扶養から外れるとどうなる?扶養の損得を知って賢く活用!

扶養に入っていると、お得!のイメージが定着していますね。たしかに結婚して夫の扶養に入ると、税制面で優遇措置を受けたり社会保険の保険料も負担が小さくなります。でも子育て一段落を機にいっぱい働きたい人もいるはず。「もし扶養から外れたらどうなるのかな?」一度、一緒に考えてみませんか?



1,夫の扶養に入るメリット

夫の扶養に入ると、金銭的なメリットは下記の4点になります。

・扶養者である夫が、配偶者控除や配偶者特別控除などの税制面の優遇を受けられる
・夫の健康保険に被扶養者として加入できる。夫が厚生年金の場合は、妻の保険料は免除される。ただし夫が国民年金の場合は、被扶養者の数に応じて保険料を支払うことになる
・夫が厚生年金に加入している場合、夫の扶養に入ると妻は国民年金の第3号となり年金の保険料が免除される
・企業によっては、被扶養者である妻に対して配偶者手当が支払われる

税制面の優遇ですが、一般的に扶養者が多い方が配偶者控除、扶養者控除などの優遇が受けられるため所得税額などが下がります。特に配偶者には配偶者控除、配偶者特別控除などがあります。

No.1191 配偶者控除|所得税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月時点、著者調べ) 健康保険料の額は、扶養者の収入の額によって決まります。被扶養者が何人いても扶養者が毎月払う保険料は同じです。ただしこれは厚生年金の場合で、国民年金の方は異なります。

夫が厚生年金の場合は、扶養に入ると妻の保険料は免除されます。夫の収入の額に対して保険料が決まるので、妻がいてもいなくても保険料は同じです。つまり夫が厚生年金の場合、扶養のときは妻の分は保険料は払う必要がありません。ですから夫は会社員や公務員の人は、かなり扶養のメリットがありそうです。

健康保険(協会けんぽ)の扶養にするときの手続き|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2015年12月時点、著者調べ) 企業によっては、扶養の配偶者がいると手当が出ます。額は数千円から2万円台まで様々です。ただ再検討中の企業も多いです。2015年にはトヨタが配偶者手当を廃止し、その代わりに子ども手当をこれまでも4倍にしたことで話題になりました。

トヨタ、配偶者手当廃止へ 子ども分を4倍増 労使合意:朝日新聞デジタル
参照元:朝日デジタル(2015年12月著者調べ)

www.asahi.com



2,夫の扶養に入るデメリット

メリットが多いとデメリットはあまり気にならないものです。扶養についても本来払うべきものを免除されているので、扶養という枠はメリットそのものです。強いて言えば、収入要件があるため収入を低く抑える必要があります。ですからガンガン働きたくても働けない事がデメリットでしょうか。

また、扶養の範囲で働くとキャリアを磨くチャンスが減るため、経済力が身に着かなくなるのではという懸念があります。夫ひとりの経済力を主体に生活設計を立てて行くことになります。

賃金の上昇カーブは、経済が成長している時代とは異なり堅調な上昇は期待できません。そこで女性に労働力としての期待がかかっていますが、扶養が足かせとなってガンガン働けないという現状を訴える声もあがっているようです。

3,扶養に入ってパートで働く

主婦パートというライフスタイル

扶養に入って、パートで働いている人はとても多いです。もともと家庭生活の空き時間の有効活用として仕事に出ることを前提にしているので、仕事時間は短いです。ですからパートの場合、働く時間を自分の都合に合わせて調整できるので大変便利です。朝9時から働いて、夕方4時ぐらいまで一日6時間程度の勤務です。買い物して帰宅して夕食の準備をして夜の7時には家族で食卓を囲むことが出来ます。ですから主婦としての仕事と並行して続けることが可能です。

またパートの場合は週5日ではなく、週3~4日ぐらいの人が多く、家庭の仕事や子育て、ボランティアなどと両立しやすいのが特徴です。通勤も自転車や電車ですぐに通えるところが多く、往復で1時間以内ぐらいが主流です。

