年金の〈納付期間〉に注意!しっかり受給するためのポイントとは

毎月15,000円以上を納めている国民年金。しかし、納付期間が足りなければ受給資格がないことをご存じでしたか?納付期間が足りない場合には諦めるしかないのでしょうか?納付期間の概要や、受給資格を得るために取ることができる対策をまとめました。



年金の仕組みを確認しよう

年金の種類

年金は支払い始める時期と受給できる時期の間に40年以上もあることもあり、支払っている間の世代は制度に関心を持っている人は少ないと思います。また、年金制度は「2階建て」になっているとよく言われますが、どういう意味なのか正確に理解している人は多くないかもしれません。

公的年金には、国民年金・厚生年金・共済年金があります。厚生年金と共済年金は会社員や公務員が対象となっていて、会社と対象者で負担しています。一方国民年金の対象者は自営業者や学生です。厚生年金は、国民年金とは違う制度に見えますがそうではありません。

国民年金は全ての国民に加入義務があるのですが、厚生年金を納めている人はその中で国民年金も納めていることになっているのです。直接国民年金を支払っているのではなく、会社が取りまとめて国民年金を支払っていると考えるとわかりやすいです。

厚生年金を納めている人は、国民年金にプラスして厚生年金からも受給できるということです。全ての人が治める義務があるとされる国民年金が1階部分、厚生年金や共済年金が2階部分ということになります。

公的年金の種類と加入する制度|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2016年1月時点、著者調べ)

受給には25年の納付期間が必要

この国民年金ですが、年金の種類には老齢年金・障害年金・遺族年金があります。一般的に「年金」と呼ばれる、将来定期的に受給できるものは老齢年金ですが、この老齢年金は単に国民年金に加入しているだけでは受給できず、国民年金に一定期間加入していなければ受給資格がありません。

すなわち、国民年金を受給するには納付期間があるのです。この納付期間は25年以上と定められていて、25年以上国民年金に加入していなければ老齢年金が受給できないのです。この制度は近い将来、25年から10年に短縮されると言われています。

公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための 国民年金法等の一部を改正する法律
参照元:厚生労働省(2016年1月時点、著者調べ)

納付期間で受給金額はどう変わる?

実際に納付期間によって受け取れる老齢年金額がどれくらい変わるのかを見てみましょう。まずは、40年間毎月国民年金を納めた人の場合です。この場合には年間で満額の80万円が受給されることになります。

一方25年の納付期間の場合には、年間の受給額は概算ですが約50万円となり、毎年30万円も差が出ます。この差額を1カ月に換算すると、毎月25,000円もの差が出ることになります。これはかなり大きいのではないでしょうか。

また、もしも納付期間の間に免除期間がある場合には、免除額と期間に応じてさらに受給額が減ることになります。

老齢年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2016年1月時点、著者調べ)

保険料を納めることが、経済的に難しいとき|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2016年1月時点、著者調べ)



納付期間が足りない場合は?

後納制度を利用しよう

もしも国民年金の納付期間が25年に満たない場合には、老齢年金を受給することはできないのでしょうか?そうなるとかなりの人が国民年金制度を利用することができなくなってしまいます。何年も安くない金額を毎月納めてきたにも関わらず、25年に満たないからといって受給資格がもらえないのは酷ですよね。

そのため、国民年金には後納という救済制度が設けられています。これらの制度を利用することで、納付期間が足りていない人も受給資格を得られる可能性が高まります。

国民年金保険料の後納制度|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2016年1月時点、著者調べ)

後納制度とは

納制度とは、納付期間が25年に満たない人が後から未納分を支払うことによって年金の受給資格を得られるようにする制度です。後納制度とは関係なく、基本的に年金の未納は何もしなくても2年間はさかのぼって支払うことができます。

しかし、2年を足したところで納付期間をクリアできないと諦めてしまう人も多く、そのような場合には年金の支払自体に意味が見出せなくなってしまうため、年金の滞納も問題となっています。そこで、後納制度を設けることで2年以上前の未納についても納めることができるようになっています。

