意外に〈相続の資格〉は色々あった!取得するならこの資格

相続の資格に興味がある。何か資格に挑戦してみたい。ちらっと確認しただけでも相続に関する資格はかなりたくさんあります。どの資格でどんなことができるの?どれを取ればいいの?お悩みのあなたに代表的な資格とそれぞれの資格でできることをご説明します。



<相続の資格>取得するなら?

相続に関する資格は、広い目で見ればたくさんあります。相続は誰かの死によって起こることですから、人の死に関わる資格は全て「相続の資格」とも言えます。

体調を崩して病院に入院しそのまま亡くなる方も多いでしょうから、そう考えれば医師の資格や看護師の資格も相続の資格と言えることになります。しかし、そこまで相続を広く考えてしまうと、風が吹けば桶屋が儲かるという昔の言葉通りになってしまうでしょう。

相続の手続きに関わる資格の中でなら果たしてどれに挑戦するべき?それぞれの資格でどんなことができるの?という面に的を絞って考えてみました。



相続の資格は大きく分けて2種類

相続手続きと言われて真っ先に思い浮かべるのは法律に関する資格かと思います。また、相続税が発生するケースがあることから税金に関する資格も考えられます。他には遺言や生活に関する資格も考えることができます。

個別の資格を考える前に、まずはざっくりと相続全体の資格を「国家資格」と「民間資格」に分類し考えてみましょう。全体の分類の中から特に相続手続きと関わりの深い資格をセレクトして個別にご紹介します。

国家資格

国家資格は国で定められた試験に合格することによって取得できる資格です。

全体的に難易度が高く、試験も一次試験だけで合格とはならず二次試験までパスして初めて資格を取得できるものや、受験に際して実務経験や特定の大学の学部を卒業していること、特定の教科の単位を取得していることが条件の場合もあります。

合格率は各資格によってまちまちですが、低い資格で数パーセント、つまり百人受験しても数人程度しか合格できない資格もあります。資格試験の問題もそれぞれの資格に必要な専門知識を問う非常に難易度の高いものが出題されるのも国家資格の特徴です。また、独立開業のできる資格が多いことも国家資格の特徴かと思います。

国家資格試験の中でも相続と馴染み深いのは、

①弁護士
②司法書士
③行政書士

などです。

この他に、不動産関係を鑑定する場合や登記の中でも表題登記が関わる場合は「土地家屋調査士」が、特許や意匠権が相続対象になる場合は「弁理士」が相続に関わる場合もあります。相続税の相談でしたら専門はもちろん「税理士」になります。

それぞれの資格は法律や税金、不動産のエキスパートであり、国家資格の中でも非常に取得難易度が高い資格となっています。確かに独立開業を狙える専門的な資格ばかりですが、挑む場合は生半可な勉強では合格できないため気合を入れて挑む必要があります。

民間資格

民間資格とは、各団体がそれぞれ実施している資格試験です。

雑学や地方の歴史を問うものから専門的なものまで色々な資格があります。趣味で気軽に挑戦できるものからかなりの勉強を要するものまでこれまた様々です。中には特定の協会が実施している実務に即した資格試験などもあります。国家資格はあまり増えませんが、民間資格は世の隆盛に伴ってどんどん新しいものが増えています。

民間資格の場合、相続に関しては直接的な手続きの代行などはできません。相続の相談を受けた場合は将来的な相続によるリスクやトラブルを予測し対策を練った上で提案などはできますが、具体的に相続税の手続きを代行してくれとなると税理士の役目になりますし、相続争いで調停や裁判をやるとなると弁護士の仕事になります。

相続登記をする場合は司法書士が専門にしていますし、特許庁の手続きは弁理士が専門です。民間資格は国家資格ほど難易度が高くない代わりに、手続き面では国家資格への取り次ぎを行うことになることを覚えておく必要があります。 しかし、「何だ、民間資格は相続の手続きはできないのか……」と残念に思う必要はありません。民間資格にはそれぞれに良い面もきちんとあります。それは、他の資格所持者やお勤めの方とタッグを組んで動きやすいということ。

金融機関の窓口で保険や投資信託、預金などのアドバイザーをしている人が相続に関する民間資格を所持していれば相続も含めた総合的な金融アドバイスをすることができます。相続の知識もあるわけですから、相続に際してのリスクが高いと感じれば専門家への相談も勧めることができます。

