遺産相続に時効とは?期限と手続き方法についての説明

相続が発生したときには哀しみがいっぱいですが、遺産相続がある場合はゆっくりもしていられません。実は相続には時効があるんです。知らないと大変になることもありますよ。



相続とは

親や配偶者・子など、近い親族が亡くなったときに相続が発生します。遺産がある場合は、遺産についての手続きが必要になります。つまりこれが「相続」です。亡くなった人のことを「被相続人」といいますが、被相続人に遺産が合った場合、それを引き継ぐのかどうかを選択する必要があります。

今はまだつらいからそのうちやろう・・・では遅いのです。なぜなら、遺産相続の手続きには、それぞれ時効があるのです。一定の期間が過ぎてしまえば、自分の意志さえ通らなくなる可能性があるのです。

例えば、遺産相続をするにしても放棄するにしても、その期限内に手続をしないと、思わぬ事態が起こることもあるのです。

そのようなことにならないように、遺産相続の時効について確認しておきましょう。



相続申告のための必要な準備

相続税の申告をするまでには、さまざまな準備が必要です。被相続人の確認・遺言の有無・遺産と債務の有無・遺産の評価について・遺産の分割・相続税の申告と納税などの、6つの準備があります。

まずはその準備から確認していきましょう。

被相続人の確認

被相続人と相続人(被相続人の財産を受け継ぐ権利のある人)についての確認については、まず本籍のある自治体から戸籍謄本を取り寄せ、相続人は誰になるのかを確認をします。戸籍を確認することで、相続人の権利者がわかります。

遺言書の確認をする

遺言書については、まず有るのか無いのかを確認し、もし遺言書があれば開封をしないで家庭裁判所での検認を受けなければなりません。ただし、公正証書(公証役場で作成した遺言書)である場合は、家庭裁判所での検認は必要ありません。

遺言書はまず「開封をしない」ということが大切です。開封されてしまうと改ざんの恐れがあり、その遺言書が有効ではなくなる可能性がでてきますので十分に注意してください。

遺産と債務の状態の確認

被相続人が残したものは、遺産と債務に分かれます。遺産はその名の通り残された財産ですが、その財産の中には借金などの債務がある場合があります。その遺産と債務について調べて、一覧表や目録を作っておきましょう。

また、葬式費用などは遺産額から差し引くことができるため、その分相続財産が減らすことができます。領収書などでその費用を確認しておきましょう。

遺産の評価についての確認

遺産のうち、相続税がかかるもの(財産)についての評価は、相続税法・財産評価基本通達で決められて、一般に公開されています。この財産の中には、現金や預貯金などのほかに、不動産なども含まれます。それらについて、相続税法や財産評価基本通達を使って評価をしていきます。

遺産の分割の確認

遺言書があれば、基本的にそれに従います。遺言書がなければ、相続人全員での遺産分割についての話し合いをしていきます。話し合いが成立したら「遺産分割協議書」を作成しましょう。

もし相続人の中に未成年者がいる時は、その未成年者の特別代理人を家庭裁判所で選任してもらわなければならない事があります。その場合は、未成年の本人に代わって特別代理人が遺産分割の話し合いを行います。

期限までに分割できない場合もあると思います。そのときは、民法で定められている相続分で分割し、相続税の申告をしていくことになります。

相続税の申告と納税

ここまできてようやく、相続税についての申告と納税の手続きをしていきます。申告と納税の期日は、被相続人が死亡したと知った日の翌日から、10ヶ月以内となっています。

申告書の提出先や納税は、被相続人の死亡したときの住所を管轄している税務署となります。相続人の住所ではありません。そして相続税については、申告書の提出期限までに納めなければいけません。もし遅れた場合は、加算金や延滞金が発生してしまいますので注意してください。

納税が済めば完了となりますが、この手続の間で、さまざまな相続の手続に関する時効があります。

No.4202 相続税の申告のために必要な準備|相続税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

遺産相続に関する時効とは

ではまず、「時効」について確認しておきます。

「時効」とは、ある出来事が起こったときから一定期間経過することによって、その出来事に関する権利や主張が認められなくなることを言います。

よく聞くのは事件などの「時効」ですね。時効が過ぎてしまえば、その事件に関しての捜査は打ち切られ、解決するしないも被害者の気持ちも関係なく、訴えさえ退かれてしまいます。

遺産相続での時効は、その主張であったり手続であったりしますので、時効を過ぎてしまうと、自分が思ってもいなかった事態になってしまうことがあるのです。

相続に関する時効

相続が発生したときの「時効」があるものは以下の4つになります。

【1】遺産分割請求の権利
【2】遺留分減殺請求権
【3】相続放棄
【4】相続回復権

では、順番にみていきましょう。



【1】遺産分割の請求の時効

被相続人の遺言書がなかった場合に、残された相続人全員で遺産分割についての話し合いをしなければなりません。これは「遺産分割協議書」を作るために必要な話し合いです。そして遺産分割について申し出る権利を「遺産分割請求権」と言います。

「遺産分割請求権」については期間に制限はありませんので、遺産分割しないことにしても、その遺産の分割を請求する権利についての時効はなく、消滅しないのです。

しかし、遺産分割をしなかったとしたら、遺産はずっと相続人全員の共有財産となっている状態になります。例えば、自宅などの家屋なども同様に相続人全員の共有財産ということになります。その状態で、売却しようとした場合、全員の同意が必要になりますのでとても大変になってきます。

更にいえば、その相続人の内の1人が亡くなってしまった場合に、その財産について新たに相続が発生するという事態となるのです。こうなると、その相続人も含めての分割協議が必要になることになります。