後納制度を利用すれば、5年間さかのぼって国民年金を支払うことができます。なお、この制度は期間限定となっていて、平成30年9月までの予定です。後納制度を利用する場合には、国民年金後納保険料納付申込書に記入のうえ、年金事務所で手続きを行う必要があります。

国民年金保険料の後納制度|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2016年1月時点、著者調べ)

納付期間は足りるが金額を上げたい

追納制度を利用しよう

追納とは、経済的な理由で国民年金の支払いを免除された人が、その免除された期間の年金を後から納めることができる制度です。保険料免除制度を利用した場合には、その期間は納付期間から省かれません。

そのため、免除期間を合わせて25年以上の納付期間があれば老齢年金の受給資格があります。しかし、実際に納めた年金額の総額が低くなるために受給できる年金額もその分低くなるというデメリットがあるのです。

そのデメリットを補完するための制度がこの「追納」というわけです。追納を行う場合には申請が必要ですが、免除された期間が追認が承認された月の前10年以内であれば、追納することができます。

一見お得感のある追納ですが、そうとも言い切れないようです。追納したほうがいいのかどうなのかについては免除されていた期間や免除された金額などの具体的な数字にもよって変わってくるようですので、追納を検討している場合には試算してみることをお勧めします。以下に一例を載せてみました。

【例 国民年金を25年納めており、全額免除期間が5年間あった場合】
追納する金額:15,000円×12カ月×5年=900,000円(※わかりやすく15,000円で計算しました)
受給できる老齢年金:422,500円/年
免除期間がなかった場合:487,600円/年

年間で約65,000円の差が出ます。追納金額とトントンになるまでに約13年かかる計算です。

免除された国民年金保険料を追加で支払いたいとき|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2016年1月時点、著者調べ)

保険料を納めることが、経済的に難しいとき|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2016年1月時点、著者調べ)



納付期間を過ぎるとどうなる?

時効にかかることも

国民年金は、納付期限から2年を経過すると時効になるため納めることができなくなります。しかし、請求や督促があった場合には、時効期間は中断します(民法147条参照)。つまり2年以上前の年金でも、督促が届いている場合は時効が完成せず、支払う義務が残っています。

住民税や所得税のように、国民年金も支払履歴が区的機関によってしっかりと管理されていますので、未納になった後何も督促が来ないということはほとんどありませんよね。

国民年金の後納制度について
参照元:日本年金機構(2016年1月時点、著者調べ)

差し押さえられる可能性も

「2年で時効にかかるから」と未納を放置しておくと大変なことになりかねません。国民年金の未納があり、時効も迎えていない場合には、支払い義務は依然として残っています。支払い義務が残っているため、督促状が届きますが、それでも支払わない場合には最悪のケースとして財産を差し押さえられる可能性が出てきますので、注意が必要です。

債権差押命令手続の流れ
参照元:裁判所(2016年1月時点、著者調べ)

かならず免除申請を

このようなことを防ぐためにも、経済的な理由などによって国民年金を納めることが難しい場合には免除の申請を行うことをお勧めします。未納であれば、未納の期間は納付期間にも含まれないので、年金を支払った期間が25年なければ受給資格が得られません。

しかし、免除の場合には免除期間を納付期間に含めることができます。そのため、例えば実際に年金を納めた期間が20年・免除期間が5年あったとしても、受給資格は得ることができます。未納のまま放置する危険性を考えると、「今は年金を払う経済的な余裕がない」という場合は一旦免除申請をしておいた方が賢明です。

経済的に支払える余裕が出てきてから納めることもできますし、未納のままにしておくことによって差し押さえや受給期間の問題以外にも、以下のようなデメリットもあるからです。。

