人生の大きなイベントでもあるマイホームの購入。一軒家派とマンション派に分かれますが、どちらを購入しても何十年も経てば痛みが生じてくるもの。将来的に建て替えすることも考えなければなりません。家の建て替えには一体いくらくらいかかるのか。どういった家にしたいかによって変わってきますが、費用について考えてみましょう。
目次一覧
住宅の寿命は?
建て替え時期目安
ローンを組んで購入したマイホーム。30年~35年ローンを組む人が多いとはおもいますが、時期がたつと当然家のどこかに痛みが生じてきます。痛みが出てきた場合、自宅の一部をリフォームしてなんとか維持するか、お金を貯めて一気に建て替えをしてしまうケースと2通りの考えがあります。
建て替えを検討している場合、どのタイミングで行ったらいいか。まずは最優先で考えたほうがいいと思われるのは耐震性だと思います。ここ数年くらいで耐震性が騒がれるようになった気がしますが、時期によってはここまで重要視されていなく、現在新築で建てられている家よりも耐震性に欠ける可能性があるかもしれません。
一見まだまだ建て替えが必要なさそうでも自宅がどういった構造なのか、調べてみたほうが良いでしょう。
また、だいたい寿命として考えられるのが築30年ほどだと思いますが、30年経過する前に建て替えについて考えておいたほうが良いでしょう。
建て替え時に行うこと
大まかな流れ
建て替えを行うときの流れすらわからないという人は多いと思いますので、ここで大きな流れについて説明します。
まずは現在~将来の家族構成と生活プランを考えましょう。建て替えまでの流れは以下のようになっているようです。
1:設計に関する打合せ
事前の打ち合わせは非常に大切です。まずは自分がどのような家にしたいのか、間取りや家のイメージを具体的に細かく要望を伝えるほうがハウスメーカーもイメージしやすいと思います。
2:解体費用見積もり
解体にかかる費用はメーカーによって金額が異なるようです。お勧めは複数のメーカーに見積もりをだしてもらい、比較することです。
3:仮住まいへの引っ越し、準備
たった数か月の仮住まい生活でも、生活の基盤になる場所です。不要なものは処分するなどの準備が必要でしょう。引っ越しが決まる前になるべく自宅を整理しておきましょう。
4:新しい家の建築
ここからいよいよ実感がわくことだと思います。新しい家が建設されるタイミングが一番ワクワクしますね。
5:新居への引っ越し
やっと完成しました。ここからまた新しい生活がスタートします。
見積もりについて
家の建て替えに必要な解体作業。その費用を見てみましょう。費用の出し方は坪単価で考えます。金額は家の構造で異なるようです。
<家の解体工事の相場>
例1:構造が木造二階建ての場合。金額…29,000円(一坪当たり)工期は10日ほど。
例2:構造木造二階建て、屋根が亜鉛鋼板の場合。金額…35,000円(一坪当たり)工期は11日ほど。
土地カツnet の情報によると解体費用の詳細は下記のようになっています。参考までにご確認ください。
・仮設工事:500円~1000円/㎡
・内装解体:5,000円~10,000円/坪
・屋根解体:1,000円~2,000円/㎡
・基礎撤去:3,000円~5,000円/㎡
・人件費:15,000円前後/人
・廃棄物処理:5,000円~20,000円/㎥
・樹木撤去:10,000円~50,000円/本
・ブロック塀:2,000円/㎡
解体後のブロック塀撤去は、解体費用に盛り込む業者と別途処分費用として請求する場合と、業者により異なる場合があるようです。
見積もりを出してもらう際、項目が細かく分かれているところよりも、ある程度一括でまとめて項目分けしている見積もりのほうがわかりやすいと思います。
家の解体費用の相場と構造別3つの事例
出典元:土地カツnet (2016年1月現在 著者調べ)
何にどれくらいかかるのか
項目で見てみよう
家を建て替えるときに発生する費用をおさらいしてみます。具体的には以下の費用がかかるようです。
【設計料】 設計、管理の費用です。建てる家の何割かが設計料としてかかるそうです。
金額:建築する家の費用の10%から15%程
【解体費用】 これまで住んでいた家を壊して更地にするための費用です。解体にかかるお金は先ほど説明したように坪単価で計算されます。
金額:例えば1坪3万円で延床面積45坪の場合…約135万円
