手術費用が不安な方へ|安心して治療する為に知っておきたい知識

■手術と聞いた時にどのようなことを思い浮かべますか。気になる手術費用、この記事を読むだけで一通りのことが分かるように説明します!



手術とは?

そもそも手術とは何を指すのでしょう?

治療の目的で皮膚あるいは粘膜,その他の組織を切開して,なんらかの操作を加えることを手術という。日本でいう外科にあたる欧米語は,ラテン語のcheirurgia(〈手のわざ〉の意)に由来するので,外科の代表的なものが,手を血でよごして治療する手術であるということになる。かつて手術は,主として体表面の病巣に対して行われたため,外を治療する,すなわち外治という意味での外科を代表して内科medicineに対してきた。

出典:

kotobank.jp
皮膚、粘膜等を切り開いて治療することを手術と言うのであれば、切り開く大きさ、深さ、体の部分によって色々あることが容易に想像できます。手術とは軽いものから命に関わるような重いものまで本当に幅広く様々であることがわかります。



保険が適用される手術とそうでない手術

さて、手術が幅広い分野にまたがることがわかったところでもう一つ触れたいのが皆さんが病院で出すあの「保険証」が使える治療とそうでない治療についてです。 例えば、インフルエンザのワクチン。A病院では2,500円、B病院では4,500円と全く同じワクチンを打つのにお値段が違うことってありませんか。予防接種でも国が定めたものは保険診療で受けられますが、そうでないものは、市区町村が独自に助成してくれているところなどを除き、患者が100%自己負担する診療になります。 実は、保険証が使える診療は、病気やケガをしたときの治療を対象としています。このため、日常生活に何ら支障がないのに受ける診療(美容整形、打っても打たなくても命の存続に関わらない予防接種など)に健康保険は使えないルールになっているのです。 保険が適用されるものについては、国民健康保険や会社の保険組合などから治療費の7割が支払われるので、勝手に病院が診療費を決めてしまったらその診療費の7割を負担する保険では支払えなくなってしまいますよね。よって、厚生労働省は保険に関わる費用を「診療報酬」としてある程度決めてくれています。 さて、保険が適用されるものについては費用のガイドラインがあるのに対し、適用外のものについては病院の判断で治療費が決められます。なので、任意接種のインフルエンザワクチンや、美容整形の費用には病院によって値段が大きく変わってしまうのです。 今回の手術費用についても病院によって値段が大きく異なるものについては比較することが難しいので、生きていくために必要な治療として行われる手術にフォーカスして費用について触れたいと思います。

また、「手術」とは大なり小なり体にメスを入れることです。最近では傷が目立たないものもたくさんありますが、体に傷を負うこと、内容によっては術後の回復が大変なものもあります。「手術」については本当に必要なものなのか、費用だけではなくその後のリスクも念頭において臨んでもらいたいと思います。

手術費用一覧

病院を受診した後にもらえる「診療明細書」には、何の治療にいくらかかったのか、が記されていますが、医療の現場では、その「いくら」を点数で表します。例えば、外来診療:73と表記されていれば、1点を10円とするので730円かかったことになります。 以下のサイトでは各手術の診療項目ごとに点数が示されています。

手術 | 平成26年度診療報酬点数 | 今日の臨床サポート
参照元:今日の臨床サポート(2016年1月時点著者調べ) 手術別の診療報酬がわかります。 さて、手術費用がわかったところで、実際に病院の窓口で支払う金額はこの点数表に記されている金額だけでしょうか。いきなりメスを入られたら痛いですよね。ワクチンの注射ですら体がこわばるのにナイフで刺されたらじっとしていられるわけがありません。 また、表面に見えている箇所の治療ならどこにメスを入れるかわかりますが、体の中の場合はどうやってメスを入れるところを見極めるのでしょう? そう、手術とは単純に「手術だけ」、というわけにはいかないのです。痛みを感じないよう「麻酔」が必要になりますし、どこを切るかを判断するための「検査」も重要になってきます。交通事故などによる緊急手術を除き、手術前の健康状態も確認されます。部位によっては事前の、または、術後の「入院」も必要になります。 手術とそれに伴う他の医療費について以下に記します。

■初診料:患者がその医療機関で、初めて医学的な診療行為を受ける際に請求される診察料のこと。病院によって紹介状の有無でも金額が変わります。
■投薬料:使用される薬剤や投薬などの料金。
■注射料:静脈注射や点滴注射などの料金。皮下注射、筋肉注射、静脈注射、点滴など。
■処置料:傷の手当、ガーゼの交換や、吸入などの患者を処置した時にかかる料金。
■手術料:手術を行った時の料金。外科手術、内視鏡手術、縫合、脱臼の整復など。
■検査料:血液検査、生理機能検査(心電図など)、内視鏡検査(胃カメラなど)などの検査料金。画像診断料、レントゲン写真、CT、MRIなどの撮影料金。
■リハビリテーション料:理学療法士などの専門家によるリハビリを受けた時にかかる料金。
■入院料:入院した時にかかる基本料金。看護師の看護料やベッド代が含まれる。
■診断群分類(DPC):病状や治療内容に応じた分類ごとに定められた1日あたりの定額の点数。



