家庭内別居中の生活費はもらえるの?答えは「婚姻費用」にあり!

夫婦の愛がさめてしまい離婚したいが子供のことやお金の問題でしかたなく家庭内別居を選択するなど夫婦の形には様々あるようです。家庭内別居をした場合の生活費はどうしていったらいいのか…そんな悩みを解決するべく生活費をどのように請求するか、どの位の金額をもらえるかなどまとめました。



家庭内別居中の生活費は?

夫婦関係がうまくいかず喧嘩やトラブルが続き少し距離をとるため、離婚に進めるため家庭内別居をする(している)人もいるかと思いますが生活費は一体どうしたら良いのか?そんな疑問をお持ちの方も多くいると思います。

特に専業主婦(夫)で収入がない状態で家庭内別居をし始めたら、別居が始まったとたん生活費を入れてくれない!?なんてトラブルもあるかもしれません…

生活費を入れてもらえないそんなトラブルが発生した場合には、「婚姻費用分担請求」という配偶者に支払いを請求し命じる事が出来る制度があります。生活費などに関わる制度や婚姻費用をもらえる権利など、別居中の一番の問題になっているであろうお金の問題を解決していきたいと思います。

婚姻費用とは?

そもそも婚姻費用とは一体どのような費用の事なのかという疑問もあると思いますが、婚姻費用とは簡潔にまとめると生活するための生活費の事になります。わかりやすく例えると

・住居(ローンや家賃)衣服・食費など衣食住に必要な費用
・医療費
・子供の養育費
・交際費

などが含まれています。

婚姻費用について:ひいらぎ法律事務所
参照元:ひいらぎ法律事務所(2015年12月時点、著者調べ)

婚姻費用分担とは?

婚姻生活中は、衣食住や病院に通っていれば医療費、子供がいれば子育てに必要な養育費など多々お金が必要になると思います。そして夫婦にはお互いが同水準の生活が送れるように扶養しあう「生活保持義務」という義務があるため、婚姻費用も分担し合う義務が発生します。

夫婦が別居をしていても法律上は夫婦であることに変わりありません。そのため夫婦がお互いに助け合っていく「扶養義務」が発生します。一般的に夫婦関係が破綻し、夫婦が別居しているような状況であったとしても正式に離婚するまでは婚姻状態にあるため婚姻費用を分担する必要があります。

また、子供に対する扶養義務は離婚してもなくなる事はありません。子供が成人するまでは、別居していても離婚しても扶養義務が発生しているので養育費は支払う必要があります。

なお婚姻費用分担は、収入や資産の多い配偶者から少ない配偶者へ渡す事によって分担されます。その費用を渡す側を婚姻費用分担義務者、渡される側を婚姻費用分担権利者と呼びます。

もし配偶者が生活費を支払ってくれないような場合には、「婚姻費用分担請求」を行う事が出来るようなので心配する必要はないようです。

婚姻費用分担について:弁護士ドットコム
参照元:弁護士ドットコム(2015年12月時点、著者調べ)



生活費は払わなくてはいけない?

婚姻費用分担について理解していても一方的に別居を突きつけられ納得しない状況でも支払わなければならないのか?支払い義務の詳細をもっと知りたい人もいると思います。

婚姻費用を支払わなくてはならない場合と支払わなくてもいい場合には何が違うのか?また、お互いが働いている共働き夫婦では、お互いに収入がある事からお互いの収入の多さによって婚姻費用分担が必要なのか必要でないのかが決まりますが、専業主婦(夫)の場合は共働き夫婦とは違い、主婦(夫)側には全く収入がないため、婚姻費用分担によって生活費をもらわなければ非常に生活が苦しくなると思います。

生活費を支払う必要がある場合

婚姻費用を支払いを拒絶する事や受け取りを拒絶することは原則できません。原則できないとは言っても別居した場合、生活費を支払わなくなる人は多くいると思います。

子供の養育費だけ払う事や別居してるから払わなくても良いなんてことはありません!たとえ別居していても婚姻中である事から婚姻費用分担義務が発生し支払い義務も発生しています。ただ婚姻費用は、あくまでも分担なのでお互いの収入によってかわります。また、十分に生活できるほどの収入がある場合は請求出来なくなります。

