借金の連帯保証人とは?法律の義務や責任を、主婦の目線で解説

「絶対に迷惑をかけないから、保証人になってほしい」親しい友人や親戚からこのように言われたら、内心は不安になりながらも保証人になってしまいがちです。もし借金をした本人が借金を支払わなかったり、自己破産を申し立てをしたら…。想像以上に厳しい借金の連帯保証人の現実。その背負う責任や義務の重さを、しっかり確認しておきましょう。



保証人と借金の連帯保証人の確認

お金の貸し借りにしろ、身元保証にしろ、保証人が背負う義務と責任は、わたし達の想像をはるかに超えるほどに大きいものです。借金の連帯保証人を引き受けた人が「知らなかった」「こんなに大変なことだとは思わなかったので連帯保証人を降りたい」「請求を受けても支払いたくない」…などと言っても、日本の法律は甘くありません。

従って、万が一の時に備えて、自身の身近で1度は経験するかもしれない借金の連帯保証人の基礎知識をしっかり身につけて、現実に賢く対応をしたいものです。借金の連帯保証人とは何か?借金の連帯保証人は、どのような義務や責任を負うのか主婦目線で確認してみましょう。



そもそも保証人とは何?

債務整理の相談に見える方の中には、決してご自身の借金ではなく、家族や親戚そして知人などの保証人や連帯保証人になり、苦しみのどん底の状況で相談に来られることが多いでしょう。「絶対に迷惑をかけないから…」と、親心とも見えるごく普通の気持ちで借金の保証人や連帯保証人を引き受け、涙に暮れる多くの方々が、いかに多いことでしょうか…。

そもそも通常の保証人と連帯保証人はどこがどのように違うのでしょうか。保証人とは民法によれば、下記のように規定されているのです。

保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。

出典:

www.saisei-support.com
つまり、お金を借りた人が返せなかった場合に、その人の代わりに借金を肩代わりすることに同意した人を「保証人」というのです。本来、自分でお金を借りた本人が、自分でお金を返すのが筋ですから、どんなに苦しくても大変でも家を売るなどして、自分の借金は自分で返済するとの考えがベースになっています。

そして、どんなに頑張って努力しても返済できない場合に、保証人が借金の肩代わりをするのです。このため保証人には「催告の抗弁権」や「検索の抗弁権」といった権利が与えられているのです。

保証債務(民法第446条~第465条) | 再生支援センターからの最新情報
参照元:再生支援センター(2015年12月時点、著者調べ)

「催告の抗弁権」

例えば…債権者が主債務者の友人から請求せずに、いきなり保証人のあなたに対して債務を請求してきました。債権者に「あなたの友人に貸したお金を全額返済してほしい」と言われたとします。

この時、保証人のあなたは「えっ!私が最初ではないでしょう!借金をした本人からしっかり請求するのが筋でしょう!本人が破産したり、まだ行方不明になってはいないんだからっ!私からでなく本人から先に請求してくださいよ!」と言うことができます。専門的になりますが、これを法律では「催告の抗弁権」というのです。(民法452条)

「検索の抗弁権」

お金を貸した人(債権者)が借金をした知人に請求しても返済がなく、あなたに返済を求めてくる場合もあります。だけど普通に考えても人のお金など弁済したくもありませんね。

このとき保証人のあなたは「本人には借金を返済する資力がまだあります!財産や収入があることを証明するので、まず本人から取ってください!強制執行もできるではないですかっ!」などと言って、請求を頑なに拒否することもできます。また専門用語ですが、これを法律では「検索の抗弁権」といいます。(民法453条)

「分別の利益」

保証人が複数人いる場合、その保証人の数に応じて負担する額が減少する利益「分別の利益」というのがあります。借金の金額を頭数に応じて、平等の割合で分割した金額分しか負担しないということですね。

例えば、支払わなければならない借金が900万円で、保証人が3人いる場合、3人の保証人はそれぞれ300万円ずつしか責任を負わなくてよいことになります。「そんなこと当たり前でしょう!まったくう…」なんて思ってしまいますね。

しかし、借金の連帯保証人には…

借金の連帯保証人には「催告の抗弁権」も「検索の抗弁権」も「分別の利益」もありません!いったん借金の連帯保証人になると、借金をした人が完済し終わるまで、その責任はなくなりません。しかしそれ以上に、借金の連帯保証人は人生を、大切な家族を、もしくは命さえ奪ってしまう事もあるほど、その責任は重大なのです。

わたくし達女性は、借金の連帯保証人とは何かをしっかり確実に学んで、夫を家族を親戚を…そして自分自身を賢く守ってまいりたいものです。

保証でお困りなら  法テラス|法律を知る  相談窓口を知る  道しるべ
参照元:法テラス(2015年12月 著者調べ)

借金の連帯保証人とは

保証人には、単なる「保証人」と「連帯保証人」がありますが、通常、借金の保証人として債権者(貸金業者)から求められる保証人は「連帯保証人」のほうです。

この借金の連帯保証人を一言で言うならば、「お金を借りた本人(主債務者)と同じ責任を負う」ということになるでしょう。他人の借金であるにもかかわらず、自分が借りたかのごとく責任を追及される立場だということです。

