相続登記申請書を自分で書く!作成は必要書類集めで8割決まる!

相続登記申請書は相続登記の申込み書のようなもの。法律家に依頼してくださいという決まりはないので自分で書くこともできますよ。法務局の書式テンプレートでは埋めるべき個所がはっきりしているので、大切なのは書類を埋めるために使う書類になります。申請書の記載に必要な書類の集め方と使い方、教えます。



相続がおきたら何をする?

誰かが亡くなると、その瞬間に起きるのが相続です。遺言があろうがなかろうが、遺産分割協議をしようがしまいが相続が起きることは変わりなく、相続が起きれば何らかの形で手続きをしなければならないことも変わりません。相続が起きたらするのは「手続き」です。

相続と手続きはワンセット

個人が利用していたサービスを解約することも手続きですし、個人名義の定期預金を解約して相続人で分けるのもまた手続きです。この他にもしなければならない手続きや後片付けは盛りだくさんです。人の生き死にはそれだけで大事なのだとしみじみ考える方もいらっしゃることでしょう。

しかし、しみじみするのは後回し。まずは必要なことを全て終わらせてしまわなければなりません。今回は相続登記申請書の書き方を中心に、そんな手続きの一つである相続登記についてご説明します。



相続登記とは?

相続登記とは、相続した不動産の名義を故人のものから相続人のものへと変える手続きです。手続きは相続したその不動産を管轄する法務局に申請します。申請の際はただ「名義を変えてください」と足を運ぶのではなく、必ず相続登記申請書と添付書類、登録免許税(登記の手数料のようなものです)を提出しなければいけません。

相続登記は必ずしなきゃダメ?

相続登記は必ずしなければいけないものではありません。実際、名義が個人のまま放置されているケースもあります。しかし、手続きをさぼった場合は相応のデメリットを甘受しなければなりません。

デメリットの一つ目として、登記は後回しにすればするほど手間がかかるという点を挙げることができます。Aさんの不動産をBさんが相続したのに相続登記をせずに放置し、その後にBさんの相続が発生してCさんが相続したとします。もうCさんが持ち主なんだからCさんの名義にしてしまえばいいのではないか?と思われるでしょう。

しかし、これは許されません。相続登記は相続した順番に手続きをしなければならないというルールがあります。ですから、Bさんがサボった分、CさんがAからB、BからCという相続登記をしなければならず、二倍の苦労をすることになります。もちろん必要書類も時が経てばその分手に入り難くなります。

もう一つのデメリットとして、権利が不安定になることが挙げられます。Aからまったく同じ家を買ったBとCがいた場合、Bが登記をしていてCがしていない場合は、法的にはBの勝利です。つまり、家はBのもので決まりです。登記があるから自分の家というわけではなく、家が自分のものである強い証拠になるのが登記です。不動産は高価なものですから、証拠の面でも権利の面でも確固とした登記をしておくのが安心ではないでしょうか。

きちんと相続登記をしないとデメリットがあります。あなたと子孫が困ることになりますが、それでもいいならご自由に、というのが現在の登記のスタンスです。

法務省:未来につなぐ相続登記
参照元:法務省(2015年12月、著者調べ)

相続登記は自分でもできる?

相続登記は自分でもできます。

ただし、難しいケースは専門家に任せるのが無難です。難しいケースとは、

■色々な権利が付着している場合
■相続関係が複雑な場合
■書類を集めることが困難な場合

などです。

登記事項証明書という書類があります。この書類は不動産のプロフィールのようなものです。登記事項証明書を見た瞬間に「抵当権」「根抵当権」「差押え」「仮登記」「地上権」などの権利の表記があった場合はなるべくなら自分で行わずに専門家に依頼した方が良いケースです。相続登記と一緒に別の登記も必要になったり、登記手続き自体が難解になったりします。また、根抵当権の表記があった場合は手続きに期限がある可能性もありますので、なるべく早めに司法書士に相談することをお勧めします。