生活費を支払わなくて良い場合

婚姻関係が発生している以上婚姻費用分担義務が発生していますが、その婚姻費用を請求する事が認められない場合もあります。

一方的な説明もなく強行的に別居を行い、夫婦関係の修復に全く協力的でないという事情がある人は相手方に対して婚姻費用の請求をする事が出来ないとされています。婚姻費用は請求できませんが未成年の子供を養育している場合、その子供の生活費は請求する事が出来ます。

夫婦が別居した場合、主として収入があった配偶者は相手に婚姻費用を渡さなければなりませんが、子供がいる場合子供の分も含めて支払いを考えなくてはなりません。ただ、不貞が原因となり一方的に家を出て不倫相手の家に住み着き生活費を請求するという事が出来ないのは当然だと思います。

専業主婦(夫)はどうしたら?

専業主婦(夫)の場合、収入はほぼないので「夫婦間の協力扶助義務」や「婚姻費用分担義務」により、専業主婦(夫)から配偶者に対して、別居中の生活費を請求する事が出来ます。どのくらいの費用を支払うかに関しては、夫婦関係の破綻に対する責任があるかないかや、もとの夫婦生活を回復できる可能性があるかなどで変わってくるそうです。

専業主婦(夫)側が不貞行為をし別居している場合、一方的に配偶者に離婚を迫って別居を始めた場合は生活費を請求する事が出来ません。簡単に言うと請求する側が夫婦生活を破綻させた要因がある場合は、生活費を請求する事は出来ません。

婚姻費用の計算

実際別居した場合の婚姻費用はどの位の金額を支払うものなのか…婚姻費用の計算は裁判所にある「養育費・婚姻費用算定表」を参考にします。この算定表は、夫婦各々の収入と子供の人数や年齢を基準に金額で定められており実際の計算では算定表を基準に同居時の生活水準、継続的に必要な治療費など家庭の事情を考慮し金額を決定します。

養育費・婚姻費用算定表
参照元:東京・大阪裁判官(2015年12月時点、著者調べ) 東京・大阪の裁判官の共同研究の結果作成されたものです。

住宅ローンに注意!

家庭内別居でも完全別居でも住宅ローンがある場合、婚姻費用を支払う側が住宅ローンの金額を引いた金額を支払うと主張してくる事があります。しかし、住宅ローンには財産形成の側面があるため義務としての婚姻費用よりも優先度ははるかに低いので応じる必要はないようです。

婚姻費用を支払う側が住宅の持ち主である場合の方が多く、住宅の持ち主に住宅ローンを負担する義務が発生しているため婚姻費用を受け取る側が住宅ローンを払う義務はありません。

ただ、住宅ローンを返済しながら婚姻費用を支払うのが難しい場合もあると思います。婚姻費用を請求する側の住宅ローンを婚姻費用を支払う側が支払っている場合、実質住居費を立て替えているという事になりその分を控除する事が一般的のようです。控除されたとしてもその金額は住宅ローンの金額よりも低い金額になる事が多いようです。

婚姻費用が請求できない、減額された!

家庭内別居や完全別居になってしまった原因が、婚姻費用を請求する側にある場合婚姻費用分担請求が認められなかったり減額されたりしてしまいます。また、不貞行為やDV、継続的に続けられるモラハラなどの行為により夫婦関係が破綻してしまった場合には、その責任度合いも婚姻費用を計算するさいに考慮されているようです。

婚姻費用の中でも子供にかかわる養育費は、いかなる理由があったとしても請求する事ができます。養育費に関しては夫婦間の問題は一切関係なく子供の権利であるため、減額される事もなく支払われます。子供が豊かに健やかに成長していく為に必要不可欠な費用になるため、しっかり請求する必要があると思います。



婚姻費用の請求や期間は?

婚姻費用の計算について上記で説明しましたが、実際は夫婦で相談し話し合って金額を自由に決めるのが一番だと思います。しかし、家庭内別居や完全別居を選択する夫婦が皆そんなに友好的な関係のまま別居を開始し、婚姻費用を支払ってくれるようなケースは少ないと思われます。

そのような場合実際にどのようにして婚姻費用を請求して言ったらよいのか、また請求出来る期間や支払い期間はどのくらいになるのかも気になる人は多いと思います。

婚姻費用の請求方法とは?

