[雇用保険]で傷病手当がもらえる?!意外と知らない退職後に利用したい制度

傷病手当と聞くと、「健康保険」から貰える手当を思い浮かべる方が多いかもしれません。ですが、「雇用保険」にも「傷病手当」があることをご存知でしょうか?!求職中に「病気や怪我」で仕事ができない場合にもらえる手当になります。もらえるものは、全部もらいたい!退職後に利用できる「雇用保険」の制度について、調べてみました。



雇用保険について

雇用保険とは、会社を退職した後、求職中に申請が出来る「失業保険」のことです。ですが、誰でも申請できるものではありません。雇用保険に加入して、保険料を払っていなければならないことが「前提条件」と言ってもよいでしょう。また、加入していた期間についても関係してきます!

その「雇用保険」について、詳しくみていきたいと思います。

加入条件について

雇用保険の加入条件は、雇用保険を適用している企業に雇用されている方になるのです。雇用形態(正社員、パートやアルバイト)などにかかわらず、原則として加入していることになると思います。また、加入条件には、労働時間と労働日数が関係してきます。その条件を満たせば、被保険者となるでしょう。

<加入条件>
・1週間の所定労働時間が20時間以上ある
・31日以上引き続き雇用されることが見込まれる

※注意:週20時間未満、または、30日間以内の雇用契約では、被保険者に該当せず、未加入となります。

雇用保険の保険料は?

雇用保険料は、お給料から、天引きされています。その保険料は、一般事業の会社であれば、下記の割合で各負担がされているでしょう。

(負担の割合)
・会社負担:8.5/1000
・本人負担:5/1000

負担は、会社側が割合多めになっていると思います。そのため、自分が雇用保険に加入しているかどうか?は、給料明細を見れば、わかると言ってよいでしょう。明細の項目に「雇用保険料」と記載されているはずです。

雇用保険の適用でない会社(個人事業主)も「稀に」あります。そのような会社で働いてる場合は、雇用保険がありませんので、退職後に失業給付を受けることが出来ません!そのような点も確認しておく必要があるでしょう。

失業給付の種類について

雇用保険(失業保険)には、以下のような給付があります。

<失業給付>
■基本手当
■技能習得手当
■寄宿手当
■傷病手当
■高年齢求職者給付金
■特例一時金
■日雇い労働者求職者給付金 失業後、求職中に申請するのは、この「基本手当」の申請が主になると思います。ですが、加入者であれば誰でも給付を受けられるわけではありません!受給するための要件やその期間など、確認しておく必要があるでしょう。

失業給付の受給要件

■失業状態にあること
仕事に就きたいという意思もあり、就職活動を実施しているが、まだ仕事につくことが出来ていない状態のことをいいます。そのため、雇用保険の加入者であっても、次の場合は、「失業状態」と認められませんので、注意しましょう!

・専業主婦になることにした(家事手伝い等)
・進学することに決めた
・次の就職先がすでに決まっている(就職活動を必要としない)
・自営業を始める(計画的)
・会社や団体などの役員に就く(名義貸しも含む)

※但し、以下のような「やむを得ない事情」がある場合は、受給期間「延長の手続き」により、失業給付を受給を延長することができるでしょう。

■病気、ケガ、妊娠、出産、育児で、すぐに働けない
■介護により、すぐに働けない ■退職日前の2年間に、雇用保険の加入期間が通算「12カ月以上」であること(賃金支払いの基礎となった日数が、11日以上ある月を1カ月とし、カウントします。)

※但し、会社都合による退職者は、通算して「6カ月以上」あれば受給が可能となるでしょう。

■ハローワークで求職の申込みをしていること(ハローワークで求職の申し込みを行うことにより、受給手続きが開始するものと思って頂ければよいと思います。)

基本手当について:ハローワークインターネットサービス
参照元:ハローワークインターネットサービス(2015年11月時点、著者調べ)



傷病手当金について

傷病手当は、「健康保険」から支給されるものと「雇用保険」から支給されるもの2種類があります。健康保険の「傷病手当金」は、ご存知の方も多いかもしれませんね。私も会社員だった頃、数ヶ月ほど貰った記憶があります。

しかしながら、「雇用保険」にも「傷病手当」があるのです!こちらの傷病手当は、あまり知られていないと言って良いかもしれません。知っていると便利な「雇用保険」の「傷病手当」について、みていきましょう。

傷病手当金とは?

会社を辞めた後、求職中の人が、「病気やケガ」で働くことができない状態が「15日以上」続いた場合、支給される手当です。

基本手当(失業給付)の受給資格者が離職後、ハローワークに求職の「申込をした後」に病気やケガをしているがため、仕事に就くことができない場合、受給期間内の基本手当を受けることが出来ない日数分がもらえる仕組みです。

しかし、傷病手当は、失業手当(基本手当)の所定給付日数(決められた日数)に加えて支給される手当では無く、「代わり」に支給される手当ですので、受け取った分は所定給付日数から差し引かれます。あくまで、所定給付日数の「範囲内」で受給されるものと考えておくとよいでしょう。

もらえる金額は?

