お布施の相場はどのくらい?手近な金融サービスから読み解く

お葬式を出す時にお坊さんに包むお布施。お布施は気持ちと言われていますが、そこに戒名が絡むことによりある程度の相場が決まります。お布施の相場について、金融サービスを資料に考えます。



お布施の相場を考える

お布施とは、葬式の時にお坊さんに渡す心ばかりのお金のことです。

あくまでお布施は気持ちとお坊さんは言いますが、仏教式でお葬式をする場合はこのお布施が必須となります。しかし、必須でありながら「心ばかり」であるため、じゃあいくら渡せばいいの?と疑問に思いますよね。しかし、気持ちでありますから、本当のところ「いくら」と決まっていないのは難しいところです。

今回は、気持ちと言われるお布施をいくらに換算するべきか?世間一般の相場はどのくらいか?を手近な金融サービスから読み解いてみます。

葬式関係のお金

葬式に関するお金は、大きく二つに分けることができます。立場によってお金が変わりますから、この二つというのは、一番大雑把な種類分けではないかと思います。

一つに、葬式費用。これは家族を亡くした側が捻出するお金です。葬式だけでなく、法事や葬儀関連の諸費用、葬儀に近い地域特有の行事などの費用もこちらに含まれます。

もう一つに、葬式に呼ばれる側の費用です。葬式や法事に呼ばれると、喪主または受付けに香典をお渡しすると思います。呼ばれた側が呼んだ側に渡す。これがもう一種類のお金です。地域特有の葬祭行事の際に主催や呼んだ側に渡すお金もこの渡すお金です。お布施はお坊さんに渡すお金ですから、前者の葬式を主宰する側が出費するお金です。

葬式を催す側が捻出する費用と、呼ばれた側が渡すお金。葬式には二種類のお金があるわけです。筆者の家はクリスマスにケーキを食べる適当な家ですが、葬式や埋葬は仏教式です。御霊前やご仏前については当たり前のこととして育ったのですが、知人には代々神道式で葬式をあげる家に生まれた人、キリスト教式で葬式をあげる家の人がいます。二人にとっては御霊前やご仏前は「へー、うちと違うね」という話でしたので、まず初めにこの部分を解説させていただきます。

ちなみに、神道式とキリスト教式も、葬式に呼ばれたらお金を包むことになります。ただし、同じキリスト教式や神道式でも葬式の仕方やお金の包み方には差があるとのことでした。今回のテーマは「お布施」ですので、仏教式の場合ですから他の式ではどうするのかについての説明は割愛します。神道式やキリスト教式のお葬式に呼ばれたらどうするの?という方は、参考にできるサイトへのリンクを貼っておきますので、ご確認ください。

宗教によっても違う?仏式、神式、キリスト教の表書き
参照元:小さなお葬式(2016年1月、著者調べ)



香典の相場

葬式に呼ばれた時の香典の相場についても少し解説を加えておきます。ただし、お布施はお坊さんに渡すお金です。お坊さんにお金を渡すのは葬式を主宰する側であり、呼ばれた側ではありません。呼ばれる側にとってお布施は関係のない話です。しかし、同じく葬式に関係するお金として、少しだけこちらの相場もご説明しましょう。

相場は帳簿で把握

葬式に呼ばれてから「御霊前をいくら包めばいいの?」と悩む前に、対策をしましょう。実は、御霊前やご仏前に関しては、古くから行われてきた相場対策があります。筆者の家でも曾祖母の時代から行われていました。

自分の家で葬式があったら、手を合わせに来てくれたお客さんの名前と住所、その方が包んできた金額をノートに記載しておきます。花輪などの物もいただいたなら、物(金額換算できないのでそのまま物品名でよし)の名前も記載しておきます。そして、後に親類縁者の葬式に呼ばれたら、その方がこちらの葬式に包んできた金額とまったく同じ額を包みます。