【本体工事費用】 新しい家を建てるときにかかる費用です。建てたい家によって大きく変わってきます。
金額:平屋建35坪の3LDKの場合。約1,800万円(坪単価50万)
【家具・家電の購入費用】 新しい家に住むために買い替えた家具や家電の費用。最近は家具もリーズナブルになっていますし、一つのお店で購入した場合は割引サービスを受けることができるかもしれません。なるべくコストカットしたい項目でもありますね。
金額:個人による。数万~数十万ほど。
【その他】近隣へのご挨拶。
金額:1000円前後を両隣、お向かいの住宅件数分。
【SUUMO】 [1000万円台・坪20万から40万円台のローコスト住宅]から探す北海道の注文住宅
出典元:不動産・住宅サイト SUUMO(スーモ)(2016年1月現在 著者調べ)
コストダウンするコツ
初めてのことで色々と考えなければいけない事が多く、意外と面倒なためなるべく短期間ですべてを済ませたいと思うかも知れませんが、費用に関することはなるべく時間をかけたほうがよさそうです。
しかしいつまでも時間をかけるわけにはいきません。時間をかけすぎずにコストダウンできるところを多くするポイントは、以下だと言えるでしょう。
・事前に建て替えについての情報収集をしておく。
→ハウスメーカーや解体専門業者のホームページを参考に、自分の家の構造により近い例を目安とし、予算を立てる。
・住宅ローンの金利を押さえるために頭金を多く入れる。
→ローンを組む際に頭金が多いほど金利が低くなります。住宅ローンの金利は年0.7~2.09%ほど。
・ハウスメーカーなど、相談、見積もり算出先は最低3件廻り、比較する。
→メーカーごとにより金額の出し方が異なる場合や、足元を見られる可能性もあるので、数件比較しましょう。
・相談先の一つに専門家(フィナンシャルプランナーなど)に聞いてみる。
→メーカ以外の第三者より見積もり金額が妥当かどうか、見てもらうと満足のいくメーカーに依頼することができるでしょう。
・資金計画を考慮してくれるところを選ぶ。
→自分の予算と今後の生活プランを明示したうえで、家のどの部分にお金をかけて他をある程度妥協しても大丈夫なのか、親身になってくれるメーカーに相談しましょう。アドバイスが豊富な場合はそれだけ知識や経験も豊富だと思われます。
他には家具や仮住まいでの生活時にお金をかけない方法がありますが、大きくコストダウンできるところは上記の中でもローンの利息だと思います。
ただでさえ建て替え時に費用がかかりますから、住み始めたあとはなるべく費用をかけたくないものですよね。
なるべく金利の低いローンを組み、頭金を多く入れることがコツだと思います。
意外と大事な解体について
解体する際の注意事項
家を建て替えるときに意外と重要なのが解体に関することです。解体工事の手続きや届出はきちんと行いましょう。万一怠った場合には工事の遅れ、トラブル、追加の費用が発生する可能性があります。
自分で手続きを行うほか、費用は別途かかりますが状況によっては解体業者や司法書士などの専門家へ依頼してもよいでしょう。
解体まえに行うことは、まず解体工事を届け出ることです。80平方メートルを超える場合「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」に基づく届出書類を、市区町村に提出します。
次にガスや水道、電気を止める手続きを行います。同時に買い替える等で不要となる家電を処分しましょう。
処分するには家電リサイクル法に基づいて行わなければいけませんが、買い替えの場合はお店のサービスとして引き取ってくれる場合もありますので、あらかじめ相談してみましょう。
解体後に行うことは、建物が無くなったことを法務局へ申請します(建物滅失登記)。こちらの手続きは自身で行う以外に司法書士にお願いすることも可能です。ただし依頼する際の費用は発生します。
建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律
参照元:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(2016年1月時点、著者調べ)
家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)(METI/経済産業省)
参照元:経済産業省(2016年1月時点、著者調べ)
依頼する業者を考える
業者選びも慎重に!