症例別に見る費用の概算

入院する期間や施す施術によっても費用は異なるので症例別に大まかな費用の概算を公益社団法人全日本病院協会が公表しています。加盟している病院が提示した医療費の平均値ということなので一部症例別に抜粋してお知らせします。(下記リンク元参照)
ここに記す金額は手術費用だけでなく、先に述べた入院費などすべての医療費の合算値になります。また、あくまで平均値なので同じ胃がんでも個々の状態によって施される治療は異なることを念頭に読んでいただければと思います。

がん

胃の悪性新生物:930,303円
結腸の悪性新生物:959,656円
直腸の悪性新生物:1,209,428円
気管支および肺の悪性新生物:800,698円

脳に関わる疾患

脳梗塞:1,403,426円
脳出血:2,130,809円

肺に関わる疾患

肺炎:602,578円
喘息:303,617円

心臓に関わる疾患

急性心筋梗塞:2,080,338円
狭心症:710,294円

内臓(胃腸、泌尿器)に関わる疾患

糖尿病:565,571円
胃潰瘍:513,822円
急性腸炎:247,052円
急性虫垂炎:542,440円
胆石症:757,202円
前立腺肥大症:523,910円
痔核:316,928円
子宮筋腫:732,721円
腎結石および尿管結石:380,950円

骨、骨格、神経に関わる疾患

大腿骨頸部骨折:1,898,817円
膝関節症:2,036,952円
鼠径ヘルニア:353,497円

医療費:医療の質の評価
参考元:公益社団法人全日本病院協会(2016年1月時点 筆者調べ) 日本全国の病院のうち、約4分の1が加入している「全日本病院協会」。所属する病院の疾患別医療費の平均が4半期ごとに記されています。

手術費用を抑える方法

医療費だけを見ると、本当に高額なことがわかります。こんなに支払えない、と、思った方も多いかと思いますが、ここからは患者さんが実際に窓口で支払う金額について説明したいと思います。「保険」や「高額医療養費制度」を利用することで費用は安くなりますから安心してください。

保険証

病院に提示することで適用診療であれば自己負担分は3割(乳幼児2割、60歳以上は収入によって個別差あり)になります。これは、手術などでも命の存続や健康の維持という名目における治療になるので一部を除き保険が適用になります。 乳幼児の場合、都道府県が発行している乳幼児医療証があれば2割分も負担ゼロになります。ただし、地区によって適用される年齢が何歳までなのか異なります。また、特定承認保険医療機関などでは乳幼児医療証があっても病院によっては初診料が取られるケースがあります。 また、差額ベッド代や食事料など、保険が適用されないものについては実費を支払うことになります。これは乳幼児医療証がある乳幼児であっても同じなので、入院を伴う治療の場合は何らかの費用が発生することになります。しかし、医療費の全容の中からたった3割、乳幼児の場合は病院での生活に関わる部分の費用だけで良くなると思うと、保険証は大きな味方に違いありません。

高額医療養費制度

手術のように高額の医療費を支払った場合には、自分の保険証が発行された場所に申請するとお金が戻ってくる仕組みになっています。

高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)とは、公的医療保険における制度の一つで、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、暦月(月の初めから終わりまで)で一定額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。

高額療養費では、年齢や所得に応じて、ご本人が支払う医療費の上限が定められており、またいくつかの条件を満たすことにより、さらに負担を軽減する仕組みも設けられています。
(参照元:厚生労働省HP 2016年1月筆者調べ)

出典:

www.mhlw.go.jp
下記サイトでは高額療養費として、窓口で支払った額に対していくらお金が戻ってくるのか試算できるようになっています。例えば、先に記した急性心筋梗塞で2,080,338円の医療費がかかったとします。もし、ここに差額ベッド代や食事が含まれていたらそのような保険適用外の項目分は引いて計算しますが、この金額にはそれが含まれていないものとして計算してみましょう。 2,080,338円には先進医療が含まれていない全額保険適用の治療と考えた場合、健康保険により3割負担の場合の支払額は624,102円(小数点切り上げ)。下記サイトの計算式にこの金額を入力して、自分の収入が高額でも低額でもなく平均的な場合の払い戻しされる金額を試算すると525,868円となります。 つまり、以下のようになります。

・624,102円(医療費の3割負担分)ー525,868円(高額療養費)=98,234円(実際に支払う医療費)

200万円以上した医療費が10万円以下になるのですから有難い制度です。この申請については、病院で手術を受ける時に多くの場合、病院から話があるものと思われます。ただし、払い戻しまでの期間が3か月と間が空くので支払については加入している健康保険に相談してみることをおすすめします。払い戻しされるまでの間、無利子で貸与してくれる仕組みもあるそうです。

高額療養費簡易試算(平成27年1月診療分から:70歳未満用)
参考元:全国健康保険協会(2016年1月筆者調べ)

