは決して悪いことではないはずです。最後に代えまして、贈与税を含めて節税の方法をご紹介したいと思います。

まず一つとして制度を正しく使う。贈与税には110万円の基礎控除額があります。基礎控除額内であれば基本的に税金は課税されませんから、生活の援助をする場合は110万円を一つの区切りとすること。ただし、100万円を援助してもその他に100万円の債務を免除し、高価な指輪やネックレスをプレゼントしていた場合は利益も含めて控除額を超えていますので課税対象になる可能性があります。贈与をするならしっかりと見極めを!これはとても重要なことです。

また、非課税になる制度を積極的に活用することも大切です。贈与税上の制度を活用する他、別の税金の控除制度を活用することでも総合的な意味で節税が可能です。先の贈与税計算に使った贈与のケースでも、贈与相手が孫であれば一定額が非課税になる制度を利用することもできます。

贈与税の他に住民税や所得税に関する控除の制度もありますので、使えるものは使い、正しい節税を目指しましょう。

No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ) ※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。