建て替えを依頼するには、主に3つのところがあります。
1:ハウスメーカー
2:工務店
3:建設設計会社
ここから信頼できるところを探すわけですが、信頼してお願いできそうなところを選ぶときには、予算や家づくりのポイント、メーカーごとの強みが異なるため、一概にハウスメーカーがいい、工務店がいい、建設設計会社がいい、と順位づけすることができません。
どのように選んでいけばよいでしょうか。まずはそれぞれの特徴を知る事です。ハウスメーカーの中で数件、工務店の中で数件、建設設計会社の中で数件それぞれピックアップしましょう。
そこから特徴として自分の家づくり計画に合ったところを絞っていきます。
依頼先の特徴を知る
ハウスメーカー、工務店、建設設計会社それぞれの特徴などを見てみましょう。
【ハウスメーカー】
規格内で希望に合わせて間取りや素材を決めて、家の形を作るのがハウスメーカーです。工法規格の決まった商品として家を販売しています。メリットは以下です。
1:標準価格がわかりやすくなっているので、予算が立てやすい。一番はじめに相談するところとして選ぶと色々と知ることができ、把握しやすいでしょう。
2:工事期間が短い。なるべく時間をかけたくないという人には良いでしょう。
3:安定した品質の家を施工している。ハウスメーカーならではの実績も見ておくといいでしょう。
デメリットとしては、規格に基づいて建設するため融通がきかない場合があり、土地によっては建築できない可能性もあるようです。
【工務店】
工務店は建築工事を請け負うところです。メリットは以下です。
・直接、希望を伝える事が可能。
・工務店によっては入居後のメンテナンスや定期点検などのアフターサービスを行っているところもある。
ハウスメーカーとの違いは建築メインになりますので、デザインを含めたアドバイスは期待できない可能性があります。デザインの理想が高い場合はハウスメーカーへの相談と分けたほうが良いかもしれません。
【建築設計会社】
土地探し、工法、間取り、住宅設備まであらゆることに対応しているところが建築設計会社です。メリットは以下です。
1:デザインやオリジナリティーのある家づくりアドバイスが期待できる
2:土地の特徴やコストダウンの相談も可能
しかし一人の建築家が対応することが基本となっている建築設計会社は、完成までに時間がかかるので早く建て替えをしたい人は住む時期を長めに考えておく必要がありそうです。
なお、コミュニケーションをとりながら進めてくれるので、信頼できる人に当たれば相談もしやすいのが特徴といえるでしょう。
建てるときの注意点
見えないところが肝心
家は見た目だけでなく耐震性や地盤などは慎重に考えなければいけないと思います。災害にある程度強い構造かどうかは重要ですよね。
基礎工事がきちんとされているかどうかによって、家の耐久性は大きく異なります。まずは地盤調査を行いましょう。地盤調査には以下のようなものがあるようです。
・ボーリング調査。1mごとに地盤の硬さを測定する標準貫入試験を行なう調査。
・表面波探査法。比較的採用されている。
・スウェーデン式サウンディング法。木造住宅を建築する場合に用いられる。
万が一、調査をして問題が発覚した場合は早めの対応が必要です。いくつかの工法がありますが、一度依頼した工務店は避けたほうが良いかもしれません。
二回目のトラブルを避けるために、依頼先もこれまでより慎重に検討しなければいけませんね。
主な地盤調査方法 : ジオテック株式会社
参照元:ジオテック株式会社(2016年1月時点、著者調べ)
家づくりのまとめ
新しい家を建てるときは、これまで住んでいた古くなった家から解放され不便な思いもしなくなるのでうれしいことを沢山想像することが多いと思います。
しかし決して安い買い物ではありません。立て替えてからまた何十年も住み続け、子供がいる場合は将来的に子供へ渡るので、目にみえるデザインだけでなく目に見えないところも長い目できちんと考えなければいけません。
また新しく家を建てれば、住みはじめた以降も税金や諸経費などお金が沢山かかりますので、いかにコストダウンをするか、ということも大切です。
デザインにこだわりがない場合は、工務店に直接相談するほうがプランに合った家づくりができる可能性も高くなりますし、時間がかかってもいいのである程度のプロセスは一人の人にお願いしたい、という場合は建築設計会社にお願いするほうがプランにあった家づくりができる可能性が高くなります。
建て替えは、プランを考えるところから引き渡しが終わるまで気を抜けません。特に基盤に関する問題は実際に多くあるので業者任せで一安心、と考えずに「万が一」を考えて調査もお勧めしたいところです。