知らなきゃ怖い!NISAのリスクとその回避法

最近よく耳にするNISAと言う言葉。日本版ISAと呼ばれるこの制度は政府が「貯蓄から投資へ」の流れをすすめるうえでかなり注目を浴びた制度です。NISAの代表的なメリットは何より「非課税」という点。しかし、意外なところに落とし穴があるのです。今回はNISAのリスクとその対策をご紹介します。



NISAで非課税にする方法とは

NISA口座利用の対象となるのは上場株式と公募株式投資信託等なので、FXや先物取引などリスクが高い商品と比較すると割とリスクもそれほど大きくなく、初心者向けでと言えるでしょう。

しかし、NISA口座を開設すればすぐに非課税と言うわけではありません。非課税にするための準備があります。今回はその準備について注意点をご紹介します。

株の配当金受取方式を選択する

NISA口座で株式を購入すると、売却益と配当金受け取りによる利益が出ますよね。そのどちらもを非課税にするにはきちんとした準備が必要なのです。それが、配当金の受け取り方を「株式数比例配分方式」という方式にすること。

この株式数比例配分方式とは、配当金を証券会社の口座で受け取る方式のことです。配当金の受け取り方法はいくつかあり、それは個人個人で選択できます。

具体的には、配当金領収書というものを受け取り、それを発行会社指定の金融機関まで持っていくと現金引換えてくれるという従来の方法や銀行口座で受け取る方法などがあります。

しかし、この上記二つの方法ではNISA口座を開設して株を買い付けても配当金に課税されてしまうのです。必ず、株の配当金を証券総合口座で受け取ることのできる「株式数比例配分方式」にしてください。

ただし、特別口座と言う信託銀行預かりの口座がある人や複数の証券会社で口座を持っていて預かりがある人は注意が必要です。特別口座を持っている人は株式数比例配分方式に変更することができません。証券会社の口座へ移管することが必要になります。

また、複数の証券会社で口座あり、株の残高ありの状態でその中に一つでも株式数比例配分方式を採用していない証券会社があると株式数比例配分方式を選択できないので複数の証券総合口座で口座開設している場合には注意が必要です。

5年間持ち続けた後に注意!

NISAでは5年間にわたり、買い付けた商品を保有し続けることができますが5年の期間が終了した後、持っているものをどうするか選択肢が与えられます。

たとえば、次のNISA枠を使って持ち続けることが一つ。こちらについてはNISA枠がつぶれるだけです。

もう一つ、特定口座等へ払い出してしまうという方法もあります。これが少し厄介なんですね。特定口座に移すときに取得単価というものを計算し直すので、特定口座に移したあとに値上がりしたときにとても損なことになってしまうケースがあります。

たとえば、NISAで100万円の投資信託を購入し特定口座に移すとき値上がりしていて110万円になっていたとします。この投資信託が120万円まで値上がりしたら、110万円→120万円の差額である10万円が利益とみなされます。

これはいいのですが、例えば同じようにNISAで100万円の投資信託を購入し、特定口座に移すときに90万円まで値下がりしていたとします。ここから120万円まで上がったら90万円→120万円の30万円分が利益とみなされてしまいます。

当然、特定口座は課税口座なので利益が大きいほど多くの税金がかかります。特定口座へ移すタイミングによって課税金額が変わってくるので注意が必要です。

NISA(少額投資非課税制度)に関するQ&A
参照元:日本証券業協会(2015年12月、著者調べ)



非課税の恩恵をキッチリ受けるには?

NISAの魅力は譲渡益や配当金等による利益が非課税なことにあります。しかし、中には非課税の恩恵をキッチリ受けられない場合も出てきます。

投資信託の元本払戻金に気を付けて!

たとえば投資信託の分配金は二種類あります。純粋な利益から出す普通分配金というものと、分配金を出さなければいけないけれども利益が思ったより出なかったので集めた資産から出す元本払戻金(特別分配金)というものの二つです。

普通分配金は確かに課税対象ではありますが、元本払戻金というのは言葉通り預けた資産の中から戻ってくるだけなので元々非課税。つまり元本払戻金を多く出している投資信託は元々非課税部分が多いのでせっかくの非課税の恩恵を受けられないことになります。

再投資型投資信託はNISAに不向き?

また、再投資型投資信託は分配金を預け入れている資産に組み込み、それを元手に再投資します。

しかし、再投資部分も含めて100万円の枠を超えた分については課税口座での保有となるので知らず知らずのうちにNISA枠をはみ出た部分に課税されていたなんてこともあり得るのです。

NISAはリスク(デメリット)もある

NISA口座の非課税というメリットは裏返せばこんなデメリットにもなります。

損がないこととされるので損益通算できない

NISA口座内で発生した損益とほかの口座で発生した損益とを合わせて、利益と損を通算することができません。つまり、NISA口座でいくら損をしても損がなかったものとみなされます。となると当然、譲渡損失等の繰越控除というのもできなくなってしまうのです。

損をしているのに税金を払うことに!

損益通算ができないということは、課税口座で100万円の利益が出ていてNISA口座で運悪く50万円の損を出してしまったとき。損益通算できれば100万円-50万円=50万円分の利益しか出ていないとみなされるのでその分税金負担は減ります。

しかし、NISA口座はこのように他口座との損益通算ができないので、100万円分の利益が出ただけ(=つまり損失はなかった)とみなされるために100万円に対して税金がかかってくるのです。当然、税負担は大きくなります。

損をしてもそこは見てくれないのがNISA口座。そのため、銘柄選びはとても慎重に行う必要があります。

NISA(ニーサ) | 大和証券
参照元:大和証券(2015年12月、著者調べ)



NISAのリスクをおさえて活用すべし

少しずつ「貯蓄から投資へ」という言葉が浸透しつつあり、余剰資金の運用にNISA口座を使おうと思っている人もいるのではないでしょうか。しかし、NISA口座を利用するにしてもいくつかのリスクや注意点があります。

NISA口座を開設する前に、開設しようと思っている金融機関の担当者にしっかりとした説明を受け、自分でもよく調べることがとても大切です。そこで初めて最大限に活用されるので、ぜひここでしっかり覚えておいてください。 ※本記事の情報は、一般的または筆者個人の調査によるものです。法令などの改正、前提事実や個人状況の違いや変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。 従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。