人工透析にかかる費用命の問題知っておきたい基礎知識

人工透析にかかる費用はどのくらいなのでしょうか。人工透析を受けている方も、年々増加の一途をたどり、1983年当時は人工100万人に対し443人でしたが、2013年においては2,468人と、30年の間に5.6倍になっています。食生活や運動不足などに原因がありそうですが、いつ自分が人工透析を受ける側になるとも分かりません。



人工透析について

人工透析とは

本来、腎臓が行っていた血液をきれいにしたり、余分な老廃物を取り除いたりする働きが、腎不全などの原因ででその機能を果たせなくなったとします。そのときに、医療機器が腎臓の役割を行うための治療法のことを人工透析といいます。この医療機器によって、腎臓がその機能ができなくなっても、血液をろ過してきれいな状態に戻すことができます。

一般的には「ダイアライザー」という医療機器を使用し、血液の透析を行うことが多いとされています。日本透析医学会によれば、国内の透析患者は32万人ともいわれています。

食生活の乱れや運動不足などから、腎臓病になってしまった患者さんは、年々増加しており、人工透析は命にかかわる問題となっています。腎臓が働いてくれませんと、血液をきれいにすることができませんので、尿毒症になっていまいます。

人工透析は、腎臓の機能を回復させるような根本的な治療ではありませんので、一度人工透析を受けるようになりますと、その後も継続して透析を続ける必要がありますので、腎臓を大切にしていく必要があるといえるでしょう。

日本透析医学会ホームページ:図説 わが国の慢性透析医療の現況 −目次−
参照元:日本透析医学会(2015年12月、著者調べ)

透析患者の寿命

機能しなくなってしまった腎臓の根本的な治療法は、腎臓を移植方法以外にありません。確かに、腎臓を移植してしまえば、機能を回復することができますので、その人の寿命を全うできるといえます。

確かに、人工透析は患者さんのからだへの負担も大きく、合併症を引き起こす原因にもなります。しかし、現代医学においては、人工透析をしたからといって寿命が短くなるということもないといわれています。もし、寿命に関係するとすれば、人工透析を開始した年齢といえます。体力的な問題から考えれば、年齢が高くなってから人工透析を始めると、からだの負担の大きさから、あまり寿命を長くすることが期待できないということはいえるでしょう。

人工透析を受けることになった原因が、糖尿病の場合は、他の病気も抱えていることが多く、その病気のために寿命が短くなってしまう傾向があるといえます。

人工透析の流れ

人工透析はダイアライザーという透析器を利用する患者さんが多いといわれています。血液を透析するには、患者さんの血液をからだの外に出し、ダイアライザーを通して老廃物を取り除き、再び患者さんのからだに戻してやるという方法になります。

患者さんから血液をダイアライザーに送り込むのも、一度にからだにある全部の血液を機器に送るわけではありません。少しずつ送っては、戻すことを繰り返すことになります。ダイアライザーに送り込む血液の量は、1分間あたり200mLとされていますので、1時間換算で12Lもの血液を送り出しては、戻すという作業になります。

人工透析を受ける患者さんは、からだとダイアライザーを接続するための、2つの接続口を前もって作っておかなければなりません。1つは血液を送り出すための接続口で、もう1つはダイアライザーから戻ってくる、きれいになった血液をからだに戻すための接続口です。

この接続口のことを「シャント」といい、手術が必要になります。この手術は、患者さんの体調の良い時期に行うことが必要になります。

人工透析が始まりますと、透析の時間は4時間から5時間くらいはかかるようです。患者さんは、リクライニング式のゆったりしたソファで楽な態勢を取ることができますが、透析中に吐き気を感じたり、血圧が下がったりする方もいるようです。また、この透析は1日おきの頻度で行いますので、週に3日程度の通院が必要です。

総合病院では、透析できる時間帯は午前9時くらいから始まり、午後11時ころまでと受け付けていますので、仕事帰りの午後6時の予約をしておけば、仕事しながらでも可能のようです。

