知らなきゃマズイ!?出産手当金と扶養制度の関係を徹底解説

出産を控えている人にとって妊娠出産に関するお金について、とても気になりますよね。出費も気になるところですが妊娠出産に伴い貰えるお金の事はもっと気になりませんか!?手続きのやり方次第で貰えるはずのお金が貰えなくなってしまっては後悔してもしきれません!今回は出産手当金を受給する場合の扶養制度について詳しく解説いたします。



出産手当金とはどのような制度?

まずはじめに出産手当金とはどういったものでしょうか。出産手当金とは女性被保険者が出産のために仕事を休んでいた期間の生活保障として給与の代わりに出産手当金が支給されます。これは正社員に係わらずパートやアルバイトや契約社員、派遣社員の場合でも会社の健康保険に加入していれば貰うことができます。逆に働くママであっても国民健康保険の場合は出産手当金制度がないため貰うことはできません!

出産手当金が貰える条件は、健康保険に1年以上継続して加入している被保険者が対象となります。被保険者が出産のために産休をとっている期間は残念ながらそのあいだの給与は殆どの場合、会社からは支給されません。そんな産休中の休業保障として貰えるお金が「出産手当金」なのです。

では会社を辞めずに産休をとるママだけが貰えるお金なのでしょうか!?いいえ、出産育児のために会社を退職する場合でも、以下の2点の条件を満たしていれば出産手当金を貰うことができるのです。

資格喪失後の継続給付制度

1.被保険者の資格を喪失した日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間があること
※健康保険任意継続の期間は除く

2.資格喪失時に出産手当金を受けているか、又は受ける条件を満たしていること。なお、退職日に出勤した時は、継続給付を受ける条件を満たさないため資格喪失後(退職日の翌日)以降の出産手当金は貰えません。

出典:

www.kyoukaikenpo.or.jp
出産手当金を貰える期間は、原則として分娩日前の42日と分娩日後の56日目までの98日間の範囲内で会社を休み、給料の支払いがなかった期間を対象に1日につき標準報酬日額の2/3に相当する金額が支給されます。仕事を休んだ日について給与の支払いがあり、その給与が出産手当金の額より少ない場合は、その差額を貰うことができます。

ここで重要になってくるのが、いつ、どの日に退職するかです。この退職日が後々ポイントになってくるので、出産を控え仕事を退職しようと考えている人は覚えておいてください。

また、出産手当金と出産育児一時金は同じと思っている方も少なくないでしょう。しかしこの2つの制度は別物です。出産手当金は会社の保険に加入し、働いているママ(働いていたママ)が対象となる制度です。一方の出産育児一時金は被保険者本人でなくても貰うことが可能です。

では次の項目で標準報酬日額の計算方法と出産手当金が実際どのくらいもらえるのか見ていきましょう。

出産手当金
参照元:全国健康保険協会(2015年12月時点、著者調べ)

標準報酬日額の計算方法

標準報酬額は月額・日額に分かれており出産手当金は日額で計算されます。標準報酬月額は第1級から第47級まで分かれており被保険者が会社から1カ月に受ける報酬額によりその等級が決まります。この月額を30日で割り日額に直して計算します。

例:標準報酬月額240,000円 第19級(標準日額8,000円)の場合

  1日につき8,000円×2/3=5,333円

この日額に基づいて対象の期間分の出産手当金が支給されます。

出産手当金が貰える期間は、最大で98日間となります。仮に上記の日額で98日間受給した場合はいくらになるでしょう。

日額5,333円×98=522,634円

こんなにたくさん貰えるのですね、受給資格がある人は必ず貰っておきたい金額ですね。

標準報酬月額・標準賞与額
参照元:全国健康保険協会(2015年12月時点、著者調べ)

受給するために最も重要なポイントは?