世間的な相場ではなく、包んできた額をそのまま返す。地域によって金額差があってもこれで解決することが多いです。

人生の先輩方に御霊前や御仏前の相場について尋ねると、たいていはこの方法を指示されます。実際に、若い方でもまめに記載してらっしゃる方もいますから、そういう方が前に葬式に一万円を包んできたなら、その人の家族の葬式に対しても一万円を包むのが基本です。また、お金だけでなく花輪などの物も一緒にいただいたなら、同じく何か物を添えることが基本です。物は近くの仏具屋さんに駆け込めば葬式に間に合うように発送含めて手配してもらえます。

一万円までの金額を包む場合は、シンプルな封筒(印刷されているもの)を使うのが一般的です。額が大きくなるにつれ、同じ黒白の封筒でも立派な飾りのついたものにグレードアップさせて使います。

まだ結婚したて、社会に出たてでさほど親戚つき合いもないという場合は、こちらが先に呼ばれてしまえば資料がありませんから基礎になる帳簿や金額がありません。そんな時は自分の両親や義両親に相談すれば「前にいくら包んでもらったからそのくらい」と帳簿に記載していることがありますから資料になりますし、なくればないで、世間一般の相場金額を包めば問題ないかと思います。また、義姉や義兄、自分の兄弟姉妹が同様に葬儀に呼ばれているなら、金額を尋ねても良いでしょう。

葬式に包むお金の相場はこちらが参考になります。

宗教によっても違う?仏式、神式、キリスト教の表書き
参照元:小さなお葬式(2016年1月、著者調べ)

葬式費用とお布施の相場

次に、お布施を含む葬式を主宰する側が捻出する費用の話です。

葬式を出す時は、葬式会社に見積もりを出してもらうのが一般的です。葬式はこの見積もりを中心に費用を工面するのですが、気をつけなければならないのは、この見積もりに含まれていない費用がけっこうあるということ。お布施もその一つです。葬式会社に葬式の見積もりを出してもらって100万円で出て来ても、そこには基本的にお布施の金額は含まれていません。ですから、葬式費用に加えてお布施、その他細々とした費用が葬式費用になります。

葬式費用に含まれるもの

葬式場の利用代、火葬場との往復の車代、遺骨や遺体の安置代。これらは費用に含まれているようです。ただし、飲食代は含まれている場合と含まれていない場合がありますので要確認です。

お布施は基本的に含まれていないため、お坊さんに足を運んでもらう度に何らかのお金を包むことが基本です。火葬、通夜、お葬式、法要でそれぞれお経を読んでもらいますから、お金も別々に包みます。「四十九日までの分を一括でいいですか?」「分割払いでいいですか?」と言っても「いいですよ」というお坊さんはまずいないと思いますので、それぞれの相場金額を別に確認し、お布施として用意します。葬式会社の見積もりに含まれない金額として最も大きい支出がこのお布施になるでしょう。

お布施の相場

お布施の相場は15万円から40万円くらいと言われています。お布施の中に戒名代が含まれていることが基本ですから、戒名代を含んだ気持ちばかりの金額を包むことになります。

戒名はランクによって金額が変わります。一番良いランクのものをつけてもらった場合はお布施だけで100万円以上という場合もあります。中ランクの戒名代を含んでお布施を渡す場合は25万円から40万円くらいになります。中には定額サービスを行っているところ(葬儀会社側から一定額で依頼され、引き受けるお寺が多い)もあるようですが、どこかのお寺の檀家として葬式を出すにはこのくらいの額が必要なようです。

お布施の金額は戒名不要または別途請求の場合から最上級の戒名をつける場合で大きく異なり、10万円から100万円以上の間で変化すると考えるのが良さそうです。

戒名料はランクにより2~100万円!?戒名をつける相場と基準とは
参照元:小さなお葬式(2016年1月、著者調べ) また、このお布施に葬式費用が加わり、雑費用(ローソクや線香の買い足しなど)が加わって、葬式の際に捻出すべき費用になります。加えて、今後の法要ごとにお坊さんに渡すお金がどんどん加算されてゆくことになります。人一人が亡くなるということにはとてつもなくお金がかかるということですね。



お布施の相場を金融から読む

このようにお布施の相場には家々でかなりの開きがあることになります。家族形態が同じでも、戒名をどうするかによって「うちはお布施に30万円包んだよ」という家もあれば、「うちは100万だったよ」という家もあるわけです。