亡くなった方が何度も結婚と離婚を繰り返している場合や養子がいたり、子供同士も特に面識がなく相続の手続きをしようにも誰に連絡すればいいのか分からないという場合も専門家の出番です。こんな時はまず相続人が誰かを調べることから始めなければいけませんので、専門家に相談することが望ましいと言えます。自分で手続きをする場合も確認に確認を重ねないと相続登記を申請しても「受理できません」と言われてしまうことになりかねません。

書類の中でも戸籍謄本を集めることが非常に困難な場合があります。古い戸籍も必要で、しかし古い戸籍が消失している場合などです。戸籍を取り寄せることが困難な場合、その他、必要書類の入手が困難な場合も専門家に相談した方が無難なケースです。

登記は自分でも可能ではありますが、簡単な手続きであるならば司法書士という専門の資格は生まれていないはずです。自分で挑戦するのももちろんOKですし、やってみようという気持ちはとても重要だと思います。ですが、事は権利に関わるものですので、慎重に行い、難しいと思ったら司法書士に依頼するか、法務局や法律の相談窓口を利用し、疑問点を解消しましょう。

ご自身で不動産登記申請を検討されている方へ:名古屋法務局
参照元:名古屋法務局(2015年12月、著者調べ)

登記をする不動産がわからない!?

相続登記をする不動産が分からない場合は、役場で「名寄帳」という書類を取得してみてください。

名寄帳にはその人の名義になっている不動産が一覧で記載されています。名寄帳に記載されている不動産が多い場合はその分相続登記の量も多くなります。こんな時は専門家に依頼した方が良いのですが、名寄帳があれば専門家も助かりますので、不動産の量が多いぞ!?これは手間だぞ!?と思ったら、そのまま名寄帳を司法書士のところに持って行って依頼してしまいましょう。

参考までに逗子市の取得に関するページをご紹介しておきます。皆さんが不動産を探す場合はそれぞれの市町村役場にご確認ください。

市税の窓口のご案内 | 逗子市
参照元:逗子市(2015年12月、著者調べ)



書類集めが申請書作成のメイン!

相続登記申請書というと難しいことを書くのだろうなと思われるでしょうが、実のところ、相続関係が複雑でない場合や相続対象の不動産が少ない場合はそうでもありません。

基本は必要な書類を集め、その書類をチェックして必要事項を記入していくだけです。しかし、必要な書類がないと申請書は完成しませんので、申請書の中身自体は教えてもらいながら書くとしても書類がないと始まりません。専門家でも書類がないと書きようがないです。申請書の作成は書類集めで決まると言っても過言ではありません。ですから、事前の書類集めは必要なことです。必要な書類を集めるようにしましょう。

相続登記申請書を書く準備

相続登記申請書を書く前にまずは準備です。「え、申請書を書けばいいだけでしょ?」と思われるかもしれませんが、調べなければまず書けません。相続登記申請書は相続登記の申し込み書であり登記の雛型にもなりますから、間違えないように必要な書類を集めてからじっくり書いてください。まずは申請書を書く前段階、外せない準備からです。この準備で集める書類が申請書のベースになる情報です。書類が無ければ申請書も書けないわけですから、ここで8割が決まると言っても過言ではないでしょう。

まずは書類を準備しよう

相続登記申請書を記入するために必要な書類を集めます。「登記事項証明書」「戸籍謄本」「固定資産税評価証明書」の3つが必須になります。資料として「登記済証」などがあった場合は一緒にまとめておくと良いでしょう。

登記事項証明書

法務局で取得できます。日本全国どこにある不動産でも、どこの法務局に行っても出力可能です。また、インターネット上で出力することもできます。ただし、インターネット上の場合は情報のない不動産もありますので、最寄りの法務局に足を運ぶ方をお勧めします。

