扶養から外れても大丈夫!世帯収入をUPさせるための秘訣と計算方法

「扶養内で働きたい」という方、本当にそれがライフスタイルに合っていますか?税金や社会保険の壁を超えて働いたからって、実は不利になるわけではないんです。もしかしたら、今のうちにいっぱい働いた方がいいこともあるかもしれませんよ!



扶養内で働かない!

扶養には2種類あります。税法上の扶養と社会保険の扶養です。扶養に入っていることによって、健康保険料や年金保険料、住民税や所得税を払わなくて良い・または減額になるというメリットがあります。

しかし扶養から外れても実はメリットがあるって知っていますか?扶養から外れるかどうか悩んでいる時に知ってほしい、扶養から外れることで得られるメリットについてご紹介します! 抑えておいてほしいポイントとして、お給料の年収と所得の違いがあります。年収とは1年間に会社からもらうお金全部のこと。そして、所得とは年収から【給与所得控除額】を引いた額になります。

給与所得控除額とは、お給料を稼ぐための経費として考えられるもの。だからその分に関しては税率がかけられないことになっているんです。

●平成28年の給与所得控除額の一部

・年収180万円以下の場合、収入金額×40%or650,000円未満なら650,000円
・年収360万円以下の場合、収入金額×30%+180,000円
・年収660万円以下の場合、収入金額×20%+540,000円

したがって給与から給与所得控除額を引いた額が、<所得>ということになると覚えておくと良いでしょう!

No.1410 給与所得控除|税について調べる|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月現在、著者調べ)



住民税の壁

収入の壁って何?

まずは、そもそも扶養とはどういうことなのか?そしてその条件は何なのかについて、説明していきましょう!

ここではわかりやすいように、年収500万円の夫Aさん・妻Bさんの2人暮らしの家庭について見ていきますね。 妻Bさんがパートを始めることにしました。まず会社から「100万円を超えてもいいかどうか」と聞かれました。この「100万円」というのが「住民税の壁」と言われるものなんです。しかしこの壁は自治体によって98万円前後で変わることがあるので注意しましょう!

来年の住民税は、今年中の所得から計算されることになっています。例えば今年99万円の年収があったとしましょう。するとBさんは、99万円-給与所得控除額65万円=34万円の所得となりますね。

そして住民税には【基礎控除】と呼ばれるものもあります。実は住民税を計算する際に、「課税されるかどうか」と「実際に課税される額の計算」をする場合で少々違う数字が必要になります。 東京都の場合、前年の所得が35万円以下の場合には住民税がかからないとされているそう。これを「非課税限度額」と呼びます。したがって99万円の年収では住民税はかからないといえるでしょう。

しかし101万円の年収になった場合、101万円-65万円-35万円=1万円となるため住民税がかかることになります。「住民税がかかる」ということが決まると、非課税限度額の35万円ではなく「基礎控除額33万円」の数字が必要になるんです。

つまり、101万円-65万円-33万円=3万円に対して住民税がかかることになるんだとか。すると、東京都では均等割として定額の5,000円に加えて、所得割として10%=3,000円の<合計8,000円の住民税>を支払うことになるでしょう。

自治体によって税率や非課税限度額が異なる場合がありますので、自分の住所地を調べてみましょうね。

東京都では100万円を超えると住民税を支払うことはあっても、働いた分マイナスになるということはなさそう。したがってBさんは100万円を超えて働くことにしました。

東京都主税局<都税Q&A><区市町村税:個人住民税>
参照元:東京都主税局(2015年12月現在、著者調べ)

パート収入が103万円以下でも税金はかかるの?/よくあるご質問/東近江市
参照元: 滋賀県東近江市(2015年12月現在、著者調べ)

所得税の壁

次に会社から聞かれたのが「103万円を超えても大丈夫?」というもの。よくよく聞いてみると、他のパートさんたちもみんな103万円までに抑えているみたい!なぜなんでしょう?