医療保険

先に保険証が適用されない治療行為については全額自己負担、と記述しましたが、実は、医療の技術が日進月歩向上している現代において、先進医療とされる治療行為も全額自己負担になるケースが多いのが現実です。 先進医療については、平成16年12月より、保険診療との併用が認められるようになり、患者さんは従来の保険適用の治療と適用外の治療を同時に受けることができるようになりました。この先進医療の有効性及び安全性を確保する観点から、医療技術ごとに一定の施設基準が設定されました。それ故に、病院がこの医療技術を使用するには申請と報告が必要になっています。 がんの治療などある程度の有効性が確認されているものについては、症例別に診療報酬が定められていて医療費がかかりすぎることを防ぐ対応もなされています。また、安全性が確認できれば保険診療へと移行していっているものでもあります。つまり、病を治癒するための先進医療についてはどの病院もが取り入れられる医療ではなく、美容整形などとはまた違った処遇のある医療と言えるかもしれません。
  とはいえ、先進医療を使うと医療費が高くなる現実は変えられません。そこで、最近では、これら先進医療であっても給付を受けられる医療保険商品(先進医療特約付き商品)などが出ています。最近では病気に掛かってしまったあとでも入れる引受基準緩和型の保険もありますが保険料は割高です。自分の家系で三大疾病にかかった人がいるなら医療保険についても考慮し有効に活用しましょう。 手術によって健常者と同じように生きる道が与えられたとしても、多くの場合、アフターケアが必要になってきます。診察や検査でなく、抗ガン治療など、定期的な治療が必要な場合は保険証や高額医療養費制度があっても医療費が嵩んでいくのでこれも医療保険でカバーしたいプランの一つだと言えるでしょう。

病院の選び方

腕の良い執刀医がいてチーム体制が良い病院を選ぶ

これは、筆者の経験談でもありますが、同じ病院であっても執刀医によってレベルがあることは知っておくべきだと思います。人間、何事も経験です。メスの入れ方一つで傷の治りが早かったり遅かったりしますから、術後の回復、という面でこれは大きな要因になります。 でも、残念ながらどのドクターベストか、というのは分からないことも多いですし、希望を出したところで執刀医などは病院側が決めてくるものであります。となると、こればかりは運に頼らざるを得ない場合もあるかもしれませんが、一つの目安として、チーム体制が整っている病院をおすすめしたいと思います。 腕の良い執刀医がいるところは、ワンマン経営のところもある反面、その技術の継承に力を入れているところも多く、チームで手術に臨んでくれるところもあります。万が一新人さんが執刀医になっても、そのようなチーム体制のできている医療チームはベテランのフォローがしっかりしているように思います。 また、病院のホームページに手術の症例や症例数を出しているところがあります。症例数が多いところは、それなりの経験があると思います。また、ぜひ症例内容もチェックしてください。簡単な手術の症例しかないところはそこまでの腕しかないということです。また、どの分野の症例数が多いかでその病院の得意分野も見えてくると思います。

かかりつけ医に聞く

親身になって診療に応じてくれる、頼りにできるかかりつけ医がいるならその方に聞いてみるのも良いアイディアではないでしょうか。そのかかりつけ医が病気になった時に、どこを受診するのか聞いてみるのも手かと思います。

医者同士のパイプがあるような方をかかりつけ医に選んでおくと、大きな検査が必要になった時に、地域で連携している医療機関への紹介状を書いてくれるだけでなく、違うアドバイスもしてもらえるかもしれません。

自分が信頼できる医者を選ぶ

緊急手術などを除き、セカンドオピニオンを得られるような時間があるのであれば、自分の足で病院を回り医師と直接面会するのも良いと思います。自分の体にメスを入れるのです。フィーリングの合う人、心から信頼できる人にお願いすると、術後の不安を医師と相談しながら乗り越えて行けるでしょう。 どこか信頼できない医者に施術を施され、その後の回復期に問題が起こると、その医者を疑りたくなるでしょうし、前向きな治療ができなくなるのではないでしょうか。

気を付けたいこと

手術となった時には当然医師からの説明を受けた後だと思います。本当にしないと死を早めるものは積極的に臨まなくてはならない時もありますが、本当にその方法がベストであるのか自分でも調べてみる努力は惜しまない方が良いかと思います。後々悔やまなくて良いと思いますし、手術をすることで医療報酬を高く取れるので病院としてすすめてくるところも残念ながらあると思うからです。 また、手術後にどのようなリスクが発生するのか、術後に必要な治療や病気との付き合い方についても確認しておくことが大切かと思います。

まとめ

手術費用は数万円から高いもので100万円を超えるものがありますが、保険証が使える医療であればその3割、さらに高額療養費制度が適用されれば費用は抑えられる仕組みがあります。また医療保険と組み合わせることで長く続く治療に備えることもできるかと思います。

もし本当に手術が必要になった場合は、医者に言われたことだけなく、自らも知識を付け、信頼できるドクターを選ぶことも大切なことだと思います。