週に4日ぐらい朝から夕方の早い時間まで働く。土日はもちろん、平日も1日は休み。仕事が終わったら家族の誰よりも早く帰宅する。主婦のパートとしてはこれが理想です。

扶養に入ったパートの収支

主婦パートの場合、仮に時給を900円としましょう。一日6時間で週4日とすると週24時間、月92時間とします。ですから月収は800円×92時間で82,800円、年収993,600円となります。

年収100万円以下であれば、ほぼ全ての点で扶養と見なされます。だから税制上の優遇を受け、社会保険の保険料も免除され、会社の配偶者手当ももらえます。また仕事も見つけやすく、通勤等のストレスもなく時間の無駄がありません。

しかも土日以外にも平日の休みがあれば、保護者会に出たりその他の用事に使えるのでワークライフバランスが取れます。主婦パートが社会に定着したのも「なるほど!」ですね。



4,扶養から外れて気になること

社会保険と勤務日数

扶養から外れるとなるといろいろ気になるものですが、最も気になるのが妻が自分で社会保険料を負担しなければならない点です。

例えば年金の保険料など、実際に自分で払うとなればいくらになるのでしょう?国民年金保険料は、収入の額にかかわらず15,590円です(平成27年度現在)。なお国民健康保険料ですが、これは市町村ごとに計算方法が異なるため、同じ収入でも額が異なります。自分の住民票がある市町村の窓口に行くと計算してもらえます。

国民年金保険料|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2015年12月時点、著者調べ) なお、事業主はアルバイトやパートであっても、勤務日数が通常の労働者の3/4以上ある人は厚生年金に加入させる必要があります。ということは一カ月に3週間以上ですから一日8時間で実働15日以上だと厚生年金に加入できる可能性があります。

厚生年金に加入させてもらえるなら、家族と話し合って真剣に検討しましょう。厚生年金に加入すると将来受け取る年金額が多くなるので、保険料が自身の負担でも厚生年金に入っておいた方が良いと考える人もいます。

人を雇うときのルール|厚生労働省
参照元:厚生労働省(2015年12月時点、著者調べ) 人を雇うときのルールについて紹介しています。

社会保険料、自己負担分はいくら?

それでは実際に年金と健康保険の保険料は毎月どのぐらい払うことになるのでしょうか?保険料は、協会けんぽのHPに都道府県別に最新のものが掲載されています。ぜひ自分の金額をチェックしてみて下さい。なお、保険料は事業主と折半になっていますので、自分が払う保険料は折半額を見て下さい。

厚生年金の場合は収入が増えると保険料も増えます。仮に年収240万円の場合は報酬月額が20万円ですから働く人が払う保険料は健康保険が9,970円、年金が17,828円で計27,798円(東京都)となります。月収20万円でこの金額は大きな負担ですね。

それでは月収18万円だったらどうでしょう?年収だと216万円になります。保険料は健康保険が8,973円、年金が16,045円で25,018円になります。

扶養から外れて年収200万円台になったとすると、自分が支払う社会保険料は毎月2万から3万円になりそうです。これまで免除されてゼロだったものが、本格的に働き始めた途端に毎月2万も3万も払わなければいけないと思うと心理的に負担感が強いですね。

健康保険・厚生年金保険の保険料額表
参照元:全国健康保険協会協会けんぽ(2015年12月時点、著者調べ)

5,扶養から外れて働く

考慮するのはこの3点

扶養から外れると、今まで優遇・免除されていたものを負担しなければなりません。

・夫の年末調整や確定申告の際、配偶者控除や配偶者特別控除を受けられなくなる
・自分の名前で年金や健康保険などの社会保険に加入しなければならなくなるので、毎月の保険料を支払うことになる
・夫の会社に配偶者手当がある場合、その手当がもらえなくなる

パートで週40時間勤務

フルタイムを一日8時間、週40時間、月20日勤務と考えます。時給900円でフルタイム働くとしましょう。時給900円×8時間=日給7,200円で、月20日間働くと、14万4千円になります。年収だと172万8千円です。社会保険料は厚生年金の場合で月々約2万円です。

もし月2万円の社会保険費を払ったとしたら、年24万円かかるので手取りが148万8千円。夫の会社から配偶者手当が月1万円出てたとしたら年12万円なので、差引は136万8千円。

同じ条件で、夫の会社から配偶者手当が月2万円だったら年24万円なので、差引は124万8千円になります。

この他に世帯主である夫が払う税金も配偶者控除等が受けられなくなるため、納める税額等が上がります。
こうして考えると、人によっては扶養から外れてパートでフルタイムで働いても手取りが極端に減るケースが考えられます。170万円稼いだのに、所得税や社会保障費を払い、配偶者手当がもらえなくなって実際の手取りが少なくなってしまっては、???と思うのも無理はありません。

パートの勤務時間を増やすときは、自分のケースでしっかり計算するのが肝心です。給与明細をこの際しっかりと研究するのが第一歩でしょう。

時給1,000円以上のアルバイトを探す!

