【相続税の計算方法】コツが分かれば私にもできる!

相続税の計算が出来て実際に自分がこのぐらい払わなければならない、とわかっていればいざとなった時にバタバタと慌てずに済みますよね。だからといって専門家に相談するのもなかなか時間もお金もないという場合は自分で確認出来る方法があるのです。慌てずにゆっくり一緒に計算をしてみましょう。



まず初めに相続財産を集めよう

まず相続税の計算を始める前に自分は相続税がかかるのかかからないかを判断する必要があります。遺産にはお金や土地だけではなく、借金やローンなどもあります。

相続税の対象となる財産を探してみましょう

プラスの財産、みなし相続財産、3年以内の贈与、相続時精算課税制度の対象となる財産の合計から、マイナスの財産、葬儀費用、非課税財産を引くことで計算ができます。プラスの財産は金融資産(現金、預貯金その他有価証券などを含みます)、不動産(家屋、宅地、借地権)、その他貴金属や宝石、絵画、ゴルフ会員権なども含まれます。

マイナスの財産には住宅ローンなどの借入金やクレジットカードの未払い、そして通常の通夜、葬儀に支払った葬式費用が含まれます。

基礎控除額を算出してみましょう

相続税の対象となる財産の金額が出せたら、そこから「基礎控除額」を差し引きます。この基礎控除額の金額は平成27年1月の税制改正によって減額されたので、注意が必要になります。これまで相続税とは関係なかった人も相続税の対象となる可能性が出てくるかもしれません。

現在の基礎控除の金額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。
・配偶者一人子供1人、計相続人が2人の場合は4,200万円
・配偶者一人子供2人、計相続人が3人の場合は4,800万円
・配偶者一人子供3人、計相続人が4人の場合は4,800万円
という計算になります。合計金額が基礎控除額になるわけです。

No.4152 相続税の計算|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月時点著者調べ)

相続税がかかるのか計算してみましょう

先ほど算出した相続財産と基礎控除額で計算します。

・例えば相続財産が8,000万円、相続人が3人の場合は基礎控除が4,800万円なので課税遺産の総額は3,200万になります。
・例えば相続財産が4,800万円、相続人が3人の場合は基礎控除が4,800万円なので課税遺産総額は0円になるので相続税はかかりません。
・例えば相続財産が3,000万円、相続人が3人の場合は基礎控除が4,800万円なので課税遺産総額はマイナスとなり、相続税はかかりません。

つまりそれぞれのお家の相続財産と相続人の数によって計算される基礎控除額がポイントになってきます。こちらは相続人が3人の場合で相続財産のパターンを3つほど紹介しましたが、相続人が増えれば基礎控除額も増えるので相続財産がもっと多くても相続税がかからないケースもあります。

こちらでは実際の計算方法を示しましたが、国税庁のHPでは父母や兄弟についての質問と、財産と負債について金額を入力するだけで、申告がいるかいらないかの判定が出来るチェックシートもあります。複雑な場合や自分で出した式を確かめたい方にはおすすめです。

相続税の申告要否の簡易判定シート
参照元:国税庁(2015年12月時点著者調べ)

相続財産がマイナスの場合

この時にマイナスの財産が多かった場合、もちろん相続税はかかりません。相続はプラスだけでなくマイナスの財産も受け継ぐものですが、このマイナスが大きい場合には相続の放棄や限定承認という方法もあります。

相続放棄というのは、その名の通り一切の相続を放棄してプラスの財産も受け取らない代わりにマイナスの財産も引き継がないという方法です。相続放棄をするためには相続の開始があったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所に「相続放棄申述書」などを提出します。一度相続放棄をした場合には取り消すことができません。

もう一つの方法として限定承認があります。プラスの財産の範囲の中でマイナスの財産を引き継ぐごとを前提に相続する方法です。この時点でマイナスの財産がどのくらいあるのかわからない場合はこちらの選択をするのがいいかもしれません。