国家資格を所持しているアドバイザーが金融機関の窓口に居るというのはちょっと想像できないことだと思います。普通は、司法書士や弁護士が金融機関の窓口に座っていることはありません。自分の事務所を構えているか、それぞれの専門事務所に勤めていると思います。金融機関や保険窓口は第一の窓口として気軽に相談しやすいというメリットがありますので、直接的な手続きはできない相続関係の資格でも、所持して知識を蓄えておけば専門家への架け橋になることができます。

国家資格は、独立開業、専門性、手続き代行可能といった面を持つ資格です。民間資格はその資格だけで独立開業はなかなか難しいですが、他の資格や仕事と併用し職域を広げ、専門家へとバトンを渡すことができます。

今回は特に相続そのものにスポットを当てている資格である「相続士」「相続診断士」「相続カウンセラー」にスポットを当ててご紹介します。

補足・専門性の高い機関の職員

各機関の職員は資格を取得したからなれるというわけではなく採用されて務めている形になりますが、資格試験の本などには資格と一緒に紹介されていることも多いです。

裁判所、税務署、法務局、公証役場の職員は相続と関わる専門的かつそれぞれの手続きに関して知識を備えている職員です。職員の中には相続に関する資格を所持している方もいますし、特にという方もいます。しかしながら、それぞれの機関には毎日多くの方が手続きや手続きの仕方を聞きに訪れます。

裁判所、税務署、法務局、公証役場に勤めている職員は相続に関する法や税制度、手続きに関するエキスパートです。

相続の資格だったらこれ!

相続に関する資格の中で特に相続手続きと関わりが深い資格を6つピックアップしました。■はその資格を所持することによりできる相続の仕事です。なお、各資格それぞれ他にもできることがありますので■が全てではありません。代表的な部分だけご紹介させていただきました。

弁護士

■相続関係の訴訟や調停
■相続放棄や限定承認の手続き
■相続全般の相談

世の印象そのままに法律のエキスパートであり、相続に関する手続きはほとんど代行することができます。ただし知的財産では弁理士、登記では司法書士と、他の法律資格も分野違いの難関、それぞれのエキスパート資格もありますので、相続だったら絶対に弁護士資格!とは言えません。ただし、相続で諍いが起きた場合は弁護士の出番です。訴訟の前段階でもトラブルを法的な解釈で解決する場合やトラブルに備える場合は弁護士資格が大いに役立つでしょう。独立開業もできる資格です。

ただし、本当に難しい資格ですから並大抵の勉強では合格しません。めげず、くじけず、こつこつと広大な範囲を勉強し続けてこそやっと合格できる資格です。

弁護士になるためには司法試験に合格しなければいけません。ただし、いきなり司法試験を受験できるわけではありません。法科大学院を修了するか司法試験予備試験に合格するかのどちらかでまず司法試験の受験資格を得て、その上で司法試験に合格しなければいけません。いずれにしろ困難な道のりであることに変わりなく、社会人が会社と勉強を両立するためにはかなり時間の使い方を工夫しなければならないと思います。

法務省:弁護士資格認定制度
参照元:法務省(2015年12月、著者調べ)

日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:HOME
参照元:日本弁護士連合会(2015年12月、著者調べ)

司法書士

■相続登記などの登記手続き全般
■相続放棄などの裁判所手続き
■相続に関する相談全般

司法書士は登記のエキスパートです。相続登記の際はお世話になることが多いと思います。また、弁護士同様に相続放棄などの裁判所手続きもできますし、遺言の相談などにものることができます。独立開業もできる資格です。

不動産登記と商業登記の専門知識の他、認定司法書士(司法書士試験をパスした上でさらに認定を受ける必要があります)は簡易裁判所での訴訟もできるため、法律全般の知識を広く深く所持していないと合格は難しい資格です。

近年は国家試験最難関の一つとも言われています。ただし、司法試験では必須知識であった刑事訴訟法の知識は司法書士試験では問われません。代わりに司法試験では必要なかった不動産登記法や商業登記法、供託法などの知識が必要になります。同じ法律の専門家ではありますが分野が違うと言えるでしょう。ですから一概に他の資格と難しさを比べることはできず、それぞれの人と勉強する分野の相性もあるのではないでしょうか。

司法書士になるには司法書士資格試験の一次試験(択一と記述式)に合格し、その後に二次試験(口頭試問)に合格することが必要です。

法務省:司法書士試験
参照元:法務省(2015年12月、著者調べ)

