浮気の慰謝料に相場ってあるの?知りたいあなたに教えます!!

「慰謝料を払っていただきますから…!」そんなセリフはドラマや情報番組の再現シーンなどで良く耳にします。慰謝料を請求したり、請求させられたりする場面には出来れば遭遇したくない、それは山々ですが、一番身近に起り得るのは離婚や浮気に対する慰謝料。知っておいて損はない?!浮気の慰謝料のアレコレについてまとめてみました。



慰謝料の基本について

慰謝料とは

いしゃ‐りょう〔ヰシヤレウ〕【慰謝料/慰×藉料】

生命・身体・自由・名誉・貞操などが不法に侵害された場合の、精神的損害に対する損害賠償金。

出典:

kotobank.jp
以上のように、慰謝料というのは、不法に受けた精神的苦痛による損害を償うために加害者が被害者に対して支払う金銭での賠償のことです。では、賠償の対象である、精神的損害とは…?

心が負ってしまう目に見えない傷や痛みについて想像してみると…辛かったり、苦しかったり、悩んだり、不安に追いやられたり、恐怖を感じたり、と数えきれないほどの理由が浮かびあがります。精神的に受けた被害というものには、他人には計り知れない深い悲しみ、癒えることが予想できない不安や痛み、そして怒りがあるでしょう。

身体に受けた傷にも、傷痕が残ってしまうことがあるように、心に受けてしまった傷もまた、大きな傷跡が残ることもあるのです。受けた傷の深さをお金に換算し、加害者に負担させることで自分の罪の重さを実感させ、被害者は加害者にその荷を負わせることによって遣りどころのない気持ちを慰める…癒える保証のない傷の償いをお金に換える、といえるのかもしれません。

民法には以下のような定めがあります。

第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

第七百十条  他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

出典:

law.e-gov.go.jp

浮気に対する慰謝料

慰謝料を請求する事由には様々な要因が考えられますが、ここでは浮気に対する慰謝料の請求についてまとめてみました。浮気、とひとことに表してもそのケースは多種多様…例えば、たった一度の過ちと、数年に渡って欺かれていたケースでは受ける精神的苦痛の度合いも随分と違ってくるのかもしれません。

また、浮気の慰謝料というと夫婦間でのトラブルが連想されますが、婚姻関係を結ぶ前に婚約者が浮気をした場合であっても慰謝料を請求できるケースがあるようです。結婚準備のために離職したあとの浮気による破談などでは、人生設計を大きく左右される取り返しのつかない被害を被ってしまいます。

浮気の発覚後、謝罪と反省で信頼関係の修復ができれば良いけれど、それが発端となって決別という事態を招いた場合の有責者の責任は重大といえるでしょう。



慰謝料を請求できるケースって?

浮気をされた側の立場から考えれば、メールでのやりとりであろうと、食事などのデートであろうと浮気をされたことに変わりはなく、怒りの収まりどころはないかもしれません。しかし、慰謝料を請求するとなると、痴話喧嘩では済まない状況であり、結婚している間柄では離婚も辞さない覚悟が必要といえるでしょう。

そして慰謝料として高額な金銭を負担させるのですから、請求するには条件があるようで…ここではその条件について考えます。

どこからが浮気?

慰謝料を請求するからには、謝罪で済むような浮気心からの軽率な行動などではなく、浮気相手と肉体関係があったことが証明できるかどうかがボーダーラインとなります。

相手側が浮気の事実を認めていない場合では、認めざるを得ない決定的な根拠、裁判となった場合でも通用する十分な不貞行為の証拠が必要となるといえるでしょう。

また、浮気相手というと一般的に、勤め先の同僚であったり、同級生であったり、どこかで知り合った特定の個人を思い浮かべがちですが、俗にいう風俗、それもキャバクラなどの飲食店ではなく性行為を伴う風俗店に通った証拠などが数多くあるような場合も浮気による精神的苦痛を理由に慰謝料を請求するケースがあるようです。

慰謝料を請求する相手は?

慰謝料を請求する相手は、浮気をした張本人はもちろんのこと、浮気相手がはっきりと特定している場合は浮気相手に対しても請求することが可能です。一般的に婚姻関係を破綻させずに修復したい場合、浮気相手に請求することが多いようです。

配偶者に慰謝料を支払わせても、生計を共にしていれば自分のお財布から出費するのと一緒のようなものですから、制裁的な効果が意味のないものになってしまう、そんな事情もあるのでしょう。

ただし、浮気相手に責任を追及する場合、浮気相手自身が既婚者もしくは婚約者がいる人と知りながら不貞行為をしていた事実がなければ慰謝料を請求することはできないようです。本当は知っていたのに、知らなかったと偽る場合も予測し、言い逃れができない、しっかりとした証拠を掴んでいることが重要でしょう。

慰謝料を支払う責任は…!