傷病手当の金額は、基本手当の日額と同じ金額になります。

<基本手当日額>
基本手当日額は、離職した日の直前6カ月間に、支払われた賃金合計を180で割って算出した金額(賃金日額)の50〜80%程度です。(賃金が低い方ほど、高い率になる設定がされています)

また、60歳~64歳の方については、45〜80%となるでしょう。基本手当日額は、年齢区分ごとに「上限額」が決まっています。(平成27年8月時点)

<年齢:上限金額>
・30歳未満:6,395円
・30歳以上45歳未満:7,105円
・45歳以上60歳未満:7,810円
・60歳以上65歳未満:6,714円

傷病手当の受給について

ハローワークで求職の申込をした後、病気やケガにより、仕事に就くことが出来ない場合、その仕事が「できない期間」によって、申請する手当が異なってくるでしょう。

■15日未満 : 基本手当を支給
■15日以上30日未満 : 傷病手当を支給
■30日以上 :傷病手当を「支給」または、基本手当の受給期間を「延長」を選択が可能

※基本手当の受給期間延長については、最大3年となります。
※健康保険の傷病手当金や、労災の休業補償を受けている日数分は、受給不可になります。

傷病手当について:ハローワークインターネットサービス
参照元:ハローワークインターネットサービス(2015年11月時点、著者調べ)

失業保険のもらい方について

受給の手続きについて

受給手続きをするにあたり、ハローワークへ持参しなければいけないものは、下記のとおりです。 <受給手続きに必要なもの>

■離職票1と2
■雇用保険被保険者証
■本人の住所・氏名・年齢を確認できる書類(運転免許証など)
■写真(一般的な証明写真)を2枚
■本人名義の銀行預金通帳
■印鑑
■求職申込書 持参する「預金通帳」は、必ず「自分名義」のものでなければなりませんので、注意して下さい! <失業保険の受給手続きについて>

(1)ハローワークで、求職の申し込み(求職票、離職票を提出)
(2)7日間の待機期間
(3)雇用保険受給説明会と失業認定日に出席する
(4)その後、1週間程度で初給付
(5)それ以降は、毎月(4週間に1度)失業認定日に出席
(6)その後、1週間程度で給付 ※失業認定日:「失業状態」にあることを確認する日のことです。指定された日にハローワークへ行き、就職活動の状況を申告して手続きを行います。失業状態にあることの「認定」を受けるためです。

<注意点>退職理由により、失業給付の開始時期が異なります。上記の流れは、あくまで、「会社都合」による退職となった場合を示しています。そのため、各退職理由により、待機期間が変わってくるでしょう。

■会社都合による退職:「7日間」の待期期間満了後、初給付。
■自己都合による退職:「7日間」の待期期間(+プラス)「3カ月間」の給付制限期間

自己都合による退職の場合、給付制限の「3カ月間」は、全く給付を受けられないことになります。但し、自己都合でも、正当な理由があると認定された場合、この限りでは無いでしょう。

※正当な理由については、お近くのハローワークにお問い合わせ下さい。

雇用保険手続き:ハローワークインターネットサービス
参照元:ハローワークインターネットサービス (2015年11月時点、著者調べ)

失業給付は、いつまでもらえるの?

次の仕事が決まるまでは、所定給付日数(その決められた日数)の範囲内で、基本手当を受けることができます(その間は、毎月「失業認定」を受ける必要があります。)所定給付日数については、離職理由や離職時の年齢、被保険者であった期間によって決められるでしょう。

厚生労働省のデータから、その給付期間について、みてみましょう。 ■会社都合による退職者、正当な理由による自己退職者の場合

<年齢区分:被保険者期間別給付日数(1年未満/1年以上5年未満/5年以上10年未満/10年以上20年未満/20年以上)>
・30歳未満:(90日/90日/120日/180日/-)
・30歳以上35歳未満:(90日/90日/180日/210日/240日)
・35歳以上45歳未満:(90日/90日/180日/240日/270日)
・45歳以上60歳未満:(90日/180日/240日/270日/330日)
・60歳以上65歳未満:(90日/150日/180日/210日/240日)

出典:

www.hellowork.go.jp
■定年退職者、自己都合による退職者(正当な理由がない場合)
※年齢区分問わず、同日数となります。

<被保険者期間:給付日数>
・1年未満:なし
・1年以上5年未満:90日
・5年以上10年未満:90日
・10年以上20年未満:120日
・20年以上:150日

出典:

www.hellowork.go.jp
■就職困難な方(障がいがあるなど)