・障害年金や遺族年金を受け取れないことがある
・老齢年金を受け取れないことがある

免除申請には年収などの要件があり、要件によって全額免除か一部免除かに分かれます。一部免除の場合には、3/4免除・1/2免除・1/4の3種類に分かれることになります。また、20歳から30歳未満の場合には、若年者納付猶予という制度を利用することになります。

免除制度と同じく納付期間に含まれますが、年金額に反映しない点が違うところです。

保険料を納めることが、経済的に難しいとき|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2016年1月時点、著者調べ)

納付期間の例外:障害年金

老齢年金は25年の納付期間がなければ受給資格をもらえないことがわかりましたが、実は障害年金はそうではありません。25年の納付期間に関わらず、一定の要件をクリアすれば受給できます。

障害年金について

障害年金とは、障害の原因になった病気やけががある場合に、障害等級表による障害の状態にある期間受給される年金です。障害等級表は法令によって規定されていて、障害年金が支給されるのはこのうち1級と2級に認定された場合です。それぞれ、支給年額は以下の通りです。

・1級:975,100円
・2級:780,100円

ちなみに厚生年金に加入していた場合には、障害年金に加えて障害厚生年金が支給されるようです。また、受給者に20歳未満の障がいがある子どもか、18歳未満の子どもがいる場合には、1人あたり74,800円から224,500円が加算されます。

保険料を納めることが、経済的に難しいとき|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2016年1月時点、著者調べ)

受給の要件

障害年金を受給するためには、国民年金に加入している間に初診日があることが必要です。しかし、これには例外があり、20歳前と60歳以上65歳未満で年金に加入していない期間があるときも含まれます。また、これに加えて以下の要件のうちどちらかの要件が必要になります。

・初診日のある月の前々月までの公的年金(国民年金または厚生年金)の加入期間の2/3以上の期間、年金が納付されているか免除されていること
・初診日のある月の前々月までの1年間、保険料の未納がない

このように納付期間は要件ではありませんが、未納があるかどうか・その時期などは障害年金受給の要件となっています。ここで、公的年金加入期間が400月ある場合で、267月以上年金が納付または免除されている場合を例にとってみます。

この時、残りの未納となっている133月が直近1年間の間にあれば、障害年金は受給されません。逆に、同じ条件でも133月の未納期間が1年以上前であれば受給資格があると言えます。このように、要件は未納期間があるかどうか、それが1年以内にあるかどうかですので、初診日に国民年金に加入していれば納付期間は特に要件になっていないことになります。

ちなみに20歳より前に障害の原因となる病気やけがを負った場合には、本人が国民年金を納付した期間が全くないことから、一定の水準以上の所得がある人には給付を制限する所得制限が設定されています。

障害年金の申請方法についてですが、申請は市町村役場か年金事務所に行います。申請する際には必要な書類がありますので、申請の場合は必ず必要書類など詳しいことを確認しておきましょう。

障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2016年1月時点、著者調べ)

障害基礎年金を受けられるとき|日本年金機構
参照元:日本年金機構(2016年1月時点、著者調べ)

まとめ〜仕組みを理解して賢く付き合おう

将来もらえる老齢年金は、最低でも25年以上国民年金を納付しなければ受給できない仕組みになっています。この年数は将来的には10年に短縮する見込みになっていますが、現状は25年です。納付期間を増やして受給資格を得たい場合には、未納になっている年金を後から納めるしかありません。

年金は2年の時効にかかるので、基本的には2年しかさかのぼれないと言われていますが、後納制度を活用すれば5年分さかのぼって納めることができます。後納制度を利用する際は、年金事務所にて手続きが必要です。

その他にも、受給金額自体を引き上げる目的であれば追納制度を利用することも考えていいかもしれません。また、障害年金に関しては25年の納付期間に足りなくても受給する事ができます。しかし、障害年金についても未納期間によっては受給資格に満たないこともあります。

老齢年金も障害年金も、もしもの時のために助けになる制度です。しくみを理解して上手に付き合っていきましょう。