信頼していたパートナーの浮気によって深く傷つけられた側からすれば、その哀しみや怒りの矛先は不貞をはたらいた双方に向けられ、どちらに対しても制裁を科したいという心情になるのは理解できるところです。共同により不法行為を行いパートナーに損害を及ぼしたのですから、浮気をした当事者それぞれが、慰謝料支払という債務の全額を連帯して支払う義務を負う…その責任については民法に定められています。

(共同不法行為者の責任)
第七百十九条  数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
2  行為者を教唆した者及び幇助した者は、共同行為者とみなして、前項の規定を適用する

出典:

law.e-gov.go.jp
ただし、不法行為を行った当事者の一方が慰謝料の全額を支払った場合、被害者がもう一方に対しても慰謝料の請求をすることは二重請求となってしまうため認められないようです。

北海道、旭川の離婚時の慰謝料のご相談はアルプス国際行政書士事務所
参照元:アルプス国際行政書士事務所(2016年1月時点、著者調べ)

時効がある…?!慰謝料の請求

犯罪にも時効があるように、慰謝料の請求、という権利にも民法において時効が定められています。

(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
第七百二十四条  不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

出典:

law.e-gov.go.jp
慰謝料を請求する権利は、被害者が「損害および加害者を知った時」から「3年間」で時効によって消滅すると定められています。言い換えれば、浮気および浮気相手がいる事実を知った時から時効へ時計の針が動き始めたということになるのです。

浮気の確たる証拠を得ながらも、行動を起こせずにためらっていると権利を失いかねませんから、注意が必要といえるでしょう。

慰謝料請求の時効について | 浮気・不倫の慰謝料請求(減額)ならアディーレ法律事務所
参照元:アディーレ法律事務所(2016年1月時点、著者調べ)

浮気の慰謝料、その相場について

慰謝料を請求したい…!と考えても具体的にどんな金額を提示すれば良いのでしょうか。例えば交通事故による慰謝料の場合、入院や通院の日数、傷や怪我の度合いによる算定の基準が存在するようです。しかし、浮気の慰謝料の場合は精神的な苦痛という、目に見えない損害に対する賠償です。心に負った傷は、1度だけの浮気だから軽く、何回も風俗店に通われたから重い、などと一概に決めることはできないと思います。

不貞行為の背景や取り巻く環境、様々なケースが考えられる浮気の慰謝料の場合、明確な基準が存在するわけではないようです。特に、浮気相手に対しては制裁的意味合いが占める割合が大きいでしょうから、慰謝料の金額に上限などないのかもしれません。

事実、芸能ニュースや海外ではびっくりするほどの高額な慰謝料を請求するケースを良く耳にします。基本的に金額に定めはありませんが、常識外の金額を請求されると支払う側も納得がいかずに裁判で争うことになりかねません。相手方の資産状況や収入、そして実際の裁判事例などを参考にして金額を提示するのが賢明といえるのでしょう。

では、金額を算定するにあたって考慮すべき要素はどんなものがあるのでしょうか。

浮気発覚・その後の関係

実際には裁判で争うことがなくても、裁判となった場合を想定した金額を提示する方が和解へと繋がりやすいと前項でお伝えしました。第一に考慮すべきは、浮気発覚に婚姻関係または婚約関係の破綻があるかどうか、そして修復が可能なのかどうかではないでしょうか。関係を修復しやり直したいと考えている場合に金額は低く抑えられ、破綻し離縁する場合は高額となるのが一般的です。

ふたりで作り上げたパズルのピースは外れただけでまだ手元に残っているのか、涙で形が崩れ歪んで型に入り辛くなってしまったのか、或いは無くしてしまって元には戻らないのか…それは金額を大きく左右するといえるのでしょう。

ふたりで築き上げた歴史

婚姻・婚約の期間、ふたりで築きあげてきた時間が長ければ長いほど、浮気によって裏切られた怒り、そして傷つけられた傷みは大きくなるといえるのではないでしょうか。慰謝料の金額もその長さに比例して高額になる傾向があるようです。

もし、婚姻・婚約関係が破綻し離縁という結果になったとき、被害者に人生をやり直せる若さがあるのでしょうか?キャリアを捨ててパートナーに尽くした果ての裏切りだったとしたら?取り戻すことのできないものを捧げてきた、その被害の大きさ、失ってしまったものの重さは謝罪どころか、お金であっても秤にかけることができないのかもしれません。

浮気の回数・期間

浮気の慰謝料を請求できるボーダーラインは肉体関係があるかどうかであることはこれまでにご案内してきました。浮気をされた回数や期間を把握するには、具体的な証拠を伴います。長期間に渡るメールのやり取りのデータがある、ホテルや風俗店の領収証が複数枚ある、同棲を続けているなどの事実があれば慰謝料の金額が高額になっても反論のできないところでしょう。

不貞行為を率先していたのは?

