《公的介護保険》の給付だけで賄える?民間との仕組みの違いとは

介護保険なんてまだまだ先のこと、思っているとあっという間に「もうそんな年齢?」となりますよ。あなたが介護されることを少しは考えた方が良いかも知れません。要介護になったらいくらお金がかかるのか、給付額はどのくらいなのかなどの仕組みを知らないと家族に迷惑をかけてしまうことになりそうです。介護保険は民間にもありますが、公的介護保険との仕組みや給付の違いを調べてみましたので参考にしてください。



介護保険のおさらい

歴史は新しい

まずは介護保険のおさらいをしましょう。スタートは平成12年4月と歴史は新しくまだ16年目に入ったばかりです。ニュースなどで「少子高齢化」の文字が取り上げられるようになったのもその頃ですね。出生率はなかなか伸びず高齢化はどんどん進むという良くない循環の中、高齢者の寝たきり、認知症、老老介護、家族の負担など社会問題が大きくなり介護は家族に任せるのではなく国が支えていくという理念の基「介護制度」ができたのです。

介護している家族は「終わりのない」介護への不安がつきまとい、精神的にも肉体的にも追い詰められ「破滅」の道を選んでしまう方もあるでしょう。そのような悲しい結末を迎えないように介護保険制度は金銭的にはもちろんのこと、介護している家族の悩みやストレスの緩和にも役に立っているのです。介護するために仕事をやめなくても良いように日中はデイサービス施設を利用する方法もありますね。

介護保険はこうして生まれました | 介護・障害情報提供システム
参照元:NAGOYAかいごネット(2016年1月、著者調べ)

被保険者

公的な介護保険は加入できる方の年齢が決まっており40歳以上にならないと加入できません。年齢が40歳になった方は強制的に介護保険に加入し被保険者となって毎月保険料を支払うことになっています。よって介護保険を利用することができるのも40歳以上でないとなりません。

加入者は年齢によって区分けされ、65歳以上の加入者は「第1号被保険者」、65歳未満は「第2号被保険者」となり介護保険を利用するには第2号被保険者は国で定めた特定疾病が介護の理由とならなければなりません。第1号被保険者には介護の理由の定めはなく、介護保険を利用する際に申請し要介護との認定を受ければ介護保険を利用することができます。

なお40歳以上の方でも日本に住所のない方や在留期間が1年未満の方は介護保険には加入できません。

介護保険制度のしくみ:新宿区
参照元:東京都新宿区(2016年1月、著者調べ)

運営や財源

民間の保険会社は保険加入者の保険料収入で企業が運営していますが、公的介護保険は保険加入者だけの保険料だけでは運営できないため公的資金(税金)の力を借りています。その負担割合は公的資金が50%、保険料収入が50%と半分は税金で賄われていることになります。

また公的介護保険の運用は各市区町村単位で行われ、人口や年齢構成比が異なることから加入者が支払う保険料には差があります。高齢化率が高く介護保険を利用する方が多い地域では保険料が高くなる傾向があるようです。

費用負担のしくみ | 介護・障害情報提供システム
参照元:NAGOYAかいごネット(2016年1月、著者調べ)

保険料

公的介護保険の保険料はサラリーマンや公務員などの給与所得者の場合は、会社の加入している健康保険組合や共済組合の「料率」によって給料の額で計算され支給される給料から天引きされています。考え方は健康保険料や厚生年金などと同じで会社と個人で折半して納めます。

「料率」は健康保険組合や共済組合で差があり、中小企業の多くが加入しているといわれている全国健康保険協会(協会けんぽ)では平成27年度で「1.58%」、その他は1%前後から1.5%となっているようです。おおよその保険料は給料とボーナスに料率を乗じ、その額を半分にすれば計算することができます。例えば次のようになります。

・保険料=給料30万円x料率1.58%x1/2=2,370円
・保険料=ボーナス50万円x料率1.58%x1/2=3,950円

年額にすれば2,370円x12カ月+3,950×2回=3万6,340円を40歳になったら支払うようになります。個人事業主が加入する国民健康保険の介護保険料は折半する相手がいないため、概ね3万6,340円の2倍以上となることが多いようですが、各市区町村によって保険料が異なるためハッキリした金額をいうことはできません。

協会けんぽの介護保険料率について | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
参照元:全国健康保険協会(2016年1月、著者調べ)