日本司法書士会連合会 | Home
参照元:日本司法書士会連合会(2015年12月、著者調べ)

行政書士

■相続に関する相談全般
■遺言や遺留分に関する相談
■遺言や遺留分の書類に関する書式の相談

行政書士も相続全般の知識が豊富で、特に遺言を作成する際や遺留分に関して通知をする時の書式などには精通しています。後に起こりそうな相続トラブルがある場合は早めに行政書士に相談することによってトラブルへの対策を打つこともできます。相続全般の良き相談役といった感じです。

行政書士は弁護士や司法書士とは異なり裁判所の手続きと登記手続きには関与できません。資格取得を目指す場合はこの部分を明確にし、相続相談は受けられるけど相続手続きに関しては関与できるものが限られると覚えておく必要があります。

行政書士になるためには毎年一回行われている行政書士試験に合格しなければなりません。試験は民法から行政法などの法知識の他、時事問題やコンピューターに関する知識などの幅広い分野から出題されます。

一般財団法人行政書士試験研究センター
参照元:一般財団法人行政書士試験研究センター(2015年12月、著者調べ)

Home | 日本行政書士会連合会
参照元:日本行政書士会連合会(2015年12月、著者調べ)

相続士

■相続トラブルの際の問題点の把握とどんな専門家に相談すればいいかという相談
■専門家への取り次ぎ

他の専門家とのネットワークを構築し、相続に支援を行うための資格です。相続に関する悩みや問題をヒアリングしその分野に専門的知識を持つ専門家に橋渡ししたり、アドバイスを行うことができます。

相続士資格試験|NPO法人 日本相続士協会
参照元:NPO法人 日本相続士協会(2015年12月、著者調べ)

相続診断士

■相続に関する啓蒙活動
■専門家への取り次ぎ

日本では毎年多くの相続トラブルが起きているという点に着目し、トラブルを事前に解決するため、また、対策を講じるために啓蒙活動を積極的に行う資格です。この資格がないと「相続に気をつけてください」という啓蒙活動ができないわけではありませんが、できるだけ事前にトラブルの対策をして欲しい、そのために積極的に相続について啓蒙活動をし、トラブルを将来的に抱えそうな推定相続人などに対しては他専門家への橋渡しを行うという目的のもとに活動しています。

相続資格の一つではありますが、社会的な部分を目的としているため、相続で実際に揉めたことがあり、なるべく事前に対策できるということを知って欲しいという方などは向いていると思います。

相続診断協会 / 一般社団法人 相続診断協会
参照元:一般社団法人 相続診断協会(2015年12月、著者調べ)

相続カウンセラー

■相続に関する相談全般
■相続のコーディネート

相続に悩んでいる人、自分の相続を把握しコーディネートしたい方向けの資格です。相続に関してセルフチェックやコンサルティングを行えるよう専門的な知識を学びます。自分の相続について考えたい方や身近な人が相続で悩んでいたらアドバイスしたいという方にお勧めです。

一般社団法人 日本相続コンサルティング協会
参照元:一般社団法人 日本相続コンサルティング協会(2015年12月、著者調べ)



まとめ

一言に相続に資格といってもその幅は広く、職域も重なっている資格から重なっていない専門の分野を持つ資格まで様々です。

取得しようとしている人との相性もありますが、一般的に国家資格の方が難しく、合格率も非常に低いです。ただし国家資格は難しいだけあって、資格を取得すれば独立開業をすることもできますし、専門的な法律手続きから法律相談まで深く相続に関わることができます。相続の専門的な部分までを仕事にしたいという場合は国家資格を目指すことをお勧めします。

民間資格の方は、今回ご紹介した三つの相続の資格は比較的新しくできた資格です。民間資格は次々と新しい資格が生まれるため、時世やトレンドを読むこともでき、そんな中で相続に重点を置いた資格が登場しているということはそれだけ相続を重視し、また、トラブルがあるということを反映してではないかと思います。

民間資格の方は国家資格より難易度は低い傾向にあります。しかし、それでも勉強せずにぽんぽん合格するものではありません。一概に相続の知識といっても法律から相続後の税金のことまでたくさんのことを覚えなければならないと思いますので、どんな資格を目指すにせよ、一に勉強、二に勉強であることは間違いないと思われます。 ※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。