出産手当金を貰う場合にいちばん気をつけなければならないのが「退職日」です。退職日のにより出産手当金が受けられない場合があるのです。出産手当金を受けられる条件として退職日が出産日または出産予定日より42日(多胎の場合は98日)以内の期限にないと出産手当金は受け取れないのです。

妊娠中は体調がすぐれない時期もあり42日以前に産休に入りたい場合もあります。ですが、きちんと会社と相談し退職日をこの期間に収められるよう相談することをおすすめします。

また、もうひとつの条件として退職日に出勤してはいけません。退職日に仕事に就いていた場合、出産手当金が支給されません。

出産手当金を貰えるポイントをまとめると

・退職日までに1年以上継続して勤務していること(継続が重要)
・退職日が出産日または出産予定日より42日(多胎の場合は98日)以内であること
・退職日に出産手当を受給していること
・退職日に勤務していないこと

以上の4点がポイントです。
細かい取り決めがあるため混乱してしまいますが、ひとつひとつクリアして出産手当金を確実に受給したいですね。ご自身の出産予定日などから上記の日程を計算できるサイトがあります。とっても便利ですね。是非活用してみましょう!

産前産後期間計算ツール
参照元: 全国健康保険協会(2015年12月時点、著者調べ)



出産手当金は扶養に入っても貰えるの?

では退職したのを機に夫の扶養に入った場合は出産手当金は貰えるものなのでしょうか?

その答えは「NO」です。貰えないというよりも、出産手当金を受給している期間は扶養に入れないのです。出産手当金を受け取る全ての人が扶養に入れないわけではありませんが、出産手当金の1日あたりの金額が3,612円以上の場合、今後1年間の年間収入の見込み金額が130万円以上になるとみなす措置があるため、出産手当金の金額が3,612円以上の人は出産手当を受給している期間は扶養に入ることができません。

出産手当金とは、出産によりその期間働くことができないために給料が支給されない場合の休業保障としてもらえるお金です。よって給料が支払われている事と同様な扱いとなります。健康保険の被保険者になるには年収130万円未満の場合、扶養として加入できます。年収130万円を1日あたりに計算すると、130万円÷12カ月÷30日=3,611.111… 3,612円となります。よって日額3,612円以上の出産手当金を受給している期間は、扶養に入ることができないのです。

なかなか複雑ですね。知らなければ夫の扶養に入ってしまい出産手当金を貰い損ねてしまう可能性がありますね。では出産手当金を貰うために、扶養に入れない期間の保険加入はどうしたらよいのでしょうか!?次の項目で詳しくご説明いたします。

受給中の保険や年金について

退職後に出産手当金を受給する場合、受給している期間は扶養に入れないことが分かりましたね。ではその期間の保険加入はどうすればよいのでしょうか。もちろん無保険とはいきません。その期間にも体調を壊してしまうことも考えられますよね。ではどうすればよいでしょう。

その場合の選択として2通りあります。ひとつは退職するまで働いていた会社で健康保険の任意継続をするです。健康保険の任意継続とは退職などによって健康保険の被保険者の資格を喪失したときに、一定条件のもとに個人で継続して加入できる制度です。

もうひとつは国民健康保険に加入するです。

どちらを選ぶかはご自身での決定となりますが、保険料などがそれぞれ異なるので事前に会社の担当者やお住まいの市区町村の国民健康保険窓口に相談してみることをおすすめします。

もしも!間違った方法で受給した場合

出産手当金を受給する場合、本来であれば上記のとおり扶養に入ることはできません。しかしこのことを知らなかったり、手続き上の問題で扶養に入っているにもかかわらず出産手当金を貰ってしまった場合はどうすればよいのでしょうか。出産手当金を返金しなければならないの!?高額なので焦ってしまいますよね。そんな場合はどうすればよいのでしょうか!?

その場合の解決策として、まず夫の会社から健康保険へ扶養申請の取り消しを行ってもらいます。次に退職日の翌日から遡及して国民健康保険と国民年金に加入することになります。該当する期間の保険料を支払いし、出産手当金の期間終了後に夫の扶養として夫の会社の保険に入りなおすことになるでしょう。

よって、出産手当金はそのまま貰うことができ、誤って扶養として加入してしまった保険と年金について適切な処理を行うこととなるでしょう。

また、夫の会社から扶養手当てなどの手当金が支給されている場合があります。この部分は返金する必要がるかもしれません。この事実に気がついた場合はまず夫の会社の担当者やお住まいの市区町村に問い合わせてみましょう。



出産育児一時金は扶養でも貰えるの!?