金額の違いは戒名だけではない

しかも、金額の違いは戒名のランクだけでなく、地域性によっても異なります。例えばお布施だけでなく足代で一万円包むのが当たり前、お布施の他にお坊さんにお酒を持たせるのが当たり前という地域もあります。そうすると、その地域はお布施の他に足代やお酒代が加わることになりますから、お布施プラスアルファとして金額が相場よりもかなり高くなってしまいます。

また、宗派によって同じランクの戒名をつけるとしても金額が異なることもあります。ある宗派では最高ランクの戒名で100万円が相場なのに、ある宗派ではそれ以上の金額が求められることもあります。お布施はあくまで気持ちと言いますが、ぜんぜん気持ちじゃないことがよくお分かりいただけると思います。

相場の資料1・ローン

この相場を読む上での一つの資料が、各地方銀行が提供している葬式用のローンになります(ない銀行もあります)。このローンは、葬式費用を工面するためのサービスで、中には当然ですがお布施も含まれます。お布施を含んで葬式代が総額いくらになるかを計算し、お金を借りることができます。

葬式の相場自体がどのくらいになるかを判断するには、その銀行で提供している葬式用ローンの上限額がいくらに設定されているかをまずチェックします。銀行がローンサービスを作る時は必ず市場調査をします。地域で葬式のどのくらいかけているか、葬式会社に依頼すればどのくらいかかるか、お布施にどのくらい包むかを調査した上で上限額を設定しています。つまり、葬式用ローンの最高額は、銀行が考える「一般的なお葬式は最高でもこのくらいの金額でしょう」という目安になっているのです。

もちろん、芸能人のお葬式のように何百人も呼んでとなれば話は変わってきますが、普通のご家庭の場合は、この葬式用ローンでどのくらいの金額を貸し出しているかが参考になります。

メモリアルローン|多目的ローン(フリーローン)|千葉銀行
参照元:千葉銀行(2016年1月、著者調べ) 参考例として千葉銀行のローンをご紹介します。上限額を確認してください。500万円になっています。こちらはお墓にも使えるローンですから、お墓の相場として200万円を引き、残りの300万円を葬式にかけることのできる費用上限として検討します。

葬式自体の相場は、大きな葬式会場(ホール)を借りる場合で100万円から200万円と言われています。家族葬と呼ばれる大きな会場ではなくシンプルな座敷で執り行うタイプは20万円から50万円、ちょっと豪華にして70万円から80万円、後は呼ぶ人数次第と言われています。残りのローン部分で雑費とお布施を担保すると考えれば、葬式代を引いてしまえば大体の額が出るのではないかと思います。

ホールタイプで大きな葬式をした場合は、お布施に使えるとして100万円あるかないか。小さなお葬式の場合は、そもそもローン限度額まで借りられることはないかと思いますから、やはり世間一般のお布施と同じくらいの相場を銀行側は見ていると言えるのではないでしょうか。

このように、葬儀関係のローンから相場を読み解くことができます。

相場の資料2・保険

ローンの他に相場の資料になるのは、葬式代を捻出するために加入する保険です。毎月一定額を保険料として支払い、積立する形で葬式費用が下りるタイプの保険です。

加入は一口、二口と口数で加入することがほとんどで、数年積み立てることにより最高額が下りるようになります。例として「毎月2,000円の保険料を支払い、五年積み立ててゆくことによって葬式時に70万円を支払いますが、五年経過前に亡くなると満額の70万円ではなく36万円や50万円など、積み立て状況によって金額が変わります」というタイプの保険です。

こういった保険の保険金請求は葬式費用の領収書を添付するタイプと、死亡が確認できたらすぐに保険金が下りるタイプの二つがあります。前者は葬式をした人が費用を先払いするタイプで、後者は葬式費用を葬式会社に支払うに先立って振り込まれるタイプです。

これらの保険金支払い申込用紙には、お布施をいくら包んだかを記載する欄があることが多いです。お布施がいくらまで保険で担保できるか決まっていることも多いです。筆者が確認したところ、一口で50万円から70万円くらい下りるタイプの保険で、保険金請求用紙に記載できるお布施の金額は30万円でした。お布施は30万円まで担保できるということです。

保険会社のサービスも世間一般の状況を確認して設定されていますから、50万円から70万円くらいの葬式の費用の中でお布施は30万円くらいまでが妥当と考えているのではないかと思います。世間一般ではお布施は25から40万円くらいが相場と言われていますし、宗派によっては中程度の戒名を付けるためにはこのくらいの金額で済むようです。保険会社もそのように想定しているようです。

終身保険どなたでも|終身保険は、アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)
参照元:アフラック(2016年1月、著者調べ)

お布施を安く済ませるには?