借金の連帯保証人の「保証契約」は、債権者(お金を貸してくれた人)と借金の連帯保証人との間で取り交わされるものですから、保証人側の一方的な都合だけで解消することはできません。

借金の連帯保証人のことをよく知らずに、安易に契約書に署名捺印をするのは避けた方が良いでしょう。次に、Q&Aから実際の事例を紹介して連帯保証人についてさらに詳しく紹介していきましょう。

「催告の抗弁権」

窓口の相談で、実際にお受けした相談を例に取り上げながら、確認してまいりましょう。
【Q】
夫の大切な幼なじみの友人が、人気のある外車を購入するために、金融業者から900万円の借金をしました。その際に借金の連帯保証人が必要だということなので、夫は今でも大切な友人ということで、借金の連帯保証人を深く考えずに引き受けてしまったようです。

夫の友人は、夫と同じ会社に働いていて、ある程度の収入があるはずです。ご友人のお子さんも大きくなられたようです。私の家は、まだ幼稚園の子供がおります。教育費も大変だというのに…債権者からいきなり「あなたの友人に貸したお金を全額返して欲しい」と請求されてしまいました。先に夫の友人から請求するのが筋ではないですか。

【A】
いざ債権者から取り立てを受ける事態になると、借金の連帯保証人は「先に借りた本人に請求してください」と言いがちです。しかし、法律的には借金の連帯保証人がそんなことを言える権利は一切ありません。

借金の連帯保証人には「先に債務者の友人に請求してください!」と要求する権利がそもそもないのです。主債務者に支払い能力があろうとなかろうと、債権者への返済を怠れば、ただちに借金の連帯保証人に対し、全額一括で支払え!と請求できることが法律で認められているのです。これが、「催告の抗弁権がない」ということなのです。

「検索の抗弁権」がありません。

債務者には返済する資力(財産など)があるにもかかわらず、真っ先に借金の連帯保証人である夫に請求が来たとしても、「債務者には、まだ弁済する資力や財産があるはずです!債務者本人の財産をもっともっと調べてください!」などと、借金の連帯保証人が要求する権利がありません。

いったん債務者の夫の友人の支払いが溜ったりすると、すぐに借金の連帯保証人である夫に残りの債務全額の履行責任が発生してしまうのです。実に「まったなし!」なのです。

夫の妻であるあなたが…いいえ借金の連帯保証人である夫が、どんなに大泣きして懇願しても、法律は情けを必要としません。借金の連帯保証人には要求する権利が、そもそも無いのですから…。これが「検索の抗弁権がない」ということですね。

「分別の利益」がありません。

【Q】
借金の連帯保証人は夫の他に3人いて、夫は3番目の借金の連帯保証人だということです。そうすると、いざという時も、夫の保証義務も3番目に発生するのでしょうか。また、友人が返済できなくなった時の割合も、1/3ずつということになるのでしょうか。そして支払い金額も3等分になるのでしょうか。

【A】
複数の連帯保証人がいた場合に、支払い義務履行の順位・順番といったものは、一切ありません。債権者から請求を受けたら、借金の連帯保証人は、誰もが債務の全額を払わなければならないのです。債権者は、借金の連帯保証人の誰にでも全額を請求できてしまうのです。

つまり、夫、Aさん、Bさんの3人が借金の連帯保証人の場合、債権者のXさんが夫を指定して「返済せよ」と請求すると、夫は900万円全額を支払わなければならないのです。3番目に借金の連帯保証人になった夫は附に落ちないでしょう。

借金の連帯保証人は、この請求を拒否することはできません。債権者との関係では、夫だけでなく他AさんBさんの2人も、それぞれが友人の900万円全額を保証したことになります。

また、友人が外車を購入するために借りた900万円の債務に対して3人の借金の連帯保証人がいる場合、各保証人が保証する額は、1/3の300万円ではなく、それぞれが900万円の全額を負うことになるのです。債権者に対して1/3の300万円だけを払うことを主張することはできないのです。

このように、借金の連帯保証人には「分別の利益」というものはありません。複数名いる借金の連帯保証人でも、債権者は一番取りやすそうな一人に借金を肩代わりさせることもできます。

また、3人のうちの誰か1人が900万円を支払わされたとしても文句は言えません。ただ、債務者に代わって債務の支払いを済ませた借金の連帯保証人の夫は、特別な取り決めがない限り、他の借金の連帯保証人の2名に各自の分担額を平等に請求できます。

保証した金額が900万円ですので、300万円ずつということですね。ただ、実際に戻ってくるかはわかりません。このように、借金の連帯保証人には、通常の保証に見られた「催告の抗弁権や「検索の抗弁権」といった補充性は認められず、「分別の利益」も認められません。

「根保証」とは?