介護保険の給付

サービスの利用額

介護保険を利用することになった場合保障額が気になりますね。公的介護保険では要介護者の程度によって段階的に金額(月額)が決まっており以下のようになります。

・要支援1
:5万30円

・要支援2
:10万4,730円

・要介護1
:16万6,920円

・要介護2
:19万6,160円

・要介護3
:26万9,310円

・要介護4
:30万8,060円

・要介護5
:36万650円

以上の金額が民間保険会社でいう給付金のようなものとなります。介護サービスを利用する際、それらの金額内で各種サービスを受けるか、もっと手厚くサービスを受けるか選択できますが各金額を超えた部分は全額自己負担となってしまいます。しかし公的介護保険の給付は現金給付ではなく現物給付になり、利用金額予算内に収まりおつりが出ても受け取ることができないのです。

さらに介護サービスを利用する方は各金額の1割相当額を自己負担しなければなりませんが、一定の所得がある方は2割相当額を負担しなければなりません。例えば要介護1の予算は16万6,920円なので1割負担なら約1万6,700円、2割負担なら約3万3,000円を負担しなければなりません。

また介護保険料の支払いは介護状態になってもストップすることはなく、支払い期間は「終身」となります。各市区町村によっても差がありますが、例えば本人の年間収入(年金)が240万円以下なら5万9,500円の支払いもしなければなりません。

介護保険料
参照元:毛呂山町(2016年1月、著者調べ)

民間の介護保険

介護状態になってしまうと住宅の改造、例えば玄関にスロープを付け車いすでも出入りができるようにする、トイレも車いすが入れるように間口を広くする、手すりをつける、浴室の改造などいろんな費用がかかります。また自己負担や払い続ける保険料の問題もありますね。

程度によって予算額が決められていますので、介護する側が仕事はやめられないとなればより多くのサービスを受けなければならず、場合によっては利用予算額をオーバーすることもあるかも知れませんね。当然仕事をやめなければ介護できないとなれば現金が必要です。

公的介護保険の給付は現物給付ですが、民間の介護保険は現金給付でしかも保険料の支払い期間も介護状態になったら払込済みに変更すればそれ以降の負担は必要なくなります。次の項では民間の主な介護保険をご紹介しましょう。

おすすめ民間介護保険

東京海上日動あんしん生命

■長生き支援終身
公的介護保険で「要介護2」以上に認定されると死亡保険金と同額の500万円を受け取ることができる商品なので終身保険と介護保険がセットになっているようなものです。また途中で解約した場合でも解約返戻金を受け取れるので、貯蓄型介護保険を考えればいいでしょう。保険料の払込期間は60歳までと65歳までの2種類で健康祝い金を受けず、介護保険保障を重点的に考えれば保険料は以下のようになります。

・契約年齢30歳(女性)
:払込期間60歳まで/1万285円
:払込期間65歳まで/9,090円

・契約年齢35歳(女性)
:払込期間60歳まで/1万6,015円
:払込期間65歳まで/1万895円

・契約年齢40歳(女性)
:払込期間60歳まで/2万680円
:払込期間65歳まで/1万3,450円

以上の保険料で要介護2以上になると一時金として500万円が現金で支給されますので、介護する家族には頼もしい存在となりそうですね。

死亡保険|長生き支援終身(終身保険)|東京海上日動あんしん生命保険
参照元:東京海上日動あんしん生命保険(2016年1月、著者調べ)

ソニー生命

■終身介護保障保険
公的介護保険で「要介護2」以上に認定されると一時金60万円と生涯毎年60万円の現金を受け取ることができる商品。解約返戻金特約はあるものの返戻率が低く貯蓄性は期待できない分、毎月の保険料が安いというメリットもあります。一時金は定額でも毎年受け取れる金額60万円が生涯続くことから、介護に特化していると考えてもいいでしょう。

・契約年齢35歳(女性)
:払込期間65歳まで/7,080円

・契約年齢40歳(女性)
:払込期間65歳まで/9,120円

毎年60万円の現金給付は魅力的ですね。月額にして5万円ですから公的介護保険料の支払いにも充てることができそうです。

介護保険 | ソニー生命保険
参照元:ソニー生命(2016年1月、著者調べ)

メットライフ生命

■ロングタームケア
保険会社独自の認定基準で軽度から重度までの要介護状態、及び認知症をも生涯にわたって保障する商品。介護一時金50万円と100万円の2つが選べ、介護の程度によって一時金の50%、70%、100%を毎年受け取れる完全に介護保険に特化しています。払込期間は契約年齢により60歳、65歳、70歳の3つが用意され、要介護にならない場合でも70歳で健康祝い金50万円、75歳で健康祝い金50万円と5年ごとに現金給付されます。

