代襲相続が兄弟にも認められる件について|原因や要件のポイント

代襲相続が兄弟にも認められる条件や、要件はどのような時なのでしょうか。他に相続人がいるから関係ない、と思っていると、思わぬところで相続する権利が回ってくる場合があります。しかし、兄弟の中に亡くなっている人がいる場合は、どうなるのか良く分からない。今回は、兄弟が相続人になった際に関係してくる問題についてご紹介します。



相続について

相続とは

代襲相続と兄弟の関係を知るには、相続とはいったい何なのかを知ることが必要です。まずは、基本的なことからご紹介しましょう。

■相続とは
民法第882条に規定がありますように、誰かが亡くなれば「相続」が始まります。相続が始まりますと、亡くなった人の持っている一切の財産や、権利を受け継ぐ人が必要となります。その一切の財産や権利を受け継がなければならない人のことを「相続人」といいます。

そして「相続人」は「被相続人」といい亡くなった人の財産や権利を責任もって管理や処分をする義務が生じます。相続は、被相続人(亡くなった人)の住所において行わなければなりません。このように、被相続人の最後の後始末をすることを「相続」といいます。

民法
参照元:法務省(2015年12月、著者調べ)

誰が相続人となるのか

では、被相続人(亡くなった人)の財産や、一切の権利を受け継がなければならない「相続人」は誰がなるのでしょうか。民法第886条から第890条に規定がありますが、通常は以下の人が「相続人」となります。

配偶者
被相続人の夫や妻は常に相続人となります。

第一順位
直系卑属
子、子が死亡していれば孫がいれば孫が相続人となります。養子でもなれます。胎児も生きて生まれれば相続人です。婚姻関係にない間の子も認知を受けていれば相続人になります。

第二順位
直系尊属
第1順位の相続人がいない場合は、父母、祖父母などの直系尊属です。実父母も養父母も相続人になります。父母が死亡している場合は、祖父母がいれば、祖父母が相続人となります。

第三順位
兄弟姉妹
第2順位もいない場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。兄弟姉妹が亡くなっていれば、その子(甥や姪)が相続人となります。

※ 孫や甥や姪が相続人に代わって相続人なることがありますが、これを「代襲相続」といいます。

※法律上の夫・妻や子でないと相続人にはなれません。たとえば、内縁の妻や夫、認知されていない非嫡出子などです。

出典:

www.fi-houmu.com
以上が、民法で規定されている相続人です。全て、家族や、近親者ということがいえます。しかし、近親者の中でも、叔父や叔母は相続人になることは、民法上ではありえません。

この他にも、被相続人(亡くなった人)が遺言書を遺している場合、そこに相続人として記名されている人も相続人となることができます。遺言書で相続人と記名されている人は、被相続人(亡くなった人)の親族に限らず、全くの他人でも相続人となります。例えば、被相続人の愛人や内縁関係者、何かしらお世話になった人や、どうしても相続人とさせたい人などを上げることができます。

相続人となれる人は、以上の人たちとなりますが、民法上の相続人よりも、遺言書に記名されている人が優先的に相続人となります。なお、民法上の相続人の全員が、被相続人(亡くなった人)の財産や一切の権利を相続するわけではありません。

財産や一切の権利を相続するには、順番というものがあります。

相続人となる順番

被相続人(亡くなった人)の財産や、一切の権利を相続するには、順位というものがありますが、このことは、民法第887条から第890条に規定があります。

・第1位は、被相続人の子
子が相続開始の前に既になくなっている場合は、子の子(被相続人から見ると、孫)は同順位です。仮に、その子も既に亡くなっている場合は、その子の子(被相続人から見れば、ひ孫)も同順位となって相続します。ちなみに、これらの人のことを直系卑属(ちょっけいひぞく)といいます。

・第2位は、被相続人の直系尊属
直系尊属とは、被相続人の親のことです。親は、相続の順位としては第2位となっています。もし、親が相続開始の前に、既に亡くなっている場合は、親の親(被相続人から見ると、祖父母)が同順位となります。また、その親も既に亡くなっている場合は、親の親(被相続人から見れば、曾祖父母)も同順位となって相続します。

・第3位は、被相続人の兄弟姉妹
仮に、兄弟姉妹で相続開始前に既に亡くなっている人がいる場合は、その兄弟姉妹の子(被相続人から見ると、甥や姪)が同順位で相続します。