時給900円のアルバイトで月20日間働くと年収172万8千円でした。それでは、時給1,000円だとどうでしょう?時給1,000円×8時間=日給8,000円、それを20日間にすると16万円、年収だと192万円になります。時給が100円高いだけで、年間19万2千円違ってきます。一カ月分も違ってくるのですね。

扶養から外れてアルバイトで頑張るならやはり時給が少しでも高いほうが良いようです。普段買い物で使っている100円とは価値が違います。その際気をつけたいのが、交通費です。最近は交通費込みで時給を設定する企業が増えています。

パートで頑張るなら

扶養から外れた方が良いか否かのボーダーラインは人ぞれぞれです。年収200万円を超えたら扶養を外れたほうが良いようですが、年収100~200万円の間ではその人の置かれている環境で変わります。ここまで見てくると扶養をめぐって二つの働き方が見えてきます。

・扶養の場合は週4日、1日6時間ほど働くのが理想的
・扶養から外れる場合はフルタイム頑張る、できれば時給1,000円以上

パートで扶養から外れる場合は、時間を増やすだけでなく時給アップも視野に入れましょう!

派遣や正社員で頑張る!

昨今は派遣で働く人も増えました。また長く働くとしたらぜひ正社員で復帰したい人も多いはず。ここでは派遣で時給1,500円で働くとしましょう。扶養から外れて派遣で働いた場合はどうでしょうか?

一日8時間、週40時間働くとして、20日で24万円になります。年収だと288万円です。厚生年金に加入すると社会保険の自己負担額は健康保険が11,964円、年金が21,393円で計33,357円になります。一年だと40万円ぐらいですね。これだと手取りが248万円ぐらいあります。

同じフルタイムでもパートより、派遣や正社員のほうが収入面では恵まれています。だから収入を増やすために働くなら派遣や正社員です。ただ派遣や正社員の場合は、通勤時間がかかるケースが多い、会社によっては退社時間が遅かったり残業などがある、など家庭生活への多少のしわ寄せを覚悟しなくてはいけません。家族の協力と理解が必要となるでしょう。

加えて仕事を見つける難しさも加わるようです。ブランクがあるとなおさらなので、その辺りは覚悟して臨んだほうが賢明です。

夫婦の役割分担も多様化し、夫だけが稼ぎ手ではなくなりつつあります。夫婦二人で働く事で世帯の金銭的な体力が増強されます。二馬力の経済力があれば、生涯にわたって豊かな生活設計を築く自信がつきます。そのためには、妻が扶養に入っている期間をなるべく短く切り上げることが必要となります。

6,扶養から外れるなら時期を見極める

結論から言うと、扶養から外れるという事はフルタイムで働くという事になりそうです。早い時期にフルタイムに復帰したい場合は、残業が少ないのはもちろん、通勤時間が短い事が成功の鍵ですね。

子供の帰宅時間は年令とともに遅くなっていくので、外で働きやすくなります。早く結婚して子育てが早く終わった人は30代や40代前半でフルタイムに復帰することも考えられます。周囲の協力が得られ、環境に恵まれればもっと早くも可能でしょう。もしいつかは扶養を外れてフルタイムに復帰するのなら、なるべくブランクが短いほうがスキルを維持する観点からも望ましいです。

もしキャリア形成や生計上の差し迫った必要を考えなくて良いなら、子育てが一段落する時期まで気楽に待つのも一策です。子供が中学に入ってから扶養を外れて本格的に働いたとしても、20年近く仕事が出来ます。扶養に入るか外れるかは、結婚した女性の仕事スタイルを応援する制度として賢く活用したいものです。