婚姻費用は夫婦が話し合い分担する金額を自由に決める事が可能ですが、算定表を基にして話し合いをしたとしても中々決まらず合意に至らない事や支払う側がそもそも話し合いに応じてくれない!などのケースも多々あると思われます。そのようなケースになってしまった場合は、家庭裁判所で「婚姻費用分担請求調停」を申し立てる事が出来ます。

調停を申し立てると、調停が開かれ算定表を基準に調停委員が夫婦各々の主張を聞き妥当だと思われる金額を掲示するようです。それでもなお金額に合意出来ないような場合は、裁判所が算定表を基準に婚姻費用の分担額を決定する審判の手続きをとるようです。

調停を申し立ててから審判が成立するまでには、時間が長くかかってしまう事が考えられます。しかし、その期間中も生活費がもらえず苦しい生活できないという場合もあると思います。その場合には、生活費を一定額支払うように「調停前の保全処分」という申し立てをする事が出来ます。この申し立てにより裁判所の判断によって、婚姻費用を仮払いしてもらえるようです。

婚姻費用の分担請求調停について:裁判所
参照元:裁判所(2015年12月時点、著者調べ)

婚姻費用を支払う期間とは?

婚姻費用を実際に支払ってもらえる期間は、請求をした時から離婚が成立した時または、家庭内別居や完全別居から再度同居した時までというのが一般的のようです。また未払いになっている過去の婚姻費用が請求出来るかどうかが認められるという事は、裁判所の判断によって決まりますが、特質した理由がない限り請求した時からと考えた方が良いようです。

過去の婚姻費用に関しては裁判所の判断に委ねられ、請求出来ないなんてことにもなりかねないので、生活費を配偶者が入れてくれない場合や金額があまりに低いなど不満がある場合には、出来るだけ早く話し合いをもうける事や話し合いが出来ないような場合には、調停を申し立てる事をおすすめしたいです。

別居生活を始めたばかりの時期は、専業主婦(夫)だったら仕事を探したり子供の世話を一人でしなくてはいけなかったり、環境の変化に慣れるのが大変で慌しい日々が続く事になると思います。そのため、配偶者からの生活費が未払いになっていても調停に出廷する時間などがなく諦めてしまうというケースもあると思います。

そのような場合には弁護士を自分の代理人として調停に出廷させることも出来るようです。必要になる書類の作成や、様々な証拠の収集の他にもどう主張したら良いか主張内容のアドバイスなど、弁護士がサポートしてくれる事は数多くあります。

算定表以上の金額を請求しないといけないような事情がある場合などには、法律の知識がなければ的確な主張をする事ができず請求が通らない事もあるようです。そのようなケースのためや離婚も見据えている場合など、専門的な知識を豊富に持っている弁護士に相談する事をおすすめしたいと思います。

婚姻費用分担の請求期間について:アディーレ法律事務所
参照元:アディーレ法律事務所(2015年12月時点、著者調べ)

まとめ

ここまで夫婦のお金についてまとめてきましたが、家庭内別居中でも生活費を心配し悩む事なく生活が出来る事が理解していただけたでしょうか?また支払ってもらえなくても支払ってもらえるようにする方法も存在しているため、もし支払ってもらえてない人はより良い生活のために少しでも早く行動に移して欲しいと思います。請求した時からしか支払ってもらえないため悩んでいる人は、早急に決断したほうが良いような気がしました。

請求はしたいけど手続きや出廷など手がいっぱいで無理!というような人は、是非弁護士の力を頼って悩み解決に動いて欲しいです。一人で悩まずにまず行動に移して欲しいと思います。

子供のためにも自分たち夫婦のためにも一番ベストな方法で生活費や養育費の金額などを解決して悩みの少ない関係の良い家庭内別居生活を送って欲しいと思います。 ※本記事の情報は、一般的または筆者個人の調査によるものです。法令などの改正、前提事実や個人状況の違いや変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。 従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。