人工透析の患者さんは、食生活や規則正しいリズムを作るなどで、自分を管理していかなくてはなりません。食事の内容も制限が多く、たんぱく質が多く摂取し、反対に利尿作用のあるカリウムを含んだ食品の摂取は控えることが大事となります。初めて人工透析を受ける患者さんは、前もって、主治医や管理栄養士などから食生活の指導を受ける必要があるといえます。

人工透析とかゆみ

人工透析を行っていると、患者さんに、かゆみの症状が多くみられるようです。

一般的に、かゆみという症状は、からだの神経が、ヒスタミンという物質に刺激されて起こります。人工透析を受けている患者さんのかゆみの原因は、中枢神経自体が関係しているとのことで、なかゆみ止めに有効な、抗ヒスタミン薬や、塗り薬では、効果がないといわれています。

人工透析を行っている時は、なるべく肌を刺激しないように加湿器などで、室内の乾燥を予防していくことしか対処方法がなさそうです。

他の原因として、肌への刺激以外にも、リンやカルシウムが血液中に多く含まれると、かゆみを感じる場合もありますので、人工透析を受けている患者さんは、食事制限などでリンやカルシウムを接種しないように、制限するしかないといえます。

たばこやお酒

人工透析を受けることになっても、飲酒が禁止されることはないでしょう。適量のお酒を飲むことは、特に問題はないとされています。しかし、人工透析を受けている患者さんの肝機能が低下している場合や、他の合併症を引き起こしている患者さんは、飲酒を控えた方が良さそうです。

飲酒を禁止されていない場合でも、人工透析を行っている患者さんは、水分摂取の管理が必要となっていますので、1日に飲んでも良いとされる水分の範囲内で飲酒するようにしなければなりません。人工透析を行っている患者さんは、お酒の量を決められた水分量の範囲内に抑えるだけでなく、高カロリーなつまみ類を食べ過ぎないように気をつける必要があるでしょう。

例え健康な人であっても、お酒を飲む場合は、塩分の多いものを食べてしまうことが多いといえますので、人工透析を受けている患者さんは、特に、塩分を取り過ぎないように注意する必要があります。1日の摂取量制限の中であっても、300mL程度なら、お酒を飲んでも大丈夫のようです。しかし、たばこは、人工透析を受けている患者さんは、やめた方が良いといわれています。

たばこは血管を収縮させる働きがありますので、心臓の病気の原因となっており、人工透析中の場合、合併症になりやすいともいわれています。



人工透析の費用について

人工透析の費用:シャントの取り付け

人工透析は、腎臓が機能しなくなっている患者さんには、命にかかわる問題ですが、それには当然、医療費がかかります。人工透析を開始する前に、その患者さんにとって有効なのかどうかの診察をしなければなりません。また、シャントという接続口の取り付ける手術代もかかります。それらの費用については、病院ごとに違ってきますが、健康保険を利用すれば、自己負担は3万円から6万円といわれています。

シャントの取り付けにかかる時間は、1時間程度で済むようですが、年齢が高かったり、自分の血管にシャントを取り付けることが難しかったりする場合は、人工血管を作らなければなりませんので、1日の入院も必要な場合があります。人工血管を取り付ける場合も、費用は、健康保険を利用すれば、自己負担は3万円から6万円といわれていますが、入院費が多少追加になるといえます。

人工透析の費用:維持費

シャントの取り付け費用は、さほどかかることは無いようですが、問題になるのが、人工透析にかかる毎月の維持費です。この費用も病院によって差があるようですが、おおむね1カ月で50万円はかかるようです。この透析は、今後も必要なため、1年で600万円、10年では6,000万円という、とてつもない金額がかかりますが、患者さんの命がかかっていますので、何もないわけにはいかないでしょう。

人工透析の費用は、健康保険がききますので、自己負担は3割で済みますが、それでも1カ月15万円は必要となるといえます。しかし、人工透析は、長期高額疾病と認定されていますので、特定疾患療養受療の手続きを行えば、自己負担額はかなり抑えることができ、1カ月で1万円の費用で済むことになるようです。

また、人工透析を受けている患者さんは、身体障害者となりますので、身体障害者福祉法により、障害者手帳をもらうことができます。そうすれば、自己負担額をもっと少なくすることができそうです。市町村役場に聞いてみることをお勧めします。