この103万円は「所得税の壁」と言われているもの。お給料をもらっている・不動産を貸しているなど「所得のある人」というのは、基本的にその所得に対しての所得税を支払わないといけません。しかし所得税を計算する際には、そのお給料から【給与所得控除額】に加えて、所得がある人すべてが利用できる【基礎控除額38万円】というものを引くことができます。

つまり、65万円+38万円=103万円以下の年収の人は、所得税を支払わなくてOK!ということになっているのだそう。

No.1800 パート収入はいくらまで税金がかからないか|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月現在、著者調べ) もし妻が103万円を超えてしまった場合、自分のお給料から所得税を支払うことになります。もしBさんが110万円の年収となったとしましょう。

所得が195万円以下であれば所得税率は5%と決められているので、(110万円-65万円-38万円)×5%=3,500円の所得税額と計算できるでしょう。

No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月現在、著者調べ)



配偶者控除の壁

しかし!もう一つ103万円には壁がありました。それが【配偶者控除の壁】と言われるものです。

配偶者控除とは妻Bさんの配偶者であるAさんが得られる控除のこと。Aさんが年間の所得税を計算するときに、妻の年収が103万円以下=所得38万円以下であれば、配偶者控除として38万円を引いて計算できるというものです。

Aさんは年収500万円でした。もしBさんが年収103万円以下でその他の条件にも当てはまっている場合、Aさんの所得は500万円-給与所得控除額154万円-基礎控除額38万円-配偶者控除38万円=270万円となり、270万円×10%-97,500円=172,500円を所得税として納めることになるでしょう。

No.1191 配偶者控除|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月現在、著者調べ)

配偶者特別控除の壁

では妻Bさんが年収110万円となり配偶者控除を外れたらどうなるでしょう。実は妻Bさんの年収が103万円を超えても控除される金額があるんです。それが【配偶者特別控除】と呼ばれるもの。夫が1,000万円以下の所得の場合、妻の1年間の所得が38万円~76万円未満であれば利用できる控除なんです。

所得が38万円というのは38万円+【給与所得控除額】65万円=103万円ですね。そして所得が76万円というのは76万円+65万円=141万円。したがってこの壁を<141万円の壁>と言うことがあるんです。

この配偶者特別控除は、配偶者控除とは異なり、所得額によって控除額が変動します。

・38万円~40万円未満では控除額38万円
・40万円以上45万円未満では控除額36万円

・75万円以上76万円未満では控除額3万円
・76万円以上で控除額0円

とされています。 実は399,000円であっても控除額が38万円なんです。また76万円未満であれば3万円までは控除されることになっているようです。

例えば妻の年収が140万円の場合、140万円-65万円=75万円の所得になりますね。したがって夫の所得から「配偶者特別控除」として3万円を引いて計算できることになるでしょう。すると、500万円-154万円-3万円=343万円ですので、343万円×20%-427,500円=258,500円という計算になりますね。

No.1195 配偶者特別控除|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月現在、著者調べ)

手元に残る額は?

では一体どの金額で働いたらいくらの納税額になるのか、いったんまとめてみることにしましょう!

こちらでも、年収500万円の夫・妻の家庭で考えていきます。また、所得税には復興特別所得税を入れずに考え、住民税の非課税限度額が28万の地域に住んでいることとします。さらにこの家庭には給料以外の所得はないものとし、配偶者控除・配偶者特別控除などの条件にもすべて当てはまっていることとします。

妻が月7万円・年収84万円稼ぐ場合

●夫

年収500万円-基礎控除38万円-給料所得控除154万円-配偶者控除38万円=270万円に所得税率がかかるので、所得税は172,500円。住民税は282,500円。

●妻

年収84万円-給料所得控除65万円=19万円なので住民税の非課税限度額以下。したがって住民税・所得税0円(地域にもよります。)

●世帯

2人の年収584万円-所得税172,500円-住民税282,500円=5,385,000円が残るでしょう。

妻が月8万円・年収96万円稼ぐ場合

●夫

年収500万円-基礎控除38万円-給料所得控除154万円-配偶者控除38万円=270万円に所得税率がかかるので、所得税は172,500円。住民税は282,500円。

●妻

年収96万円-給料所得控除65万円=31万円なので住民税の非課税限度額以上。したがって所得税は0円・住民税は5000円(地域にもよります。)

●世帯

2人の年収596万円-所得税172,500円-住民税287,500円=5,500,000円が残るでしょう。 7年収584万円-所得税172,500円-住民税282,500円=5,385,000円

