<遺贈>相続人ではないけど、大切なあの人に財産を残したい場合は?

ドラマやマンガなどで、お金持ちの夫人が若い人に私が死んだら○○をあげるというのは本当に出来ることなのでしょうか?あるいはお世話になった人や自分を大事にしてくれる人に自分の財産を譲るというのは可能なのでしょうか?ドラマやマンガの世界ではなく、現実の話を見ていきましょう。



人が亡くなると財産はこう相続される

亡くなった人の財産を相続できるのは原則として相続人だけです。そして遺産の分け方と順番については法律で決まっていて、亡くなった人の配偶者、子供、父母、兄弟姉妹といった相続人の順番で遺産相続が行われるのが一般的です。

そして遺産の分け方についても法定相続分といってきちんとした決まりがあります。
・配偶者と子供が相続人である場合は、配偶者1/2、子供は全員で1/2
・配偶者と父母が相続人である場合は、配偶者2/3、父母は2人合わせて1/3
・配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合は、配偶者3/4、兄弟姉妹は全員で1/4
といったように、民法で定められた分け方で分割をするのが一般的です。

遺言がない場合にはこの法定相続人の他に遺産が分けられることはありません。しかしながら遺言で残すことによって相続人以外の人に財産を残すことができます。遺言書を書き残すことによって、ある人に財産を与えることを遺贈といいます。これは他人に無償で財産をプレゼントしますよということなのです。そして遺贈される人の事を受遺者と呼びます。

受遺者は個人でも法人でもかまいません。生前興味のあった団体へ全額寄付をすると言った話も外国ではよく聞く話ですよね。

No.4132 相続人の範囲と法定相続分|相続税|国税庁
参照元:国税庁(2016年1月時点著者調べ)

相続人以外へも遺産贈与できる、遺贈って何? [相続・相続税] All About
参照元:All About(2016年1月時点、著者調べ)



法定相続人ではない大切なあの人に財産を分ける方法

遺贈には包括遺贈と特定遺贈と呼ばれる2種類のパターンがあります。

包括遺贈

包括遺贈は例えば全財産を与える、または全財産の10分の1を与えるといったように、財産の割合を示して行うものです。

包括遺贈は相続人が相続分を指定されるのと同じような結果となります。このことから包括受贈者は相続人と同じ権利があると民法で定められているため、相続人と同じ扱いを受けることができます。

つまり財産の10分の1を包括遺贈された人は、債務があった場合10分の1を負担しなければならないということです。そのために受遺者にとってはあまり嬉しくない遺贈のケースもありますよね。

債務を負担したくないのであれば、相続の放棄の場合と同じように遺贈を放棄する、もしくは限定承認をする手続きを取る必要があります。

特定遺贈

それに対して特定遺贈はどこどこの土地を与えるというように特定の財産だけを贈るものです。特定遺贈は包括遺贈とは違って遺言で指定されていない場合は、借金などの負債を引きつぐことはありません。

遺贈とは(包括遺贈と特定遺贈)|相続相談は中野相続手続センター
参照元:中野相続手続センター(2016年1月時点著者調べ)

相続人へ遺贈をするケースもある

遺贈は相続人の関係のない人だけでなく、特定の相続人に対しても行うことができます。例えば、遺言書に長男には家を、次男には土地を遺贈すると書いた場合、相続人である長男は家を贈られ、次男には土地が送られます。

相続人に対して遺贈をするのは、のちのちの争いが起こらないようにするために遺産分割の指定をするだけなので、あえて遺贈を行う必要はないかもしれません。

亡くなった人が遺言などで意思表示をしない場合、遺贈財産はその人の相続分から引かれることになります。つまり、他に子供がいた場合長男や次男だけが得をするわけではないことに注意しましょう。

条件が付いた遺贈もある

その他遺贈には条件付き遺贈や負担付遺贈と呼ばれる方法もあります。条件付き遺贈については受遺者がどこどこの大学に合格できたらこの不動産を遺贈するといった形で、条件を達成できたらこれをあげるというケースです。

負担付遺贈については、例えば何人か子供がいる中で残された妻の老後の面倒を見ることを条件に自宅を遺贈する、といったもので条件付きの遺贈のことです。この場合に遺贈を受けた子供は遺贈財産の価額の範囲の中で母親の老後の面倒を見る義務が生まれてきます。

約束を果たさない場合は、遺贈を取り消されることもあります。その他のケースとしては子供のように大事にしている犬を自分の代わりに育ててくれたら家をプレゼントするということも考えられますね。

条件付き遺贈とは|相続大辞典|相続税の申告相談なら【税理士法人チェスター】
参照元:税理士法人チェスター(2016年1月時点著者調べ)

死因贈与も相続人以外に財産を残す方法として有効

相続人以外に財産を残す方法として、死因贈与と呼ばれるものがあります。私が死んだ時はあなたにこの宝石をプレゼントします、といったようなお昼のドラマに出てきそうなシーンですが、これはきちんとした生前に交わす贈与契約となります。

先ほどご紹介した遺贈との大きな違いは、死因贈与の場合贈る側と贈られる側で合意があったうえで成り立つ契約であることです。遺贈は贈られる側にとってはとてもありがたい事かもしれませんが、負債があった場合、賃貸アパートなどの不動産をもらった場合維持費やいろいろな費用がかかることを考えると手放しで喜んではいられないケースも考えられます。

死因贈与に至ってはもらう側が拒否をすると成立しません。そのため、「自分が大事にしている骨とう品や宝石類などは、この先大事に持っていてくれると思うあの人に送りたい」という場合は死因贈与の方が確実ですね。

死因贈与は口約束でも有効であります。ですが、相続が起こった場合、相続人たちの間に急に贈られる人が約束をしたと言って名乗り出てもトラブルのもとになるだけなので、書面にして残すことが大切だと思います。

書面と言ってもメモのようなものではなく、きちんと贈与する側、される側の両方が署名・押印した上で公正証書として残すことが得策かもしれませんね。

遺言から死因贈与へ -相続と遺産分割- | エヌエムシイ税理士法人 税務総合戦略室便り
参照元: エヌエムシイ税理士法人(2016年1月時点著者調べ)



遺贈をされた側の注意点

今回ご紹介した遺贈や死因贈与を受けた場合は、金銭的に見積もることのできるものは原則として相続財産がかかります。遺贈に関しては贈る側からの一方的なものですので、もらうのかもらわないのかは受遺者の自由ですので遺贈の放棄をすることができます。

包括遺贈のケースでもらわないと決めたら、相続の場合と同じように亡くなったことを知った日から3か月以内に遺贈の放棄の手続きを行わなければなりませんし、もらう場合は相続税の申告や納税を10か月以内にしなければならないのです。

No.4105 相続税がかかる財産|相続税|国税庁
参照元:国税庁(2016年1月時点著者調べ)

最後に

ドラマやマンガで見たシーンは現実に有効な約束だったのですね。

自分が遺言をする側はまだまだこれ先かと思いますが、もしかしたら近い将来遺贈を受ける可能性はあるかもしれませんよね。

そんな時にはぜひ今回読んだことを思い出してみてくださいね。