もしマイナスの財産が多い場合は超過分を払わなくて済みますし、プラスの財産が多い場合は受け取ることができます。こちらも相続の開始があった日から3か月以内に家庭裁判所に「限定承認申立書」などの提出が必要になってきます。



相続税がかかる場合はこちらに進みます

相続税の計算方法

遺産の総額と基礎控除額の計算をしてプラスになった方は相続税がかかるので相続税額の計算に進みましょう。相続税の計算はまず各相続人が法定相続分を受け取ったものとして、課税遺産の総額に法定相続割合を掛けて相続人一人一人の遺産の取得金額を出します。次に各相続人の取得金額に相続税の税率を掛け、相続人ごとの相続税を出します。

法定相続人の取得金額
・法定相続人の取得金額1,000万円以下/税率10%/控除額0円
・2,000万円以下/15%/50万円
・5,000万円以下/20%/200万円
・1億円以下/30%/700万円
・2億円以下/40%/1,700万円
・3億円以下/45%/2,700万円
・6億円以下/50%/4,200万円
・6億円超/55%/7,200万円

この相続税の早見表を使うと、取得価格ごとの税率と控除額がわかるので相続税を計算することができます。各相続人ごとに相続税を計算したら、全部を合計します。これが相続にかかる「相続税の総額」になります。

No.4155 相続税の税率|相続税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月時点著者調べ)

実際のケースで相続税を計算しよう

相続財産が8,000万円、債務葬式費用が1,200万円の場合

今回の場合、妻1人、子供が2人いた場合のケースです。相続財産が8,000万円、債務・葬式費用が1,200万円で債務と葬式費用を配偶者が相続することにします。実際には8,000万円のうち、妻が5,000万円、子二人に1,500万円ずつ相続したと考えた場合です。

相続財産8,000万円-債務費用1,200万円=6,800万円基礎控除は3,000万円+600万×3で4,800万円ということは相続税がかかるケースになります。課税価格の合計額6,800万円から基礎控除額4,800円を引くと2,000万円が課税遺産総額になります。

妻の法定相続割合は2分の1ですので取得金額は1,000万円となりなす。表を使って1,000万円以下の税率と控除額で計算します。1,000万円以下の税率の場合は10%なので相続税額は1,000万円×0.1%で100万円となります。

子供の法定相続割合は4分の1ですので、取得金額は500万円です。表を見るとこちらも10%の税率なので500万円×10%で50万円となります。もう一人も同じ計算になります。最後に全員分の相続税額を合わせます。妻の100万円+子供50万円+子供50万円=200万円が相続税の総額です。

相続税のあらまし
参照元:国税庁(2015年12月時点著者調べ)



このままの額を実際におさめる?!

相続税の総額が決まったら、次にすること

相続税の総額とは遺産を受け取る人たち全員で分担して支払うものですので、各相続人の支払わなければならない税額を決めます。そこで相続税の総額に実際の取得割合を掛けて、各相続人の支払う相続税を計算します。

まず各相続人が実際に受け取った金額が課税遺産総額の何パーセントにあたるのか計算します。そして相続税の総額にこの割合を掛けて各相続人の納税額が出ます。つまり取得割合が50%なら、相続税の総額の50%を負担する事になります。20%しか受け取らなかったら相続税の負担も20%になるのです。

相続税の総額から実際に納税する金額を計算する

先ほどの計算した相続税の総額を例に見てみましょう。それぞれの取得割合は先ほどの前提条件で妻が5,000万円-債務費用が1,200万円で3,800万円、子供が一人ずつ、1,500万円になっていました。

つまり3,800万円÷6,800万円×100で55,9%、子供たちは1,500万円÷6,800万円×100で22.05%になります。相続税の総額が200万円でしたので妻の税額は200万円×55.9%で111,8万円、子供たちの税額は200万円×22.05%で44,1万円となります。