①基準年金50万円で60歳払込の場合
・契約年齢30歳(女性)
:払込期間60歳まで/8,745円

・契約年齢35歳(女性)
:払込期間60歳まで/1万765円

②基準年金50万円で65歳払込の場合
・契約年齢36歳(女性)
:払込期間65歳まで/1万20円

・契約年齢40歳(女性)
:払込期間65歳まで/1万1,880円

契約年齢が35歳までなら保険料の払込期間が60歳までなので、加入もしやすい保険といえそうです。加えて介護になったときの一時金や、それ以降毎年現金が給付されるもの心強いですね。

メットライフ生命|日常生活動作障害保障保険 ロングタームケア
参照元:メットライフ生命(2016年1月、著者調べ)

アフラック

■WAYS
大きな特徴は保険の形が終身保険なにのもかかわらず、将来の活用方法を選択できることです。

・死亡保障コース
そのまま終身の死亡保障の継続ができます。

・年金コース
保険料払込期間が終わったら満期金を毎月受け取るか毎年受け取るかを選択できます。

・介護年金コース
公的介護保険の認定を受けたら現金給付をされます。

・医療保障コース
一生涯の医療保障を受けることができます。

以上のように多様な使い方ができる保険のため、自分に合ったコースに変更が可能です。もちろん掛け捨てではなく解約返戻もありますので安心です。介護となった時の保障金も200万円から1,500万円まで選べ、その額を5年に分けて受け取るという方法も選択できます。なお保障対象となる介護度は一番軽い「要支援」で給付されますよ。保障金額が500万円の場合で保険料がいくらになるのかご紹介しましょう。

・契約年齢30歳(女性)
:払込期間60歳まで/8,275円
:払込期間65歳まで/7,290円
:払込期間70歳まで/6,570円

・契約年齢35歳(女性)
:払込期間60歳まで/1万340円
:払込期間65歳まで/8,840円
:払込期間70歳まで/7,805円

・契約年齢40歳(女性)
:払込期間60歳まで/1万3,465円
:払込期間65歳まで/1万1,045円
:払込期間70歳まで/9,465円

以上の保険料で保障額が500万円というのが一番頼もしいといえますね。この金額を1回で受け取るのか5年にわたって受け取るのか選択できますのでお勧めですね。

未来の自分が決める保険WAYS|アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)
参照元:アフラック(2016年1月、著者調べ)



公的介護の利用料金

主な利用料金額

介護サービスを受けるには、市町村役場か地域包括支援センターへ連絡して申請すれば予算に合わせてケアマネージャーがプランを作成します。本人や家族が承諾すれば早速介護サービス開始となり、利用者または家族は毎月かかった金額の1割または2割を負担します。

ではヘルパーさんやお風呂のサービスなどいくらかかるのかご紹介しましょう。

・ヘルパーさん
食事や洗濯、掃除や買い物などの世話を1時間程度やってもらった場合約6,130円かかります。仮に週に3回、2時間程度の仕事を依頼すると1日1万2,260円x3日x4週間=14万7,712円

・お風呂のサービス
1回1万2,340円かかりますので、週に2日頼めば4週間で8回ですね。1万2,340円x8回=9万8,720円

・看護師による床ずれの手当や点滴
1時間あたり約5,670円から8,140円かかります。週に1回頼んだとして5,670円x4回=2万2,680円

以上3つのサービスだけで、合計額が26万9,112円もかかることになりますね。要介護2の公的給付金は19万6,160円までですので差額約7万3,000円の赤字です。本来この赤字分は全額自己負担となっていますが負担額には上限があり、現役並みの所得がある方で4万4,400円、年金額が260万円未満の方でも3万7,200円は最低負担しなければなりません。

介護サービス(居宅)の種類と費用のめやす
参照元:毛呂山町(2016年1月、著者調べ)

高額介護サービス費について
参照元:毛呂山町(2016年1月、著者調べ)

実際毎月いくら必要なのか

介護状態になっても介護保険料の支払いがあり、その額を5万9,500円とすれば自己負担額3万7,200円と合計すれば9万6,700円と高額になります。介護サービスの質を落とせばその分家族の負担が大きくなります。介護施設や特別養護老人ホームへ入れるにしても要介護2で1日6,000円から8,000円は必要で、その他に食費やおむつ代など別料金となります。また入所するにも順番待ちという施設もあるでしょう。やはりどうしても公的給付だけでは足りないといえますね。

介護サービス(居宅)の種類と費用のめやす
参照元:毛呂山町(2016年1月、著者調べ)

まとめ

いかがでしたでしょうか。自己負担を抑えるには介護サービスの質を落とさなければならず、そうなると家族の肉体、精神的負担は大きくなります。自己負担額を上限まで使い、施設に入れれば家族の毎月の肉体、精神的な負担は軽くなりますがお金の心配が必要になるでしょう。

やはり民間の介護保険を上手く利用することも考えなければならないのかも知れません。