安く済ませるという思考が一種の罰当たりのような気がしますが、それでも、お布施だけで100万円なんて簡単に包めるものではありません。しかし、お寺の墓地に埋葬するためには戒名は必須なのです。戒名がいらなければその分お布施は安く済みますが、お寺の墓地自体が仏教式ですし、戒名代は今後の管理費にも使用されるとのことで、「なしでお願いします」とは言えません。ただし、戒名を安く済ませる方法自体はあります。

戒名をつけない

お寺の墓地に埋葬するためには戒名が必要です。しかし、市町村が管理する霊園、宗教や宗派を問わない霊園は戒名が必須ではありません。仏教式であげても霊園に埋葬する時は戒名を必要としない時がありますから、どこかの檀家になっていないお宅やこれから墓地をどうしようか考えているお宅は、お寺の霊園ではなく、市町村や、宗教や宗派を問わない霊園を検討するのが良いでしょう。

仏教式以外でお葬式

神道式やキリスト教式でお葬式をすると、戒名が必要になりません。お寺の檀家になっていないのなら、別の様式でお葬式を上げてしまうのも手です。

ただし、戒名代分は安く上がりますが、葬式会社が提示する葬式費用は仏教式とあまり変わらないようですよ。葬式会社によっては仏教式と神道式の違いはホールの祭壇を組み替えるだけというところもあるようですから、葬式場自体の使用料は変わらないようです。また、神道式の場合も神主さんにお金を包むことになりますから、あくまで戒名代だけが安くなるという感じです。

定額サービスの利用

大手の葬式会社では、戒名代を比較的安く設定しています。お坊さんと提携を結んで、「あなたのお寺を使いますからこの金額でやってください」というサービスを提供しているのです。定額サービスだとかなり安くやってくれます。

戒名授与を家計に優しい価格で実現|お坊さん便
参照元:お坊さん便(2016年1月、著者調べ)

葬式の寺院手配[お布施は全国定額]|葬儀・葬式なら小さなお葬式
参照元:小さなお葬式(2016年1月、著者調べ)

安いことのデメリットと総括

お布施は葬式場の見積もりには含まれていません。葬式費用にプラスする形で独自に見積もることになります。そして、お布施には基本的に戒名代が含まれています。この戒名の部分をどうするかによって金額が大きく変わります。

戒名を含んだお布施の世間的な相場が15万円から40万円。地域によってはさらに足代やお酒代が加算される。これがお布施の結論です。保険会社の葬式費用捻出用の保険でも、一般的なお布施はそのくらいで見積もっているようです。

戒名をつけない、定額サービスを利用する。こういった方法でお布施は安く済ませることができますが、そこには当然デメリットがあります。

一つに、戒名がなければお寺の墓地に埋葬できないというデメリット。これは宗教や宗派を問わない霊園に埋葬することで解決しますが、今までお墓がなくて今回新たに霊園の敷地を借りてお墓を立てるというならいいのですが、既にどこかのお寺の檀家である場合は、結果的にお墓を二つ管理しなければいけなくなるので面倒です。その分費用もかかります。

二つ目に、既に関係のあるお寺との関係が悪くなるということ。どこかの檀家だった場合、戒名を付けるのが嫌だからと神道式でお葬式を出せば、お寺との関係は悪くなります。誰がどんな信仰を持ち、どんな葬式を望んでも自由であるはずなのですが、世の中はそれだけでは割り切れないようです。お墓を移すためにも今お墓のあるお寺の住職に一筆書いていただかないと移せませんから、関係悪化は避けたいところです。

お布施の相場問題。色々な方面から切り込んでみると、なかなか根深い話なのだなと唸ってしまいますね。