【Q】
とても世話になった夫の長年の友人が、会社から独立して事業を始めるとのことです。その際、銀行から事業資金の融資を受けるので保証人になってほしいと頼まれて、夫はこれを引き受けようとしています。友人から送られたその書類は「根保証契約」というものでした。

根保証というのは始めて聞いたので、どのようなものかわかりません。夫が署名する前に、不安になって私は(待った!)をかけました。「根保証」とは何でしょう。

【A】
例えば…極度額1,000万円の根保証をすると、たとえ主債務者の友人が最初は100万円しか借りていなくても、その後に追加で900万円借り入れをすると、根保証人は全体の1,000万円について責任を負うことになるのです。

主債務者が最初に借りた100万円を返済しても、借金の連帯保証人の保証後にまた別の借り入れを行っていればその債務についても保証責任を負うことになるのです。このように、「根保証」とは、将来的に何回も何十回も発生する債務について保証することなのです。

「根保証」は慎重な判断を

「根保証」の保証人は非常に責任が重くなることから、本人の債務を保証する時期の制限や責任を負う額(極度額)を決めたりすることも行われますが、多くは無期限に無限の責任を背負うことになります。これを保証人が引き受けると、とても大きな危険を伴うことになるかもしれません。

クレジットカードの根保証などは、保証期間や金額の限度(例えば何回借りても合計50万円)とかを定めた根保証契約などもありますが、いずれにしても根保証の契約をする時は、慎重な対応が必要です。債権者からみれば、借りた本人に信用がないからこそ保証人をつける事が多いようです。

根保証をしたことにより、あとで泣き寝入りをしないためには、根保証をした以上、自分が借りている!という強い認識を持たないとなりません。また、極度額が定まっているならば、極度額まで自分が支払うという覚悟が必要でしょう。

根保証と包括根保証 | 連帯保証人徹底ガイド
参照元:CLSマネジメント(2015年12月 著者調べ)

根保証制度の悪用で大問題

この根保証制度を商工ローンが悪用し、過去に大問題となりました。例えば主債務者が当初300万円の借り入れをする際に、借金の連帯保証人に300万円の連帯保証であるかのように思わせておいて、実際には極度額1,000万円の根保証契約書にサインさせ、あとから主債務者に700万円を追加融資しました。

主債務者が返済に行き詰まると、突然、1,000万円に高利を乗せて根保証人に一括請求するというやり方でした。商工ローンは、主債務者がいずれ倒産することを見越して、最初から根保証人に取り立てをかける目的で主債務者に貸すのです。

そのため、根保証人には、大企業のサラリーマンや公務員など、堅い職場に勤めている社会的地位が高い人を要求します。そのような人々は、「会社や給料を差し押さえるぞ」などと脅かされると、無理してでも一括で返済してくると見透かしていようです。

このような商工ローンが社会的に大問題になり、法律が改正されて、追加融資の度に根保証人にそのことを通知するという制度ができました。しかし、通知されたところで、追加融資が実行されれば、結局は根保証人が全責任を負うことに変わりはないでしょう。

根保証は、このようにリスクが高い制度といえるでしょう。根保証について、十分な説明を受けないまま、普通の借金の連帯保証人だと思って契約してしまった場合に、根保証人に残された道は、弁護士を立てて債権者と徹底的に対決することしかないかもしれません。しかし裁判になれば、契約書にサインしてしまった以上、大変厳しい立場になるでしょう。



借金の連帯保証人はメリットなし

借金の連帯保証人が必要になるのは、家や車などの大きな買い物をする時や、開業資金やマンションの賃貸借契約・そして子供の教育費用など…生活に大きな変化がある時に多いようです。

どんな人にも訪れる人生の節目ごとに、大きなお金が必要になり、そして借金の連帯保証人が必要になってくるでしょう。しかし、借金の連帯保証人になる人の側には、何の利益もメリットもありません。後で「こんなハズじゃなかった…」と後悔の嵐になる前に、返済期間や金額のチェックなど、必要最低限の確認が大切だとおもいます。

借金の連帯保証人の支払い不能

返済できなくなった主債務者の代わりに、借金の連帯保証人をして支払うことになりましたが、それがあまりにも巨額でとても返済できない時、どうすればよいのでしょうか。

借金の連帯保証人になってしまった以上は、法的に責任があるため、支払う他ないのですが、自分ではどうすることもできない場合は、自分自身の借金の場合と同じように「任意整理」や「自己破産」という債務整理をしなければならない事態になります。

そんな時は、一刻も早く弁護士に相談しましょう。多くの方は、どんな弁護士に相談すればよいかわからない方も多いため、先ずは全国各地にある弁護士会や、国が設立した法的トラブル解決の「法テラス」に相談することをお勧めします。法テラスは全国に110カ所あります。あなたのお住まいの近くにもあるかもしれないので確認すると良いでしょう。

法テラス|法律を知る 相談窓口を知る 道しるべ
参照元:法テラス(2015年12月 著者調べ)

最後に…

いかがでしたか。借金の連帯保証人の現実は、大変責任が思いことがお分かりになったでしょうか。もしも連帯保証人を頼まれる機会があった際は、その借金の額を返済することを前提として、慎重に検討することをお勧めします。