出産手当金と混同されやすいのが「出産育児一時金」です。この出産育児一時金とはどのような制度なのでしょうか。扶養に入っていても貰えるお金なのでしょうか。

まず出産は病気ではないため保険がききません。その保険のきかない高額な出産費用に対して貰えるお金が「出産育児一時金」です。出産育児一時金は健康保険に加入している被保険者及びその被扶養者で妊娠4カ月(85日)以上の人が出産した場合に受給できます。

受給金額は一人につき42万円(産科医療保障制度の対象外となるお産の場合は39万円(平成27年1月1日以降の出産は40.4万円))が受給されます。多胎の場合は人数分の受給が可能です。

※産科医療保障制度とは万一分娩時に何らかの理由で重度脳性麻痺となった赤ちゃんが速やかに保障を受けられる制度で分娩を取り扱う医療機関が加入する制度です。

この出産育児一時金は健康保険から病院への直接支払いが原則となっています。手続きは病院で行い42万円を超えた場合、その差額を退院時に病院に支払います。逆に42万円未満の場合は手続きを行えばその差額分が振り込まれます。

出産育児一時金に関しては、出産手当金と異なり扶養の場合でも貰うことができる制度です。安心して出産ができるように設けられた制度なのです。

出産育児一時金
参照元:全国健康保険協会(2015年12月時点、著者調べ)

出産手当金の年末調整について

毎年12月になると会社員の方は年末調整の書類を提出をしなければなりませんね。年末調整は毎年行っていても、記入する際に分からない部分がどうしても出てきてしまいますよね。

では、出産手当金は所得に含まれるのでしょうか!?

出産手当金は非課税所得のため、所得にはなりません。非課税所得とは税金を課税されない所得のことをいいます。その種類は色々ありますが、出産に関する出産手当金、出産育児一時金、育児休業給付金は非課税所得となるので申告も不要です。

出産手当金や出産育児一時金などは金額が大きいため申告が必要な場合は配偶者控除が受けられないのでは?と心配になった方もいるのではないでしょうか。このような手当金は非課税所得になるので、他の部分で給与収入が103万円以下であれば配偶者控除が受けられますね。

妊娠後の仕事、あなたはどうする!?

妊娠・出産に伴い産休を取得する人、会社を退職する人と分かれるところでしょう。あなたはどちらですか!?会社での自分の役職や担当している仕事の内容、仕事のやりがいなど、また家庭環境によっても様々でしょう。しかし被保険者として会社に所属していることで妊娠出産にともない貰えるお金などを考えるとすぐに退職を決めてしまうのは勿体無いかもしれません!

妊娠中の体調や会社の環境にもよりますが、出産を経て仕事に復帰する事を視野に、まず産休をとるのがいいかもしれません。今まで保険料を支払い続けてきたことで以下の手当金が受給できる資格があります。

・出産育児一時金 
・出産手当金
・育児休業給付金

全てをあわせると月給にもよりますが200万円以上のお金がもらえることになります。なかでも育児休業給付金は育児休業中に雇用保険から出るお金であり、働いているママを対象にしている制度です。産後から最長で1歳6カ月までのあいだ収入をサポートしてくれる制度です。

理想と現実は異なることが多いですが、子供をもってからの自分の仕事観や家庭のことなど、先々を考え自分のライフスタイルにあった選択が出来ればベストですね!

出産手当金を貰うか、扶養に入るかの選択

いかがでしたか。出産手当金、特に扶養について詳しく調べてみました。

出産手当金を受給している期間は扶養には入れないようですね。しかし、標準報酬日額によっては出産手当を受給している期間も扶養に入れる場合もあるようなので、ご自身の収入で計算し自分の場合はどうなのかを妊娠初期から意識しておくことがよいかもしれません。

また、出産手当金を貰える条件を満たしていても出産手当金を貰うかどうかは本人の意思にまかせられています。出産手当金を貰わずに、夫の扶養に入る事も可能です。

ただし、出産手当金を貰っている期間に国民健康保険や国民年金に加入し、その掛け金を支払ったとしても、殆どの場合、出産手当金で貰える額のほうが多いのではないでしょうか。

出産手当金の受給方法を正しく知り、又所属の事業所の担当者と相談、確認しながら手続きすることをおすすめします。
※本記事の情報は、一般的または筆者個人の調査によるものです。法令などの改正、前提事実や個人状況の違いや変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。 従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。