法的な分割によって相続税を計算

分割協議で分割をせずにいると言うことは、簡単にいうと、とても面倒なことになるということです。

また、相続税の申告と納税については時効があるので、もし遺産分割協議で分割がされていない場合でも、延びるということはないのです。そのため、分割協議が成立していなければ、民法に規定している相続分などに従って分割をしたこととして、相続税を計算することになります。

ですので、遺産分割に関しては時効で消滅はしませんが、できるだけ早めに請求をした方が、相続人全員の為にも良いでしょう。

No.4208 相続財産が分割されていないときの申告|相続税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

遺留分減殺請求権について

まず、遺留分について説明をしておきましょう。遺留分とは、遺言の内容にかかわらず、一定範囲の相続人が最低限の相続を確保するための制度です。

そして、遺留分減殺請求権とは、遺産分割で遺言を残していた場合、遺留分を侵害していた相続だったとしても、それは無効にはなりません。しかし、遺留分の権利者が、遺留分について侵害されたと遺留分を請求することはできます。この権利のことを遺留分減殺請求権といいます。

遺留分減殺請求権についての時効

遺留分減殺請求権は、相続が開始したとき、または知ったときから、1年間この請求権での請求を行わなかったとき、または相続の開始から10年を経過したときに、時効によって消滅します。

例えば、子供が3人いる家庭で父親が亡くなったときに、長男のみに財産を相続すると遺言で残していた場合、残りの2人は「なぜ自分たちは相続財産が受け取れないんだ!」と憤慨することがあるでしょう。

そんな時に、残りの2人が遺留分減殺請求権で遺留分を請求することで、財産の遺留分は受け取ることができるというわけです。しかし、それを1年間行わなかったり、10年間知らなかったりした場合は、その請求権が時効で消滅してしまうのです。

もちろん放棄することも可能ですが、納得がいかないのであれば、早めに請求権を行使するのが良いでしょう。1年は思うほど長いものではありません。

相続の放棄について

相続財産を受け取ることも可能ですが、相続財産を放棄して受け取らない選択もできます。

例えば、財産があれば受け取れますが、マイナスの資産、つまり借金などが残される場合もあります。その場合は相続をすることで、その借金も相続することになるのです。そして、相続をした人はその借金を返済する義務が発生します。

企業などの場合は、それを全て含めて受け取らなければならない事が多いのですが、個人の場合はマイナスが大きいのであれば、相続するメリットがない場合もあります。

そのようなときに、相続の放棄をすることができるのです。もちろん進んで負債を請け負う人は、ほとんどいないと思いますが・・・。放棄できるなら安心ですよね。

相続の放棄の時効

相続の放棄には期限があります。それは、相続が開始を知ったときから3ヶ月間なのです。かなり短いですよね。しかし、負債があるのにそのまま放棄せずにおくと、3ヵ月後には負債を背負うことにもなりかねません。

相続財産の確認をしたときに、多額の負債があることがわかったのであれば、すぐに放棄の手続をした方が良いでしょう。特に、もともとの相続人(配偶者や子)が相続を放棄したときは、その次に相続の権利のある親や兄弟へ相続が移ることになります。

親族関係の方が、知らないうちに負債を背負わないように、負債の相続があると知ったときは、できるだけ早く相続放棄の手続をするべきだと思います。

相続放棄と相続税の納税猶予|相続税・贈与税目次一覧|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

相続回復請求権の時効

相続回復請求権とは、相続人ではない人が相続をしてしまったときに、本来の相続人は財産を相続できずにいた場合、相続人ではない人に対して、相続人は相続財産の請求ができる権利のことをいいます。

そして、この相続回復請求権の時効については、その相続が相続人ではない人に、侵害されていると知ったときから5年間となり、また相続開始からは20年間となっています。

この侵害を回避する為には、相続権を侵害されている相続人は、相続を侵害している人に通知をする必要があります。相続に関して、相続人ではない人が関わる場合はこの権利と時効を知っておくことが大切ですね。

税金の申告

相続に関係する税金としては、相続税や所得税の申告期限です。この期限を過ぎてしまうことで、時効にはなりませんが、加算金・延滞金などが発生してしまうため、注意が必要です。

■相続税
相続に関わるものの代表は相続税になりますね。相続した財産を全て申告しなければいけません。この申告の期限は、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月となります。

■所得税
相続財産の中に収益の出る不動産などがあった場合、被相続人は収益を得ていたと思われます。そういった場合は、被相続人の所得税は、相続人が申告することになります。これは、所得税の準申告というものです。

No.4205 相続税の申告と納税|相続税|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

民法上の相続人が不存在の場合の準確定申告の手続|所得税目次一覧|国税庁
参照元:国税庁(2015年12月、著者調べ)

まとめ

相続に関しては、難しい用語やわかりにくい制度になっていますので、なかなか素人だけでは処理ができるものではありません。しかし、基本的な事項だけでも知っておけば、いざというときに安心ですよね。

特に、時効や期限のある申告や納税、遺留分の請求権、時効は無いけれども放っておいたら面倒なことになる遺産分割などについては、大変重要なポイントになってくると思います。

また遺言書については、もしあるのであれば「開封をしないで」家庭裁判所へ持っていかなければならないことも覚えておきましょう。

遺産相続をするということは、大切な方が亡くなって悲しみに包まれている状況であると思います。しかし、泣いてもいられず、こういった相続税に関してのやらなければならないことは、山のようにあるものです。

時はあっという間に過ぎてしまうもの。残された方が大変な目にあわないように、遺産相続の時効については覚えておくと、いざという時に役に立つと思います。 本記事の情報は、一般的または筆者個人の調査によるものです。法令などの改正、前提事実や個人状況の違いや変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。 従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。