宝くじが当たる前に覚えよう!家族であっても贈与税の対象です

夫婦のお財布は一緒。家族のお財布も大体一緒。そんなふうに考えて宝くじの当選金をあげてしまったらさあ大変!宝くじに夢を見る皆さん、当選した後のイメージトレーニングの一環としてまずは贈与税の基礎を学んでみませんか?



宝くじの当選準備!知識も万端?

今年の年末ジャンボは前後賞合わせて10億円だそうです。一般人の平均所得で換算すれば、一人の人間が定年まで働きづめで稼げるお金が2億から3億と言われているのですから、10億円あれば豪遊とまではいきませんが、自動車の税金や家のローンを払っても一生食うに困らないでしょう。子供の学費をどうしよう、私立ってこんなにかかるの!?という悩みともさよならできるのではないでしょうか。

お金のやり繰りで頭を悩ませることのない人生とは素晴らしいものであるに違いありません。きっと周りの人も苦労しているだろうな、うちの奥さんにもここは今までの労を労うつもりで一気にどーんと当選金を分けようじゃないか。とても素晴らしい気持であることに違いはないのですが、宝くじの当選金を分け合おうとした時点で悲劇がおきる可能性があります。

宝くじを買った!当たる気まんまん、さあ来い当選金!という方に、知っておくべき贈与の知識を教えます。

みずほ銀行 宝くじコーナー:『年末ジャンボ宝くじ』『年末ジャンボミニ7000万』11月25日 水曜日から全国で2種類同時発売!
参照元:みずほ銀行(2015年12月、著者調べ)



宝くじと贈与税の怖い関係

何か所得があれば必ずついて回るのが税金です。会社から給与をもらえば所得税や住民税の対象になりますし、お金をもらえば贈与税の対象になります。遺産を相続すれば相続税が課税されることになります。

宝くじの当選金も所得ですから、それじゃあ所得税の課税対象になるの?と思われると思います。ですが、違います。宝くじは所得税の課税対象ではありません。では、何なのでしょう?どんな税金の対象になるのでしょうか。

所得じゃない、じゃあ何だ?

所得税の対象ではない。じゃあ何だ?宝くじ税?いえいえ、違います。実は宝くじの当選金は非課税なんです。どんなに額が大きくても税金はかかりません。これが答えです。

人間一人が退職年齢まで休みなく働いて得られる額は2億か3億くらいと言われています。当然、その中から税金が天引きされるわけですから、実際手にするのはもっと小さな額でしょう。そう考えると、宝くじの当選金の凄さがお分かりいただけると思います。億単位なのに税金がかからない。つまり丸取りです。こんなに美味しい話はありません。

特に、近年の宝くじの当選金額は上昇傾向にあります。当選金額を引き上げ、大々的に宣伝していますよね。もし自分が当選したら丸ごとその額が転がり込むわけですから、気も大きくなるというものです。今後の生活の心配はないし、家だって建て直せる。中古車で我慢しようと思っていたけど思い切って新車を買ってしまおう、なになに、自動車税なんて怖くないさ!となるわけですね。

当然、人に対しても財布が緩むことがあるでしょう。奥さんにぽんと1億円くらい分けてしまおう。息子夫婦にマイホームをプレゼントしよう。そう思うかもしれません。しかし、そこに大きな落とし穴があります。

人にあげた時点で課税対象

宝くじは確かに非課税ですが、人にあげた時点で贈与税の対象です。いかに親しい人に対して贈る場合でも必ず贈与税の対象になります。旦那さんが奥さんにお金をあげる場合、奥さんが旦那さんに当選金を渡す場合、おじいちゃんやおばあちゃんが孫にあげる場合、三十年来の親友にぽんと1千万円ほどあげる場合、全て贈与税の対象になります。

身近な人でももちろん課税対象

家族の財布は一緒、夫婦の財布も一緒という感がありますが、家族内での贈与も課税対象です。ただし、贈与税には各種特例と110万円の基礎控除があります。これらを正しく理解し上手く使うことがポイントです。

今回は宝くじの当選金の話ですので、特例に関しては詳しい説明を割愛させていただきます。なぜなら、贈与税の特例の対象はほとんどが住宅関係。自分の子供に住宅資金を援助する場合や、長年連れ添った奥さんに不動産購入資金を援助した場合ではないと使えない特例が主です。

宝くじの当選金は億円単位ですから、例えば子供に住宅購入資金を援助することにして制度を活用するという手はありますが、とにかく当選金を家族に分けたいという場合は使える制度がなく、やはり贈与税の対象という話になります。

当選してすぐに高額を分ける場合は、例え身近な人に対してであれ、贈与税を逃れる方法は特にないということです。二人で宝くじを購入しどちらが買ったくじか分からない。でも、当選して10億円手に入った。こんな場合を除き、一人で購入し当選金を手にした場合は、当選金を誰かにあげればそれで贈与税の問題になります。

No.4402 贈与税がかかる場合|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

贈与税の税率はとにかく高い!