妻が月9万円・年収108万円稼ぐ場合

●夫

年収500万円-基礎控除38万円-給料所得控除154万円-配偶者特別控除36万円=272万円に所得税率がかかるので、所得税は174,500円。住民税は282,500円。

●妻

年収108万円-給料所得控除65万円=43万円なので所得税・住民税の非課税限度額以上。したがって所得税は2,500円・住民税は12,500円(地域にもよります。)

●世帯

2人の年収608万円-所得税177,000円-住民税295,000円=5,608,000円が残るでしょう。

妻が月10万円・年収120万円稼ぐ場合

●夫

年収500万円-基礎控除38万円-給料所得控除154万円-配偶者特別控除21万円=287万円に所得税率がかかるので、所得税は189,500円。住民税は294,500円。

●妻

年収120万円-給料所得控除65万円=55万円なので所得税・住民税の非課税限度額以上。したがって所得税は8,500円・住民税は24,500円(地域にもよります。)

●世帯

2人の年収620万円-所得税198,000円-住民税319,000円=5,683,000円が残るでしょう。

妻が月11万円・年収132万円稼ぐ場合

●夫

年収500万円-基礎控除38万円-給料所得控除154万円-配偶者特別控除11万円=297万円に所得税率がかかるので、所得税は199,500円。住民税は304,500円。

●妻

年収132万円-給料所得控除65万円=67万円なので所得税・住民税の非課税限度額以上。したがって所得税は14,500円・住民税は36,500円(地域にもよります。)

●世帯

2人の年収632万円-所得税214,000円-住民税341,000円=5,765,000円が残るでしょう。

妻が月12万円・年収144万円稼ぐ場合

●夫

年収500万円-基礎控除38万円-給料所得控除154万円=308万円に所得税率がかかるので、所得税は210,500円。住民税は315,500円。

●妻

年収144万円-給料所得控除65万円=79万円なので所得税・住民税の非課税限度額以上。したがって所得税は20,500円・住民税は48,500円(地域にもよります。)

●世帯

2人の年収644万円-所得税231,000円-住民税364,000円=5,845,000円が残るでしょう。

妻が月13万円・年収156万円稼ぐ場合

●夫

年収500万円-基礎控除38万円-給料所得控除154万円=308万円に所得税率がかかるので、所得税は210,500円。住民税は315,500円。

●妻

年収156万円-給料所得控除65万円=91万円なので所得税・住民税の非課税限度額以上。したがって所得税は26,500円・住民税は60,500円(地域にもよります。)

●世帯

2人の年収656万円-所得税237,000円-住民税380,500円=5,942,500円が残るでしょう。

妻が月14万円・年収168万円稼ぐ場合

●夫

年収500万円-基礎控除38万円-給料所得控除154万円=308万円に所得税率がかかるので、所得税は210,500円。住民税は315,500円。

●妻

年収168万円-給料所得控除672,000円=1,008,000円と、給料所得控除額が変わりました!所得税は31,400円・住民税は70,200円です。(地域にもよります。)

●世帯

2人の年収668万円-所得税241,900円-住民税385,700円=6,052,400円が残るでしょう。

働いた分は手元に残る!

「妻の年収が141万以上=所得76万円以上」を超えると配偶者特別控除が無くなるため、その後は夫の所得税・住民税は変化はありませんでした。

妻の年収は、所得税・住民税を払うことになっても残る金額は少なくなることはないでしょう。

つまり【税金の扶養】の面で考えるのであれば、稼いだ分はきちんと世帯収入が増えるので、稼げるだけ稼ぐことをおすすめします!

働くほど手取りが減る!?

注意したいのが【社会保険の壁】です。社会保険の壁を超えるか超えないかで、手取り額がガクッと変わることがあるんです!

しかし手取りが減っても<メリット>ももちろんあるんですよ。まずは、社会保険の壁から説明しましょうね。

また、今回は夫が会社の社会保険に加入し、国民年金の【第2号被保険者】である場合について説明をしていきます!夫婦が国民健康保険の場合には、少し変わってきますので注意してくださいね。

社会保険の壁

妻が年収120万円の場合、夫が会社の社会保険に加入している場合には妻はその扶養となることができるとされています。つまり、夫の会社の医療保険に加入する<被扶養者>です。また、国民年金の【第3号被保険者】にもなることができるとされています。