浮気を始める経緯についても考慮の余地があるといえるようです。積極的なアピールに吸い寄せられるように浮気をしてしまった場合と、自ら好んで浮気をしていた場合では、その罪の度合いも違うというものでしょう。

世の中には浮気性な質の人がいるのも事実です。浮気の前歴があるとか、度重なる交際制止の忠告を聞かずに浮気を重ねる、などは悪質です。更には、浮気相手との間に子供をもうけてしまったり、逆に浮気相手が離れていくのをおそれて妻に妊娠中絶を強いたり、無責任で卑劣な行為によって酷く傷つけられたケースなどは高額な慰謝料を請求できるのではないでしょうか。

加害者の環境

慰謝料を払うことによって自分が傷つけたことの大きさ、罪の深さを知らしめたい、と思うのが心情でしょうが、現実的な問題として、実際に提示された金額を支払うだけの財力があるのかどうかは重要な指標となるでしょう。

支払いを求める相手の年収や、社会的地位も、金額を設定する際に考慮するべき要素になるといえるのです。仮に裁判で争うこととなっても、ない袖は振れない、と判断されてしまうようですから、感情論ではなく客観的な数字をはじき出す冷静さも必要かもしれません。

具体的な金額って?

ここまでは慰謝料の金額を提示する際、金額を左右する要素について挙げてきましたが、具体的にはどのくらいの金額が一般的なのでしょうか。芸能人や海外の訴訟のように桁外れの慰謝料になることがない反面、大体の目安がつけやすいといえるのかもしれません。婚姻関係が破綻して、離婚に至った場合は高額になる傾向があり、離婚には至らなかった場合は、金額が低く収まる傾向にあるようです。

あくまで目安ですが、離婚や破談に至らないケースではパートナーもしくは浮気相手に対して50万円から200万円、離婚や破談にまで至るケースでは100万円から500万円まで支払われる例が多いようです。ただし、500万円にまで至るには加害者の社会的地位や財力などの条件も伴うといって良いでしょう。判例主義の日本では、不倫における判例も非常に参考になると思います。

判例では、被害者が求めた金額が数千万円であっても、判決された金額は多くても数百万のようです。被害者は、無謀な金額を提示しているようにも思えますが、低い金額が判決で出ることを予測できていながらも、自分の受けた傷の大きさを数字で表したかった…そんな心境が見え隠れするような気がしてなりません。

不倫の判例 | 不倫慰謝料相談室
不倫の慰謝料請求者、慰謝料請求金額、裁判所が認めた不倫の慰謝料額と慰謝料算定理由等についての不倫に関する判例を紹介した不倫慰謝料相談室の「不倫の判例」です。 参照元: 不倫慰謝料相談室(2016年1月時点、著者調べ)



平穏を取り戻すために

パートナーを愛する、または愛していた気持ちが大きければ大きいほど感情が先走り、莫大な慰謝料を請求したり、頑なに和解を聞き入れずに強硬手段に走ったりしがちになるのかもしれません。裁判で争う争わないは当事者が決断することですが、裁判で戦う場合は短くても数ヶ月、長ければ数年間を費やすことになることは避けて通れません。浮気によって深く傷つけられた心を抱えたまま心理的に負担がかかる裁判を乗り越える覚悟が必要です。

知りたくなかった現実を突きつけられ、お互いに傷つけあう結果になってしまうこともあるでしょう。また、弁護士を雇う場合は着手金や成功報酬といった費用が余計に掛かってしまうことも頭に入れておきたいところです。

裁判には時間も費用も掛かりますなどとあると尻込みしてしまう人がいるかもしれません。しかし、泣き寝入りすることはありません。悲しみや憎しみに囚われて感情的な行動を起こすのではなく、冷静に客観的に何が自分にとって最善の方法であるのかを判断しましょう。

精神的にも金銭面でも負担の大きな訴訟より、和解へ導いたほうがこれ以上の被害を広げずに済むとも考えられます。実際には裁判で争うことがなくても、裁判となった場合を想定し、判例などを参考にした金額を提示する方がお互いの感情がこじれることなく和解へと繋がりやすいでしょう。

慰謝料を請求したい…!そう思っている被害者にとって、お金を得ることは直接の目的ではないのではないかと思います。浮気をされたことに傷つき、時に世間的な恥辱を受け、信じていたパートナーに裏切られた悲しみで掻き乱された、その心に平穏を取り戻すこと、そこに真の目的があるのではないでしょうか。

パートナーとの関係修復を望むひとも、離別を決意したひとも、慰謝料支払いの向こう側にある加害者の反省心と、傷つけられた自分へ果たした仇討ちで、ほんの少しでも心が軽く、そして前を向ける気持ちになることを願っています。