身体障害者福祉法
参照元:法務省(2015年12月、著者調べ)

うみ:教えてドクター 第1回 透析について
参照元:バイエル薬品株式会社(2015年12月時点、著者調べ)

人工透析の費用について:特定疾病療養受療証

特定疾病療養受療証とは

事前に「特定疾病療養受療証交付申請書」を申請することにより、長期間にわたって高額な医療費が必要となる特定疾病については、特定疾病療養受療証と被保険者証を、人工透析を受けている病院の窓口へ提出することで、医療費の負担は自己負担限度額まで下げることができます。

「特定疾病療養受療証交付申請書」の書類は、市町村役場でもらうか、全国健康保険協会のサイトでもダウンロードですます。この様式に必要事項を記入し、人工透析を受けている病院に提出します。その病院で担当医師の証明を受け、診断書を添付して協会けんぽへ提出しますと、「特定疾病療養受療証」という保険証のようなカードがもらえます。

全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会(2015年12月、著者調べ)

自己負担限度額について

人工透析を受ける際に、「特定疾病療養受療証」を提示することで、1カ月の自己負担額が病院ごと、または薬局ごとに自己負担限度額まで下げることができます。

この「特定疾病療養受療証」は、病院と薬局の両方に提示しなければなりませんので、人工透析費用と薬局の自己負担の合計が自己負担限度額を超えてしまったような場合は、高額医療費の対象となりますので、その申請も必要になります。

自己負担限度額は、年齢や収入によって変わってきますので、以下に紹介しましょう。

・70歳未満で、月額の収入が53万円未満の場合は、自己負担限度額は1万円
・70歳未満で、月額の収入が53万円以上の場合は、自己負担限度額は2万円
・70歳以上で、社会保険または国民保険に加入している場合は、月額の収入に関係なく1万円

以上のように、自己負担額を抑えることができますので、人工透析を受けている患者さんにとっては、大変助かる制度といえます。

身体障害者手帳について

人工透析にかかる医療費は、多額な上に、長期間の通院が必要になります。患者さんの負担を軽減できるように、医療費の公的助成制度を利用すれば、経済的にも助かるといえます。その制度を利用するには、手続きが必要になりますので、人工透析を行うことが決まったら、さっそく、身体障害者手帳の交付申請をすることをお勧めします。

身体障害者手帳は、住民票のある市町村の障害福祉課で受け付けています。単なる腎機能障害ですと、等級が症状によって、1級から4級まで分類されますが、人工透析を受けている患者さんの場合は1級に認定されることが多いようです。

人工透析を受けている、障害者1級の患者さんは、身体障害者福祉法の中の更生医療という制度の対象になります。この制度は人工透析にかかった医療費の一部、または全部を負担してくれる制度です。しかし、条件がいろいろとあり、誰でも利用できるとはなっていません。詳しいことは、市町村の障害福祉担当者に確認することをお勧めします。特定疾病療養受療証と両方利用できれば、医療費は最大で無料となるようです。

身体障害者手帳
参照元:東京女子医科大学病院 腎臓内科(2015年12月時点、著者調べ)



糖尿病との関係

人工透析との関係

糖尿病を悪くすると、人工透析を受ける場合があるようです。糖尿病の合併症として、腎疾患を引き起こすケースがあり、それが原因で人工透析を受けるようになってしまいます。

糖尿病が原因となる人工透析をさけるためには、糖尿病の合併症について、理解することが大事なことです。糖尿病にかかり、自己管理ができないと、目が見えなくなる、とか 腎臓が悪くなって透析を受けなければならなくなるといわれます。また、糖尿病の自己管理が悪いと、ウイルスなどに対する抵抗力が弱まり、ひどい感染症を引き起こす危険も増えるといえます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。腎臓は2つあるから、1つダメになっても大丈夫などと考えていますと、とんでもない結果が待っているといえます。さまざまな公的支援により、自己負担が軽いとはいえ、食事や水分の制限はきちんと行う必要があり、1日おきに病院へ通う必要もあります。常日頃からの管理が大切だといえるでしょう。

※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。