・被相続人の配偶者は、順位というものはなく、必ず相続人となります。

このように、相続人となれる人には順位があり、第1位から第3位までの人たちが全員相続できるわけではありません。通常、相続順位1位の人がいれば、第2位や第3位の人は相続することはありません。第2位の人が相続人となるのは、第1位の人がいない場合で、第3位の人が相続人となるのは、第1位も第2位もいない場合となります。

法定相続分について

また、被相続人(亡くなった人)の財産や、一切の権利を相続するには、誰が相続人となるかで、財産を分割する割合が民法第900条に規定されており、この割合のことを「法定相続分」といいます。相続人となった人たちで山分けするということは、法律上はありません。

・相続人が、配偶者と子の場合は、各1/2ずつとなり、この場合は山分けになります。
・相続人が、配偶者と直系尊属(例えば親)の場合は、配偶者が2/3で直系尊属は1/3で分けます。
・相続人が、配偶者と兄弟姉妹の場合は、配偶者は3/4で兄弟姉妹は1/4で分けることになります。

仮に、相続人が配偶者しかいない場合は、配偶者が全部相続します。また、配偶者が既に亡くなっている場合は、相続順位の上位から全部相続することになります。順位第1位の人がいれば、第1位の人だけで相続し、第1位の人がいない場合は第2位の人が相続します。第1位も第2位もいない場合は、第3位の人が全部相続することになります。

もし、遺言書に、相続割合が書いてある場合は、遺言書が優先されることになりますので、必ずしも民法で規定されている割合で、分割しなければならないということはありません。



代襲相続と兄弟

代襲相続とは

代襲相続とは、相続人となった人が、何らかの事情で相続できなくなった場合に、他の人が代わりに相続することをいいます。民法第901条に規定がありますが、具体例までの定めはありませんが、相続順位にしたがって相続人が変わっていくことになります。

例えば、相続人が被相続人(亡くなった人)の子となる予定だったのが、相続開始の前に亡くなってしまった場合は、子の子、つまり孫が相続人になります。また、親が相続人になる予定だったのが、やはり相続開始の前に亡くなっている場合は、祖父母が相続人となります。同じように、兄弟姉妹が相続人になる予定だったのが、兄弟姉妹の誰かが亡くなっている場合は、その亡くなった人の子、つまり、甥や姪が代わりに相続人となります。

相続人の代わりに相続することを代襲相続といい、代襲相続人となる予定だったひとが、相続開始前に亡くなっている場合、代襲相続人の子や、祖父母の親、被相続人から見れば、孫や曾祖父母が代わりに相続することになります。この、代襲相続を代わりに相続することを「再代襲」といいます。

代襲相続の範囲

代襲相続が認められる相続人や、認められない相続人、および、代襲相続の制限のない相続人や制限のある相続人が、民法第901条に規定があります。簡単に、以下にご紹介しましょう。

■代襲相続が認められない相続人
・被相続人(亡くなった人)の配偶者
配偶者が相続開始前に亡くなっている場合、その代わりに配偶者の親や兄弟に代襲相続することができません。

・被相続人の直系尊属(例えば親)
親が既に亡くなっている場合は、親の親、つまり祖父母が相続することができ、祖父母が亡くなっている場合は曾祖父母が相続することができますが、この相続する権利が移動することは、代襲とはいいません。単に相続人が代わっただけとなりますので、代襲相続というのはありません。

・遺言書によって相続人となった人
民法上で認められている相続人以外の人には、代襲相続する権利はありません。

■代襲相続が認められる相続人
・被相続人の子
子が既に亡くなっている場合は、孫が代襲相続することができ、孫が既に亡くなっている場合は、ひ孫が再代襲することができます。このように、被相続人の直系卑属は、生存している限りどこまでも再代襲することができます。

・被相続人の兄弟姉妹
相続人が兄弟姉妹の場合で、その中で既に亡くなっている兄弟姉妹の子、つまり甥や姪が相続人となることは代襲相続といいますが、甥や姪が既に亡くなっている場合、その子たちに再代襲をさせることはできません。よって、兄弟姉妹には代襲相続は認められていますが、甥や姪には認められておらず、相続する権利は、ここまでということになります。