No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ) 上記のリンクは国税庁の贈与税率を記載したページです。確認していただければお分かりいただけるように、贈与税の税率はとにかく高いんです。

贈与部分から基礎控除額110万円とそれぞれの金額に応じた控除額を引き、残った金額に課税されます。しかし、それでも、7億円の当選金を手に入れて2億円を贈与しようものなら半分ほどが税金で持っていかれてしまうわけです。思わず机を叩いてて怒鳴りたくなる話です。

贈与とは人から利益をいただくこと。つまり、棚からぼた餅的な印象があるわけです。所得税の場合は汗水流して手に入れたお金に対する課税ですから税率は少々抑え目ですし、控除制度も豊富です。しかし贈与はどうしても苦労して手に入れたお金ではない、ラッキーなお金、棚から落ちてきたぼた餅という印象を課税する側も持っています。だからこそ税率が高く設定されているのではないかという話があります。本当かどうかは税率を考えた人に尋ねるしかありませんが、贈与税率が他の税金に比べて高いことは確かです。

贈与税には110万円の控除枠

■110万円

誰でも使える贈与税の控除額です。一年間にこの額までは贈与があっても非課税になりますので、この非課税枠を正しく理解することが「宝くじの当選金をどうやって分けるか」についての最重要課題になります。

贈与税の怖い基礎知識

贈与税は税率が高いことで有名ですが、それだけではありません。甘く見るととても怖い税金なのです。

贈与税には110万円の基礎控除があり、枠内の金額の贈与であれば非課税とされています。しかし、これはあくまで「基本的に」であって、絶対に課税されないというわけではありません。「108万円ずつ毎年あげれば控除枠内で贈与できるよね」という思考は最もではあるのですが、そう上手くことは運ぶでしょうか。

贈与税はとても怖い税金です。控除の枠内だからといって税金が絶対に課税されないわけではなく、場合によってはどどんと贈与税が課税されてしまうことを覚えておいていただきたいです。

贈与税は怖い税金!?

贈与税には110万円の基礎控除があります。この控除内で贈与があった場合は、贈与税は基本的に課されません。

控除枠は一生を通じて110万円ではなく、毎年(1月1日から12月31日まで)ごとに110万円です。ですから今年は109万円、来年も109万円という形で毎年控除枠の範囲内で贈与を行えば大丈夫だろうと思われるかもしれません。贈与税は非常に税率が高いですから、何とか税金を安くと考えるのは当然のことだと思います。しかし、この控除内の贈与だから大丈夫というわけではありません。贈与は現金で受け取ったものの他に「利益」も含めて考えます。

宝くじで当選し、奥さんに109万円贈与した。控除内だから大丈夫だと考えて高額の指輪をプレゼントし、旅行に行って料亭で会席料理を食べ、温泉のエステでゆったりとマッサージをしてもらい、旅費は全部宝くじを当てた旦那さんが持った。さあ、この場合はどうでしょう?奥さんは利益を受けていないでしょうか?

課税に際しては「何が駄目で何が良し」とは定められていません。個人の判断では控除内で収めたつもりでも税務署の判断で「あの指輪と旅費を含めれば110万円は遥かに超えますね。アウトです。贈与税の課税です」となることもありえるのです。

また、奥さんが旦那さんに109万円の贈与を受けた後に実母から生活の援助として100万円を受け取った場合はどうでしょう。旦那さんから109万円ですから110万円を超えていません。お母さんから100万円ですからこちらも110万円越えていません。奥さんは大丈夫だと考えていました。しかし、この110万円という控除枠は奥さん一人に対し110万円ということです。これは重要なポイントです。ですから、結果的に贈与税を考えなければならないケースに該当します。

このように非課税枠を甘く考えてしまうとたちまち贈与税が発生してしまうわけです。直接お金で贈ってはいない利益も贈与税の対象になる可能性がある、非課税枠はもらう側の人一人で110万円。このことをよく覚えておく必要があります。

No.4402 贈与税がかかる場合|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

さらに怖い贈与税の話

110万円が基礎控除額で、お金だけでなく利益も含まれることがあるのは分かった。じゃあ、安心な額だけ毎年贈与しよう。こんな場合はどうでしょう。

毎年90万円ずつ贈与すれば20年で1800万円ですから、基礎控除内で一定額ずつ贈与しても月日とともにけっこうな額になります。贈与税がかからないならこの手は非常に使えるのではないでしょうか。しかし、贈与税はそう甘くはありません。そう考える人がいるだろうことは課税者はお見通しです。