この妻は、医療保険料や国民年金保険料を支払う必要はありません。したがって年収120万円から所得税8,500円・住民税24,500円を引いた1,167,000円は手取りとしてもらうことができるでしょう。 では年収132万円の妻はどうでしょう。夫の会社の医療保険の扶養になるためには年間130万未満であるということが記されています。すると、妻は医療保険の被扶養者になることはできません。また、国民年金の【第3号被保険者】は扶養されている人が対象のため、こちらも外されてしまうでしょう。

したがって、健康保険料や国民年金保険料を支払う必要がでてきます。妻が働く会社に厚生年金の仕組みがある場合には妻自身で厚生年金にも加入します。

厚生年金保険料が月8,500円・健康保険料が月6,000円だとすると月14,500円・年間174,000円が引かれますね。年収132万円の場合の所得税は14,500円・住民税は36,500円でしたので、すべて引くと1,095,000円が手取りとして残ることになり、年収120万円の時と比べると、72,000円が減ってしまうでしょう。

被扶養者とは? | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会(2015年12月現在、著者調べ)

106万円の壁も

また、厚生年金・健康保険の加入対象となる条件が「労働時間が週30時間以上」だったのに対し、2016年10月からは「週20時間以上・年収106万円以上・勤務期間1年以上・従業員501人以上の企業など」という条件に当てはまる場合、厚生年金・健康保険の加入対象に拡大するということが決まっているそう。

つまり年収106万円以上であり条件に当てはまる会社でパートなどしている妻は、自分で健康保険料・厚生年金保険料を支払う必要がでてくるというもの。

これまで130万円の壁を気にして働いてきた方にとって、この改正は自分の働き方を変える機会になりそうです。

短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大
参照元:厚生労働省(2015年12月現在、著者調べ)

いくら働けばいいの?

ではいくら働くと、働いた分手取りが増えるのか考えてみましょう!

年収156万円の場合、社会保険料は月約7,500円・厚生年金保険料は月約11,000円とします。すると年間222,000円UPです。所得税は26,500円・住民税は60,500円でしたので手取りとしては1,251,000円でしょう。

年収120万円での手取りが1,167,000円でしたので、なんとか上回ることになりましたね。一般的には妻の年収が160万円以上となると、世帯年収もUPし、手取りも増えると言われているそう。

扶養から外れてもメリットがある!

手取りが減るだけでメリットがなければ、みんな社会保険の壁まででしか働かなくなりそう。<社会保険の壁>を超えて働くメリットとして、一番大きいものが【将来厚生年金を受給できる】というものなんです!

夫が会社の社会保険に加入・妻が被扶養者だった場合

妻が社会保険の壁を超えることによって、妻の年収からは社会保険料・厚生年金保険料が引かれます。しかし、自分で厚生年金保険料も納めるようになると、「厚生年金」も受給できるようになるということです。もしも夫の社会保険の扶養のままでいると、将来もらえる年金は「基礎年金」のみだったので、将来の余裕が生まれるでしょう!

妻の働いている会社がもし社会保険のない会社であれば、夫の社会保険の扶養でいられなくなると、妻は国民健康保険・国民年金第1号被保険者となる場合があります。こうなると、保険料も高く厚生年金は受給できない状態となりますので、よく考えてみることをおすすめします。

夫も妻も国民健康保険に加入していた場合

夫が自営業者などで社会保険がない場合、妻も国民健康保険に加入し国民年金も支払っていたでしょう。しかし社会保険の壁以上に働くことで、自分で会社の社会保険に加入し、厚生年金を支払うことになりますね。

すると、これまでの保険料よりも少ない額・また同じような額にもかかわらず、将来は厚生年金も受給できるようになるでしょう。

また、さらに働くことで夫を扶養として、妻の社会保険に入れることもできるケースもあるそう!働き方がどんどん変わってきそうですね。

おわりに

いかがでしたか?

「現在の手取りが必要だから、社会保険の壁までにしておこうか」それとも「将来の年金のために、厚生年金に加入できるくらい働こうか」、また「控除なんて関係なく、好きな仕事だから思いっきり働こう!」だとか。妻の働き方は人それぞれ選ぶことができます。

たくさん働いたからって、結果的に不利になることはないでしょう。だからこそ、自分や家族のライフスタイルに合わせて、働いてみてはいかがですか?  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。
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