<年齢区分:被保険者期間(1年未満/1年以上)
・45歳未満:150日/300日
・45歳以上65歳未満:150日/360日

出典:

www.hellowork.go.jp
こうしてみると、会社都合による退職であれば、正当な理由のない自己都合退職に比べても優遇された手当になることが解かるでしょう。よくニュースで見る「早期退職者制度」などは、会社都合に該当すると思いますので、ご年配の方であれば、逆にメリットとなる可能性もあるかもしれませんね。

基本手当の所定給付日数:ハローワークインターネットサービス
参照元:ハローワークインターネットサービス (2015年11月時点、著者調べ)

再就職手当について(就職促進給付)

再就職手当は、基本手当の受給資格がある人が所定給付日数を「残して」職業に就いた場合、支給される手当です。受給するには、以下の要件を満たす必要があるでしょう。

■基本手当の支給残日数が、所定給付日数の「1/3以上」かつ「45日以上」あること
■1年を超えて安定的に雇用されることが確実である職業に就いたこと
■再就職先で雇用保険の被保険者資格を取得していること
■待期経過後に就職したこと
■離職前の事業主、また関連会社など、関係ある事業主に再び雇用されていないこと
■受給資格「決定前」に内定を受けた事業主に雇用されたものでないこと
■給付制限を受けた場合、待期経過後「1カ月間」については、「ハローワークの紹介」、もしくは、厚生労働大臣が許可した「職業紹介事業者の紹介」により職業に就いたこと。
■「過去3年以内」の就職について、「再就職手当」、「常用就職手当」、「早期再就職支援金」を受けていないこと。
■申請後すぐに離職していないこと

出典:

www.hellowork.go.jp
再就職手当の支給額については、

・基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上の方:(所定給付日数の支給残日数)×60%×(基本手当日額)

・基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上の方:(所定給付日数の支給残日数)×50%×(基本手当日額)

支給「残日数」により、50%か、60%かが決まるでしょう。
※但し、基本手当日額の上限は、5,830円(60歳以上65歳未満:4,725円)となります。

就職促進給付:ハローワークインターネットサービス
参照元:ハローワークインターネットサービス (2015年11月時点、著者調べ)



申請における注意点

下記のような場合、不正受給とみなされることがあります。給付金の返還も請求されることが考えられます。故意でなくとも、忘れていたという場合も考えられますので、注意するようにしましょう。

<例えば>
・実際に行ってない就職活動を「失業認定申告書」に記して申告を行った場合

・失業手当申請中に、就職や就労(パートやアルバイト、派遣や日雇も含む)をして、「失業認定申告書」に、その就労事実を記入しなかった(隠した)場合

・自営業や請負業務を開始したのに、それを隠して「失業認定申告書」の申告を行った場合

・内職や手伝いで得た収入を「失業認定申告書」に記入せず(隠した)申告した場合

・会社や団体の役員に就いた(名義だけも含む)のに、「失業認定申告書」 にそれを記入せず、申告を行った場合

・定年退職後、就職しようとする「意思」が全く無いのに失業給付を受けて、手当の受給終了後に「年金」の受給を考えている場合。 こういった「不正行為」が発覚した場合、それ以降は、基本手当が一切支給されません!また、不正受給した手当の「相当額の返還」が発生することもあるでしょう。さらに、返還する不正受給金額とは「別に」、不正行為で支給を受けた額の「2倍」などの金額納付(ペナルティー)が命ぜられることも考えられます。

ですので、ハローワークへ提出する書類は、必ず事実を記入し、不正に雇用保険を受給することのないようにすることが肝心と言えるでしょう。

まとめ

ここまで、退職後に利用できる「雇用保険」の制度についてみてきましたが、いかがでしたでしょうか?「失業保険」の申請は、あくまで、「失業して求職中」であることが前提であることが判りましたね!また、雇用保険に加入していなければ、その申請も出来ないことがわかりました。

失業保険の申請は、さまざまな制約もあり、そう簡単に受給出来るわけではありません。自己都合による退職の方であれば、3ヶ月もの待機期間も発生し、その間は、何も手当がもらえないのです。その間、どうやって生活していけばよいのか?そう考えると、頭もちょっと痛くなるかもしれませんね。

しかし、お金が貰えるという意味では、大変助かる制度です!ぜひ、活用することをおすすめします。参考にしてみて下さいね! ※本記事は一般的な情報に過ぎず、適用法令等の改正、前提事実や個人状況の違いおよび変化によって、掲載内容と実際の結果が異なってしまう可能性があります。従って本記事の掲載内容については一切の責任を負いかねますので、内容の解釈や実践はご自身の責任で行い、専門家に相談されることを推奨いたします。