代襲相続が兄弟に及ぶこと

相続人の死亡

前述の通り、相続人となる予定の人が、相続開始の前に既に亡くなっている場合、代襲相続が発生する要件のひとつとなります。相続人の生存がはっきりしている場合は、代襲相続は発生しないことになります。

また、相続放棄した相続人にも代襲相続は発生しません。民法第939条に規定があり、相続放棄をした相続人は、そもそも相続人でなくなります。法律上は「そもそもいなかった人」の扱いになるからです。

相続人の欠格

相続人であっても、その権利を失う場合があります。このことを「相続人の欠格」といいます。相続人が以下の理由で相続する権利を失った場合は、代襲相続が発生することになります。

・自分が相続人になりたくて、被相続人(存命中)を殺害したり、毒などを盛って殺害しようとした場合や、相続順位を上げる目的で、相続順位の上位の人を殺害したり、殺害しようとして逮捕され刑に処せられた場合
・被相続人(存命中)が殺害されたことを知っていながら、警察などに通報しなかった場合
・被相続人(存命中)を脅迫したり騙したりして、遺言書を取り上げたり、書き換えそうとした場合
・被相続人(存命中)を脅迫したり、騙すなどをして、遺言書を書かせたり、書き換えさせようとした場合
・遺言書を偽造したり捨てたり、または破ったりした場合

以上の行為を行った相続人は、相続する権利を失い、代襲相続をすることになります。このことは民法第891条に規定されています。

相続人の排除

被相続人(存命中)を虐待したり、重大な侮辱を与えるなどの非行を行ったりした場合は、その相続人を相続人の中から外すことができます。ただし、被相続人(存命中)が、心の中で思っているだけでは、その効力は発生しません。また、その相続人を排除することを、親族などに話すなどをしても、効果がありません。

相続人から相続する権利を奪うには、家庭裁判所に申請し、認めてもらって初めて、相続する権利を奪うことができるようになります。

なた、被相続人が亡くなってからも、相続人の排除をすることができます。それは、相続させない旨を遺言書に書き残すことです。遺言書の効力は民法上において、かなり強力な権力を持っていますので、被相続人が存命中に、自分の意志をはっきり表明すれば、その相続人を排除することができます。

ただし、この場合も、相続人の代表が、遺言書をもって家庭裁判所に請求する必要があります。家庭裁判所に認めてもらうことで、排除することができようになります。

このように、相続人を排除することができた場合は、代襲相続が発生する要件になります。これらのことは、民法第892条、第893条に規定があります。

代襲相続が兄弟に発生する要件

代襲相続が、兄弟姉妹に発生するには、相続の権利が兄弟姉妹まで来ないと、そもそも代襲することができません。兄弟姉妹の相続順位は第3位となっていますので、順位第1位も第2位も相続開始前に既に亡くなっており、他に相続者がいない場合になります。ただし、遺言書に、兄弟姉妹に相続させる旨が書いてあった場合はその限りではありません。

また、兄弟姉妹には遺留分がありませんので、遺言書に、兄弟姉妹には相続させない旨が書いてあった場合は、例え、相続人が他にいない場合でも、相続人にはなることができないといえます。

遺留分とは、被相続人(亡くなった人)が、遺言書に、財産の分割に対しての指示があった場合において、それを不服とし、家庭裁判所に申し立てることにより、財産を取り戻すことができる権利と、その財産の取り分のことです。

遺留分が認められているのは、相続順位でいえば、第2位までとなっていますので、第3位である兄弟姉妹には認められていません。このことは民法第1028条に規定されています。

よって、相続の権利が、兄弟姉妹にまで及ぶためには、さまざまな要件をクリアする必要があり、なかなか難しいといえるでしょう。また、兄弟姉妹に相続の権利が回ってきた場合も、代襲相続か認められるのは、兄弟姉妹の子、つまり、甥や姪までとなっていますので、甥や姪がいない場合は、その亡くなった兄弟姉妹は相続人から外されることになるでしょう。



まとめ

いかがでしたでしょうか。兄弟姉妹の代襲相続は、意外と範囲が狭いといえます。しかし、少子化の問題などから、今後、相続順位の第3位まで、相続する権利が回ってくる可能性もあるでしょう。何かと相続に関しては、相続人同士での争いが多いと聞きます。そのような争いに発展しないようにするためには、被相続人が存命中に遺言書に、相続の割合や、相続人を指定したりすることが重要だといえるでしょう。

※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。