登記事項証明書はそれぞれの不動産のプロフィールのような書類です。その不動産の面積や造り、築年などの外観だけでなく誰から誰へと権利が移っていったかという目に見えない部分もこの書類を見れば分かります。法務省の頁に例画像が掲載されていますので、まずは項を見ていただいて、その上で大切な部分を説明します。

法務省:不動産登記のABC
参照元:法務局(2015年12月、著者調べ) 特に見る必要があるのは甲区と乙区という目に見えない権利の遍歴です。権利部の甲区には所有権、いわゆる不動産の名義人が載ることになっています。相続の場合は、故人の名前が記載されているかをチェックしてください。もし違う人の名前が載っていたら、故人が住んではいたけど別人の所有する不動産の可能性もあります。故人が名義人であれば、相続登記を済ませたらその次の欄(下の欄)に名義人として相続人の名前が載ることになります。

権利部の乙区には所有権(名義人の名前)以外の権利が載っています。抵当権や根抵当権、地上権などの権利はこちらに載ることになります。この甲区と乙区にたくさん登記があれば、自分で相続登記をするより専門家に見てもらった方が良いケースです。画像には他に抵当権が見られますね。この場合も自分でできないわけではないですが要注意です。

もう一つ見ていただきたいのは、上の方の表題部というところにある不動産番号です。この不動産番号は申請書の記載に必要になりますので必ずチェックしておきましょう。

戸籍謄本

戸籍謄本は相続関係を確認するために使います。父親が亡くなって相続人が自分一人という場合は戸籍謄本も枚数が少なく、父子関係の証明も簡単だと思います。しかし、遠縁の叔父が亡くなり、その叔父の母違いの兄である自分の父親はもう亡くなっていてその息子が相続人となると、叔父と息子の父親が兄弟であるところから延々と証明しなければならないのでその分戸籍謄本を取得するのも大変ですし、枚数も多くなります。

戸籍謄本は自分が確かに相続人であることを確認してもらうために必要となるものですので、面倒なので一枚でお願いしますということは絶対にできません。中には古い戸籍が必要になり取得が困難なケースもあります。戸籍謄本の枚数が多くなる、相続人が複雑である、他に相続人がいるか分からない、取得が困難、こんな時はすぐに法律の専門家に相談してください。

また、取得の際に役場の方に「相続登記に使います」と伝えれば必要なものを出力しかつ、場合によっては足りない部分がどこの役場で取得できるのか教えてくれたりもします。自分で手続きをする時は、とにかく一つ一つ訊きながら進めましょう。

戸籍謄本・抄本とは – 相続戸籍相談センター
参照元:相続戸籍相談センター(2015年12月時点、著者調べ)

固定資産税評価証明書

市町村役場で取得することができます。毎年4月1日に最新のものが出ますので必ず最新版を使ってください。登録免許税(登記の手数料)の算出に使います。亡くなったのが3月31日でも登記をするのが4月1日以降であれば最新版を使うことになります。

登録免許税は登記の種類によって税額が異なります。

1、土地と家をセットで登記する場合は評価額を合計する
2、合計額の1,000円未満を切り捨てる
3、合計額の4/1000を算出する
4、算出した金額の100円未満を切り捨てる

この1から4の手順で算出された金額が登録免許税になります。算出された金額が1,000円に満たなかった場合は、登録免許税は1,000円になります。申請書には登録免許税額の記載欄がありますので計算しておきましょう。

No.7190 登録免許税のあらまし|印紙税その他国税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

No.7191 登録免許税の税額表|印紙税その他国税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

相続登記申請書を用意しよう

書類を所得したらそれぞれの書類をチェックし、相続登記申請書を用意しましょう。相続登記申請書はインターネット上からダウンロードできるサービスがある他、書店や文具店でも販売しています。

お勧めはダウンロードサービスです。何枚か印刷しておけば間違えても書き込みしても、提出時に清書することができます。

法務省:新不動産登記法の施行に伴う登記申請書等の様式について(お知らせ)
参照元:法務省(2015年12月、著者調べ)

相続登記申請書を自分で書く!