税金には租税回避行為はダメという原則があります。制度に則った節税、例えば控除制度を正しく使って節税をすることは問題にはなりませんが、税金逃れのために法律の形式を濫用することはいけませんという考え方があるのです。

じゃあ控除を正しく利用するということはどんなこと?毎年お金を控除の範囲内で渡すことも正しい使い方ではないかと思うことでしょう。しかし、1000万円渡すなら1000万円渡して贈与税を支払えばいい話ですから、控除内でこそこそと毎年一定額を1000万円になるまで渡すというのは、税務当局からすれば「租税回避行為の可能性がありますよね?」となる可能性があるわけです。納税者が決まりの範囲内で行っても租税回避行為を疑われる可能性があります。

控除を正しく使うこと。節税と租税回避行為の境界線は微妙なものです。納税者が勝手に判断することはできませんし、110万円は基礎控除だから大丈夫です!という言葉を信じるのは危険です。

贈与を検討する場合は税金の微妙な境界線を見極めなければならないため、税金の専門家である税理士などに相談するのが無難です。こうすれば大丈夫じゃないか、ああすれば大丈夫じゃないかという思考は税務署はお見通しですから、素直に税金の基礎的な部分だけを把握し、後は専門家に相談してしまいましょう。

租税逋脱行為と租税回避行為の差異について(序章)
照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

No.4402 贈与税がかかる場合|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)



これって贈与?

生活費は贈与?

110万円という控除枠を越えたら贈与税の対象になります。じゃあ、宝くじの当選金を家族にあげる場合だけじゃなく生活費はどうなるの?私、夫から月に15万円生活費を入れてもらっているけど、これは贈与税の対象になってしまうの?と心配になるのではないでしょうか。

ご心配なく。生活費は贈与ではありません。夫婦や家族がお金を出し合い支え合って生活して行くのは当然のことですから。

この文章を読んだ方で「あれ?」と思われた方は、多分その違和感が一つの答えです。1億円の生活費を奥さんに渡すのは不自然ですけれど、じゃあ月50万円渡すならどうですかという話ですよね。生活費はそこまで細かく考え勘定しているものでもありませんし。この話がちょっとした解決の糸口になるかもしれませんね。

No.4405 贈与税がかからない場合|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

他にも非課税のお金はある?

宝くじの当選金の他にも非課税になるお金があります。

損害賠償金は非課税です。損害賞金とは事故にあった際に相手方に請求するお金です。内訳には事故で負った怪我の治療費や病院への通院費、会社を休まなければならなかった場合の給与分など様々ですが、損害賠償金として得たお金は非課税となります。宝くじと同じです。満額自分のものです。

ただし、損害賠償金の場合は立て替えた分の通院費などが後から損害賠償金として支払われることもあることを考えれば損失の補填という意味も含み、宝くじのように購入金以外マイナスなしというお金ではありません。仕事が難しくなった場合は給与損害も含まれますので、宝くじのようにもらってラッキーというお金ではありませんよね。

他には、身近なお金でも非課税のものがあります。香典や損害保険の保険金は同じく非課税とされています。

No.1700 加害者から治療費、慰謝料及び損害賠償金を受け取ったとき|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

保険と税|税について調べる|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

贈与税の対象とならない弔慰金等|所得税目次一覧|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

発想の転換を

贈与をするにも贈与税は高い。基礎控除の110万円の範囲内で贈与したとしても時に課税対象になってしまう。この点について考えておくのは宝くじの当選前でも大切なことです。なぜなら、当選後にうっかり贈与してしまってからでは遅いからです。獲らぬ狸とは言いますが、必要な知識を身につけて、その上でどうするかを考えておくのは大切なことではないでしょうか。お金を手に入れる前のイメージトレーニングというやつです。

贈与税には基礎控除がありますが、他に贈与税の課税対象にあたらないお金もあることを覚えておく必要があります。また、発想の転換をすることも重要です。

そのお金、どうしても贈与じゃなきゃダメですか?

例えば同居している家族に対して援助するなら贈与だけが手段ではありません。学費として溜めていた分を使わずに学費を支援することも間接的な贈与ではないでしょうか。自分の子供にかかる学費を払ったお金は基本的に贈与にはなりません。

また、生活費も相当分は基本的に贈与にはなりません。1億円の生活費はおかしなはなしですが、一カ月に50万円の生活費を入れることは、意見が分かれることはあるにせよ、そこまでおかしなことでしょうか。必ず贈与でなければダメなのか。1億円といった高額をぽんと渡さなければいけないのか?発想転換が必要だと思います。

税のすり替えを行うことも手段としては可能なのではないでしょうか。宝くじがあたってすぐに息子に1億円渡せば贈与ですが、あなたが亡くなり息子が相続すれば相続税の対象です。必ず今渡す必要があるのかも含めて考えれば、多少なりと打開策に繋がる道はあるのではないでしょうか。 ※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。