最後は税額控除の額を差し引きします

各相続人の総勢税額ですが、妻は112万円で子供たちはそれぞれ44万円になったところで最後は税額控除を適用させていきます。まず配偶者が相続人の場合は「配偶者の税額軽減」が受けられます。これは配偶者のみに適用されるもので、相続財産の課税の負担を軽減する目的で作られています。この配偶者の税額軽減の金額は非常に大きく、実際に取得した遺産が1億6,000万円と法定相続分のいずれか大きい金額以下なら税額は0になります。

先ほどの例で言えば妻の取得した遺産は3,800万円なので配偶者の税額軽減の範囲内になるので相続税を払わなくてよくなります。この配偶者の税額軽減の特例を使うには相続税の申告書を提出する必要がありますので、たとえゼロになって払わなくてよくなっても申告書は出すようにしましょう。今回の計算では子供二人がそれぞれ44万円を相続税として納めることになります。

その他相続人が未成年や障害者の場合にも控除があります。相続人が未成年者の時、その未成年者が満20歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した額を控除できる制度です。相続人が障害者の場合はその障害者が85歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した額を控除するというもので、特別障害者の場合は20万円という例もあります。

No.4158 配偶者の税額の軽減|贈与税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月時点著者調べ)

No.4164 未成年者の税額控除|相続税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月時点著者調べ)

No.4167 障害者の税額控除|相続税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月時点著者調べ)

相続税の計算方法が難しい人は

今回計算方法が難しくてわからないという方のために、一つの計算例で順番に計算してみました。計算方法や金額、相続人などが複雑で自分で計算したものが本当にあっているかどうか気になるところですよね。実際に銀行のHPなどではシミュレーションができるものもありますので、一度計算してみるのもいいかもしれません。

実際に相続税の申告はすべての資料を集めて税務署に行けばできる手続きです。ただ今回の相続税の申告一つとってもマイナスの遺産があった場合は3か月以内に相続放棄または限定承認をしなければならないなどスケジュールはかなり厳しいです。集める資料もたくさんあって、同居していた家族ならともかく別々に暮らしていてさらに日中仕事をしている人にとっては両立が難しいのも現状です。

相続に関しては税理士に相談するのがもちろん一番良いでしょう。普段生活しているとなかなか税理士の情報は集まってこないですよね、インターネットで検索すると山のように税理士事務所が出てきます。この中から自分にあった税理士を一人選ぶのはなかなか難しいですよね。

料金はどうなるのかどこまでの相談を引き受けてくれるのかわからないことだらけです。一人で決めようとする前に、税に関する無料相談を利用する、その他周りの人に口コミで聞いてみるのも良い方法かもしれません。

相続税シミュレーション|群馬銀行
参照元:群馬銀行(2015年12月時点著者調べ)

相続税・贈与税・事業承継税制関連情報|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月時点著者調べ)

まとめ

相続人は相続開始から10か月以内に納税、申告しなければなりません。もちろん今回のケースのように妻である配偶者が払う税金がゼロだったとしても相続税の申告は必要になっていきます。まずはすべての財産や負債を調べなくてはなりませんよね。

亡くなってバタバタしてしまいあっという間にお葬式をいろいろな手続きをしている間に時間は過ぎていくものですので、事前に財産や負債を把握してシミュレーションをしていることによって、心の準備ができることもあります。相続税の計算の基本的な仕方を知っておくことで、いざというときに困らずに済むかもしれません。

もちろん土地や建物に関しての評価などは個人で考えても難しいケースだと思います。さらに、計算通りにやっても間違うこともあるかもしれません。その時はやはり税の専門家に相談して、アドバイスを受けることをお勧めします。

相続対策は出来るだけ早めに、そして相続人ももちろんのこと家族みなさんで準備を進めていくのが一番の方法だと思います。 ※本記事の情報は、一般的または筆者個人の調査によるものです。法令などの改正、前提事実や個人状況の違いや変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。 従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。