下記は法務局のダウンロードサービスです。こちらで書式をダウンロードすると、記載が必要な部分には線が引かれ、そこだけ書き直せば良いようになっています。難しい部分には注釈もあります。

まずは一枚、取得した書類を確認しながら記載してみてください。その上で分からない部分には赤ペンなどでチェックを入れておき、先に取得した必要書類と一緒に法務局に持ち込んでください。赤ペンでチェックを入れた申請書の記載の分からない部分の他、添付書類は他に何が必要なのか、登録免許税はいくらになるのかを確認してください。

特に添付書類は普段は馴染みのない書類の用意が必要なケースもあり、相続関係によって変わってきます。申請書類の書き方をチェックすると同時に、法務局の担当の方に教えてもらった添付書類をメモし、すぐに取得してください。

自分で相続登記をする場合は、書類を集め、記載し、確認してもらう、この繰り返しになります。何か疑問に思ったらすぐに確認してください。しかしあくまで「自分でする」ということを忘れずに、自分で書いて集めて分からない部分を法務局に確認するという形で行ってください。

相続登記申請書pdf(法定相続)
参照元:法務省(2015年12月、著者調べ)

相続登記申請書pdf(遺産分割協議)
参照元:法務省(2015年12月、著者調べ)

相続登記申請書pdf(相続)
参照元:法務省(2015年12月、著者調べ)

書き終わったら……

相続登記申請書の記載が終わったら、登録免許税額の印紙を購入します。登録免許税額も自分で計算した数字を必ずチェックしてもらってください。印紙の場合は間違えても還付があるにはあるのですが、なるべくなら間違えないようにしたいものです。印紙は申請書に貼りつけます。

No.7130 誤って納付した印紙税の還付|印紙税その他国税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

相続登記申請書を提出する

申請書ができ上がり、登録免許税額も計算できた。添付書類も揃った。後は法務局にまとめて提出するだけです。

登記の申請書は管轄の法務局に提出する必要があります。法務局の管轄は不動産の所在地によって変わります。こちらで調べることができます。また、申請書の書き方や添付書類の確認で法務局に足を運んだ時に「管轄はどこの法務局になりますか?」と尋ねるのも良いでしょう。

提出は特設足を運ばなくても、ネット申請や郵送が可能です。ただしネット申請の場合は添付書類を別途郵送する必要があるのであまり勝手の良い方法とは言えません。申請書と添付書類をまとめて郵送するか、最寄りであればチェックも兼ねて法務局に足を運んで提出することをお勧めします。

管轄のご案内:法務局
参照元:法務局(2015年12月、著者調べ)

最後に

何度も法務局に足を運んだり、色々な窓口に書類をもらいにいくのが面倒だなと思われるかもしれません。しかし、相続登記だけでなく、登記をするということはそういうことで、専門家に依頼したとしても依頼主である私たちが一定の書類を集めることなどをしなければならないわけですから、自分で全てするとなるとなおさらです。

登記は間違いがあったり、一枚でも書類が足りなければ受理されません。登記はとても強い権利の証明です。簡単に動かすわけにはいかないのです。あなたの家の名義が勝手に書き換えられて法務局に問い合わせたら、添付書類(申請書類の証拠)が一枚足りなかったけどまあ大丈夫だと思って登記申請を受けつけましたと答えられたら、あなたは怒りませんか?

自分で手続きする際は確かに面倒で難しく厳格に感じると思いますが、それだけ登記手続きで失うものが多いのだと、皆の権利の関係上簡単に受けつけるわけにはいかないからそうしているのだと受け止めて、慎重かつ粛々と行ってください。

手続きの際に分からないことがあったり難しいと思った場合は、もちろんすぐに司法書士や自治体の相談窓口、法務局を頼ってくださいね。必ず力になってくれるはずです。その際は準備の段階で取得した書類をお忘れなく。答えのほとんどは準備した書類の中にあることが多いのです。 ※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。